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裁判例


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平成30年4月27日判決言渡
平成27年(行ウ)第229号政務活動費返還請求事件(住民訴訟)
主文
1原告らの請求をいずれも棄却する。
2訴訟費用(補助参加によって生じた費用を含む。)は,原告らの負担とする。5
事実及び理由
第1請求
被告は,別紙2の1「請求一覧表(会派)」及び別紙2の2「請求一覧表(議
員)」の各「相手方」欄記載の各相手方に対し,前記各表のうち当該各相手方の
氏名が記載された部分に対応する各「請求額(円)」欄記載の各金員及びこれに10
対する平成27年7月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支
払うようそれぞれ請求せよ。
第2事案の概要
1事案の骨子
本件は,茨木市の住民である原告らが,平成25年度における茨木市議会の15
政務活動費(以下「本件政務活動費」という。)に関し,別紙2の1の「請求一
覧表(会派)」の各「相手方」欄記載の各茨木市議会会派(以下「本件相手方会
派ら」という。)及び別紙2の2の「請求一覧表(議員)」の各「相手方」欄記
載の各茨木市議会議員(以下「本件相手方議員ら」といい,本件相手方会派ら
と併せて「本件相手方ら」という。なお,本件相手方らは,全て,本件訴えに20
補助参加している。)は,本件政務活動費の一部を茨木市議会政務活動費の交付
に関する条例(以下「本件条例」という。)6条に反して違法に支出したから,
同市は本件相手方らに対する不法行為に基づく損害賠償請求権及び不当利得
返還請求権を有するにもかかわらず,同市の執行機関である被告がその行使を
怠っていると主張して,被告に対し,地方自治法242条の2第1項4号に基25
づき,不法行為に基づく損害賠償又は不当利得返還の請求として,本件政務活
動費に関する支出のうち違法に支出されたものである旨主張する額に相当す
る金員及びこれに対する平成27年7月22日(訴状送達の日の翌日)から支
払済みまで民法所定の年5分の割合による不法行為に基づく損害賠償請求に
係る遅延損害金又は不当利得返還請求に係る利息の支払を本件相手方らに請
求することを求める住民訴訟である。5
なお,原告らは,本件政務活動費に関する支出のうち,別紙3及び別紙4の
各「原告らの主張」欄中の「否認額」欄記載の各金額の支出(以下「本件各支
出」という。)が,本件条例6条において政務活動費を充てることができるもの
とされた経費(以下「条例所定経費」という。)に該当しない違法なものである
旨主張するが,本件訴えにおいては,本件相手方らのうちの一部の者に関して10
は,前記のとおり違法なものである旨主張する支出のうちの一部のみにつき,
被告に対し,不法行為に基づく損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを
求めている。
2関係法令等の定め
(1)地方自治法の定め15
ア普通地方公共団体は,条例の定めるところにより,その議会の議員の調
査研究その他の活動に資するため必要な経費の一部として,その議会にお
ける会派又は議員に対し,政務活動費を交付することができる。この場合
において,当該政務活動費の交付の対象,額及び交付の方法並びに当該政
務活動費を充てることができる経費の範囲は,条例で定めなければならな20
い(100条14項)。
イ政務活動費の交付を受けた会派又は議員は,条例の定めるところにより,
当該政務活動費に係る収入及び支出の報告書を議長に提出するものとする
(100条15項)。
ウ議長は,政務活動費については,その使途の透明性の確保に努めるもの25
とする(100条16項)。
(2)本件条例の定め(乙3)
ア本件条例は,地方自治法100条14項から16項までの規定に基づき,
茨木市議会議員の調査研究その他の活動に資するため必要な経費の一部と
して,議会における会派及び議員に対し政務活動費を交付することに関し
必要な事項を定めるものとする(1条)。5
イ政務活動費は,茨木市議会における会派(3人以上の所属議員を有する
ものをいう。以下「会派」という。)及び議員の職にある者(以下「議員」
という。)に対して交付する(2条)。
ウ政務活動費は,四半期ごとに交付するものとし,各四半期の最初の月に,
当該四半期に属する月数分を交付する(3条1項本文)。10
エ政務活動費は,会派及び議員が行う調査研究,広報,広聴,住民相談,
要請,陳情,各種会議への参加等市政の課題及び住民の意思を把握し,市
政に反映させる活動その他住民福祉の増進を図るために必要な活動に要す
る経費に対して交付する(6条1項)。
政務活動費を充てることができる経費は,会派に係るものについては別15
紙5の別表第1,議員に係るものについては別紙5の別表第2(以下当該
別表第1及び当該別表第2を併せて,「本件別表」という。)の左欄に掲げ
る項目に応じ,それぞれ同表の右欄に定める内容のとおりとする(6条2
項)。
オ政務活動費の交付を受けた会派の経理責任者及び議員は,政務活動費収20
支報告書(以下「収支報告書」という。)を作成し,会計帳簿及び領収書等
の証拠書類(以下「会計帳簿等」という。)を添えて,議長に提出しなけれ
ばならない(8条1項)。
収支報告書及び会計帳簿等は,前年度の交付に係る政務活動費について,
毎年4月30日までに提出しなければならない(8条2項)。25
カ政務活動費の交付を受けた会派及び議員は,その年度において交付を受
けた政務活動費の総額から当該会派及び議員がその年度において6条に定
める経費の範囲に基づいて支出した総額を控除して残余がある場合,当該
残余の額に相当する額の政務活動費を返還しなければならない(9条)。
(3)茨木市議会政務活動費の交付に関する規則(以下「本件規則」という。)
の定め(乙4)5
ア議長は,提出された収支報告書の写しを市長に送付するものとする(6
条)。
イ政務活動費の交付を受けた会派の経理責任者及び議員は,政務活動費の
支出について会計帳簿を調製するとともに,領収書等の証拠書類を整理し
なければならない(7条)。10
⑷茨木市議会政務活動費の支出に関する内規(以下「本件内規」という。)の
定め(乙5)
本件内規は,本件条例及び本件規則に規定する政務活動費を充てることが
できる経費及び証拠書類の取扱い等政務活動費の支出に関し,必要な事項を
定める(第1)。15
本件条例6条に規定する政務活動費を充てることができる経費の範囲の取
扱い及びその支出基準について,別紙6の1「茨木市議会政務活動費の支出
に関する内規別表2会派用」及び別紙6の2「茨木市議会政務活動費の
支出に関する内規別表1議員用」のとおり定める(第2)ほか,前記⑶
イ(本件規則7条)の領収書等の証拠書類とは,支払伝票,出張調書,支払20
調書(交通費),支払調書(通信費),支払確認書及び事務所届であり,支払
伝票は,原則として,全ての政務活動費の支出に対して作成し,領収書を添
付すべき旨定める(第3,第4)。
3前提事実(争いのない事実,顕著な事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨
により容易に認められる事実)25
(1)当事者等
ア原告らは,茨木市の住民である。
イ被告は,茨木市の執行機関(市長)である。
ウ本件相手方会派らは,いずれも,平成25年度において,茨木市議会の
会派であった権利能力なき社団である。そのうち,被告補助参加人(以下
「補助参加人」という。)民主みらいは,平成26年6月19日に解散し5
(乙1の1),補助参加人大阪維新の会・茨木は,同年9月30日,その
会派名を「日本維新の会・茨木」から変更している(乙1の2)。
エ本件相手方議員らは,いずれも,平成25年度において,茨木市議会の
議員であった者である。
(2)本件相手方らによる本件政務活動費の使用状況10
本件相手方らは,平成25年度において,本件政務活動費の交付を受け,
その一部として,別紙3及び別紙4に各記載の「項目」,「付記番号」,「日付」
及び「用途」(なお,「付記番号」は,原告らが本件に関する監査請求を行っ
た際に,前記各支出に付した整理番号である。)に係る各支出(経費)につき,
「政務活動費として計上された額」欄記載の各金額の政務活動費を充てた旨15
の収支報告書を作成した(甲1,2)。
なお,以下,別紙3及び別紙4記載の各支出について,例えば,別紙3の
番号1に係る支出を「番号1」といい,別紙4の番号96に係る支出を「番
号96」というなど,当該各別紙の「番号」欄記載の番号により特定するこ
ととする。20
(3)本件訴えに至る経緯等
ア原告らは,平成27年4月27日,茨木市監査委員に対し,本件政務活
動費の一部につき違法な支出がされたとして,これにより茨木市の被った
損害額の返還を被告が本件相手方らに対し求めるよう勧告することなどを
求める住民監査請求をした(甲1)。25
イ茨木市監査委員は,平成27年6月15日,原告らに対し,原告らの前
記アの監査請求は理由がない旨の監査結果を通知した(甲2)。
ウ原告らは,平成27年7月14日,本件訴えを提起した(顕著な事実)。
エ原告らは,平成29年12月22日,本件訴えのうち,被告に対し,8
万9079円の支払をP1に請求することを求める部分について,訴えを
取り下げた(顕著な事実)。5
4争点及び当事者の主張の要旨
本件の主たる争点は,本件政務活動費に関する支出のうち,別紙3及び別紙
4の各「原告らの主張」欄中の「否認額」欄記載の各金額の支出(本件各支出)
が,条例所定経費に該当しないものであるか否かであり,これに関する当事者
の主張は以下のとおりである。10
(原告らの主張の要旨)
⑴地方自治法2条14項の趣旨に鑑みると,政務活動費の支出には,住民福
祉,公共目的に費用が適合していること及び最小の費用で最大限の効果を上
げることが要求されるものと考えられること,同法100条14項が政務活
動費を「議員の調査研究その他の活動に資するため必要な経費の一部」と定15
めていること,地方財政法8条が地方公共団体の財産につき「最も効率的に」
運用しなければならない旨定めていること等に鑑みると,本件条例の解釈及
び運用は厳正,厳格にされなければならず,政務活動費は,市政に関する調
査研究その他の活動に要する必要最小限の経費についてのみ認められるべ
きものである。20
また,政務活動費の支出を認める立法の趣旨は,支出の透明性を高め,説
明責任を果たさせる点にあるから,本件別表に沿うようにみえる支出であっ
