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平成14年2月14日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
平成11年(ワ)第200号 保険金請求事件
口頭弁論終結日 平成13年9月13日
         判    決
         主    文
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
         事実及び理由
第1 請求
 1 被告全国生活協同組合連合会(以下「被告全国生協」という。)は,原告に
対し,金2311  万6110円及びこれに対する平成9年5月11日から支払
済みまで年5分の割合による金員を  支払え。
 2 被告群馬県労働者生活協同組合(以下「被告労生協」という。)は,原告に
対し,1543万  4729円及びこれに対する平成9年5月11日から支払済
みまで年5分の割合による金員を支  払え。
 3 被告あいおい損害保険株式会社(以下「被告あいおい」という。)は,原告
に対し,金182  4万9554円及びこれに対する平成9年5月11日から支
払済みまで年6分の割合による金員  を支払え。
 4 訴訟費用は被告らの負担とする。
 5 この判決は,仮に執行することが出来る。
第2 事案の概要
   本件は,原告が被告全国生協,同労生協,大東京,千代田との間で,建物(a
市b町c鉄筋コン  クリート造。以下「本件建物」という。),家財を目的とし
て,各火災共済,火災保険契約を締  結していたところ,本件建物が罹災(火
災)したので,各共済,保険契約(以下各「本件(共   済,保険)契約」とい
う。)により,共済,保険金と遅延損害金を請求したのに対し,被告ら   が,
本件共済,保険契約については免責特約該当事由(①本件火災は原告の故意,重過
失による  火事,②重複契約の告知義務違反による契約解除)があるなどとし
て,原告の支払請求を拒否し  た事案である。
 1 争いのない事実及び証拠上容易に認められる事実
 (1) 被告全国生協関係
   ア 原告は,平成9年3月18日(訴状27日,甲17「火災風水害等共済
事業規約」11条    1項,7項,申込提出日は3月18日(乙1),掛金2
万4480円は3月17日振込(乙    2),3月27日は「新型火災共済加
入証書」発行日),被告全国生協と次の火災共済契約    を締結し,所定の払
込共済掛金額を支払った(甲1,2の各1,2,甲3)。
    ① 保障限度額 
       住宅  3500万円
       家財  1600万円
       合計  5100万円
    ② 保険料  毎1年掛金2万4480円
    ③ 共済契約者 原告
    ④ 共済目的物件 住宅(自家,居住専用住宅),家財
    ⑤ 保障開始日 平成9年3月19日午前0時から
   イ 平成9年5月11日,上記共済の目的である住宅,家財につき火災によ
って損害が生じた    ので,原告は,上記共済契約に基づき,その共済金の請
求をしたところ,被告全国生協は,    通知,告知義務違背を理由に,同年6
月9日付共済契約解除の通知をなし,共済金の支払を    拒絶した(甲4)。
 (2) 被告労生協関係
   ア 原告は,平成8年5月29日,被告労生協と次の火災共済契約を締結
し,同月28日所定    の共済掛金額を支払った(甲5,6)。
    ① 保障額 
       住宅  3000万円
       家財  1000万円
       合計  4000万円
    ② 保険料  毎1年掛金1万6000円
    ③ 共済契約者 原告
    ④ 共済目的物件 住宅,家財
    ⑤ 発行日と満期日 平成8年5月29日から平成9年5月31日まで
   イ 原告は,平成8年8月6日,被告労生協と次の火災共済契約を締結し,
その頃所定の本年    度払込共済掛金額を支払った(甲7,8の1,2)。
    ① 保障額 
       住宅  780万円
       家財  900万円
       合計  1680万円
    ② 保険料  毎1年掛金6720円
    ③ 共済契約者 原告
    ④ 共済目的物件 住宅,家財
    ⑤ 発行日と満期日 平成8年8月6日から平成9年8月31日まで
   ウ 平成9年5月11日,上記共済の目的である住宅,家財につき火災によ
って損害が生じた    ので,原告は,上記共済契約に基づき,その共済金の請
求をしたところ,被告労生協は,通    知義務違背を理由に,同年6月9日付
共済契約解除の通知をなし,共済金の支払を拒絶した    (甲9)。
 (3) 大東京関係
   ア 原告は,平成8年8月27日,大東京と次の火災保険契約を締結し,同
日所定の火災保険    料金を支払った(甲10,11)。
    ① 保険金 
       建物  4000万円
       家財  2000万円
       合計  6000万円
    ② 保険料  4万9400円
    ③ 保険契約者 原告
    ④ 保険目的物件 建物,家財
    ⑤ 保険期間 平成8年8月27日から平成9年8月27日まで1年間
   イ 平成9年5月11日上記保険の目的である建物,家財につき火災によっ
て損害が生じたの    で,原告は,上記保険契約に基づき,その保険金の請求
をしたところ,被告大東京は,告知    義務違背を理由に,同年6月9日付保
険契約解除の通知をなし,保険金の支払を拒絶した(    甲14)。
 (4) 千代田関係
   ア 原告は,平成8年8月26日,被告千代田と次の火災保険契約を締結
