弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決中被告人Aに関する部分を破棄する。
     本件を札幌地方裁判所小樽支部に差し戻す。
         理    由
 弁護人西村卯の控訴趣意は、同人提出の控訴趣意書記載の通りである。これに対
し、当裁判所は、次の通り判断する。
 第一点について。
 原判決は証拠として、「一、裁判官の面前における証人B、Cの各尋問調書二、
司法警察員及び検察官に対するDの各第一回供述調書」を挙示しているが、原審第
一回公判調書によれば、検察官が他の証拠書類と共に右の各証拠書類を証拠として
取調べることを請求したのに対し、被告人A及び原審相被告人Eの各弁護人から前
者についてのみ同意した旨記載せられ、後者については何等の記載がないので同意
がなかつたものと見るの外ないにも拘らず、原審が全部の証拠書類について取調べ
る旨の決定を宣し、その証拠調をしたことは所論の通りである。刑事訴訟法第三二
一条によれば、被告人以外の者の供述を録取した書面は、公判準備又は公判期日に
於けるものを除き、原則として証拠とすることができないのであつて、ただ同条第
一項の要件を充す場合及び同法第三二六条の同意があり且つ書面が作成されたとき
の情況に照して裁判所が相当と認める場合にのみ例外として証拠として許容される
のである。しかして、前記の各証拠書類は、いづれも、公判準備調書ないし公判調
書に該当しないのは勿論、前述の如くこれを証拠とすることの同意もなかつたので
あるから、同法第三二一条第一項の要件を具備しているかどうかについて検討して
見るに、記録上右の要件を充すものと認められるような状況はこれを発見すること
が出来ない。もつとも、原審第一回公判調書によれば、検察官は、前記検察官及び
司法警察員に対するDの各第一回供述調書を同条第一項第二号又は第三号の要件を
具備する書面として取調を請求し、その要件を証明する証拠として札幌地方裁判所
小樽支部裁判官から検察官にあてた昭和二六年九月一日附札幌地方裁判所小樽支部
裁判官F名義の<要旨第一>「関係書類送付書」(右関係書類の提出はない)なるも
のを原審に提出しており、該書面にはその表面に被告人Aに対する「恐
喝被告事件について請求ありたる証人Dの尋問の件は証人転居先不明の為め尋問不
能に付関係書類を送付する」旨記載せられ、裏面に「記」として「一、証人尋問請
求書一、証人尋問期日書一、請書一、送達不能」と記載せられているので一応Dの
所在不明を推測し得ないでもないよう<要旨第二>であるが右要件に関する事実の立
証は単なる疏明にては足らず証明を要すること勿論で且つ右証明は犯罪事実 第二>程には厳格であることを必要としないものと解すべきところ、右の書面は、関
係書類が送付された事実の証拠となりうるに止まり、右関係書類の提出がないので
何日頃送達不能となつたか明らかならず、従つてDが果して昭和二六年九月五日の
原審第一回公判期日当時同条第一項第二号又は第三号にいわゆる所在不明で<要旨第
三>あつたかどうかの事実を立証するための資料としては不十分であると思料され
る。以上を要するに、前記各証拠書類は、いづれの点よりするも証拠能
力を有するものと認めることができないのであつて、これを証拠として取調べた原
審の訴訟手続は違法であり、原判決認定の恐喝の事実は、右の各証拠書類と被告人
A及び原審相被告人Eの各供述又は供述調書を綜合して認定していることが記録上
窺われるので、右の違法は判決に影響を及ぼすことが明かである。又仮りに右証拠
書類が適法であるとしても、右書類を含めた原判決挙示の証拠によりては右恐喝の
事実を認むるに由なく、この点に於て原判決には理由のくいちがいがある。結局論
旨は理由があるので、原判決は破棄を免れない。
 よつて、爾余の論点に対する判断を省略し、刑事訴訟法第三九七条により原判決
中被告人に関する部分を破棄し同法第四〇〇条によりこれを原裁判所である札幌地
方裁判所小樽支部に差戻すこととする。
 よつて主文の通り判決する。
 (裁判長判事 黒田俊一 判事 佐藤竹三郎 判事 山崎茂)

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