弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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       主   文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
       事実及び理由
第1 請求
1 被告は,原告に対し,50万円及びこれに対する平成12年11月14日から
支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は,被告の負担とする。
第2 事案の概要
 本件は,原告が,原告の阿児町情報公開条例に基づく「平成11年度,平成12
年度水道課の工事の入札結果調書,予定価格調書」の開示請求に対し,阿児町長が
予定価格調書を公開しない旨の処分をしたことは,不法行為に当たり,これにより
原告が精神的損害を受けたとして,被告に対し,慰謝料20万円及び弁護士費用3
0万円並びにこれらに対する訴状送達の日から支払済みまで民法所定の年5分の割
合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
1 阿児町情報公開条例(以下「本件条例」という。)
 本件条例には,別紙1記載の規定がある。なお,本件条例は,平成12年4月1
日施行である。
2 前提となる事実(証拠を掲げた事項以外は,当事者間に争いがない。)
(1) 阿児町の住民である原告は,平成12年9月21日,阿児町長に対し,本
件条例の規定に基づき,平成11年度,平成12年度の水道課発注の工事の入札結
果調書及び予定価格調書につき,公文書公開請求をした(以下「本件公開請求」と
いう。また,上記予定価格調書のことを「本件予定価格調書」という。)。
(2) これに対し,阿児町長は,平成12年9月22日付けで,「入札結果調書
は全面開示しますが,予定価格調書については,阿児町情報公開条例第8条第7項
の規定により,公開しないものとします。」との理由で,本件予定価格調書につい
ては公開しない旨の決定をした(以下「本件非開示処分」という。)。
(3) 原告は,平成12年11月2日,松葉謙三弁護士に依頼し,阿児町長に対
しては本件非開示処分の取消しを,被告に対しては上記損害の賠償をそれぞれ求め
る訴え(本件訴え。ただし,阿児町長に対し本件非開示処分の取消しを求める訴え
は,平成14年2月7日に取り下げられた。)を提起した。なお,被告に対する訴
状送達の日は,平成12年11月14日である(当裁判所に顕著な事実)。
(4) 阿児町長は,原告に対し,本件公開請求につき,平成12年12月20日
付けで,本件予定価格調書を公開する旨の決定をした(乙1)。
3 争点
 阿児町長が本件非開示処分をしたことが,原告に対する不法行為(国家賠償法1
条1項)にあたるか。
4 当事者の主張
(原告の主張)
(1) 予定価格は,ほとんどの県や三重県内のほとんどの市町村で開示されてい
る。予定価格の開示は,公正な入札の執行に必要であり,同種の事務事業の目的が
損なわれたり,公正な執行に支障が生じることはない。したがって,本件非開不処
分は,本件条例8条7項に該当せず,違法である。
ア 予定価格を事後公表しないのは,時代遅れである。
 予定価格の事後公表については,中央建設業審議会で,平成8年から審議され,
平成9年9月に行われた部会において,建設省の事務局から,①公表すると競争を
制限し談合を容易にするおそれがある,②個別工事ごとの公表は同種工事の価格を
推定できるなどの指摘があったが,予定価格を事後公表すべきであるとの意見が委
員の大勢を占め,事後公表の方向が決定的になったため,政府は予定価格の事後公
表の方針を固めた。平成9年12月12日に行政改革審議会は,「①談合の存在こ
そが予定価格直下での落札が多いことの根本原因である,②予定価格はかなりの精
度で類推可能であり,事後的にも予定価格を秘密にしておくメリットは少ない,③
落札の実態を公にして第三者による監視を容易にし,不自然な入札を行いにくくす
る」などを理由に予定価格の事後公表をすべきとの答申をし,閣議はこれを最大限
に尊重するとの決定をなした。
 中央建設業審議会は,平成10年1月ころ,予定価格の事後公表を決定した。
 自治体の中で最初に予定価格の事後公表を決定したのは,東京都で平成9年10
月であり,神奈川県や埼玉県は,平成10年2月から公表を決定した。三重県四日
市市,名古屋市は平成10年3月に予定価格の事後公表を決定した。平成10年4