し,その頃,所定の    火災保険料金を支払った(甲15)。
    ① 保険金
       家財  400万円
    ② 保険料  5760円
    ③ 保険契約者  原告
    ④ 保険目的物件 家財
    ⑤ 保険期間  平成8年8月26日から平成10年8月26日まで2年

   イ 平成9年5月11日,上記保険の目的である家財につき火災が生じたの
で,原告は,上記    保険契約に基づき,その保険金の請求をしたところ,被
告千代田は,同年6月9日付保険契    約失効の通知をなし,保険金の支払を
拒絶した(甲16)。
 2 原告の主張
 (1) 被告全国生協関係
   ア 同被告の主張(故意,重過失による火災招致,告知義務違反等)は否認
ないし争う。
   イ 同被告との本件保険契約に基づき,次の金員の支払を求める。
    ① 2101万4646円 共済金 同金額に至る明細は以下のとおり。
    (ア) A 「住宅,家財とも,加入額が加入基準額に基づき算出したそ
れぞれの評価額の         70%以上に相当する場合で,火災による損
害額が再取得価額で評価される」          (認める)が,本件は70
%以上の焼損につき全焼となり,加入額の全額共済金         として支
払われる。
          したがって,基本共済金として,住宅につき3500万円,
家財につき160         0万円が支払われる。
        B 臨時費用共済金として,基本共済金額の20%が支払われる
ので,住宅につき         3500万円の20%の700万円,家財に
つき1600万円の20%の320         万円のところ,各200万
円限度額となっているので,住宅,家財とも各200         万円が支
払われる。
        C 上記A,Bの合計額5500万円が請求共済金である(甲1
7,18)。
    (イ) 保険金を支払うべき他の保険契約がある場合
        関係規約または約款条項
         しおり(甲18)第9の10,規約(甲17)第2条6項
    (ウ) 上記関係規約または約款にしたがって計算すると次のとおり。
  5500万円(被告全国生協,後記)+6280万円(被告労生
協,後記)+53       19万9000円(被告大東京,後記)+540
万円(被告千代田,後記)=1億7       639万9000円
        5500万÷1億7639万9000=0.31179
        6740万円(本件損害額)×0.31179=2101万46
46円
    ② 210万1464円 弁護士費用
    ③ 同金員に対する火災発生の日である平成9年5月11日から支払済み
まで年5分の割合     による遅延損害金
 (2) 被告労生協関係
   ア 同被告の主張(故意,重過失による火災招致,通知義務違背等)は否認
ないし争う。
   イ 同被告との本件保険契約に基づき,次の金員の支払を求める。
    ① 1403万1572円 共済金 同金額に至る明細は以下のとおり。
    (ア) A 本件は70%以上の焼損につき全焼となり,加入額の全額共
済金として支払わ         れるが,本件損傷の住宅,家財に関する損害
は,5818万9000円であるか         ら,保証額全額共済金とし
て支払われる。したがって,基本共済金として,上記         保障額計
4000万円(住宅3000万円,家財1000万円)及び1680万     
    円(住宅780万円,家財900万円)が支払われる。
        B 臨時費用共済金として,基本共済金額の15%が支払われる
ので,上記保障金         額4000万円の15%の600万円,16
80万円の15%の252万円のと         ころ,住宅,家財の上記各
契約につき,1の契約につき400万円,2の契約に         つき20
0万円の計600万円が支払われる。
        C 上記A,Bの合計額6280万円が請求共済金である(甲1
9)。
    (イ) 保険金を支払うべき他の保険契約がある場合
        関係規約または約款条項
         規約(甲19)第52条
    (ウ) 上記関係規約または約款にしたがって計算すると次のとおり。
  1880万円(被告労生協,上記780万円,900万円,20
0万円を加えたも       の)+4400万円(上記4000万円に上記4
00万円を加えたもの)+5500       万円(被告全国生協,前記)+
5319万9000円(被告大東京,後記)+540       万円(被告千
代田,後記)=1億7639万9000円
        1880万÷1億7639万9000=0.10657
        1932万円(本件損害額)×0.10657=205万893
2円
        4400万円(上記4000万円に上記400万円を加えたも
の)+1880万円      (被告労生協,上記780万円,900万円,2
00万円を加えたもの)+5500万       円(被告全国生協,前記)+
5319万9000円(被告大東京,後記)+540万       円(被告千
代田,後記)=1億7639万9000円
        4400万÷1億7639万9000=0.24943
        4800万円(本件損害額)×0.24943=1197万26
40円
205万8932円+1197万2640円=1403万157
2円
    ② 140万3157円 弁護士費用
    ③ 同金員に対する火災発生の日である平成9年5月11日から支払済み
まで年5分の割合     による遅延損害金
