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平成24年(受)第2832号不当利得返還請求事件
平成26年7月24日第一小法廷判決
主文
原判決中上告人敗訴部分を破棄する。
前項の部分につき,本件を仙台高等裁判所に差し戻す。
理由
上告人の上告受理申立て理由について
1本件は,被上告人が,貸金業者であるA株式会社及び同社を吸収合併した上
告人(以下,合併の前後を問わず,単に「上告人」という。)との間で,指定され
た回数に応じて元本及び利息の合計支払額が毎月同額となるよう分割して返済する
方式(以下「元利均等分割返済方式」といい,約定の毎月の返済額を「約定分割返
済額」という。)によって返済する旨の約定で金銭消費貸借契約を締結したとこ
ろ,各弁済金のうち利息制限法(平成18年法律第115号による改正前のもの。
以下同じ。)1条1項所定の制限を超えて利息として支払われた部分を元本に充当
すると過払金が発生しているなどと主張して,上告人に対し,不当利得返還請求権
に基づき,過払金の返還を求める事案である。
2原審の確定した事実関係の概要等は,次のとおりである。
(1)上告人は,平成10年3月9日,被上告人に対し,400万円を次の約定
で貸し付けた。
ア弁済方法約定分割返済額を6万8800円とし,これを平成10年4月か
ら平成25年3月まで毎月1日限り支払う。
イ利息年19.48%
ウ遅延損害金年29.20%
エ特約支払期日における支払を遅延したときには,通知及び催告を要せずに
期限の利益を失う。
(2)被上告人は,上告人に対し,第1審判決別紙計算書4記載のとおり,平成
10年3月9日に18万円を支払ったほか,その後もおおむね毎月6万8800円
を超える金額を支払い続けていたものの,同計算書の「利益喪失日」欄記載の各年
月日(以下「本件各期日」という。)には何らの支払もしなかった。
(3)上告人は,被上告人が本件各期日における元本及び利息の支払を遅滞し,
期限の利益を喪失したから,本件各期日の翌日から残元本全部に対する遅延損害金
が発生したと主張して,過払金の発生を争っている。
3原審は,上記事実関係の下で,次のとおり判断して,被上告人の請求を一部
認容すべきものとした。
被上告人は,平成10年3月9日に18万円を支払ったほか,その後も大きく遅
滞することなく約定分割返済額を超える金額を毎月支払い続けていたのであって,
被上告人の支払った積算額をみれば,被上告人は,上告人に対し,本件各期日まで
に支払うべき元本及び利息(利息制限法1条1項所定の制限内のもの)の総額以上
の金額を,本件各期日以前に支払っていたというべきである。
4しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次
のとおりである。
元利均等分割返済方式によって返済する旨の約定で金銭消費貸借契約が締結され
た場合において,借主から約定分割返済額を超過する額の支払がされたときには,
当該超過額を将来発生する債務に充当する旨の当事者間の合意があるなど特段の事
情のない限り,当該超過額は,その支払時点での残債務に充当され,将来発生する
債務に充当されることはないと解するのが相当である。また,借主から利息制限法
1条1項の制限を超えて利息として支払われた部分は,当然にその支払時点での残
債務に充当される(最高裁昭和35年(オ)第1151号同39年11月18日大
法廷判決・民集18巻9号1868頁参照)。
しかるに,原審は,上記特段の事情の有無について審理判断しないまま,被上告
人の支払のうち約定分割返済額を超過する部分や利息制限法1条1項の制限を超え
て利息として支払われた部分について,将来発生する債務,すなわち本件各期日に
おける元本だけでなく利息にも充当される旨判断したものである。この原審の判断
には,判決に影響を及ぼすことが明らかな違法がある。論旨は上記の趣旨をいうも
のとして理由があり,原判決中上告人敗訴部分は破棄を免れない。そして,上記の
点等について更に審理を尽くさせるため,同部分につき本件を原審に差し戻すこと
とする。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官金築誠志裁判官櫻井龍子裁判官横田尤孝裁判官
白木勇裁判官山浦善樹)

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