月1日,建設省と自治省は,各部道府県に対し,予定価格の事後公表をすること,
及びこのことを市町村へ周知徹底することを通達した。
 そして,平成10年5月時点では,全国で予定価格の事後公表が急速に浸透し,
平成10年10月時点で,都道府県と政令指定都市での予定価格の事後公表の実施
は8割近くに達し,公表予定の自治体を含めると85パーセントに達した。平成1
2年4月に三重市民オンブズマン等3団体が実施した調査によると,三重県内で情
報公開制度のある23の自治体の中で,予定価格の事後公表をしていない自治体は
阿児町と紀勢町だけであった。なお,同調査の結果は,被告を含む各自治体に送付
され,同年6月30日の新聞でも大きく報道されたので,阿児町長は十分これを認
識していたはずである。
 予定価格の非開示処分を取り消した判決としては,大阪地裁平成10年3月12
日判決(判例時報1664号50頁参照),津地裁平成10年6月11日判決(判
例時報1679号27頁参照),東京高裁平成11年3月31日判決(判例時報1
678号66頁参照),奈良地裁平成12年3月29日判決,和歌山地裁平成12
年3月31日判決がある。
イ 被告の主張(1)ア(ア)のaないしdに対する反論
 被告は,予定価格を事後公表すると,「a当該契約以降に行われる同種契約の予
定価格等を推定されるおそれがある。bまた,その結果,談合を助長するおそれが
ある。c価格協定に利用されるおそれがある。d競争入札参加者の真剣な見積り努
力を喪失させる可能性がある。」などと,予定価格事後公表のデメリットを主張す
るが,いずれもすでに国の機関(中央建設業審議会や行政改革委員会)において否
定された理由である。
 日本では談合が蔓延しており,発注者の職員が予定価格を事前にほのめかす行為
も蔓延している。したがって,日本の入札の多くが予定価格の98パーセント,9
9パーセントで落札されており,しかも落札者の入札価格だけが予定価格以下で,
他の入札業者の入札価格は予定価格以上の入札が極めて多く,予定価格の事後公表
のデメリットなど全くない。積算方法が公表されており,予定価格の推定はある程
度推定できる反面,同種の工事であっても,それぞれ地形や周囲の状況が違い,同
種の工事の予定価格で他の工事の予定価格を正確に推定できるものではなく,その
意味でもデメメリットはない。
 逆に,予定価格の事後公表は,メリットが大きい。予定価格が事後公表されるこ
とにより,談合の蔓延の程度が推定できるし,不自然な入札をチェックできるの
で,市民が談合を監視することが可能となる。公表されないと談合は闇の中とな
る。
ウ 被告の主張(1)ア(ア)のeに対する反論
 被告は,「e阿児町は,国や県とは異なった地域事情も存する。すなわち,阿児
町では,同一事業者が年に多数回入札に参加しており,上記aないしdの支障の生
じる可能性が高い。」などと主張するが,同一業者だけで多数回の入札を実施して
いるから談合が蔓延するのであり,まさに,阿児町は談合の蔓延を認めているとい
いうる。談合の輪の中で入札をしているようなものであり,このような入札をなく
すことが談合をなくすことになる。このような入札はやめ,どの業者が入札に加わ
ってくるか分からない,分かりにくい入札にすることである。
エ 以上のとおり,予定価格の事後公表の必要性は高く,そのことは,平成10年
度において,三重県内の自治体でも常識となっていた。また,津地方裁判所は,平
成10年6月11日,予定価格調書の非開示処分を取り消す判決をし,この判決は
確定した。
 したがって,阿児町長が平成12年9月時点で本件非開示処分をしたのは,不法
行為に該当する。
オ なお,被告は,被告の主張(1)イにおいて,「原告と阿児町長との間では,
津地方裁判所平成10年(行ウ)第18号損害賠償請求住民訴訟事件が係属中であ
り,原告は,上記訴訟において,本件予定価格調書の提出を求めている。したがっ
て,この点からしても,本件条例8条7号の行政運営情報に該当する。また,他の
法令である民事訴訟法による文書提出命令等の手続が規定されており,他の制度に
よる閲覧等が定められている場合には,本件条例は適用されない(本件条例16
条)。」旨主張するが,別件訴訟で開示を求めている文書は,平成9年度の文書で
あり,本件予定価格調書とは別の公文書である。
(2)ア 本件非開示処分による原告の精神的損害は20万円を下らない。また,
本件における弁護士費用は30万円が相当である。
イ 被告の主張(2),(3)に対する反論
 被告は,原告が平成12年4月17日付けの決定に対して不服申立てをしなかっ