 (3) 被告大東京関係
   ア 同被告の主張(故意,重過失による火災招致,告知義務違背等)は否認
ないし争う。
   イ 同被告との本件保険契約に基づき,次の金員の支払を求める
    ① 1604万3754円 火災保険金 同金額に至る明細は以下のとお
り。
    (ア) 支払責任額
      A 建物(甲24)
       a 3階建物,2階建物
         3階建物の焼損は21坪,建築代金坪単価75万円につき損害
額は,1575万        円である。
         2階建物の焼損は11坪,建築代金坪単価65万円につき損害
額は,715万円        である。
         新価協定が存し,火災時新価計算となる(甲20の特約条項3
の1条,2条)。
         以上,甲20の約款1条1項,4条1項,3項。
       b 2階建物修理
         本件建物焼損により2階建物部分の修理が必要である。甲20
の約款1条8項,        8条1項,2項により,臨時費用保険金とし
て,2,3階建物の焼損損害額157        5万円,715万円と電気
工事一式275万円を加算した2565万円の30%の        769万
5000円である。
       c 1階建物修理
         本件建物焼損により1階建物部分の修理が必要である。甲20
の約款1条13項        (4),13条1項により,修理付帯費用保険
金として,上記bと同計算により,        769万5000円である。
       d  電気工事一式
275万円である。
       e  バラシ代
3階,2階の建物について,足場や安全ネットを1ないし3
階にかける。
甲20の約款1条9項,9条により460万円である。
       f  運搬片付け1式
          150万円
       g  仮設物設置費用
          甲20の約款1条13項(6),13条による。
          居住人の原告とAの2軒分仮の住居として仮設建物を設置し
た。
          人夫代  3人で2日  1人1日1万5000円
               計9万円
          車リース代  1日1万5000円で2日
               計3万円
          合計  12万円
       h 以上,aないしgの建物についての支払責任額の合計は472
6万円である。
      B 家財(甲23)
        甲20の約款4条,特約条項3の2条により,損害額1092万
9000円を請求       する(但し,家財残存物取片付け費用は,上記計
算と別計算になるが,本訴では留保       する。)。
      C 以上A,Bの計5818万9000円が支払責任額の合計金であ
る。
    (イ) 支払限度額(甲20の約款別表1)
      A 建物
        前記3階建物,2階建物,前記電気工事一式の計2565万円
(前記別表1の1)
        前記2階建物修理につき,500万円(前記別表1の5)
        前記1階建物修理につき,540万円(前記別表1の9)
        前記バラシ代,運搬片付け1式代計610万円(前記別表1の
6)
        前記仮設物設置費用12万円(前記別表1の9)
        上記合計 4227万円
      B 家財
        前記1092万9000円
      C 以上A,Bの計5319万9000円が支払限度額の合計金であ
る。
    (ウ) 関係規約または約款条項
        約款(甲20)14条,約款(甲21)13条
    (エ) 上記関係規約または約款にしたがって計算すると次のとおりであ
る。
5319万9000円(被告大東京)+5500万円(被告全国
生協,前記)+4       400万円(被告労生協,前記)+1880万円
(被告労生協,前記)+540万円       (被告千代田,後記)=1億7
639万9000円
 5319万9000円÷1億7639万9000円=0.301
58
        5319万9000円(別表1の支払限度額)×0.30158
=1604万37       54円
    ② 160万4375円 弁護士費用
    ③ 同金員に対する火災発生の日である平成9年5月11日から支払済み
まで年6分の割合     による遅延損害金
 (4) 被告千代田関係
   ア 同被告の主張(故意,重過失による火災招致,保険契約失効等)は否認
ないし争う。
   イ 原告は同被告に対し,本件保険契約に基づき次の金員の支払を求める
    ① 54万6750円 火災保険金 同金額に至る明細は以下のとおり。
    (ア) 約款(甲22)第1条1項(1)号,第4条1項により,家財損
害額1092万9       000円のうち,支払損害保険金は,400万円
が支払われる。
    (イ) 臨時費用保険金として,上記損害保険金の30%が支払われると
ころ,100万円       が限度となっているので(約款4条3項),10
0万円が支払われる。
    (ウ) 残存物取片付け費用として,上記損害保険金の10%に相当する
額が限度となって       いるので(約款第1条4項,4条5項),前記6
10万円にかかわらず,40万円が       支払われる。
    (エ) 上記(ア)ないし(ウ)の合計540万円が支払責任且つ限度額
である。
    (オ) 保険金を支払うべき他の保険契約がある場合
        関係規約または約款条項
        約款(甲22)第5条
    (カ) 上記関係規約または約款にしたがって計算すると次のとおり。
