弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴を棄却する。
     当審における未決勾留日数中百日を原判決の本刑に算入する。
         理    由
 本件控訴の趣意は弁護人尾崎陞、同田中英輝共同作成名義の控訴趣意書記載のと
おりであるから、ここにこれを引用する。
 控訴趣意第一点の一について。
 原審はその適法に取り調べた証拠により原判示第一事実として、被告人は昭和三
十三年五月二日午後三時半頃その勤め先であるA株式会社事務室において同会社総
務部長Bから取引先たるC信用金庫本店および同金庫D支店に預金方を依頼せられ
同会社所有の現金十七万五千円および小切手五枚(額面合計百八十一万二千七百四
十円)を預り保管中、その頃同会社所有のオートバイに乗つて同会社からまず前記
金庫のD支店に赴く途中で悪心を起こし、右現金および小切手五枚を自己の遊興費
等に充てるためほしいままにそのまま同都新宿方面に拐帯し逃走し以てこれらを横
領した事実を認定し、右のように小切手五枚についても自己の遊興費等に充てるた
めこれを拐帯横領した旨判示しておるのであるが弁護人はこの点につき横領罪の成
立に必要な不法領得の意思とは権利者を排除し、他人の物を自己の所有物と同様に
その経済的用法に従いこれを用利しまたは処分する意思と解すべきところ、本件小
切手五枚はいずれも線引小切手であり被告人においてこれを現金化することは困難
なものであつたので、被告人はこれをその経済的用法に従い利用しまたは処分する
意思は最初から全然持たなかつたのであるからこの小切手五枚については横領罪は
成立しない旨を主張するを以<要旨>て案ずるに、横領罪の成立に必要な不法領得の
意思とは、他人の物を保管する者が他人の権利を排除してその物を自己の所
有物のごとくに支配しまたは処分する意思をいい、必ずしもその物の経済的用法に
従いこれを利用しまたは処分する意思は必要としないものと解すべく、従つてまた
横領行為の一態様であるいわゆる拐帯行為とは、他人の物の保管者が前記のような
不法領得の意思のもとに、その保管する他人の物をほしいままに持ち去り、もつて
他人の権利を排除し、その物を自己の所有物のごとくに支配しまたは処分し得る状
態におく行為をいうものであると解するを相当とするところ、原判決は前記のよう
にその事実摘示として被告人において本件小切手五枚を前記現金と共に拐帯して逃
走した旨を判示し、その事実は原判決の挙示する証拠によりこれを認めることがで
きるから、原判決が右現金の外小切手五枚についても被告人においてこれを横領し
たものと認定したのは正当であつて、原判決が前段に記載したように右小切手五枚
についても被告人においてこれを遊興費等に充てる意思があつたと認定した点につ
いて、所論のような事実誤認があつたと仮定しても、その誤認は原判決に何等の影
響を及ぼすものでないこと右の説明により明らかであるから、原判決破棄の理由と
はならないのであつて、論旨は理由がない。
 (その他の控訴趣意は省略する。)
 (裁判長判事 滝沢太助 判事 久永正勝 判事 八田卯一郎)

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