たことを問題とするが,このときは,三重市民オンブズマンの情報公開度ランキン
グに参加するために公開請求をしたものであって,格別異議を述べる必要性がなか
ったから不服申立てをしなかったにすぎない。
 また,被告は,「阿児町情報公開審査会への不服申立てという簡易な方法を踏ま
ず,民事訴訟法の規定により文書提出命令によらず,本件情報公開請求訴訟に及ん
だ」ことを問題とするが,別件訴訟において文書送付嘱託をしても,被告は開示し
ないと予想されたので,本件公開請求をしたのであり(そもそも別件訴訟で開示を
求めている文書は,本件の文書とは年度が違う別個の文書である。),また,不服
申立制度を利用するより裁判所を利用した方がよい結論が早く出ると判断したた
め,阿児町情報公開審査会への不服申立てという方法を採らなかったにすぎない。
 本件訴えは,当然の権利行使である。
(被告及び被告補助参加人の主張)
(1)ア 本件非開示処分は,以下のとおり,適法である。
(ア) 阿児町長は,予定価格調書を公開することにより,将来の同種の事務事業
の公正若しくは適切な執行に著しい支障を及ぼすものがあるので,これらにかかる
情報を非公開としたものである(本件条例8条7項)。
 すなわち,予定価格調書には「設計価格・予定価格・最低制限価格」が記載され
ており,これを公開すると次のような支障が生じるおそれがある。
a 当該契約以降に行われる同種契約の予定価格等を推定されるおそれがある。
b また,その結果,談合を助長するおそれがある。
c 価格協定に利用されるおそれがある。
d 競争入札参加者の真剣な見積り努力を喪失させる可能性がある。
e 阿児町には,国や県とは異なった地域事情も存する。すなわち,阿児町では,
同一事業者が年に多数回入札に参加しており,上記aないしdの支障の生じる可能
性が高い。
f 各調査によれば,予定価格等を公表しても談合防止上の対策にならないとの意
見もあり,今後の検討課題である。
 なお,横浜地裁平成9年7月16日判決(判例タイムズ969号171頁参照)
は,横浜市のケースについて非公開決定を適法としている。
(イ) 原告と阿児町長との間では,津地方裁判所平成10年(行ウ)第18号損
害賠償請求住民訴訟事件が係属中であり,原告は,上記訴訟において,本件予定価
格調書の提出を求めている。したがって,この点からしても,本件条例8条7号の
行政運営情報に該当する。また,他の法令である民事訴訟法による文書提出命令等
の手続が規定されており,他の制度による閲覧等が定められている場合には,本件
条例は適用されない(本件条例16条)。
イ 原告の主張(1)アに対する反論
 原告は,「平成10年4月1日,建設省と自治省は,各都道府県に対し,予定価
格の事後公表をすること,及びこのことを市町村へ周知徹底することを通達した。
そして,平成10年5月時点では,全国で予定価格の事後公表が急速に浸透し,平
成10年10月時点で,都道府県と政令指定都市での予定価格の事後公表の実施は
8割近くに達し,公表予定の自治体を含めると85パーセントに達した。平成12
年4月に三重市民オンブズマン等3団体が実施した調査によると,三重県内で情報
公開制度のある23の自治体の中で,予定価格の事後公表をしていない自治体は阿
児町と紀勢町だけであった。」旨主張する。
 しかし,建設省,自治省からの「地方公共団体の公共工事に係る入札・契約手続
及びその運用の更なる改善の推進について」と題する文書は,各都道府県知事に対
するものであり,各市町村に対するものではない。
 また,三重県では,中央建設業審議会の建議に準拠して,入札・契約制度の改善
策を実施し,予定価格調書の事後公表を平成10年8月1日から実施しているとこ
ろ,三重県内の市町村は,三重県の上記対策を見守りながら,各市町村の事情や特
殊性を勘案して,入札制度の改革を進めている。被告は,平成9年4月1日,「建
設工事等実務必携」を制定し,それまで各課でばらばらであった工事の入札契約・
施行等の手順を統一した。また,被告は,平成12年4月1日の本件条例の施行に
より,更に公開を進めるべく検討していた。平成11年9月29日付け朝日新聞で
は「予定価格公開痛しかゆし」「癒着防止のため導入も談合誘発の恐れ」「落札は
高止まり」と報道しており,被告は,より慎重な検討を行っていた。
 なお,阿児町長は,開かれた町政のため,更なる情報公開を進展させるため,新
たな運用基準を定め,予定価格調書も事後公開することとした。
(2) 仮に,本件非開示処分が適法でなかったとしても,原告には何らの損害も
生じていない。