  540万円(被告千代田,前記)+1800万円(被告全国生
協,前記)+190       0万円(被告労生協,前記)+1092万90
00円(被告大東京,前記)=533       2万9000円
        540万÷5332万9000=0.10125
        540万円(別表1の支払限度額)×0.10125=54万6
750円
    ② 5万4675円 弁護士費用
    ③ 同金員に対する火災発生の日である平成9年5月11日から支払済み
まで年6分の割合     による遅延損害金
 3 被告らの主張
 (1) 原告の主張は否認ないし争う。
 (2) 被告全国生協の主張(認否,反論ー抗弁)
   ア 本件は,40.6%の焼損(延べ面積172.25㎡,焼損面積70㎡
(丁1))で,焼    損率が70%未満であるから全焼ではない(甲18第9
の1項(1),甲17のうち「火災    風水害等共済事業実施規則」第9
条)。
   イ 臨時共済金の額は,一共済事故につき200万円を限度とし,火災等共
済金額の最高20    %に相当する額とする(甲17規約20条3項,甲18
第9の2項)。したがって,仮に,    原告主張のような火災共済金が支払わ
れるとしても,臨時共済金額200万円が限度であ     る。
   ウ 被告全国生協の主張
① 不実告知による共済契約の解除
(ア)A 被告全国生協に,共済契約の申込をする者は,同被告の定める
申込書に必要事項        を記入して同被告に提出しなければならない
(甲17規約11条1項,甲18第1        0の3項)。
         原告は,同被告との上記共済契約締結当時,契約書の記載事項
中,本人を含む同        居(同一生計)の家族の人数を4人と告げてい
たが(乙1),1人だった(丁1ー        61丁,78丁)。
         よって,原告は,契約の当時,故意又は重大な過失により,申
込書の記載事項         (甲17規約11条1項)につき,同被告に不
実のことを告げたことになる。
       B 共済の目的となるべき物につき火災等を事故とする法律に基づ
く他の契約が既に        ある場合,共済契約の申込をする者は,申込と
同時にその状況等を同被告に告知し        なければならない(甲17規
約11条2項1号)。
         原告は,同被告への上記加入申込の際,本件火災共済の保障開
始(平成9年3月        19日)以後も,他の火災保険等の契約が引き
続いてないと答えている(乙1)。
         ところが,原告は,上記共済の目的となるべき物につき,火災
等を事故とする法        律に基づく他の契約が,既に,前記のとおりあ
った。
         よって,原告は,共済契約の当時,故意又は重大な過失によ
り,上記事項(甲1        7規約11条2項)につき不実のことを告げ
たことになる。
    (イ) そこで,同被告は,原告に対し,平成9年6月9日,上記不実告
知を理由として,       解除の原因を知ったとき(同年5月15日,被告
労生協から同被告とも契約している       旨の電話を受けて)から30日
内に上記契約を解除し(甲17規約17条2項,甲1       8第7の5項
(1)),共済金を支払う責に任ずることは出来ないことを通知した(     
  甲17規約17条2項,5項,6項,甲18第10の3項,甲4,乙3)。
    (ウ) よって,被告全国生協は,原告に共済金を支払う責に任じない。
    (エ) なお,同被告は,原告に対し,「県民共済の新型火災共済ご加入
のしおり」(甲1       8と同じ)を郵送し,同月28日ころ原告に到達
している(乙5)。
        よって,原告は,上記「しおり」の内容を承知した筈である(乙
5)。
    ② 故意または重過失に基づく出火による損害についての免責
    以下の事実によれば,原告の故意少なくとも重過失に基づく火災であ
ることは明らかで     あり,規約22条1項1号(甲17,甲18第10の
1項(1))により免責される。
    (ア) 契約額及び契約時期について
        原告は,被告全国生協との間で,建物に対する契約額3500万
円,家財に対する       契約額1600万円の共済契約を締結するに際
し,本件火災が発生する1年内に,前       記のとおりの火災保険契約を
締結し,同被告との契約を含めた額は異常に高額であ        る。
        原告方では,原告妻子が家を出て別居し(丁1-61丁,76
丁),原告が新たに       居宅の火災保険金額を増やさなければならない
事情は存在しない。
    (イ) 原告は過去にも火災保険金を取得している。
        被告労生協の火災共済に加入していての火災事故は今回(平成9
年)を含め次の4       回である。
      A 昭和55年7月6日(自宅)
        隣家への放火による類焼
        支払共済金  43万3000円
      B 平成4年10月27日(自宅)
        仏壇の石油ランプの消し忘れ(事故時家人不在)
        支払共済金  1900万円
      C 平成5年6月29日(アパート)
        煙草の火の不始末(事故時家人不在)
        支払共済金  1012万円
        合計     2955万3000円
    (ウ) 原告は,火に対する管理意識がなく,不自然である。
        原告は,本件火災の前にも,被告労生協だけでも3回,合計29
