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平成14年(行ケ)第564号 特許取消決定取消請求事件(平成15年1月20
日口頭弁論終結)
          判           決
       原      告   富士ゼロックス株式会社
       訴訟代理人弁理士   佐 藤 清 孝
       同          牛久保   学
       被      告   特許庁長官 太 田 信一郎
       指定代理人      東   次 男
       同          小 曳 満 昭
       同          宮 川 久 成
          主           文
 特許庁が異議2001-72191号事件について平成14年9月1
7日にした決定を取り消す。
      訴訟費用は被告の負担とする。
          事実及び理由
第1 請求
   主文と同旨
第2 当事者間に争いのない事実
 1 特許庁における手続の経緯
 (1) 原告は,名称を「画像処理装置」とする特許第3134292号発明(平
成2年5月31日特許出願,平成12年12月1日設定登録,以下この特許を「本
件特許」という。)の特許権者である。その後,本件特許中請求項2に係る特許に
つき特許異議の申立てがされ,同申立ては,異議2001-72191号事件とし
て特許庁に係属した。特許庁は,上記事件につき審理した結果,平成14年9月1
7日,「特許第3134292号の請求項2に係る特許を取り消す。」との決定
(以下「本件決定」という。)をし,その謄本は,同年10月7日,原告に送達さ
れた。
(2)原告は,同年11月5日,本件決定の取消しを求める本件訴えを提起した
後,同日,本件明細書の特許請求の範囲の記載等の訂正(以下「本件訂正」とい
う。)をする訂正審判の請求をし,特許庁は,同請求を訂正2002-39236
号事件として審理した結果,同年12月10日,本件訂正を認める旨の審決(以下
「訂正審決」という。)をし,その謄本は,同月20日,原告に送達された。
2 本件明細書の特許請求の範囲の記載
(1)本件訂正前のもの
【請求項2】原稿の各画素の濃度を検出する濃度検出手段と,
各濃度毎に画素数を計数して濃度分布のヒストグラムを作成するヒストグラ
ム作成手段と,
該ヒストグラムから濃度分布のピークを検出し地肌除去のための閾値を決定
する閾値決定手段と
を備えると共に,ヒストグラム作成手段は,濃度を複数の濃度領域に分け,
該濃度領域毎に画素数を計数して濃度分布のヒストグラムを作成することを特徴と
する画像処理装置。
(2)本件訂正に係るもの(訂正部分には下線を付す。)
【請求項2】原稿の各画素の濃度を検出する濃度検出手段と,
濃度を,幅を持った複数の濃度領域に分け,該濃度領域毎に(注,この部分
の訂正は,上記(1)の「を備えると共に,ヒストグラム作成手段は,濃度を複数の濃
度領域に分け,該濃度領域毎に画素数を計数して濃度分布のヒストグラムを作成す
る」を「を備える」に訂正することと併せて,明りょうでない記載の釈明を目的と
した訂正である。)画素数を計数して濃度分布のヒストグラムを作成するヒストグ
ラム作成手段と,
該ヒストグラムから濃度分布のピークを検出し,検出したピークに対応する
複数の地肌領域それぞれに適用する閾値を決定する閾値決定手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
(以下【請求項2】に係る発明を「本件発明」という。)
3 本件決定の理由の要旨
 本件決定は,本件発明の要旨を,本件訂正前の本件明細書の特許請求の範囲
記載(上記2の(1))のとおりと認定した上,本件発明は,特開平1-213073
号公報及び特開平1-233366号公報に記載された発明に基づいて当業者が容
易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定に違反して
されたものであり,取り消すべきものであるとした。
第3 原告主張の決定取消事由
 本件決定が,本件発明の要旨を本件訂正前の本件明細書の特許請求の範囲記
載(上記第2の2の(1))のとおりと認定した点は,訂正審決の確定により特許請求
の範囲が上記第2の2の(2)のとおり訂正されたため,誤りに帰したことになる。本
件決定は本件発明の要旨の認定を誤った違法があり,取り消されなければならな
い。
第4 被告の主張
 訂正審決により本件明細書の特許請求の範囲が上記のとおり訂正されたこと
は認める。
第5 当裁判所の判断
   訂正審決の確定により,特許請求の範囲の記載が上記第2の2の(2)のとおり
訂正されたことは当事者間に争いがなく,この訂正によって,特許請求の範囲が減
縮されたことは明らかである。
   そうすると,本件決定が,本件発明の要旨を,本件訂正前の特許請求の範囲
の記載(上記第2の2の(1))のとおり認定したことは,結果的に誤りであったこと
に帰し,これが本件決定の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから,本件決定
は,瑕疵があるものとして取消しを免れない。
   よって,原告の請求は理由があるから認容することとし,主文のとおり判決
する。
     東京高等裁判所第13民事部
         裁判長裁判官 篠  原  勝  美
    裁判官 岡  本     岳
    裁判官 長  沢  幸  男

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