 すなわち,原告が本件非開示処分によって精神的な苦痛を受けることは通常考え
られない。
 また,原告は,平成11年5月から阿児町議会議員の職にあり,平成12年4月
1日施行の本件条例の内容に精通しているが,同月3日,本件公開請求とほぼ同内
容の「上下水道工事に関する入札結果調書と,その予定価格調書」の公文書公開請
求を行った。阿児町長は,同月17日付けで,同請求につき「入札結果は全面公開
するが,予定価格調書については公開しない。」旨の決定を行った。しかるに,原
告がこの決定に対し不服申立てをしなかったので,阿児町長は,原告がこれを了解
したものと理解していた。
 原告は,情報公開請求手続を熟知していながら,別件の訴訟の資料を入手するた
め,上記平成12年4月17日付けの決定には何ら不服申立てを行わず,再度ほぼ
同じ内容の公文書公開請求をした上,阿児町情報公開審査会への不服申立てという
簡易な方法を踏まず,また,民事訴訟法の規定による文書提出命令にもよらず,本
件情報公開請求訴訟に及んだ。したがって,原告に精神的な苦痛が生じることは到
底考えられない。
(3) さらに,上記(2)の事実からすれば,本件訴訟は著しく信義則に反する
不当訴訟といわざるを得ない。
 特に,本件訴訟における「情報」の公開は,その公開・非公開によって,原告に
利益を与えるものであっても,不利益を被らせるものではない。本件公開請求及び
本件訴訟は,上記別件訴訟を有利にせんがため自ら事件を惹起し,慰謝料,弁護士
費用名下に,被告より金員を得んとするものであり,動機において不純である。
第3 当裁判所の判断
1 証拠(甲3ないし8,9の1・2,15,16,18,19,21,乙2,
3,9ないし11)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
(1)ア 国の中央建設業審議会は,昭和58年3月,「建設工事の入札制度の合
理化対策等について」と題する建議を公表したが,その中で,適正な競争確保のた
めには予定価格が的確に設定されるとともに,受注者が的確な見積りを行うことが
基本であり,このために積算の基本的な考え方や標準歩掛等の積算基準をできる限
り公表し,積算基準そのものの妥当性を世に問うとともに,受注者による的確な見
積りに資し,あわせて,開かれた行政への要請に応えることが必要であるとした
が,予定価格の事前公表については,建設業者の真剣な見積りの努力を失わせ,業
者間の価格調整を誘発するおそれが大きいので実施すべきではないとし,その事後
公表についても,以後の同種工事の予定価格を類推させることとなり,事前公表と
同様の問題を招くことから好ましくないとしていた。
イ 中央建設業審議会は,平成5年末,「公共工事に関する入札・契約制度の改革
について」と題する建議を行った。その中で,予定価格をめぐる措置については,
予定価格の漏洩と談合によって落札価格が予定価格の直下になっているとの疑念が
生じているとの認識を示した上,予定価格の事前公表を行うことにより,これを探
ろうとする不正な動きを防止し,不自然な入札を行いにくくすべきであるとの意
見,及び予定価格を公表しても競争的な環境の下では必ずしも談合を助長しないと
の意見を紹介する一方,昭和58年の建議と同様の理由から,事前公表には問題が
多く,事後公表についても,同様の弊害を誘発するおそれがあることから,その適
否については慎重に検討する必要があるとするにとどまり,予定価格の事前又は事
後の公表について新たな改革案を提示するには至らなかった。
ウ 平成6年10月,当時の連立与党は,公共工事の入札制度に関する改革原案を
公表した。同案は,抜本的な入札制度の改革を断行することが必要であるとし,そ
の一つとして,予定価格の公表を取り上げ,予定価格を公表することで不公正な競
争をなくし,明示された制限価格内での公正な競争の実現を図るべきであるとし
た。
エ(ア) 平成8年12月,次の新聞報道がなされた。すなわち,中央建設業審議
会基本問題委員会の第4回会合で,事務局の建設省は今後の検討事項案を説明し,
入札・契約手続の透明性の一層の向上など3項目を挙げ,各項目の具体的な課題へ
の対応の方向と検討に当たって予想される問題を示し,その中で予定価格の公表に
ついては,事前公表は問題が多いとして,一定の工事や地区ごとの平均的な落札率
の公表,予定価格の事後公表といった方策を提案した(甲6)。
(イ) 平成9年9月,次の新聞報道がなされた。すなわち,中央建設業審議会基
本問題委員会の第1分科会が開かれ,入札・契約手続の透明性向上,地方公共団体
での改善徹底を図るための方策について審議が行われ,予定価格の事後公表につい