55万3000円       の火災共済金を受領している。通常人であるなら
ば,それ以後は火元管理に,より一       層気を配る筈である。3回も失
火するのは不自然である。
    (エ) 原告は,通常人より火災に対する注意義務がある。
        今回と過去2回を含め,3回の火災事故は,いずれも無人の状態
でのものである        が,通常,自宅から3回も出火することは考えら
れない。
    (オ) 原告は,上記のとおり,通常人より火災に対する注意義務がある
にもかかわらず,       次のような火災の原因となる行為をしている。
       A 原告は,石油ストーブで衣類を乾燥するために,本件共済の目
的である建物の3        階西側居間に,Aが背伸びして届く位の高さ
に,ネジと釘で壁に止めた針金を南北        に張って,真中辺も天井か
ら針金で吊った(丁1ー10丁,65丁)。
       B Aは,火をつけたままの上記石油ストーブの上の針金に,衣類
200着位をハン        ガーで吊して外出した(丁1ー2丁,10丁,
26丁,66丁)。そうすれば,何        らかの原因で上部の衣類に着
火するか,針金が重さに耐えきれず切れて,衣類が石        油ストーブ
直近に落下し,石油ストーブの火が着火する危険性は十分予想しうる      
   (丁1ー11丁)。
       C 原告は,洗濯物を干すときは,本件建物の3階に上がっており
(丁1ー61          丁),本件火事のときの洗濯物の大半(約20
0着中150着以上)が原告のもの        であった(乙4,丁1ー10
丁,66丁,78丁,79丁)から,留守家にして出        かける際に
は,自ら石油ストーブの火を消すべきであった。
         ところが,原告は,自ら消さなかっただけでなく,Aに消した
か否か確認さえし        なかった(丁1ー61丁)。
    ③ 契約一部無効
    (ア) 家財
        原告の家財契約額は,1600万円であるが,原告の家財の加入
基準額は単身者で       (丁1ー61丁,76丁)400万円であり,1
200万円が超過契約となり,同金       額は無効となる。
    (イ) 火災事故のあった建物の居住者は,原告,A,Aの子供の3名で
あるが,Aとその       子供は本件「家族」に当たらない。
        なぜなら,「家族」とは,共済契約者と生計を一にする2親等内
の親族である(甲       18第二の1項(1)①,乙1)が,Aは,間借
人に過ぎない(乙4,丁1ー4丁,       61丁,64丁)。
 (3) 被告労生協の主張(認否,反論ー抗弁)
   ア 被告労生協は,風水害等給付金付火災共済事業規約40条2項により,
契約出来る共済契    約の共済金額は,住宅については,2000万円以下,
家財については,1000万円以下    となっている。
 住宅契約について2000万円,家財契約について1000万円を越え
る契約は,被告労    生協が全国労働者共済生活協同組合連合会より業務委託
を受け,契約及び給付審査などをし    ている。
   イ 本件は70%以上の焼損であること,本件焼損の住宅,家財に関する損
害は5818万9    000円であることは否認する。
   ウ 規約に「臨時費用共済金として基本共済金額15%が支払われること」
が記載されている    ことは認める。但し,規約には,1所帯当たり,かつ1
回の支払額は,200万円を限度と    すると規定されている。
     原告主張1の契約につき400万円,同2の契約につき200万円が支
払われることは否    認する。
   エ 被告労生協の主張
    ① 通知義務違反,共済契約の解除
    (ア) 原告は,同被告と以下の風水害等給付金付共済契約を締結した。
        契約1 契約番号 300958ー1
            契約額  住宅3000万円    家財1000万円
                           合計  4000万円
            契約期間 1996年5月29日から1997年5月3
1日まで  
契約2 契約番号 300958ー2
            契約額  住宅 780万円    家財 900万円
                           合計  1680万円
            契約期間 1996年8月6日から1997年8月31
日まで 
    (イ) 平成9年5月11日,共済契約目的物件に火災が発生した。
    (ウ) 原告には,風水害等給付金付火災共済事業規約38条1項(1)
に該当する事由が       ある。
    (エ) 被告労生協は,平成9年6月9日,同規約33条1項(2)に基
づき,上記2件の       共済契約を解除した。
        また,同被告は,同規約54条2項により,原告に対し,基本契
約共済金を支払出       来ない。
    ② 故意または重過失に基づく出火による損害についての免責
      以下の事実によれば,本件火災は,原告の故意少なくとも重過失に基
づく火災であるこ     とは明らかであり,同規約54条(1)により免責さ
れる。
    (ア) 契約額及び契約時期について
        原告は,被告労生協との間で,建物に対する契約額3000万
円,家財に対する契       約額1000万円の共済契約を締結していたに
もかかわらず,本件火災が発生する1       年内に,別紙原告付保状況一
覧表のとおり,異常な額の火災保険契約を締結した。
        原告方では,原告妻子が家を出て別居し(丁1-61丁,76
