弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
       本件抗告を棄却する。
       抗告費用は抗告人の負担とする。
         理    由
 抗告代理人田中晴雄,同榎本恭博の抗告理由(ただし,排除された第7を除く。)
について
 1 本件は,仮執行宣言付判決に基づき債権差押え及び転付命令が発せられ,同
判決に対する控訴の提起に伴い担保を立てさせて強制執行の停止並びに上記差押え
及び転付命令の取消しの裁判がされた後,担保提供者である債務者が破産宣告を受
けたところ,その破産管財人である抗告人が,担保の事由が消滅したとして,担保
取消しを求めた事案である。
 2 民訴法400条2項の準用する同法79条1項にいう「担保の事由が消滅し
たこと」とは,担保供与の必要性が消滅したこと,すなわち,被担保債権が発生し
ないこと又はその発生の可能性がなくなったことをいい,上訴に伴う執行停止の場
合については,その後の訴訟手続において担保提供者の勝訴判決が確定した場合又
はそれと同視すべき場合をいう。
 破産法70条1項本文は,破産債権に基づき破産財団に属する財産に対してされ
た強制執行等は破産財団に対してはその効力を失う旨を規定するところ,破産宣告
当時既に強制執行が終了している場合は,同項本文の適用はないから,既に終了し
た強制執行は,破産宣告により効力を失うことはない。仮執行宣言は,その宣言又
は本案判決を変更する判決の言渡しにより,変更の限度においてその効力を失うも
のではあるが(民訴法260条1項),仮執行宣言付判決に基づく強制執行(以下
「仮執行」という。)は,終局的満足の段階にまで至る点において確定判決に基づ
く強制執行と異なるところはないから,破産宣告当時既に終了している仮執行は,
破産宣告により効力を失うことはないと解すべきである。
 そうすると,仮執行宣言付判決に係る事件が上訴審に係属中に債務者が破産宣告
を受けた場合において,仮執行が破産宣告当時いまだ終了していないときは,破産
法70条1項本文により仮執行はその効力を失い,債権者は破産手続においてのみ
債権を行使すべきことになるが,他方,仮執行が破産宣告当時既に終了していれば
,破産宣告によってその効力が失われることはない。よって,仮執行宣言付判決に
対して上訴に伴う強制執行の停止又は既にした執行処分の取消し(以下「強制執行
停止等」という。)がされた後,債務者が破産宣告を受けた場合には,その強制執
行停止等がされなかったとしても仮執行が破産宣告時までに終了していなかったと
の事情がない限り,債権者は,強制執行停止等により損害を被る可能性がある。
 したがって,【要旨】仮執行宣言付判決に対する上訴に伴い担保を立てさせて強
制執行停止等がされた場合において,担保提供者が破産宣告を受けたとしても,そ
の一事をもって,「担保の事由が消滅したこと」に該当するということはできない
と解するのが相当である。
 3 本件についてこれを見ると,仮に本件強制執行停止及び執行取消決定がなか
ったとしても,債務者の破産宣告当時相手方らの強制執行が終了していなかったも
のということはできないから,相手方らは,本件強制執行停止及び執行取消決定に
より損害を被る可能性があるということができる。しかも,本件仮執行宣言付判決
に係る相手方らの破産債権は,債権調査期日において破産管財人及び破産債権者並
びに債務者の異議なく確定し,確定債権について債権表に記載され,債権表の記載
は勝訴の確定判決と同一の効力を有するのであるから,本件仮執行宣言付判決の結
論は是認され,担保提供者の敗訴判決が確定した場合と同視することができる。
 したがって,本件強制執行停止及び執行取消しのため立てた本件担保の事由が消
滅したということはできない。
 4 以上説示したところによれば,担保取消しの申立てを却下した原審の判断は
,是認することができる。上記判断は,所論引用の判例に抵触するものではない。
原決定に所論の違法はなく,論旨は採用することができない。
 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 町田 顯 裁判官 井嶋一友 裁判官 藤井正雄 裁判官 深澤
武久)

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