弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

       主   文
1 原判決中,控訴人ら敗訴部分を取り消す。
2 同部分に係る被控訴人の請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用は,参加によって生じた分を含め,1,2審とも被控訴人の負担とす
る。
       事実及び理由
第1 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 本件訴えのうち,控訴人Aに対する訴えを却下する。
3 被控訴人のその余の請求をいずれも棄却する。
第2 事案の概要
1 本件は,渋谷区民である被控訴人が,平成9年9月に,渋谷区が区内の町会の
記念行事に祝儀として渡す清酒を購入するために区長交際費7707円を支出した
ことが違法であるとして,渋谷区長である控訴人B,渋谷区総務部総務課長事務取
扱であった控訴人C及び渋谷区収入役であった控訴人Aに対し,地方自治法242
条の2第1項4号に基づく損害賠償請求として,渋谷区に代位して,同支出相当額
の損害賠償金の支払を求めた事案である。
 原審は,被控訴人の請求を7702円とこれに対する遅延損害金の限度で認容し
た。
2 判断の前提となる事実並びに争点及び争点に関する当事者の主張は,次のとお
り付加するほか,原判決「事実及び理由」の「第2 事案の概要」2ないし4記載
のとおりであるから,これを引用する。
(当審における控訴人ら及び参加人の新たな主張)
 本件支出により購入した清酒(大関慶祝)4本は,次のとおり各2本ずつ渋谷区
内の2町会に対しそれぞれ記念行事が開催された際贈った(控訴人Bが渡した。)
ものである。この清酒の贈答は,渋谷区が平成8年3月策定した「渋谷区基本構
想」の柱の一つである「コミュニティ活動の充実」の実現のため,区と町会との良
好な関係を構築,維持する目的で,社会的慣習に基づく儀礼として行ったものであ
るから,本件区長交際費の支出は,適法である。
(1)ア 贈答先町会名 α町会(β地区町会連合会所属)
イ 渡した相手方 同町会相談役D
ウ 渡した日時 平成9年9月5日ころ
エ 渡した場所 渋谷区γ8番10号Dの自宅
オ 対象記念行事 お楽しみ広場(同月6日・7日,渋谷区δ付近の遊歩道におい
て開催)
(2)ア 贈答先町会名 ε町会(ζ地区町会連合会所属)
イ 渡した相手方 同町会会長E
ウ 渡した日時 平成9年9月16日ころ
エ 渡した場所 渋谷区η14番11号Eの事務所
オ 対象記念行事 秋祭り(同月17日・18日,渋谷区θの路上及び御嶽神社に
おいて開催)
第3 当裁判所の判断
1 争点1及び2について
 当裁判所も,控訴人Aは「当該職員」に該当し(争点1),控訴人Aに対する訴
えについて監査請求前置の要件をみたしている(争点2)と判断する。その理由
は,原判決「事実及び理由」の「第3 争点に対する判断」1及び2記載のとおり
であるから,これを引用する。
2 争点3(本件支出の違法性)について
(1) 地方自治法232条1項は,地方公共団体は当該地方公共団体の事務を処
理するために必要な経費を支弁するものとしており,地方公共団体の経費の性質を
有する支出については支出の権限を有する者に裁量が認められ,その裁量権の逸脱
又は濫用があると認められる場合に当該支出が違法となる。
 そして,普通地方公共団体も社会的実体を有するものとして活動している以上,
普通地方公共団体の長又はその他の執行機関が,当該普通地方公共団体の事務を遂
行するために対外的折衝等を行う過程において,社会通念上相当な範囲にとどまる
程度の儀礼的行為,接遇,賛助等を行うことは,同事務に随伴するものとして許容
されるものというべきであるが,公的存在である普通地方公共団体により行われる
ものであることからすると,対外的接遇の際に行われた活動であっても,それが社
会通念上相当な儀礼的範囲を逸脱したものである場合には,同活動は当該地方公共
団体の事務に当然伴うものとはいえず,これに要した費用を公金により支出するこ
とは許されないというべきである。
 平成2年4月1日施行の渋谷区区長交際費支出基準(甲6の1・2)において
も,交際費は「支出細則」に基づいて支出し,支出額は社会通念上認められる範囲
でかつ必要最小限でなければならないとされ,支出細則において,儀礼的経費,接
遇経費,賛助的経費及び諸費の4区分について,それぞれ経費として支出が可能な
場合が定められており,儀礼的経費は社会的慣習に基づく儀礼を行うために要する
経費とされ,その1例として「区政協力団体等の行事にかかる儀礼」が明記されて
いる。
(2) 証拠(甲1,2,10,丙3,7,8)によれば,控訴人Cは,平成9年
9月5日,区長室において株式会社香取屋から清酒(大関慶祝1升瓶)4本の納品
を受け,同年10月2日,集金に来た香取屋に対し,あらかじめ区長交際費から支
出を予定していた7702円に自らの有する5円を加えて,計7707円を支払っ
たこと,控訴人Bは,上記清酒4本を前記「当審における控訴人ら及び参加人の新
たな主張」記載のとおり渋谷区内の2町会に対しそれぞれ記念行事が開催された際
贈ったことが認められる。
(3) 町会は,区の下部組織ではないものの,当該地域に居住する住民の大部分
を会員とする団体で,事実上,広報,祭礼,防災,清掃等の分野において,当該地
域の公共的な活動の一端を担っているものであって,また,民生委員,保護司等の
各種行政委員の推薦等を行い,これらの活動についての必要な経費は,区から補助
金という形で支給されているところである。
 したがって,町会は,事実上ではあるが,区内の公共的活動を担っているもので
あるから,区政協力団体又は区政関係団体の側面を有しており,区と町会との良好
な関係を構築,維持する目的で,それらの団体の一定の行事等に対して儀礼的行為
を行うことは,それが社会通念上相当な範囲を逸脱したものでない限り,適法なも
のというべきであるところ,本件支出は,前記認定のとおり町会の祭礼等の際に贈
答した慶祝用清酒代にあてられたもので,その金額もそれぞれ4000円に満たな
いものであるから,区政協力団体の行事に係る儀礼的経費の支出として,社会通念
上相当な範囲を逸脱したものとはいえず,適法なものというべきである。
3 よって,被控訴人の請求を認容した原判決は不当であるから,この部分を取り
消し,被控訴人の請求をいずれも棄却することとし,主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第7民事部
裁判長裁判官 奥山興悦
裁判官 杉山正己
裁判官 山崎まさよ

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