丁),原告が新たに       居宅の火災保険金額を増やさなければならない
事情は存在しない。
    (イ) 原告は過去にも火災保険金を取得している。
        被告労生協の火災共済に加入していての火災事故は今回(平成9
年)を含め次の4       回である。
      A 昭和55年7月6日(自宅)
        隣家への放火による類焼
        支払共済金  43万3000円
      B 平成4年10月27日(自宅)
        仏壇の石油ランプの消し忘れ(事故時家人不在)
        支払共済金  1900万円
      C 平成5年6月29日(アパート)
        煙草の火の不始末(事故時家人不在)
        支払共済金  1012万円
        合計     2955万3000円
    (ウ) 原告は火に対する管理意識がなく,不自然である。
        原告は,本件火災の前にも,被告労生協だけでも3回,合計29
55万3000円       の火災共済金を受領している。通常人であるなら
ば,それ以後は火元管理に,より一       層気を配る筈である。3回も失
火するのは不自然である。
    (エ) 原告は,通常人より火災に対する注意義務がある。
        今回の火災事故も原告宅よりの出火である。今回と過去2回を含
め,3回の火災事       故は,いずれも無人の状態での出火であるが,通
常,自宅から3回も出火することは       考えられない。
    ③ 契約一部無効
    (ア) 家財
        原告の家財契約額は,2契約を合わせ1900万円であるが,原
告の家財の加入基       準額は50歳代単身者で700万円であり,12
00万円が超過契約となり,同金額       は無効となる。
    (イ) 火災事故のあった建物の居住者は,原告,A,Aの子供の3名で
あるが,Aとその       子供は,火災共済でいう共済契約関係者に当たら
ない。共済契約関係者とは,共済契       約者及びその者と生計を一にす
る親族である。
    (ウ) 住宅について
        同被告の受託契約額は,2契約合わせ3780万円であるが,
「700万円が超過       契約」であり,有効契約は3080万円であ
る。
A 登記簿謄本による建物延べ面積は144.17平方メートル(4
3.68坪)
      B 契約者の申告(申込書)建物延べ面積は54坪
      C 建物の基準額は坪70万円×44坪=3080万円
        原告が同被告に申告した面積は,54坪である。
    (エ) 家財及び住宅の加入基準額は毎年の契約更新時に契約者に送付し
ている「火災共済       満期のお知らせ」及びパンフレット又は契約証書
送付時に同封するしおりにより,契       約内容の再確認を行っている。
 (4) 被告あいおいの主張(認否,反論ー抗弁)
   ア 大東京
     大東京との保険契約が新価特約であることは認めるが,原告の損害額は
不知または争う。
     約款の各規定は認めるが,具体的計算方法,損害額は不知または争う。
   イ 千代田
     家財に関する損害が1092万9000円であることは否認し,約款4
条4に「臨時費用    保険金として損害保険金の30%が支払われること」が
記載されていること,約款4条5に    「残存物取片付け費用として損害保険
金の10%が支払われること」が記載してあることは    認め,その余は争
う。
   ウ 被告あいおいの主張
    ① 故意による事故招致(免責)
原告とAは,本件建物において夫婦と同視し得る関係で生活してきた
ものであるとこ      ろ,保険金取得の目的で原告及びAは,共同して原告
主張の日時に本件建物3階居室部分     に点火した石油ストーブを置き,そ
の上に多数の衣類を掛けた針金をわたし,恰も衣類の     重みで針金が切れ
て落下した衣類に石油ストーブの火が着火したように何らかの作為をし     
て外出し,もって本件建物に放火したと推認せざるを得ない。
      したがって,原告らの上記作為は,本件店舗総合保険普通保険約款2
条1項1号「保険     契約者・被保険者の故意」に該当し,被告あいおいは
保険金支払義務を負わない(甲2      0,22)。 
    ② 重過失による事故の免責
仮に,上記①が認められないとしても,本件事故は,被保険者(原
告)の重過失による     出火と認定出来,本件保険約款(甲20,22)2
条1項1号に該当するから,被告あい     おいには本件保険金支払義務はな
い。
    ③ 告知義務違反による契約解除(大東京との火災保険契約に限る。)
    (ア) 原告は,平成8年8月27日,大東京との間に本件火災保険契約
を締結するに際し       て,同月26日千代田との間に締結した家財を目
的とする火災保険契約を告知しなか       った。
    (イ) 本件保険約款第2章16条1項には,保険契約者が保険申込書の
記載事項について       知っている事実を告げず,不実のことを告げたと
きには保険会社は同保険契約を解除       する旨規定し,他保険告知も重
要事項であり,原告は,本件火災保険申込書の「他の       保険契約」欄
に記載はなく,これに該当する(丁2,甲20)。
    (ウ) そこで,大東京は,平成9年6月9日ころ原告到達書面をもっ
て,前記告知義務違       反を理由に本件保険契約を解除した(甲1
4)。
        よって,大東京は,本件保険約款第2章16条4項に基づき,本
件保険金支払義務       を負担しないことになる。
 4 争点
