弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人を罰金五千円に処する。
     右罰金を完納することができないときは、金二〇〇円を一日に換算した
期間被告人を労役場に留置する。
     差戻前及後の第一審の訴訟総費用中、二分の一並びに当審における訴訟
費用は被告人の負担とする。
     本件公訴事実中、大豆に関する食糧管理法違反及び物価統制令違反、並
びに分密中双に関する物価統制令違反の各事実について、被告人を免訴する。
         理    由
 弁護人田中喜一の上告趣意は、刑訴四〇五条の適法な上告理由に当らないが、職
権を以て調査すると、被告人に対する公訴事実中、被告人が法定の除外事由なく(
一)大豆一斗八升八合を政府等以外の者であるAに統制額を超過した代金三四七八
円で売却した事実(食糧管理法九条三一条の罪及び物価統制令三条三三条の罪)並
びに(二)分密中双(台湾糖)二五二斤八を統制額を超過した代金九七三二八円で
売却した事実(物価統制令三条三三条の罪)については、昭和二七年政令一一七号
一条八六号八七号により大赦があつたので、刑訴四一一条五号四一三条但書四一四
条四〇四条三三七条三号により原判決を破棄し、被告人に対し右公訴事実について
免訴の言渡をすべきものとする。
 よつて、右大赦にかからない事実、すなわち差戻後の第一審判決摘示の(一)(
二)の事実を法律に照すに、被告人の所為中粳精米及糯精米を政府又は食糧配給公
団以外の者に譲渡した点は、各食糧管理法九条一項三一条同法施行令(昭和二二年
一二月三〇日政令三三〇号)八条、同法施行規則(昭和二四年農林省令五七号)二
三条に、統制額超過売渡の点は、各物価統制令三条一項四条三三条一号昭和二四年
四月一四日物価庁告示二二五号に(いずれも罰金等臨時措置法二条一項を併せ適用
する)該当するところ、右政府等以外の者に売渡した各所為と、之が統制額を超過
して売渡した各所為とはそれぞれ一個の行為で二個の罪名に触れる場合であるから、
各刑法五四条一項前段一〇条により犯情の重い各統制額超過売渡の刑に従い、いず
れも所定刑中罰金刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同四八
条二項により所定罰金の合算額の築囲内で被告人を罰金五千円に処し右罰金を完納
することができないときは同一八条により金二〇〇円を一日に換算した期間被告人
を労役場に留置することゝし、訴訟費用の負担について刑訴一八一条を適用し主文
のとおり判決する。
 右は全裁判官一致の意見である。
 検察官 吉河光貞関与
  昭和二七年一一月二一日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    谷   村   唯 一 郎

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