ては,事務局から,競争を制限し談合を容易にするおそれがあること,個別工事ご
との公表は同種工事の価格を類推できることなどの問題点が指摘されたが,委員の
間では賛成意見が大勢を占め,事前公表については賛否が分かれた(甲7)。
(ウ) 平成9年10月,次の新聞報道がなされた。すなわち,政府は,これまで
開示を認めていなかった公共工事の予定価格について,入札後に限って公表する方
針を固めた。この方針は,中央建設業審議会が平成10年春まとめる建議に盛り込
まれる見通しであり,予定価格公表については,「入札後であっても,次回以降の
同種工事の予定価格を類推しやすくなる。」との反対意見があるが,今でも建設業
者は積算基準をもとにほぼ正確に予定価格を推測しており,実態は変わらないと判
断された。政府部内には,一定の工事や地区ごとの平均落札率の公表にとどめるべ
きだとの意見もあったが,全国市民オンブズマン連絡会議などが予定価格の公表を
強く求めており,情報公開の流れには逆らえないと判断された。ただ,予定価格の
事前公表については,談合行為を一層助長しかねないとして見送る方針である(甲
8)。
オ 平成9年12月,国の行政改革委員会は,その最終意見を発表した。その中
で,予定価格制度について,「委員会のヒアリングによると,地方公共団体では予
定価格に関する情報が入札以前に漏洩し,予定価格直下で落札されるケースが多い
との指摘があった。」とした上,「積算基準の公表等により,予定価格はかなりの
精度で類推可能であり,事後的にも予定価格を秘密にしておくことのメリットは小
さい。漏洩に対する取り締まり体制の脆弱性を理由として,逆に談合その他の不正
行為の頻発が放置されている面さえある。こうしたことから,落札の実態を公にし
て第三者による監視を容易にし,不自然な入札を行いにくくするという考え方は十
分考慮に値する。また,予定価格の事後公表には,発注者がコスト縮減に反するこ
とをしていないかについて,納税者等が関心を持ち,監視することを可能とする条
件を整えるというメリットがある。公共工事の発注においては,事業の効率的執行
の要請の一方,例えば地元業者の優遇というような効率性とは別の要請が強く働く
ことがしばしばである。公共工事の発注者がこのような立場に置かれていることを
考えると,競争原理の確保のためには透明性の一層の向上が不可欠であり,予定価
格の事後公表はそのための有力な手段である。」と指摘した。内閣は,これを受け
て,同月20日,この最終意見を最大限尊重し,規制緩和,公的部門と民間部門の
活動領域の見直しの積極的な推進など所要の施策を実施に移すとの閣議決定を行っ
た(甲9の1・2)。中央建設業審議会も,平成10年2月4日,「建設市場の構
造変化に対応した今後の建設業の目指すべき方向について」と題する建議を行い,
その中で,予定価格の事後公表が,不正な入札の抑止力となることや積算の妥当性
の向上に資することから,これに踏み切り,その具体的な方法等について検討を開
始すべきであるとした。
カ これらを受けて,建設省は,同日,同省直轄工事につき,平成10年度から予
定価格の事後公表を行う予定と発表し,これを予定どおり実施し,同年10月1日
以降に入札を執行した工事からは,随意契約を除く全工事につき,予定価格の積算
の内訳についても予定価格と併せて公表することとした。また,同年4月1日に
は,建設省建設経済局長及び自治省行政局長が,全国の都道府県知事に対し,上記
建議の趣旨を十分理解し,公共工事に係る入札・契約手続及びその運用の改善に取
り組み,そのことを管内の市町村に周知徹底するよう要請した(甲3)。
キ これに応じて,多くの自治体が予定価格の事後公表を行うようになった。平成
10年5月6日付け日刊建設工業新聞で発表されたアンケート調査(同年3月に実
施)の結果においては,回答のあった47都道府県,12政令指定都市及び547
一般市・区のうち,同年4月までに12府県,5政令指定都市,25市が予定価格
の事後公表を行っており,実施又は検討中の自治体は合計366とされている(甲
16)。「日経コンストラクション」誌平成10年11月13日号で発表されたア
ンケート調査結果(アンケート締切り平成10年10月2日)においては,「47
都道府県及び12政令指定都市のうち,8割近い45の自治体が予定価格の事後公
表を実施しており,実施予定が決まっている自治体を含めると85パーセントに及
び,予定価格のみを事後公表している自治体が多いが,いくつかの自治体では最低
制限価格や低入札調査基準価格も公表している。事後公表の範囲については,公表