 (1) 本件火災発生原因(原告の故意,重過失の有無)
 (2) 原告の告知義務違反の有無
 (3) 金額等
第3 当裁判所の判断
 1 原告,証人Aの供述及び関係証拠(甲35,36ー陳述書等)によれば,要
旨以下のとおりで  ある。
 (1) 原告は,平成8年と同9年,被告ら(被告あいおいについては,その前
身の大東京,千代    田)4社との間で,本件建物,家財につき,重複契約等
の注意を受けることなく,勧めに応    じる形で,原告主張の本件各火災共
済,火災保険契約を締結した。
 (2) 原告は,平成9年5月11日,本件建物につき,本件火災に罹災し,本
件各契約に基づき    所定の共済金,保険金の支払を求めたが,被告らは,各
主張の理由により,共済金,保険金    の支払を拒否し,本件訴訟となった。
 (3) 本件火災は,Aが,当日朝,子供の寝小便による衣類を乾かすため,石
油ストーブの上に    張った針金に衣類を掛け,なお,ストーブの真上当たり
には,子供の敷布団を掛けて,同     日,朝,大家の原告と一緒に出掛け,
所用を済ませて帰宅すると,既に,本件建物の3階等    主要なところは,火
災に遭い,そのままでは本件建物に居住することは出来ない様相を呈し    て
いた。
 (4) 被告らは,本件火災は,原告の故意または重過失によるなどと主張する
が,これを裏付け    る証拠はなく,原告の関与のないAの過失による本件火
災発生による罹災というべきであ     る。
 2 しかし,証人B,同C,同D,同E及び関係証拠(甲2の1,2,甲18,
乙1,10,1   1,16,丙2の1~3,18,22,25,26,丁1の
2,7,9ないし11,13,1   4,戊3ないし5等)によれば,以下の事
実が認められる。
 (1) Bは,被告全国生協の火災共済サービス部職員として同共済契約に携わ
っているところ,    同被告と原告との本件共済契約の締結は,平成9年3月
18日,F銀行G支店で原告により    契約申込がなされ(乙1)ているが,
同申込書には契約内容記載のパンフレットが付随して    あり,当該申込書,
パンフレット等には,契約内容の詳細が記載され,申込者と被告全国生    協
との契約はこれらの契約条項(信頼関係)に基づいて締結される。そして,Bの認
識する    ところでは,本件契約締結前,原告には火災遭遇の経験があり,他
の保険契約にも加入して    おり,契約に当たっては,告知義務の重要性は認
識していた筈である,しかるに,本件申込    書には,他社との契約がない旨
記載されており,しかも本件契約では,共済金額や保険金額    が非常に大き
く,不足分の補充というより,「焼け太り」の意図に基づくものではないかと  
  疑われる。
 (2) Cは,被告労生協の事業推進部推進企画課長をしており(丙25),本
件火災現場に,2    回,即ち,平成9年5月11日(火災当日)と同月15
日行ったが,1回目は1人で写真撮    影と見取図作成をし,2回目は本部の
H係長と一緒に行った。Cは,2回目のとき,同係長    の重複契約について
の質問に対し,原告から千代田火災加入の事実は聞いたけれども,その    他
の加入については聞いておらず,その後,被告労生協において,原告から平成9年
5月1    4日付支払請求書(丙22)の提出を受けたものであるところ,同
請求書には,他の保険     (共済)契約は無い旨記載されている。また,被
告労生協への共済加入書には,他の保険契    約記入欄があり,現に,平成8
年8月6日の本件契約申込書(丙18)にも同欄があるが,    重複契約の記
載がなされていない。
 (3) Dは,有限会社I調査事務所(火災原因等調査業務)を経営しており,
本件被告らからの    依頼で本件火災調査事務を実施し,平成11年11月3
0日付報告書等(丁9ないし11)    を作成,提出(報告)したが,調査の
結果によれば,以下の事実が判明した。
   ア Dが同年11月,3階建本件建物に臨み,原告,Aから事情を聞いたと
ころでは,平成9    年5月11日当時,同建物には原告,A,Aの子供が居
住し,原告は妻とははやくに別居     し,原告の息子2人は,罹災時点では
本件建物に居住しておらず,Aは,子供が3階西側借    間(以下「本件部
屋」などという。)ベッドに,自身はマットレスのある隣室に寝ていたと    
述べ(丁1の2),また,原告の被告大東京宛平成9年5月13日付申告書(罹災
動産損害    明細書,甲23)に基づき,両名に各動産の所在を確認するとと
もに,それぞれの所在場所    の明確化を図った(丁11,14)。
   イ 原告,A両名の説明では,上記隣室の押入等には,双方の衣類等が複数
あるほか,本件部    屋のセミダブルは子供が,隣室のダブルのマットレスは
A自身が使用し,また,前記明細書    には,例えば,原告所有のシャンデリ
ア(蛍光灯)等,A,原告双方のものが一緒に記載さ    れ,各動産につき所
有関係につき分明な説明が少なく,さらに,普段,朝食はAまたは原告    が
つくり,本件火災当日は,Aが用意したものである(丁11)。
   ウ 本件建物には,外階段がなく,東側出入口には「貸間入口」の表示が貼
付されており(丁    10),表道路側には事務所のドアがあった。そして,
内部は1ないし3階には上り下り自    由の階段が設置されており,台所は2
階に,便所と風呂は1階にそれぞれ1つあるだけであ    った。
     なお,火災後,市役所からA親子に市営住宅の優先提供を提案された
が,Aは,これを断    り,罹災現場の原告の部屋(2階,丁10)で一緒に
寝起きしており,不自然な印象を受け    た。