たとしても,第三者による事後的な検証が困難である場合や,領収書の記載
からは調査研究その他の活動との関連性が明らかではなく,支出の公正さを
説明することができない場合には,当該支出は違法なものであるというべき25
である。
さらに,同一名目の支出のうち,本件別表に合致する部分とそうでない部
分を合理的に区別することが可能であるにもかかわらず,本件相手方らが当
該区別に係る具体的な主張立証をせず,その金額及び使途等からみてその多
くが政務活動以外の活動に使用されていると社会通念上推認されるような場
合には,同一名目の支出全体が本件別表に合致しないものと評価されるべき5
である。
(2)本件相手方らは,本件各支出が,本件別表や本件内規に適合するものであ
るから,条例所定経費に該当する旨主張するが,以下のとおり,本件内規の
定めは違法,不当であるというべきであるから,これに適合することをもっ
て,本件各支出が条例所定経費に該当するということはできない。10
ア日当及び宿泊料(調査研究費)
①議員としての活動に対しては議員報酬が支払われる以上,調査研究活
動に係る日当及び宿泊料を政務活動費として支出することは,給与の二重
払いとなること及び②仮に宿泊料の支出が許されるとしても,調査研究活
動に不可欠な実費を超えて支出を認めるべきではないことから,日当及び15
宿泊料に係る本件内規の定めは違法,不当であるというべきである。
イ広報・広聴費
本件内規は,調査研究その他の活動に係る報告と,それ以外の会派又は
議員個人の活動に係る報告との区別を明確に定めておらず,調査研究その
他の活動と無関係な広報・広聴活動に政務活動費を支出することが可能に20
なっているから,広報・広聴費に係る本件内規の定めは違法,不当である
というべきである。
ウ茶菓子代(広報・広聴費)
①本件内規は,講師謝金の支出を認めており,これとは別に茶菓子代を
支出する必要はないこと及び②仮に茶菓子代の支出が許されるとしても,25
個別の使用状況に応じた支出が許されるのみであって,一律に1人当たり
1回2000円までの支出を認めるべきではないことから,茶菓子代に係
る本件内規の定めは違法,不当であるというべきである。
エ通信費(広報・広聴費)
①電話,携帯電話及びインターネットは,私的な利用にも供されるもの
であり,これらの使用料及びプロバイダー契約料に係る通信費は,公私の5
区別が困難な費目であるから,政務活動費を支出することは許されないこ
と及び②仮に通信費の支出が許されるとしても,個別の使用状況に応じた
支出が許されるのみであって,議員の通信費について,一律に年額の5
0%相当額までの支出を認めるべきではないことから,通信費に係る本件
内規の定めは違法,不当であるというべきである。10
オ事務機器購入費等(資料作成費,事務所費)
事務機器は,私的な利用にも供されるものであり,その購入費,リース
料,修理代等は,公私の区別が困難な費目であるから,事務機器購入費等
に係る本件内規の定めは,違法,不当であるというべきである。
カ新聞購入費(資料購入費)15
新聞は,図書館等に常備されており,購入の必要性がないし,私的な利
用にも供されるものであり,その購入費は公私の区別が困難な費目である
から,新聞購入費に係る本件内規の定めは違法,不当であるというべきで
ある。
キ人件費20
①会派又は議員が行う活動を補助する職員はそれ以外の職務にも従事
する可能性が高く,当該活動を補助する能力もない親族等を名目上の補助
職員として政務活動費が支出されるおそれもあること及び②仮に人件費
の支出が許されるとしても,個別の使用状況に応じた支出が許されるのみ
であって,議員の人件費について,一律に月額3万円までの支出を認める25
べきではないことから,人件費に係る本件内規の定めは違法,不当である
というべきである。
ク事務所賃借料,自宅兼事務所の維持管理費(事務所費)
①自宅の維持管理に必要な経費は議員報酬として支払われる以上,自宅
兼事務所の維持管理費に政務活動費を支出することは給与の二重払いと
なること及び②仮に事務所費の支出が許されるとしても,個別の使用状況5
に応じた支出が許されるのみであって,事務所賃借料について月額3万円
まで,自宅兼事務所の維持管理費について月額1万円までの支出を一律に
認めるべきではないことから,事務所賃借料及び自宅兼事務所に係る本件
内規の定めは違法,不当であるというべきである。
⑶本件各支出についての原告らの個別的主張は,別紙3及び別紙4の各「原10
告らの主張」欄中の「左記の額が違法となる理由」欄記載のとおりである。
本件各支出は,市政に関する調査研究その他の活動に要する必要最小限の経
費であるということはできず,条例所定経費に該当しない。
⑷したがって,本件相手方らは,違法な支出となる政務活動費を請求したこ
と自体について不法行為が成立し,本件各支出に相当する金額について不法15
行為に基づく損害賠償義務を負うとともに,当該金額について不当利得の返
還義務も負う。
(被告の主張の要旨)
(1)地方自治法100条14項は「議員の調査研究その他の活動に資するた
め必要な経費の一部として」と定めるのみであり,具体的な内容を明確にし20
ていないことや,同項が「当該政務活動費の交付の対象,額及び交付の方法
並びに当該政務活動費を充てることができる経費の範囲は,条例で定めなけ
ればならない」と定めていることに鑑みると,政務活動費の使途については,
同法の趣旨に反しない限り,各地方公共団体の規模,地域の実情,議員の調
査研究活動の実態等の諸事情に応じた運用を図るべく,各地方公共団体の裁25
量に任されているというべきである。また,議会の審議能力や議員の調査研
究その他の活動の基盤の充実を図るという政務活動費制度の趣旨に鑑みれ
ば,本件別表に係る支出の具体的項目やその上限金額等についても,各地方
公共団体がそれぞれの実情に応じて裁量により設定すべきものである。
茨木市は,政務活動費制度の趣旨を全うするために会派及び議員の自主性
を尊重する一方,支出の適正をいかに図るかについても十分に考慮した上で,5
本件内規において,本件別表の項目について一般に想定され,調査研究その
他の活動にとって必要又は有益な項目を具体化するとともに,「留意事項及
び事例」欄において,支出に当たっての留意事項や具体例を挙げ,金額の上
限や回数制限を設けるなどして支出に一定の制限を加えているから,本件内
規の定めは合理的なものである。10
したがって,本件各支出は,本件別表及び本件内規に適合する限り,条例
所定経費に該当するというべきである。
⑵被告は,本件条例,本件規則及び本件内規の定めに基づいて本件相手方ら
から提出された収支報告書や領収書等を検証し,本件各支出に係る日付,金
額及び領収者について確認し,本件各支出が本件別表及び本件内規に適合す15
る旨判断している。
したがって,本件各支出は,いずれも条例所定経費に該当する。
(補助参加人らの主張の要旨)
本件各支出についての補助参加人ら(本件相手方ら)の個別的主張は,別紙
3及び別紙4の各「補助参加人の主張」欄記載のとおりである。本件各支出は,20
条例所定経費に該当する。
第3当裁判所の判断
1本件各支出の違法性判断の枠組み等について
⑴ア地方自治法100条14項~16項の規定による政務活動費の制度は,
議会の審議能力を強化し,議員の調査研究その他の活動の基盤の充実を図25
るため,議会における会派又は議員に対する調査研究の費用等の助成を制
度化し,併せてその使途の透明性を確保しようとしたものである。もっと
も,同条14項は,議員の調査研究その他の活動に資するため必要な経費
の一部として政務活動費を交付する旨を定めた上,その交付の対象,額及
び交付の方法並びに当該政務活動費を充てることができる経費の範囲は,
条例で定めなければならない旨のみを定めており,具体的な政務活動費の5
交付の対象,額及び交付の方法並びに当該政務活動費を充てることができ
る経費の範囲については,各地方公共団体がその実情に応じて制定する条
例の定めに委ねているものと解される(最高裁平成21年(行フ)第3号
同22年4月12日第二小法廷決定・裁判集民事234号1頁参照)。
また,本件条例は,地方自治法100条14項~16項の規定に基づき10
定められたもの(本件条例1条)であるところ,6条において,政務活動
費は,「会派及び議員が行う調査研究,研修,広報,広聴,住民相談,要
請,陳情,各種会議への参加等市政の課題及び住民の意思を把握し,市政
に反映させる活動その他住民福祉の増進を図るために必要な活動に要す
る経費」に対して交付し(1項),具体的に政務活動費を充てることがで15
きる経費は,本件別表の定めるとおりの項目及び内容とする旨(2項)を
規定している。
地方自治法100条14項及び本件条例6条の文言に加えて,前記のと
おりの政務活動費の制度趣旨に鑑みれば,本件条例6条において政務活動
費を充てることができる経費とされているもの(条例所定経費)は,㋐会20
派又は議員としての議会活動の基礎となる調査研究その他の活動又はこ
れとの間に合理的関連性が認められる行為(以下「調査研究活動等」とい
う。)に関するものとして本件別表において定められた項目及び内容に該
当する経費のうち,㋑本件別表所定の調査研究活動等の目的や性質に照ら
し,社会通念上,支出が相当であると認められる範囲のものをいうと解す25
べきである。そうすると,政務活動費の交付を受けた会派又は議員におい
て政務活動費につき行った支出(以下「政務活動費に関する支出」ともい
う。)が,条例所定経費に該当せず,不法行為に基づく損害賠償請求権又
は不当利得返還請求権の対象となるためには,①当該支出に係る行為が会
派又は議員としての議会活動の基礎となる調査研究活動等ではないなど,
当該支出が,本件別表所定の項目及び内容に該当しないこと,又は,②当5
該支出が,本件別表所定の当該調査研究活動等の目的や性質に照らし,社
会通念上,相当であると認められる範囲を超えることが必要であると考え
られる。
イまた,茨木市幹事長会(茨木市議会の正副議長及び各会派の幹事長によ
り構成され,各会派間の意見調整等を行う機関)は,本件条例6条(本件10
別表を含む。)及び本件規則7条の定めを具体化するものとして,本件内規
(乙5)を定めたことが認められる(弁論の全趣旨)。そして,本件内規の
別表(別紙6の1・2)は,本件条例6条に規定する政務活動費を充てる
ことができる経費の範囲の取扱い及びその支出基準等について定めてい
る。15
本件内規は,本件条例6条に規定する政務活動費を充てることができる
経費の範囲の取扱い及びその支出基準について,本件別表が列挙する項目
ごとに,その費目及び支出基準をより具体的に規定したものであるところ,