している自治体の7割以上が金額等の制限を設けていない。事前公表を実施してい
る自治体は7つで,今後実施予定を含めても少数であり,実施している自治体で
も,入札案件の中からごく一部を選び出して施行するケースが多い。」などとされ
ている(甲4)。また,日弁連のアンケート調査(平成10年12月実施)の結果
によれば,「47都道府県及び12政令指定都市のうち,予定価格の事後公表をし
ていない自治体は4自治体である。」とされている(甲15)。
ク 平成11年9月29日付け朝日新聞においては,「予定価格の事前公表をする
ようになった自治体においては,落札価格が高止まりになっているところもあ
る。」旨報道されている(乙9)。
ケ 建設省建設経済局長及び自治省行政局長は,平成12年2月1日,全国の都道
府県知事に対し,「平成11年度の実態調査の結果,全般的には改善に進捗がみら
れるものの,市町村を中心に,改善の趣旨の徹底が不十分な事項も見受けられる。
公共工事に係る入札・契約手続及びその運用の改善を更に推進するとともに,管内
の市町村においても,より一層の改善が進むよう,本通知の趣旨の十分な趣旨をお
願いする。」旨の「地方公共団体の公共工事に係る入札・契約手続及びその運用の
更なる改善の推進について」と題する通知を発した(甲15)。
コ 三重市民オンブズマン,伊賀住民オンブズマン及び海山町情報公開を考える会
が平成12年6月29日付けで三重県知事及び三重県の各市町村長に送付した「第
1回三重県情報公開度ランキング調査結果」によると,同年4月3日に,三重県内
の情報公開条例を施行している23の自治体に対し,予定価格調書の情報公開請求
をしたところ,16の自治体については全部公開され,5の自治体については部分
公開され,阿児町と紀勢町については全面非公開とされた(甲5)。このランキン
グ結果については,阿児町と紀勢町が予定価格調書を非公開としたことは新聞報道
もされた(甲19)。
サ 「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」(平成12年11月
27日公布)には,予定価格の事後公表を義務づける規定はないが,衆議院建設委
員会の平成12年11月8日付け「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関す
る法律案に対する附帯決議」においては,「政府は,本法の施行に当たっては,次
の諸点に留意し,適正化指針の策定等その運用に遺憾なきを期すべきである。」
「入札予定価格については,支障がない限り,少なくとも事後公表を行うよう努め
るとともに,地方公共団体においては,事前公表を行える旨を明確にすること。」
とされている(甲15)。参議院国土・環境委員会の平成12年11月16日付け
「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律案に対する附帯決議」にお
いては,「政府は,本法の施行に当たり,次の諸点について適切な措置を講じ,適
正化指針の策定等その運用に遺憾なきを期すべきである。」「入札予定価格の公表
の在り方については,今後の検討課題とし,少なくとも事後公表を行うよう努め,
地方公共団体においては,事前公表を行える旨を明確にすること。」とされている
(甲15)。
 また,公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律15条1項の規定に
基づき定められた「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指
針」(平成13年3月29日総務省財務省国土交通省告示第1号)においては,
「予定価格については,入札の前に公表すると,予定価格が目安となって競争が制
限され,落札価格が高止まりになること,建設業者の見積り努力を損なわせるこ
と,談合が一層容易に行われる可能性があること等にかんがみ,国においては,入
札の前には公表しないこととしている。このため,各省各庁の長等は,契約締結後
に,事後の契約において予定価格を類推させるおそれがないと認められる場合にお
いて,公表するものとする。なお,地方公共団体においては,法令上の制約はない
ことから,各団体において適切と判断する場合には,事前公表を行うこともできる
ものとする。また,低入札価格調査の基準価格及び最低制限価格を定めた場合の当
該価格の公表の取扱いは,予定価格の取扱いに準ずるものとする。」とされてい
る。
(2)ア 予定価格の非開示処分を適法とした判決としては,横浜地裁平成9年7