   エ 原告の罹災歴は,今回で5回目であるが(丁11資料五),ランプの消
し忘れ,たばこの    火の不始末,ストーブの火等,いずれも留守したとき,
小さな火種からの出火であるとこ     ろ,Dの調査経験では,ストーブの上
の洗濯物落下による出火は故意が装う例が目立ち,4    回,5回の場合は事
件絡みが殆どである。
 (4) Eは,平成9年5月12日,被告全国生協(県民共済)では原告から火
災発生の知らせを    受け(乙13),同月13日,原告宅を訪問するなどし
て,本件火災について調査したが,    その結果,以下の事実が認められた。
   ア Eは,同日,本件建物脇で待機していたところ,午前10時15分こ
ろ,原告が出先から    帰ったので,声を掛け,事情聴取を開始した。Eは,
先ず,3階において,出火に至る経過    等の説明を受け,その間写真撮影を
するなどしたが,そこでの説明が終わるころ,Aが帰宅    し,原告に対し外
出先(病院)を告げるなどした。Eは,2人のやり取りを見て,家主と借    
家人の関係というより,父親と娘のように見て取れた。
   イ 上記平成9年5月13日,3階では,罹災物件は片づけられており,A
借用の本件部屋に    従前あった家財は原告の所有であるとの説明があり(乙
14),2階での説明に移ったが,    そこでは,両名から,台所,居間等の
冠水被害の説明があり,Eは,1階,2階につき,平    成9年5月14日付
家財損害内訳書(乙16)を作成し,原告の署名を得たが,損害は1階    が
テレビ,2階がガスコンロ,電子レンジ,食器棚,テレビが掲げられていたけれど
も,布    団類はなく,原告は3階で寝起きしていることが窺えた。
   ウ Eは,同年6月9日,被告全国生協代理人小渕と原告宅を訪ねたとこ
ろ,原告不在であっ    たが,同日及び前記5月13日の訪問調査の印象等で
は,長男,二男と同居の事実はなく,    妻Jも離婚しており,現に,同年5
月14日付内訳書(乙16)には,原告は妻と平成8年    12月2日まで同
居との記載がある。
 3 以上2に認定の事実,関係証拠及び弁論の全趣旨に基づき,以下のとおり認
定,判断する。原  告,証人Aの供述(陳述書を含む)中これに反する部分(前
記)は採用しない。
 (1) 故意,重過失関係
   ア 原告は,被告全国生協とは平成9年3月18日,同労生協とは平成8年
5月29日,同年    8月6日,同大東京とは同年8月27日,同千代田とは
同年8月26日,各本件共済,保険    契約を締結したが,平成9年5月11
日,本件建物につき本件火災が発生し,本件被害が生    じた。
   イ 被告らは,本件火災は原告の故意または重過失により発生したものであ
ると主張するので    検討する。
    ① 本件火災の原因は,Aが平成9年5月11日早朝,外出に際し,石油
ストーブの上に張     られた針金に100着を越える衣類を吊し,石油スト
ーブの火を付けたまま外出し,同日     午前9時ころ出火,本件建物の3
階,2階(一部)の罹災を招致させ,消防による冠水等     もあり,多大の
損害が発生した。なお,同日は晴天であり,洗濯物はベランダ等外で乾か    
 すことは可能であった。
    ② 本件火災発生当時,原告は長男,二男とは別居しており,妻Jとは既
に離婚状態にあっ     てやはり別居していた。したがって,当時,本件建物
には原告,A,Aの子供が居住して     いたところ,A,原告の両者は家主
と借家人の関係に過ぎないと主張するが,上記罹災衣     類の中には原告の
ジャンパー等があり,台所は2階にあるだけで,火災当日も,2人は一     
緒に朝食を取り,同じ車で仕事に出掛けており,また,3階の使用状況もAのいた
部屋の     隣室については原告が使用していたことが窺われ,仮に,両名に
男女関係がなかったとし     ても,原告にはAと同様,本件石油ストーブの
火を消す等火を失しないように注意すべき     義務があったというべきであ
る(本件火災発生防止には,先ず,Aに対し,前記状態で石     油ストーブ
に火をつけたまま外出したことの責任が問われることは当然であるが,原告に  
   ついても,Aとの当時の生活状況からすれば,Aと同程度の本件火災発生防
止義務がある     というべきである。)。
      そして,上記防止義務の懈怠は,単なる過失ではなく,たとえ故意と
までいわないまで     も,少なくとも重大な過失による失火であると言わざ
るをえない。
 (2) 以上によれば,被告らは,各本件共済,保険契約において,被告ら主張
の各規約,約款     (甲17,19,20,22)により免責されるもので
ある。したがって,原告の被告らに    対する本件各請求は,その余の争点に
ついて判断するまでもなくいずれも理由がない。
第4 結論
   よって,原告の本訴請求は全部失当として棄却することとし,主文のとおり
判決する。
      前橋地方裁判所民事第2部
                裁 判 官  東 條  宏

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修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

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履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
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