茨木市幹事長会において,茨木市における平成24年法律第72号による
改正(同法により,地方地自法100条14項所定の「政務調査費」が「政20
務活動費」に改められるなどの措置が講じられた。当該措置に係る部分は,
平成25年3月1日に施行された。)前の地方自治法100条14項に基
づく政務調査の実績,実情等を踏まえた議論が相当程度行われた上で本件
内規が定められたものと推認されることに加えて,その内容も後記⑶で検
討するとおり本件条例6条の定めに適う合理的なものというべきである25
ことに鑑みると,本件各支出が条例所定経費に該当しないものであるか否
かの判断に当たっては,本件内規の定めを参酌することも許容されるとい
うことができる。
⑵アところで,本件のように,地方公共団体の住民が,政務活動費の交付を
受けた会派又は議員において政務活動費につき行った支出が地方自治法
100条14項及びこれに基づき定められた条例の規定に反するため,当5
該地方公共団体は,当該会派又は議員に対して,当該支出につき,不法行
為に基づく損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を有するにもかかわ
らず,その執行機関がその行使を怠っているとして,同法242条の2第
1項4号に基づき,当該会派又は議員に不法行為に基づく損害賠償又は不
当利得返還の請求をすることを当該地方公共団体に対して訴えをもって10
請求する場合には,原告たる当該住民において,当該支出が同法100条
14項及びこれに基づき定められた条例の規定に反すること(本件におい
ては,前記⑴ア①又は②を満たすこと)の主張立証責任を負うものと解さ
れる。
イこの点に関し,原告らは,本件別表に沿うようにみえる支出であったと15
しても,第三者による事後的な検証が困難である場合や,領収書の記載か
らは調査研究その他の活動との関連性が明らかではなく,支出の公正さを
説明することができない場合には,当該支出は違法なものであるというべ
きである旨主張する。
そこで検討すると,前記アの場合において,原告たる当該住民が,政務20
活動費に関する支出につき,地方自治法100条14項及びこれに基づき
定められた条例の規定に反すること(本件においては,前記⑴ア①又は②
を満たすこと)に関する評価根拠事実やこれを推認させるに十分な間接事
実を証明したときには,被告又は同法242条の2第1項4号に基づく請
求の相手方が,これを覆すに足る主張立証を行わない限り,当該支出が同25
法100条14項及びこれに基づき定められた条例の規定に反するものと
認められることになることはいうまでもない。しかしながら,更に進んで,
原告ら主張の前記各場合に,当該支出が違法となるものと解すべき合理的
な根拠はない。
したがって,原告らの前記主張は,採用することができない。
ウまた,原告らは,同一名目の支出のうち,本件別表に合致する部分とそ5
うでない部分を合理的に区別することが可能であるにもかかわらず,本件
相手方らが当該区別に係る具体的な主張立証をせず,その金額及び使途等
からみてその多くが政務活動以外の活動に使用されていると社会通念上推
認されるような場合には,同一名目の支出全体が本件別表に合致しないも
のと評価されるべきである旨主張する。10
しかしながら,原告らの主張は,「同一名目の支出のうち,本件別表に合
致する部分とそうでない部分を合理的に区別することが可能である」とい
うのがどのような場合を指すのか明確ではないなど,全体としてその趣旨
が不明であるし,この点を措くとしても,本件においては,前記⑴アにお
いて説示したとおり,政務活動費に関する支出が,条例所定経費に該当せ15
ず,不法行為に基づく損害賠償請求権又は不当利得返還請求権の対象とな
るためには,同①又は②を満たすことが必要であると解される(例えば,
前記アの場合において,政務活動費に関する特定の支出が,「議員の調査研
究その他の活動に資するため必要な経費」に該当すると同時に,調査研究
活動等とは直接的な関係のない事項にも資するようなときに関しても,同20
①又は②を満たすか否かを検討すべきものと解される。)から,原告らの主
張は,失当である。
したがって,原告らの前記主張は,採用することができない。
エそして,原告らは,番号2~5,7~9等の各支出について,少なくと
もその各2分の1を超える部分は,支持者拡大活動のための支出であると25
いうべきであり,番号105,107,108等の各支出について,少な
くともその各2分の1を超える部分は,支持者拡大活動又は私用のための
支出であるというべきであるから,いずれも条例所定経費に該当しない旨
主張する。原告らの主張は,必ずしも明確ではないものの,当該各支出は,
その性質上,一般的に支持者拡大活動又は私用に関するものである蓋然性
が高いものであるから,一律に,当該各支出の2分の1につき条例所定経5
費に該当しないものとすべきであるとの内容のものと考えられる。
そこで検討すると,原告らの主張に係る各支出が,その性質上,支持者
拡大活動又は私用に関するものである蓋然性が高いものであるというこ
とはできない。また,原告らは,普通地方公共団体やその議会の中には当
該各支出に相当する支出項目につき2分の1の限度で政務活動費を充て10
ることができる旨の申合せ等を行っているものもあることを根拠に,当該
限度の範囲内のもののみが条例所定経費に該当する旨の主張をしている
と解する余地もあるが,仮に原告らがその旨の主張をしているとしても,
本件内規には,前記のような内容の規定はなく,他に,茨木市又はその議
会において,前記のような内容の申合せ等がされていることを裏付ける客15
観的かつ的確な証拠はないから,原告らの主張は,その前提を欠くもので
あるといわざるを得ない。そして,当該各支出が,現実に,支持者拡大活
動又は私用に関するものであったことを裏付ける客観的かつ的確な証拠
はなく,これを推認させるような事情も見当たらない。
したがって,原告らの前記主張は,採用することができない。20
⑶また,原告らは,以下の費目に係る本件内規の定めは違法,不当であると
いうべきであるから,これに適合することをもって,本件各支出が条例所定
経費に該当するということはできない旨主張する。そこで,以下検討する。
ア日当及び宿泊料(調査研究費)
原告らは,①議員としての活動に対しては議員報酬が支払われる以上,25
調査研究活動に係る日当及び宿泊料を政務活動費として支出することは,
給与の二重払いとなること及び②仮に宿泊料の支出が許されるとしても,
調査研究活動に不可欠な実費を超えて支出を認めるべきではないことから,
日当及び宿泊料に係る本件内規の定めは違法,不当である旨主張する。
本件内規は,日当及び宿泊料の支出基準について,茨木市職員旅費条例
(以下「旅費条例」という。乙8)の定めを準用する旨定めているところ,5
茨木市議会議員の議員報酬等に関する条例(乙9)6条2項が,議員等の
旅費の支給について,同条例に定めのないものは,旅費条例2条に規定す
る特別職の職員の例による旨定めていることからすると,本件内規は,旅
費条例の別表「1」欄(特別職の職員に係る規定)が定めるとおり,日当
について1日当たり3000円,宿泊料について1泊当たり1万500010
円を,調査研究費として支出することを認める趣旨であると解される。
そこで検討すると,宿泊料は,調査研究活動のための出張中の宿泊に係
る費用の支払に,日当は,旅費及び宿泊料に含まれない当該出張中の諸雑
費の支払に充てられるものであって,いずれも,会派又は議員としての議
会活動の基礎となる調査研究活動等に関する費用であり,議員に対する給15
与又は報酬として支払われる費用ではないというべきであるから,日当及
び宿泊料の支払が,給与又は報酬の二重払いに当たるということはできな
い。
また,本件内規は,宿泊料の実費にかかわらず,1泊当たり1万500
0円の宿泊料を一律に支給する旨を定めているところ,当該定めには,宿20
泊料の濫用の防止や経理事務の負担軽減の観点から,合理性が認められ,
1泊当たり1万5000円という金額も,旅費条例の定める基準によるも
のであること等に照らすと,社会通念上,支出が相当であると認められる
範囲を超えているものであるということはできない。
そうすると,日当及び宿泊料に係る本件内規の定めが違法,不当である25
ということはできない。
したがって,原告らの前記主張は,採用することができない。
イ広報・広聴費
原告らは,本件内規が,調査研究その他の活動に係る報告と,それ以外の
会派又は議員個人の活動に係る報告との区別を明確に定めておらず,調査
研究その他の活動と無関係な広報・広聴活動に政務活動費を支出すること5
が可能になっているから,広報・広聴費に係る本件内規の定めは違法,不当
である旨主張する。
しかしながら,本件内規は,本件条例6条の定めを踏まえ,本件別表にい
う「広報・広聴費」,すなわち,会派又は議員が行う活動,市政について住
民に報告するために要する経費,会派又は議員が行う住民からの市政及び10
会派又は議員の活動に対する要望,意見の聴取,住民相談等の活動に要す
る経費として,一般的に発生すると考えられるものを,「広報紙作成費等」,
「会場費」,「茶菓子代」,「文書発送費」等の費目に類型化し,費目ごとに,
支出基準を定めているものと解すべきであって,後記ウ及びエで検討する
費目のほか,各費目及び当該費目に係る支出基準の定めをみても,本件条15
例6条に反する定めはないものというべきである。
そうすると,実際に,調査研究その他の活動以外の活動に関する経費に
対して広報・広聴費に該当するものとして政務活動費が支出された場合に
は,当該支出は,本件条例6条のみならず,本件内規にも違反するものであ
るというべきであるから,当該支出がされる可能性があることをもって,20
広報・広聴費に係る本件内規の定めが違法,不当であるということはでき
ない。
したがって,原告らの前記主張は,採用することができない。
ウ茶菓子代(広報・広聴費)
原告らは,①本件内規は,講師謝金の支出を認めており,これとは別に25
茶菓子代を支出する必要はないこと及び②仮に茶菓子代の支出が許される
としても,個別の使用状況に応じた支出が許されるのみであって,一律に
1人当たり1回2000円までの支出を認めるべきではないことから,茶
菓子代に係る本件内規の定めは違法,不当である旨主張する。
しかしながら,広報・広聴費の支出対象となる,市政等に関する住民へ
の報告又は住民からの要望,意見の聴取,住民相談等の活動の場に茶や茶5
菓子を用意することは,前記活動を円滑に進めることに資する側面を有す
るものであるから,茶菓子代は,会派又は議員としての議会活動の基礎と