月16日判決(判例タイムズ969号171頁参照)がある(乙3)。
 同判決は,「入札参加業者が公共工事の予定価格を事前に把握していることは,
談合を行う上での誘因として機能すること,本件文書に記載された設計金額等が公
開されると,将来行われる同種工事の予定価格を推測することを容易にすること
を,いずれも肯定することができる。要するに,本件工事の設計金額等を公開する
ことは,将来行われる同種工事において,入札参加業者が談合を行う誘因を形作る
といえるのであるから,右設計金額等は「市が行う契約に関する情報であって,公
開することにより,当該事務事業若しくは将来の同種の事務事業の公正若しくは円
滑な執行に著しい支障が生ずると認められるもの」という公文書公開条例9条6号
所定の公開しないことができる文書に該当するといえる。」「本件文書の「設計金
額」等を事後的に公表することが,談合の誘因となり,横浜市の行う契約締結事務
に著しい支障を来しかねないとすることには,合理的な根拠があるといえるから,
それが横浜市の単なる主観的判断にとどまるものではない。」などと判示している
(乙3)。
イ 予定価格の非開示処分を取り消した判決としては,大阪地裁平成10年3月1
2日判決(判例時報1664号50頁参照),津地裁平成10年6月11日判決
(判例時報1679号27頁参照),上記ア記載の横浜地裁判決の控訴審である東
京高裁平成11年3月31日判決(判例時報1678号66頁参照),奈良地裁平
成12年3月29日判決,和歌山地裁平成12年3月31日判決がある。
 なお,上記東京高裁判決は,上告されている(甲18)。
(3) 被告は,平成8年度から予算的・人的措置も特にない状態で日常業務と並
行して,行政改革の推進・地方分権による事務の増加・町条例の抜本的改正・建設
工事実務必携の策定等の多くの事務を処理しなければならない状態であり,本件条
例の施行を平成13年4月に希望していたが,平成11年12月議会で,平成12
年4月から施行と議決された。被告において,予定価格の公表について,本件条例
施行前に,被告の関係各部署において何度か公開・非公開を巡って協議がもたれた
が,予定価格公表には,例えば,①当該年度以降に行われる同種契約の予定価格等
を推定されるおそれがあること,②その結果談合を助長させるおそれがあること,
③競争入札参加者の真剣な見積り努力を喪失させる可能性があることなどの弊害が
指摘されているなど微妙な問題があり,平成12年2月の時点で三重県内69市町
村全体の情報も不明であるほか,同一事業者が年に多数回入札に参加するなどの町
の現状もあって,工事価格(工事設計額)・予定価格・最低制限価格をどこまで公
開するのかで議論がまとまらなかった。そこで,阿児町長は,公開しないことがで
きる公文書として,本件条例8条7号「入札」の事務のうち,工事入札結果は開示
するが,事後公表において予定価格調書は検討事項になり,当面平成12年度は非
開示扱いとするということにした。そして,阿児町長は,本件予定価格調書の開示
により将来の同種の事務事業の公正又は円滑な執行に支障が生じると判断して,本
件非開示処分をした(乙10)。その後,被告の関係各部署において協議をし,そ
の結果,阿児町長は,平成13年3月7日に「入札後は予定価格調書の公開請求に
応じる。」旨の運用基準(乙2)を定めた(乙10,11)。
2 上記前提となる事実及び上記認定事実からすれば,少なくとも「公共工事の入
札及び契約の適正化の促進に関する法律」が公布された平成12年11月27日以
前においては,「予定価格等は公表すべきである。」という見解とともに,「予定
価格等の公表により,当該契約以降に行われる同種契約の予定価格等を推定される
おそれ,談合を助長するおそれ,価格協定に利用されるおそれ,競争入札参加者の
真剣な見積り努力を喪失させる可能性等がある。」旨の見解が存在し,控訴審で覆
ったものの,設計金額等を非開示とする旨の処分を適法とした裁判例もあって,本
件予定価格調書に本件条例8条7号に規定する情報が記載されていると解する余地
があったということができる。
 そうとすれば,阿児町長が,同一事業者が年に多数回入札に参加するなどの地域
事情も加味して,本件予定価格調書の開示により将来の同種の事務事業の公正又は
円滑な執行に支障が生じると判断して本件非開示処分をなしたことが,その職務上
通常尽くすべき注意義務を懈怠したものということはできず,本件非開示処分が国
家賠償法1条1項にいう違法な行為に当たると断じることはできない。
3 結論
 以上によれば,原告の請求は理由がないから,これを棄却すべきである。