なる調査研究活動等である前記活動に関する費用に当たるというべきであ
る。また,茶菓子代について,本件内規が定める1人当たり1回2000
円までという額も,その金額に照らすと,社会通念上,支出が相当である10
と認められる範囲を超えているものであるということはできない。
そうすると,茶菓子代に係る本件内規の定めが違法,不当であるという
ことはできない。
したがって,原告らの前記主張は,採用することができない。
エ通信費(広報・広聴費)15
原告らは,①電話,携帯電話及びインターネットは,私的な利用にも供
されるものであり,これらの使用料及びプロバイダー契約料に係る通信費
は,公私の区別が困難な費目であるから,政務活動費を支出することは許
されないこと及び②仮に通信費の支出が許されるとしても,個別の使用状
況に応じた支出が許されるのみであって,議員の通信費について,一律に20
年額の50%相当額までの支出を認めるべきではないことから,通信費に
係る本件内規の定めは違法,不当である旨主張する。
しかしながら,通信機器は,一般に,調査研究活動等のために必要性が
高いものであるところ,本件内規は,①会派の通信費について,会派控室
に設置されており,契約者が会派である電話,ファックス,携帯電話,イ25
ンターネット使用料,プロバイダー契約料の支払額,②議員の通信費につ
いて,契約者が議員本人である電話,携帯電話,インターネット使用料及
びプロバイダー契約料(各機器1台に限る。)の支払額という支出基準を定
めており,政務活動費を充てることができる範囲を,会派又は議員として
の議会活動の基礎となる調査研究活動等に関する費用に限定しているとい
うことができる。5
また,本件内規は,議員の通信費の支出基準を,前記各支払額を合計し
た年額使用料の50%以内とする旨定めているところ,「50パーセント以
内」という文言に照らすと,通信機器がいかなる活動に用いられたのか,
その割合を厳密に算出することが困難であることを踏まえ,前記年額使用
料の50%相当額を,通信費の支出が許される上限として定めたものであ10
って,一律に前記年額使用料の50%相当額を通信費として支出すること
を認めるものではなく,当該議員による通信機器の使用状況等の事情から,
会派又は議員としての議会活動の基礎となる調査研究活動等に関する利用
割合が50%を下回ると認められる場合には,当該割合に相当する額を通
信費として支出することを認めるにとどまるものと解される。よって,本15
件内規の定める議員の通信費の支出基準が,社会通念上,支出が相当であ
ると認められる範囲を超えているものであるということはできない。
そうすると,通信費に係る本件内規の定めが違法,不当であるというこ
とはできない。
したがって,原告らの前記主張は,採用することができない。20
オ事務機器購入費等(資料作成費,事務所費)
原告らは,事務機器が,私的な利用にも供されるものであり,その購入
費,リース料,修理代等は,公私の区別が困難な費目であるから,事務機
器購入費等に係る本件内規の定めは,違法,不当である旨主張する。
しかしながら,コピー機やプリンタ等の事務機器は,一般に,調査研究25
活動等のために必要性が高いものであり,その購入費等は,会派又は議員
としての議会活動の基礎となる調査研究活動等に関する費用に当たるとい
うべきである。公私の区別が困難であることを理由に,調査研究活動等に
必要となる事務機器の購入を一律に否定することは,かえって,議会の審
議能力を強化し,議員の調査研究その他の活動の基盤の充実を図ろうとし
た政務活動費制度の趣旨を没却することにもなりかねない。5
そうすると,事務機器購入費等に係る本件内規の定めが違法,不当であ
るということはできない。
したがって,原告らの前記主張は,採用することができない。
カ新聞購入費(資料購入費)
原告らは,新聞は,図書館等に常備されており,購入の必要性がないし,10
私的な利用にも供されるものであり,その購入費は公私の区別が困難な費
目であるから,新聞購入費に係る本件内規の定めは違法,不当である旨主
張する。
しかしながら,適時かつ迅速な調査研究活動等のため,会派や議員の事
務所に新聞を備え置く必要性は高いというべきであるから,その購入費は,15
会派又は議員としての議会活動の基礎となる調査研究活動等に関する費用
に当たるというべきである。また,本件内規は,同一の新聞を複数購入す
ることを認めていないこと等に照らすと,本件内規の定める新聞購入費の
支出基準が,社会通念上,支出が相当であると認められる範囲を超えてい
るものであるということはできない。20
そうすると,新聞購入費に係る本件内規の定めが違法,不当であるとい
うことはできない。
したがって,原告らの前記主張は,採用することができない。
キ人件費
原告らは,①会派又は議員が行う活動を補助する職員がそれ以外の職務25
にも従事する可能性が高く,当該活動を補助する能力もない親族等を名目
上の補助職員として政務活動費が支出されるおそれもあること及び②仮に
人件費の支出が許されるとしても,個別の使用状況に応じた支出が許され
るのみであって,議員の人件費について,一律に月額3万円までの支出を
認めるべきではないことから,人件費に係る本件内規の定めは違法,不当
である旨主張する。5
しかしながら,本件内規は,人件費について,①雇用賃金は,市臨時職員
の賃金等を参考とする旨及び②従事場所は,会派については会派控室内,
議員については事務所届を提出した場所に限るとした上で,③「上限額」は
月額3万円とする旨の支出基準を定めており,政務活動費を充てることが
できる範囲を,会派又は議員としての議会活動の基礎となる調査研究活動10
等に関する費用に限定しているということができる。また,前記のとおり
の本件内規の規定内容に照らすと,本件内規は,当該議員の事務所におけ
る就業状況等の事情に照らし,議会活動等の基礎となる調査研究活動等に
関する労務の対価と認められる金員に限って,人件費の支出を認めており,
他の活動に関する労務の対価と認められる金員や,稼働実態のない者に対15
して賃金として支払われた金員について,人件費の支出を認めるものでは
なく,また,議会活動等に要する労務の内容及び時間を考慮し,政務活動費
の支出が許される金額に月額3万円の上限を設けたものであって,一律に
月額3万円の支出を認めるものではないと解するのが相当である。よって,
本件内規の定める議員の人件費の支出基準は,社会通念上,支出が相当で20
あると認められる範囲を超えているものであるということはできない。
そうすると,人件費に係る本件内規の定めが違法,不当であるというこ
とはできない。
したがって,原告らの前記主張は,採用することができない。
ク事務所賃借料,自宅兼事務所の維持管理費(事務所費)25
原告らは,①自宅の維持管理に必要な経費は議員報酬として支払われる
以上,自宅兼事務所の維持管理費に政務活動費を支出することは給与の二
重払いとなること及び②仮に事務所費の支出が許されるとしても,個別の
使用状況に応じた支出が許されるのみであって,事務所賃借料について月
額3万円まで,自宅兼事務所の維持管理費について月額1万円までの支出
を一律に認めるべきではないことから,事務所賃借料及び自宅兼事務所に5
係る本件内規の定めは違法,不当である旨主張する。
しかしながら,議員の自宅兼事務所を,会派又は議員としての議会活動
の基礎となる調査研究活動等のための事務所として使用することは,当該
活動等のために別途の事務所等を利用するには過大な費用を要することを
考慮すれば,合理的であるということができ,その場合,当該活動等のた10
めに要した維持管理費は,調査研究活動等に関するものとして,政務活動
費を充当することができる経費に当たるから,議員の自宅兼事務所の維持
管理費に政務活動費の支出を認めることが,常に給与の二重払いに当たる
ということはできない。
また,本件内規は,議員の事務所賃借料について,「上限額は,維持管理15
費を含め,30,000円/月とする」旨,議員の自宅兼事務所の維持管
理費について,「上限額は,維持管理の経費として10,000円/月とす
る」旨規定するところ,これらは,いずれも,議員の事務所又は議員の自
宅兼事務所が,調査研究活動等のために使用されると同時に,議員個人の
活動又は生活のためにも利用されるものであることを考慮し,事務所費の20
支出が許される上限として前記各金額を定めたものであって,一律に当該
金額を事務所費として支出することを認めるものではないと解するのが相
当である。また,事務所賃借料について月額3万円を上限とすることは,
一般的な相場に照らし,社会通念上,支出が相当であると認められる範囲
を超えるものではなく,自宅兼事務所の維持管理費について月額1万円を25
上限とすることも,居室内において調査研究その他の活動をするために一
定程度の維持管理を要するといえることを考慮すれば,社会通念上,支出
が相当であると認められる範囲を超えているということはできない。
そうすると,事務所賃借料及び自宅兼事務所の維持管理費に係る本件内
規の定めが違法,不当であるということはできない。
したがって,原告らの前記主張は,採用することができない。5
ケ以上検討したところによれば,原告らの前記主張は,いずれも採用する
ことができず,本件内規は,本件条例6条の定めに適う合理的なものとい
うべきである。
⑷なお,被告は,本件訴えのうち,補助参加人民主みらいに対する請求をす
るよう求める部分について,同補助参加人は解散しており,請求すべき相手10
方が存在しないから,不適法なものとして却下すべきである旨主張する。
しかしながら,同補助参加人は,解散後も,清算の目的の範囲内では権利
能力なき社団としてなお存続するというべきであるから,請求すべき相手方
が存在しないということはできない。
したがって,被告の前記主張は,採用することができない。15
2本件各支出について
証拠(甲1,2)及び弁論の全趣旨によれば,本件相手方らが,本件各支出
を含む,別紙3及び別紙4に各記載の「日付」及び「用途」に係る各支出(経
費)につき,「政務活動費として計上された額」欄記載の各金額の政務活動費
を充てたことが認められる。以下,本件各支出が,条例所定経費に該当しない20
ものであるか否かにつき,前記1⑴及び⑵に説示したとおりの判断枠組み等に
基づき検討する。
⑴調査研究費(番号1,10,11,35,36,96~100,110,
111,114,128,174~176,180,194,230~23
3,243,252,270,290の各支出)について25
ア本件別表においては,会派は,「会派が行う市の事務,地方行財政等に関
する調査研究及び調査委託に関する経費」につき,議員は,「議員が行う市
の事務,地方行財政等に関する調査研究及び調査委託に関する経費」につ
き,いずれも「調査研究費」として政務活動費を充てることができるもの
と定められている。そして,本件内規においても,調査委託費,旅費,資
料印刷費及び文書発送費につき,「調査研究費」として政務活動費を充てる5
ことができるものと定められており,旅費のうち,鉄道賃等,日当及び宿
泊料の支出基準については,旅費条例(乙8)の定めを準用する旨が定め
られている。
そして,前記各支出は,いずれも本件別表所定の調査研究に関する経費
であり,かつ,本件内規所定の旅費等に該当するものであると認めること10
ができる(弁論の全趣旨)。
また,茨木市議会議員の議員報酬等に関する条例(乙9)6条2項が,
議員等の旅費の支給について,同条例に定めのないものは,旅費条例2条
に規定する特別職の職員の例による旨定めていることからすると,本件内
規は,旅費条例(乙8)の別表「1」欄(特別職の職員に係る規定)が定15
めるとおり,片道100キロメートル以上の鉄道利用に係る鉄道賃につい
て普通旅客運賃及び特別車両料金,片道100キロメートル未満の鉄道利
用に係る鉄道賃について普通旅客運賃,日当について1日当たり3000
円,宿泊料について1泊当たり1万5000円を,調査研究費として支出
することを認める趣旨であると解されるところ,前記各支出のうち,鉄道20
賃等,日当及び宿泊料の費目に該当するものは,いずれも旅費条例の別表
「1」欄の定める支出基準を満たすものであると認めることができる(弁
論の全趣旨)。
イ原告らは,番号1,10,11,35,36,96,110,111,
114,128,174~176,180,194,243,252,225
70,290の各支出に係る各視察につき,同一会派の複数名で現地に赴
いていることに照らすと,視察の名の下に行われた仲間内の旅行というべ
きであって,その実施の必要性がない,当該各視察の報告書の内容に照ら
すと,旅費を支出して現地に赴く必要はなく,文書照会により調査研究の
目的は十分に達成できるなどとして,前記各支出は,条例所定経費に該当
しない旨主張する。5
しかしながら,本件相手方らは,前記各視察につき,先進的な取組みを
している自治体の施策や実情等について調査研究を行い,茨木市の市政に
反映させることを目的とするものであるなどと主張するところ,視察を通
じて,他の自治体の先進的な取組み等について,直接見聞し,理解を深め
ることは,茨木市の政策立案や政策実施等の在り方を検討する基礎となる10
ものであるから,前記各視察を実施することは,会派又は議員としての議
会活動の基礎となる調査研究活動等ではないということはできないのであ
って,関係各証拠に照らしても,当該実施に係る支出が,本件別表所定の
項目及び内容に該当しない,又は,社会通念上,相当であると認められる
範囲を超えていると認めることができない。15
したがって,前記各支出は,条例所定経費に該当しないものであると認
めることができない。
ウ原告らは,番号96~100,110,111,114,128,17
4~176,180,194,230~233,243,252,270,
290の各支出のうち,鉄道賃等のうちグリーン料金に相当する部分及び20
日当に相当する部分は,条例所定経費に該当しない旨主張する。
しかしながら,前記1⑶ア,前記⑴アのとおり,本件内規は,旅費条例
の別表「1」欄の定めに従い,片道100キロメートル以上の鉄道利用に
係る鉄道賃について普通旅客運賃及び特別車両料金(いわゆるグリーン料
金),日当について1日当たり3000円を,調査研究費として支出するこ25
とを認めるものであるところ,旅費条例の定める基準によって,グリーン
料金及び日当を支出することが,社会通念上,相当であると認められる範
囲を超えているということはできない。そして,前記各支出のうち,グリ
ーン料金及び日当に相当する部分について,旅費条例の定める基準を満た
さないものがあると認めるに足りる客観的かつ的確な証拠はない。
したがって,前記各支出は,条例所定経費に該当しないものであると認5
めることができない。
エ原告らは,番号111,128の各支出につき,より経済的かつ合理的
と認められる経路が存するので,当該経路による鉄道賃等の費用を上回る
部分に相当する支出は,条例所定経費に該当しない旨主張する。
しかしながら,本件内規は,旅費条例の別表「1」欄の定めに従い,調10
査研究費として,鉄道賃の支出を認めるものであるところ,旅費条例の定
める基準によって,鉄道賃を支出することが,社会通念上,相当であると
認められる範囲を超えているということはできない。そして,前記各支出
について,旅費条例の定める基準を満たさないものがあると認めるに足り
る客観的かつ的確な証拠はない。15
したがって,前記各支出は,条例所定経費に該当しないものであると認
めることができない。
オ原告らは,番号97~100,176,230~233の各支出に係る
各視察及び各研修につき,茨木市のための研究調査と評価することができ
ないもの又は具体的な政策立案を目的としていないものであり,議員とし20
ての議会活動の基礎となっていないなどとして,前記各支出は,条例所定
経費に該当しない旨主張する。
しかしながら,前記各支出をした議員らは,前記各視察及び各研修につ
き,他の自治体が実施する先進的又は特色のある取組みや,地方自治一般
に共通する課題について調査研究をすることを目的とするものであるなど25
と主張するところ,他の自治体における取組みや,地方自治一般に共通す
る課題への理解を深めることは,茨木市の政策課題及び政策実施の在り方
を相対的に位置付け,政策立案の多角的な検討をするための基礎となるも
のであるから,前記各視察及び各研修を実施することは,議員としての議
会活動の基礎となる調査研究活動等ではないということはできないのであ
って,関係各証拠に照らしても,当該実施に係る旅費等の支出が,本件別5
表所定の項目及び内容に該当しない,又は,社会通念上,相当であると認
められる範囲を超えていると認めることができない。
したがって,前記各支出は,条例所定経費に該当しないものであると認
めることができない。
カ原告らは,番号111,128,174,180の各支出に係る各視察10
につき,補助参加人P2及び同P3は,番号111及び128の各支出に
係る各視察に同道し,補助参加人P4及び同P5は,番号174及び18
0の各支出に係る各視察に同道した旨主張しているものの,当該各視察の
報告書には,同道したはずの議員1名の記載がないことから,前記各支出
は,条例所定経費に該当しない旨主張する。15
しかしながら,視察の報告書に同道した議員の氏名の記載がないことの
みをもって,当該各視察を実施した旨の主張の内容に疑いを差し挟むこと
はできない。そうすると,前記各補助参加人のいずれかが,前記各視察を
していないにもかかわらず前記各視察に係る支出をしたとは認められず,
その他に,前記各支出が本件別表所定の項目及び内容に該当しないことを20
裏付ける事情は認められない。
したがって,前記各支出は,条例所定経費に該当しないものであると認
めることができない。
キ小括
そして,原告らは,調査研究費(番号1,10,11,35,36,925
6~100,110,111,114,128,174~176,180,
194,230~233,243,252,270,290の各支出)に
ついて,前記各主張をするにとどまるところ,当該各支出が,本件別表所
定の項目及び内容に該当しないこと,又は,社会通念上,相当であると認
められる範囲を超えることについて,これを裏付ける客観的かつ的確な証
拠はなく,これを推認させるような事情も見当たらない。5
そうすると,前記各支出は,条例所定経費に該当しないものであると認
めることができない。
⑵広報・広聴費(番号2,12~15,38,43,53~58,92,1
35,136,179,195,200~210,218,223~225,
244,245,291~299の各支出)について10
ア本件別表においては,会派は,「会派が行う活動,市政について住民に報
告するために要する経費,会派が行う住民からの市政及び会派の活動に対
する要望,意見の聴取,住民相談等の活動に要する経費」につき,議員は,
「議員が行う活動,市政について住民に報告するために要する経費,議員
が行う住民からの市政及び議員の活動に対する要望,意見の聴取,住民相15
談等の活動に要する経費」につき,いずれも「広報・広聴費」として政務
活動費を充てることができるものと定められている。そして,本件内規に
おいても,広報紙作成費等,会場費,茶菓子代,文書発送費等につき,「広
報・広聴費」として政務活動費を充てることができるものと定められてい
る。20
そして,前記各支出は,いずれも本件別表所定の報告,要望,意見の聴
取,住民相談等の活動に要する経費であり,かつ,本件内規所定の広報紙
作成費等に該当するものであると認めることができる(弁論の全趣旨)。
イ原告らは,番号179の支出に係る市政報告は,自己の選挙結果を報告
する内容にすぎず,支持者拡大を目的に発送されたものであり,議員とし25
ての議会活動の基礎となっていないとして,前記支出は,条例所定経費に
該当しない旨主張する。
しかしながら,補助参加人P4は,前記支出に係る市政報告が「P4通
信」19号である旨主張しており,その点について当事者間に争いはない
ところ,証拠(戊6)によれば,「P4通信」19号には,平成25年1月
27日に行われた茨木市議会議員選挙の結果,同日以降の茨木市議会各会5
派の構成等が記載されており,当該記載内容は,本件別表が前記アのとお
り規定するところの,「市政について住民に報告する」ものということがで
き,また,前記1⑴アの政務活動費の制度趣旨や,本件別表の文言に照ら
しても,特定の会派又は議員への選挙での投票を呼びかける内容の報告等
については,本件別表所定の「市政について住民に報告する」ものに該当10
しないと解する余地があるとしても,前記市政報告に係る既に実施された
選挙結果の報告等は,「市政について住民に報告する」ものに該当するとい
い得るのであって,議員としての議会活動の基礎となる調査研究活動等で
はないと解すべき根拠はない。そうすると,前記支出は,茨木市政につい
て住民に報告するために必要な経費というべきであって,関係各証拠に照15
らしても,本件別表所定の項目及び内容に該当しない,又は,社会通念上,
相当であると認められる範囲を超えていると認めることができない。
したがって,前記支出は,条例所定経費に該当しないものであると認め