 よって,主文のとおり判決する。
津地方裁判所民事部
裁判長裁判官 内田計一
裁判官 後藤隆
裁判官 大竹貴
別紙1
阿児町情報公開条例
(目的)
1条 この条例は,町民の町政に関する公文書の公開を請求する権利を明らかにす
るとともに,公文書の公開について必要な事項を定めることにより,町政に対する
町民の理解と信頼を深め,開かれた町政を一層推進することを目的とする。
(定義)
2条 この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定
めるところによる。
一 実施機関 町長,・・(略)・・をいう。
二 公文書 実施機関の職員が職務上遂行上作成し,又は取得した文書,図画,写
真及び電子的記録等・・(略)・・であって,決裁又は供覧等の手続きが終了し,
実施機関が現に保管又は保存しているものをいう。
三 公文書の公開 実施機関が公文書を閲覧に供し,又はその写しを交付すること
をいう。ただし,・・(略)・・。
(実施機関の責務)
3条 実施機関は,この条例の解釈及び運用にあたっては,公文書の公開を求める
町民の権利を十分に尊重するものとする。この場合において,実施機関は,個人に
関する情報がみだりに公開されることのないよう最大限の配慮をしなければならな
い。
(利用者の責務)4条 (略)
(公文書の公開を請求できる者)
5条 次に掲げるものは,実施機関に対して,公文書・・(略)・・の公開を請求
することができる。
一 町内に住所を有する者
二ないし五号 (略)
(公文書の公開の請求方法)
6条 前条の規定により公文書の公開を請求しようとするものは,次に掲げる事項
を記載した請求書を実施機関に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所・・(略)・・
二 公開を請求しようとする公文書を特定するために必要な事項
三 前二号に掲げるもののほか,実施機関が定める事項
(公文書の公開の請求に対する決定及び通知)
7条 実施機関は,前条に規定する請求書を受理したときは,当該請求書を受理し
た日から起算して15日以内に,公開の請求に係る公文書を公開する旨又は公開し
ない旨の決定をしなければならない。
2ないし6項 (略)
(公開しないことができる公文書)
8条 実施機関は,第5条の規定による公文書の請求に係る公文書に次の各号のい
ずれかに該当する情報が記載されているときは,当該公文書を公開しないことがで
きる。
一ないし六号 (略)
七 検査,監査,取締り,入札,試験,交渉,渉外,争訟,人事等の事務事業に関
する情報であって,公開することにより,当該若しくは同種の事務事業の目的が損
なわれ,又はこれらの事務事業の公正又は円滑な執行に支障を生ずるおそれがある
もの
八,九号 (略)
(部分公開)9条,(公文書の本人公開)10条,(公文書の公開の方法)11
条,(費用負担)12条
(略)
(不服申立てがあった場合の措置)
13条 実施機関は,第7条第1項の決定について,行政不服審査法(昭和37年
法律第160号)の規定に基づく不服申立てがあったときは,当該不服申立てが明
らかに不適法であるときを除き,遅滞なく,阿児町情報公開審査会に諮問し,その
答申を最大限尊重して当該不服申し立てに対する決定又は裁決をしなければならな
い。
(阿児町情報公開審査会)
14条 前条の規定による諮問に応じて審査を行う機関として,阿児町情報公開審
査会(以下「審査会」という。)を置く。
2 委員会は,委員5人以内で組織する。
3 委員は,識見を有する者,その他町長が適当と認める者のうちから町長が任命
する。
4ないし8項 (略)
(公文書の任意公開)15条 (略)
(他の制度等との調整)
16条 この条例の規定は,他の法令等の規定により公文書を閲覧,若しくは縦
覧,又は公文書の謄本,抄本その他の写しの交付(以下「閲覧等」という。)の手
続きが定められている場合における当該公文書の閲覧等については適用しない。
2項 (略)
(公文書の目録の作成)17条,(情報提供施策の推進)18条,(制度の周知措
置)19条,(実施状況の公表)20条,(委任)21条 (略)
附則
(施行期日)
1 この条例は,平成12年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例は,平成11年度以後に実施機関の職員が作成し,又は取得した公文
書について適用する。
3 (略)

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