ることができない。
ウ原告らは,番号200,202~207の各支出につき,当該各支出に20
係る市政相談会又は市政報告会の会場費等及び市政報告会開催案内の郵送
料は,いずれも用途が不明であるか,支持者拡大活動のために要した費用
であって,議員としての議会活動の基礎となっていないとして,前記各支
出は,条例所定経費に該当しない旨主張する。
しかしながら,市民相談会又は市政報告会は,議員が行う活動,市政に25
ついての住民への報告や,住民からの市政及び議員の活動に対する要望,
意見の聴取,住民相談等といった,本件別表において広報・広聴費の対象
として定められた活動を行うための会合であるということができるところ,
前記市民相談会又は市政報告会において,その余の活動が行われていたこ
とを裏付ける的確な証拠はない。そうすると,前記各支出に係る行為は,
議員としての議会活動の基礎となる調査研究活動等ではないということは5
できないのであって,関係各証拠に照らしても,当該実施に係る支出が,
本件別表所定の項目及び内容に該当しない,又は,社会通念上,相当であ
ると認められる範囲を超えていると認めることができない。したがって,
前記各支出は,条例所定経費に該当しないものであると認めることができ
ない。10
エ原告らは,番号218の支出につき,当該支出に係る市政報告には,補
助参加人P6の後援会の宣伝があることなどから,少なくともその2分の
1を超える部分は,支持者拡大活動のために要した費用であって,議員と
しての議会活動の基礎となっていないとして,前記支出は,条例所定経費
に該当しない旨主張する。15
しかしながら,補助参加人P6は,前記支出が,同人の市政報告の(平
成26年1月号)(戊7)の文書発送費である旨主張しており,その点につ
いて当事者間に争いはないところ,当該市政報告の2頁目下部における同
人の後援会の親睦旅行の案内に係る記載は,議員としての議会活動の基礎
となる調査研究活動等に関するものであるとは認められない一方,その余20
の記載は,茨木市議会における同人の質疑内容の報告,同人の市議会議員
としての活動内容の報告,茨木市議会報告会の内容の報告といったもので,
本件別表所定の「市政について住民に報告する」ものに該当するといい得
るのであって,議員としての議会活動の基礎となる調査研究活動等ではな
いと解すべき根拠はない。そして,証拠(戊7,12)によれば,前記市25
政報告のうち,同人の後援会の親睦旅行の案内に係る記載が占める割合は,
多くとも24分の4を超えるものではないと認められるところ,同人は,
前記市政報告の文書発送費の24分の20相当額である番号218の支出
についてのみ,広報・広聴費として,政務活動費を充てることとしたこと
が認められる。
そうすると,番号218の支出に係る行為は,議員としての議会活動の5
基礎となる調査研究活動等ではないということはできないのであって,関
係各証拠に照らしても,番号218の支出が,本件別表所定の項目及び内
容に該当しない,又は,社会通念上,相当であると認められる範囲を超え
ていると認めることができない。
したがって,前記支出は,条例所定経費に該当しないものであると認め10
ることができない。
オ小括
そして,原告らは,広報・広聴費(番号2,12~15,38,43,
53~58,92,135,136,179,195,200~210,
218,223~225,244,245,291~299の各支出)に15
ついて,前記各主張をするにとどまるところ,前記各支出が,本件別表所
定の項目及び内容に該当しないこと,又は,社会通念上,相当であると認
められる範囲を超えることについて,これを裏付ける客観的かつ的確な証
拠はなく,これを推認させるような事情も見当たらない。
そうすると,前記各支出は,条例所定経費に該当しないものであると認20
めることができない。
⑶資料作成費(番号3~5,16~21,39,40,44~49,59~
75,105~108,123,124,129~131,137~141,
154,155,159,161,162,170,177,181~18
5,196,197,211~216,219~221,228,246,25
271~275,300~306,334~339の各支出)について
ア本件別表においては,会派は,「会派が行う活動に必要な資料の作成に要
する経費」につき,議員は,「議員が行う活動に必要な資料の作成に要する
経費」につき,いずれも「資料作成費」として政務活動費を充てることが
できるものと定められている。そして,本件内規においても,印刷製本代,
事務用品・事務機器購入・リース料,事務用品・事務機器の修繕料等につ5
き,「資料作成費」として政務活動費を充てることができるものと定められ
ている。
そして,前記各支出は,いずれも本件別表所定の資料の作成に要する経
費であり,かつ,本件内規所定の印刷製本代,事務用品購入費等に該当す
るものであると認めることができる(弁論の全趣旨)。10
イ原告らは,番号162の支出につき,当該支出に係る領収証に商品名の
記載がなく,資料作成費に該当する経費であると認められない旨主張する。
しかしながら,証拠(丁3-1~3)及び弁論の全趣旨によれば,番号
162の支出は,平成26年3月23日,A株式会社B支店において,4
941円で購入された「インク」であることが認められるところ,当該イ15
ンクを議員としての議会活動の基礎となる資料の作成に利用したとの補助
参加人P7の主張は合理的であって,その内容に疑いを差し挟むに足りる
客観的かつ的確な証拠はない。
したがって,前記支出は,条例所定経費に該当しないものであると認め
ることができない。20
ウ原告らは,番号221の支出につき,印刷代が計上されている市政報告
が付されておらず,条例所定経費と認められない旨主張する。
しかしながら,補助参加人P6は,前記支出が,同人の市政報告の(平
成26年1月号)(戊7)の印刷代である旨主張しており,その点について
当事者間に争いはないところ,前記⑵エのとおり,証拠(戊7,12)に25
よれば,前記市政報告のうち,調査研究活動等に関するものであるとは認
められない,同人の後援会の親睦旅行の案内に係る記載が占める割合は,
多くとも24分の4を超えるものではないと認められるところ,同人は,
前記市政報告の作成費の24分の20相当額である番号221の支出につ
いてのみ,資料作成費として,政務活動費を充てることとしたことが認め
られる。5
そうすると,番号221の支出に係る行為は,議員としての議会活動の
基礎となる調査研究活動等ではないということはできないのであって,関
係各証拠に照らしても,番号221の支出が,本件別表所定の項目及び内
容に該当しない,又は,社会通念上,相当であると認められる範囲を超え
ていると認めることができない。10
したがって,前記支出は,条例所定経費に該当しないものであると認め
ることができない。
エ小括
そして,原告らは,資料作成費(番号3~5,16~21,39,40,
44~49,59~75,105~108,123,124,129~115
31,137~141,154,155,159,161,162,17
0,177,181~185,196,197,211~216,219
~221,228,246,271~275,300~306,334~
339の各支出)について,前記各主張をするにとどまるところ,前記各
支出が,本件別表所定の項目及び内容に該当しないこと,又は,社会通念20
上,相当であると認められる範囲を超えることについて,これを裏付ける
客観的かつ的確な証拠はなく,これを推認させるような事情も見当たらな
い。
そうすると,前記各支出は,条例所定経費に該当しないものであると認
めることができない。25
⑷資料購入費(番号6,22~34,41,50,76~91,109,1
12,115~121,125~127,132,133,142~153,
156~158,160,163~169,171~173,178,18
6~193,198,217,222,226,239~242,247~
251,255~269,276~286,307~331,340~35
2の各支出)について5
ア本件別表においては,会派は,「会派が行う活動に必要な図書,資料等
の購入に要する経費」につき,議員は,「議員が行う活動に必要な図書,資
料等の購入に要する経費」につき,いずれも「資料購入費」として政務活
動費を充てることができるものと定められている。そして,本件内規にお
いても,新聞,図書,雑誌,定期刊行物購入費及び有料データベース利用10
料につき,「資料購入費」として政務活動費を充てることができるものと定
められている。
そして,前記各支出は,いずれも本件別表所定の図書,資料等の購入に
要する経費であり,かつ,本件内規所定の新聞等の購入費に該当するもの
であると認めることができる(弁論の全趣旨)。15
イ原告らは,前記各支出に係る資料につき,議会図書室に備えられている
ものであるか,又は,政務活動に必要なものであるならば議会図書室に備
えるべきものであって,個別会派や議員が購入する必要はないから,前記
各支出は,条例所定経費に該当しない旨主張する。
しかしながら,前記1⑶カで述べたところと同様に,仮に当該資料が議20
会図書室等に備えられているとしても,適時かつ迅速な調査研究活動のた
めに必要な資料を,会派や議員の事務所に備え置く必要性は高いというべ
きであって,当該資料の購入が,調査研究活動の目的や性質に照らし,有
益であるといえることに鑑みると,前記各支出に係る資料の購入費を支出
することが,社会通念上,相当であると認められる範囲を超えていると認25
めることができない。
したがって,前記各支出は,条例所定経費に該当しないものであると認
めることができない。
ウまた,原告らは,番号22,28,76,89,258,276,28
2,340,351,352の各支出に係る資料は,政党の機関誌等であ
るから,前記各支出は,条例所定経費に該当しないし,特に,自らが所属5
する政党の機関誌や政党新聞の購入費は,社会通念上,政党活動と同視す
べき活動に要する経費であるというべきであって,条例所定経費に該当し
ない旨主張する。
しかしながら,弁論の全趣旨によれば,前記機関誌及び新聞等には,当
該政党の政策に限らず,国内外の政治経済等に関する情報が記載されてい10
ると認められるところ,前記機関紙及び新聞等を購入する行為は,会派又
は議員としての議会活動の基礎となる前記情報を得るためのものとして合
理性を有するというべきであって,関係各証拠に照らしても,当該購入に
係る支出が,本件別表所定の項目及び内容に該当しない,又は,社会通念
上,相当であると認められる範囲を超えていると認めることができない。15
したがって,前記各支出は,条例所定経費に該当しないものであると認
めることができない。
なお,原告らは,資料作成費に該当するとして政務活動費を充てられて
いる番号19の支出についても,政党新聞の購入費用であるので条例所定
経費に該当しない旨主張する趣旨であると解されるところ,以上検討した20
ところによれば,当該支出が,条例所定経費に該当しないと認めることも
できないというべきである。
エ原告らは,番号89の平成24年4月分から平成25年3月分までの「週
刊・新社会」に係る支出(補助参加人日本共産党)及び番号341のうち,
平成25年2月及び3月分の「反原発新聞」に係る支出(補助参加人P8)25
について,前記各支出は,平成24年度分の雑誌又は新聞の購入費を支出
したものであるから,平成25年度の政務活動費としては,条例所定経費
に該当しない旨主張する。
そこで検討すると,本件条例は,政務活動費を,四半期ごとに交付する
ものとし,各四半期の最初の月に,当該四半期に属する月数分を交付する
旨(3条1項)や,収支報告書及び会計帳簿等は,前年度の交付に係る政5
務活動費について,毎年4月30日までに提出しなければならない旨(8
条2項)等を定めるのみであり,本件規則及び本件内規をみても,政務活
動費を充てることができる経費について,その支出ないし支出原因の発生
の時期を限定する趣旨の規定は見当たらない。また,会計年度及びその独
立の原則を定める地方自治法208条は,普通地方公共団体について,一10
定の期間を画し,当該期間における収入及び支出の状況を明確にするとと
もに,収入及び支出の均衡を図る趣旨にとどまるから,同条の存在をもっ
て,特定の年度の政務活動費に関して,これを充てることができる経費は,
当該年度中に支出ないし支出原因が発生したものに限られると解すべきと
いうことにはならない。以上に加えて,①補助参加人日本共産党及び同P15
8は,前記雑誌又は新聞を定期購読していたこと,②平成24年度におい
ても,補助参加人日本共産党は,茨木市議会における会派として,補助参
加人P8は,茨木市議会における議員として,それぞれ活動していたこと
(弁論の全趣旨)を考慮すれば,補助参加人日本共産党及び同P8におい
て,前年度分の雑誌又は新聞の購入費に政務活動費を充てたことが,本件20
条例又は本件別表の定めに反するということはできない。
そして,関係各証拠に照らしても,前記各支出が,本件別表所定の項目
及び内容に該当しない,又は,社会通念上,相当であると認められる範囲
を超えていると認めることができない。
したがって,前記各支出は,条例所定経費に該当しないものであると認25
めることができない。
オ原告らは,①番号90のうち,平成26年4月分から平成27年1月分
までの「宣伝研究」に係る支出,番号91のうち,平成26年4月分から
平成27年1月分までの「月刊保育情報」に係る支出(補助参加人日本共
産党),②番号249のうち,平成26年4月分から平成27年1月分まで
の「日本教育新聞」に係る支出,番号250のうち,平成26年4月分か5
ら平成27年2月分までの「自治体情報ディーファイル」に係る支出(補
助参加人P9),③番号261のうち,平成26年4月分から同年11月分
までの「月刊ガバナンス」に係る支出,番号265のうち,同年4月分か
ら同年12月分までの「月刊保育情報」に係る支出,番号266のうち,
同年4月分から同年11月分までの「遊育」に係る支出(補助参加人P110
0)について,前記各支出は,同年度分の雑誌又は新聞の購入費を支出し
たものであるから,平成25年度の政務活動費としては,条例所定経費に
該当しない旨主張する。
しかしながら,前記エで検討したところに加えて,①補助参加人日本共
産党,同P9及び同P10は,前記雑誌又は新聞を定期購読していたこと,15
②平成26年度においても,補助参加人日本共産党は,茨木市議会におけ
る会派として,補助参加人P9及びP10は,茨木市議会における議員と
して,活動を継続していたと認められること(弁論の全趣旨)を考慮すれ
ば,補助参加人日本共産党,同P9及び同P10において,翌年度分の雑
誌又は新聞の購入費に政務活動費を充てたことが,本件条例又は本件別表20
の定めに反するということはできない。
そして,関係各証拠に照らしても,前記各支出が,本件別表所定の項目
及び内容に該当しない,又は,社会通念上,相当であると認められる範囲
を超えていると認めることができない。
したがって,前記各支出は,条例所定経費に該当しないものであると認25
めることができない。
カ原告らは,①番号158のうち,「安倍政権365日の激闘」に係る支出
(補助参加人P11),②番号186,188及び189のうち,「人類哲
学序説」,「本居宣長『うひ山ぶみ』」,「新訳鉄舟随感録『剣禅一如』の精髄
を極める」及び「人物を修める東洋思想十講」に係る各支出(補助参加人
P5)について,前記各図書は,議員としての議会活動の基礎となるもの5
として,購入すべき必要がある図書ではないから,前記各支出は条例所定
経費に該当しない旨主張する。
しかしながら,補助参加人P11は,「安倍政権365日の激闘」を,消
費税及び地方自治等に関する政策に関する知見を深める目的で,補助参加
人P5は,「人類哲学序説」,「本居宣長『うひ山ぶみ』」,「新訳鉄舟随感録10
『剣禅一如』の精髄を極める」及び「人物を修める東洋思想十講」を,人
類の文化や普遍的な道徳の在り方等について知見を深め,茨木市における
道徳教育等の教育行政を充実させる施策を考える基礎とする目的で,それ
ぞれ前記各図書を購入した旨主張しているところ,前記各主張に係る各図
書の購入の目的に一定の合理性があることは否定できないから,前記各図15
書を購入する行為が,議員としての議会活動の基礎となる調査研究活動等
ではないということはできないのであって,関係各証拠に照らしても,当
該購入に係る支出が,本件別表所定の項目及び内容に該当しない,又は,
社会通念上,相当であると認められる範囲を超えていると認めることがで
きない。20
したがって,前記各支出は,条例所定経費に該当しないものであると認
めることができない。
キ小括
そして,原告らは,資料購入費(番号6,22~34,41,50,7
6~91,109,112,115~121,125~127,132,25
133,142~153,156~158,160,163~169,1
71~173,178,186~193,198,217,222,22
6,239~242,247~251,255~269,276~286,
307~331,340~352の各支出)について,前記各主張をする
にとどまるところ,前記各支出が,本件別表所定の項目及び内容に該当し
ないこと,又は,社会通念上,相当であると認められる範囲を超えること5
について,これを裏付ける客観的かつ的確な証拠はなく,これを推認させ
るような事情も見当たらない。
そうすると,前記各支出は,条例所定経費に該当しないものであると認
めることができない。
⑸事務所費(番号7~9,42,93~95,113,122,134,110
99,229,289,332,333の各支出)について
ア本件別表においては,会派は,「会派が行う活動に必要な事務所の設置,
管理に要する経費」につき,議員は,「議員が行う活動に必要な事務所の設
置,管理に要する経費」につき,いずれも「事務所費」として政務活動費
を充てることができるものと定められている。そして,本件内規において15
も,会派は,会派控室内に設置・保管する事務用品・事務機器の購入費,
リース料,修繕料及び保守料につき,議員は,月額3万円までの事務所賃
借料,月額1万円までの自宅兼事務所の維持管理費,事務機器購入費等に
つき,「事務所費」として政務活動費を充てることができるものと定められ
ている。20
そして,前記各支出は,いずれも本件別表所定の事務所の設置又は管理
に要する経費であり,かつ,本件内規所定の事務用品の購入費,事務所賃
借料等に該当するものであると認めることができる(弁論の全趣旨)。
イ原告らは,番号113,122,199の各支出につき,事務所費とし
て,議員個人の生活に係る水光熱費が支出されており,議員としての議会25
活動の基礎となっていないから,前記各支出は,条例所定経費に該当しな
い旨主張する。
しかしながら,前記1⑶クのとおり,議員の自宅兼事務所の維持管理費
として,月額1万円を上限に政務活動費の支出を認める旨の本件内規の定
めが,違法,不法であるということはできない。そして,前記各支出は,
本件内規の定めに適合していないということも,本件別表所定の項目及び5
内容に該当しないということもできないところ,自宅を事務所として使用
したことにつき月額1万円を計上した前記各支出が,社会通念上相当であ
ると認められる範囲を超えることについて,これを裏付ける客観的かつ的
確な証拠はなく,これを推認させるような事情も見当たらない。
したがって,前記各支出は,条例所定経費に該当しないものであると認10
めることができない。
ウ原告らは,番号289の支出につき,補助参加人P12は,当該事務所
賃借料の支出に係る事務所を使用していないから,前記支出は,条例所定
経費に該当しない旨主張する。
しかしながら,補助参加人P12は,平成25年度において,賃借して15
いる前記事務所で,茨木市の住民からの市政及び議員の活動に対する要望,
意見の聴取,住民相談等の活動及びそのための資料作成を行っていた旨主
張するところ,当該主張の内容が不合理であるということはできない上,
証拠(戊1)によれば,平成28年2月11日時点ではあるものの,前記
事務所内に,机や椅子等が設置されていたことが認められ,前記主張と整20
合する事情があるといえる一方,前記主張の内容に疑いを差し挟む足りる
的確な証拠は見当たらない。そうすると,前記事務所を賃借する行為は,
住民からの市政及び議員の活動に対する要望,意見の聴取等を実施するた
めに不必要なものであるとはいえず,また,議員としての議会活動の基礎
となる調査研究活動等ではないということはできないのであって,関係各25
証拠に照らしても,当該賃借に係る賃借料の支出が,本件別表所定の項目
及び内容に該当しない,又は,社会通念上,相当であると認められる範囲
を超えていると認めることができない。
したがって,前記支出は,条例所定経費に該当しないものであると認め
ることができない。
エ小括5
そして,原告らは,事務所費(番号7~9,42,93~95,113,
122,134,199,229,289,332,333の各支出)に
ついて,前記各主張をするにとどまるところ,前記各支出が,本件別表所
定の項目及び内容に該当しないこと,又は,社会通念上,相当であると認
められる範囲を超えることについて,これを裏付ける客観的かつ的確な証10
拠はなく,これを推認させるような事情も見当たらない。
そうすると,前記各支出は,条例所定経費に該当しないものであると認
めることができない。
⑹研修費(番号37,51,52,101~104,234~238,25
3,254の各支出)について15
ア本件別表においては,会派は,「会派が研修会を開催するために必要な経
費,団体等が開催する研修会の参加に要する経費」につき,議員は,「議員
が研修会を開催するために必要な経費,団体等が開催する研修会の参加に
要する経費」につき,いずれも「研修費」として政務活動費を充てること
ができるものと定められている。そして,本件内規においても,会場費,20
旅費等につき,「研修費」として政務活動費を充てることができるものと定
められている。
そして,前記各支出は,いずれも本件別表所定の研修会の開催又は参加
に要する経費であり,かつ,本件内規所定の会場費,旅費等に該当するも
のであると認めることができる(弁論の全趣旨)。25
イ原告らは,番号37,253,254の各支出に係る各視察及び各研修
につき,同一会派の複数名で現地に赴いていることに照らすと,視察研修
の名の下に行われた仲間内の旅行というべきであって,その実施の必要性
がない旨主張する。
しかしながら,本件相手方らは,前記各視察及び各研修につき,バイオ
マス資源の活用,産官学連携による商品開発及び販売,ITCの活用とい5
った点について,先進的な取組みをしている自治体の施策や実情等につい
て,調査研究を行うことを目的とするものであるなどと主張するところ,
視察又は研修を通じて,他の自治体の先進的な取組み等について,直接見
聞し,理解を深めることは,茨木市の政策立案や政策実施等の在り方を検
討する基礎となるものであるから,前記各視察及び各研修を実施すること10
は,会派又は議員としての議会活動の基礎となる調査研究活動等ではない
ということはできないのであって,関係各証拠に照らしても,当該実施に
係る旅費等の支出が,本件別表所定の項目及び内容に該当しない,又は,
社会通念上,相当であると認められる範囲を超えていると認めることがで
きない。15
したがって,前記各支出は,条例所定経費に該当しないものであると認
めることができない。
ウ原告らは,番号101,103の各支出のうち,鉄道賃等のうちグリー
ン料金に相当する部分及び日当に相当する部分は,条例所定経費に該当し
ない旨主張する。20
しかしながら,前記⑴ウのとおり,本件内規は,旅費条例の別表「1」
欄の定めに従い,片道100キロメートル以上の鉄道利用に係る鉄道賃に
ついて普通旅客運賃及び特別車両料金(いわゆるグリーン料金),日当につ
いて1日当たり3000円を,調査研究費として支出することを認めるも
のであるところ,旅費条例の定める基準によって,グリーン料金及び日当25
を支出することが,社会通念上,相当であると認められる範囲を超えてい
るということはできない。そして,前記支出のうち,グリーン料金及び日
当に相当する部分について,旅費条例の定める基準を満たさないものがあ
ると認めるに足りる客観的かつ的確な証拠はない。
したがって,前記支出は,条例所定経費に該当しないものであると認め
ることができない。5
エ原告らは,番号101~104,234~238の各支出に係る各視察
及び各研修につき,茨木市のための研究調査と評価することができないも
の又は具体的な政策立案を目的としていないものであり,議員としての議
会活動の基礎となっていないなどとして,前記各支出は,条例所定経費に
該当しない旨主張する。10
しかしながら,前記各支出をした議員らは,前記各視察及び各研修につ
き,他の自治体が実施する先進的又は特色のある取組みや,地方自治一般
に共通する課題について調査研究をすることを目的とするものであるなど
と主張するところ,他の自治体における取組みや,地方自治一般に共通す
る課題への理解を深めることは,茨木市の政策課題及び政策実施の在り方15
を相対的に位置付け,政策立案の多角的な検討をするための基礎となるも
のであるから,前記各視察及び各研修を実施することは,議員としての議
会活動の基礎となる調査研究活動等ではないということはできないのであ
って,関係各証拠に照らしても,当該実施に係る旅費等の支出が,本件別
表所定の項目及び内容に該当しない,又は,社会通念上,相当であると認20
められる範囲を超えていると認めることができない。
したがって,前記各支出は,条例所定経費に該当しないものであると認
めることができない。
オ小括
そして,原告らは,研修費(番号37,51,52,101~104,25
234~238,253,254の各支出)について,前記各主張をする
にとどまるところ,前記各支出が,本件別表所定の項目及び内容に該当し
ないこと,又は,社会通念上,相当であると認められる範囲を超えること
について,これを裏付ける客観的かつ的確な証拠はなく,これを推認させ
るような事情も見当たらない。
そうすると,前記各支出は,条例所定経費に該当しないものであると認5
めることができない。
⑺人件費(番号227,287,288の各支出)について
ア本件別表においては,会派は,「会派が行う活動を補助する職員を雇用す
る経費」につき,議員は,「議員が行う活動を補助する職員を雇用する経費」
につき,いずれも「人件費」として政務活動費を充てることができるもの10
と定められている。そして,本件内規においても,アルバイト雇用賃金に
つき,「人件費」として政務活動費を充てることができるものと定められて
いる。
そして,前記各支出は,いずれも本件別表所定の補助職員の雇用に要す
る経費であり,かつ,本件内規所定のアルバイト雇用賃金に該当するもの15
であると認めることができる(弁論の全趣旨)。
イそして,原告らは,人件費(番号227,287,288の各支出)に
ついて,アルバイトの勤務日時や,アルバイト料の支払先等が不明であり,
支出の必要性が認められない旨主張する。
しかしながら,補助参加人P13及び同P12は,当該被用者の職務内20
容を一定程度具体的に主張しており,当該主張の内容が不合理であるとい
うことはできない一方で,原告らは,前記主張をするにとどまり,前記主
張の内容に疑いを差し挟む足りる的確な証拠は見当たらない。そして,関
係各証拠に照らしても,前記支出が,本件別表所定の項目及び内容に該当
しない,又は,社会通念上,相当であると認められる範囲を超えていると25
認めることができない。
そうすると,前記各支出は,条例所定経費に該当しないものであると認
めることができない。
⑻その他の点について
原告らは,番号35(補助参加人自由民主党・絆),193(補助参加人P
5),271,272(補助参加人P12)の各支出について,本件相手方ら5
は,当該各支出に係る金額を,事後的に訂正し,減額しており,当該減額部
分相当額について,精算及び戻入をすべきであるのに,現在に至るまで,精
算及び戻入がされていない旨主張する。
そこで検討すると,証拠(甲1)のうち,前記各補助参加人に係る平成2
5年度政務活動費収支報告書の記載によれば,前記各支出に係る金額が訂正10
される前の時点で,補助参加人自由民主党・絆は,政務活動費として72万
円の交付を受けたのに対し,政務活動費を充てることができる経費として7
2万810円を支出していたこと,補助参加人P5は,政務活動費として3
6万円の交付を受けたのに対し,政務活動費を充てることができる経費とし
て37万246円を支出していたこと,補助参加人P12は,政務活動費と15
して44万4000円の交付を受けたのに対し,政務活動費を充てることが
できる経費として47万3327円を支出していたことがそれぞれ認められ
る。そして,その後,補助参加人自由民主党・絆は,160円について,補
助参加人P5は,1785円について,補助参加人P12は,499円につ
いて,それぞれ前記各支出に係る金額から減額する旨の訂正をしたと認めら20
れる(争いのない事実)。
本件条例9条は,政務活動費の交付を受けた会派及び議員は,その年度に
おいて交付を受けた政務活動費の総額(以下「交付総額」という。)から当該
会派及び議員がその年度において本件条例6条に定める経費の範囲に基づい
て支出した総額(以下「支出総額」という。)を控除して残余がある場合,当25
該残余の額に相当する額の政務活動費を返還しなければならない旨定めてい
るところ,補助参加人自由民主党・絆について,交付総額は72万円である
のに対し,前記訂正後の支出総額は72万650円であること,補助参加人
P5について,交付総額は36万円であるのに対し,前記訂正後の支出総額
は36万8461円であること,補助参加人P12について,交付総額は4
4万4000円であるのに対し,前記訂正後の支出総額は47万2828円5
であることから,前記各補助参加人らについて,いずれも,交付総額から支
出総額を控除した場合の残余がなく,返還すべき政務活動費はないというこ
とができる。
そうすると,前記各補助参加人らが,減額部分相当額について,精算及び
戻入をすべきであるということはできない。10
したがって,前記各支出は,条例所定経費に該当しないものであると認め
ることができない。
3総括
以上によれば,本件各支出は,いずれも条例所定経費に該当しないものであ
ると認めることができない。15
第4結論
よって,原告らの請求は,いずれも理由がないから,これらを棄却すること
とし,主文のとおり判決する。
大阪地方裁判所第2民事部20
裁判長裁判官三輪方大
裁判官吉川慶
裁判官山崎雄大は,差し支えにつき,署名押印することができない。
裁判長裁判官三輪方大
(別紙1省略)
(別紙5省略)
(別紙6の1省略)
(別紙6の2省略)15
(別紙2の2)
請求一覧表(議員)
相手方請求額(円)
P14287,832
P1565,030
P2224,194
P16283,316
P1742,501
P383,826
P1823,000
P1998,793
P1177,748
P20109,000
P772,288
P21115,339
P2260,029
P4217,946
P5172,185
P23245,965
P24157,181
P6144,475
P1348,873
P254,500
P26250,280
P9230,851
P1074,000
P12437,357
P27254,060
P8235,867

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