弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

       主   文
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は、原告の負担とする。
この判決に対する上告期間につき、附加期間を九〇日とする。
       事   実
第一 当事者の申立
 原告訴訟代理人は「特許庁が昭和四八年一二月一三日同庁昭和四五年審判第二八
七八号事件についてした審決を取消す。訴訟費用は、被告の負担とする。」との判
決を求め、被告指定代理人は、主文第一項と同旨の判決を求めた。
第二 請求の原因
 原告訴訟代理人は、請求の原因として次のとおり述べた。
一 特許庁における手続の経緯
 原告は、昭和四二年一月一七日特許庁に対し、名称を「位相ホログラムの形成方
法及びその装置」(後に「位相ホログラムを形成する方法及びその為の装置」と変
更)とする発明について、一九六六年(昭和四一年)一月二〇日アメリカ合衆国に
おいてした特許出願に基づく優先権を主張して特許出願をしたが、昭和四四年一二
月一五日拒絶査定を受けたので昭和四五年四月七日これに対する審判を請求し、特
許庁同年審判第二八七八号事件として係属したところ、昭和四八年一二月一三日
「本件審判の請求は成り立たない。」との審決があり、その謄本は昭和四九年一月
二六日原告に送達された(なお、出訴期間として三か月を附加された)。
二 本願発明の要旨
(一) 可変熱プラスチツク材料を一様に帯電させ、次いで、干渉性(コヒーレン
ト)主要物体ビーム及び交差する偏軸干渉性基準ビームから明暗干渉図形を形成す
ることによつて、上記材料上に電荷図形を形成し、その電荷図形に従つて峰及び谷
の図形に変形するまで上記材料を軟化させることによつて位相ホログラムを形成す
る方法。
(二) 物体を照射するように装置されたコヒーレント電磁放射線源と、その放射
線源から上記物体をこえて発射されるビームの光路中に置かれた電荷可変性熱プラ
スチツク影像部材と、上記主ビームの光路中の上記影像部材が置かれている点にお
いて上記第一のコヒーレント放射線ビームと交差するように整置された第二の偏軸
コヒーレント基準電磁放射線ビームを発生するための装置とを有しており、上記影
像部材はさらに上記二つのコヒーレントビームによつて発生された干渉図形が上記
影像部材上に静電荷図形の形で記録されるようにする光導電性絶縁体と、上記電荷
図形に相当する変形図形がその上に形成されるように上記熱プラスチツクを軟化さ
せるための装置とをさらに含んでおり、上記第一のコヒーレント放射線ビームと上
記基準コヒーレント放射線ビームとの間の交差角は隣接干渉じま間の間隔が上記可
変熱プラスチツクの準共振周波数のピークの波長のプラスマイナス一五%の範囲内
にあるように調整されていることを特徴とするホログラフ影像装置。(別紙図面参
照)
三 本件審決理由の要点
 本願発明の要旨は前項のとおりである。
 本願発明の出願前に米国で領布されたR.M.Schaffert著「Elec
trophotography」(The Focal Press 一九六五年
発行)第三四頁ないし第三七頁(以下「引用例」という。)には、可変プラスチツ
ク材料を一様に帯電させ、その材料を像露光して電荷図形を形成し、その電荷図形
に従つて峰及び谷の図形に変化するまで熱プラスチツク材料を軟化させる電荷写真
の方法(電子写真法)が記載されている。引用例のものも本願発明(一)も、とも
に熱プラスチツクによる電子写真法であるが、本願発明(一)は、可干渉性の物体
ビームと基準ビームを材料面上で干渉させ位相ホログラムを得るものである点で、
引用例のものと相違する。
 しかし、この相違点は、一般のレーザー光によるホログラムの作成方法と異なら
ないので、結局、本願発明(一)は、周知の熱プラスチツク材料をホログラム用感
材として用いたところにあるが、請求人(本件原告)が昭和四八年八月一四日付意
見書で主張する六項目の効果は、熱プラスチツク材料の感光材料としての一般的特
徴または効果であつて、それがホログラム用に適しているとしても、ホログラム用
感材独特の効果ではない。
 したがつて、ホログラム用感材として銀塩感材の代りに周知の熱プラスチツク材
料を用いることは、周知技術の一つをその目的に応じて選択したにすぎず、結局、
本願は、当該技術部門の者が引用例のものから必要に応じて容易に発明することが
できるものであるから、特許法第二九条第二項の規定により特許することができな
い。
四 審決の取消事由
 引用例の記載内容並びに本願発明(一)と引用例のものとの一致点及び相違点が
それぞれ審決認定のとおりであることは争わない。しかし、審決は、後記の点にお
いて違法であるから、取消されるべきである。
(一) 本願発明(一)の進歩性について
 本願出願前においては、ホログラフイの感光材料(記録板)としては、もつぱら
ハロゲン化銀フイルムが使用され可変熱プラスチツク材料は知られていなかつた。
本願発明(一)は、はじめて可変熱プラスチツク材料を使用したものであつて、こ
れにより従前のホログラフイに比較して次のような顕著な作用効果を奏することが
できた。
(a) ハロゲン化銀フイルムは元来粒子性を有しているのに対し、本願発明の熱
プラスチツクフイルムは、均質であつて粒子性を有しないので、微細な干渉図形を
記録するのに適している。
(b) ハロゲン化銀の写真現像工程は、本願発明の現像工程に比較してはるかに
遅く、かつ、汚ない作業である。またハロゲン化銀フイルムを使つて位相変調ホロ
グラムを作るときには、銀を漂白する複雑で費用のかさむ付加的工程が必要にな
る。
(c) 本願発明(一)においては、情報は、表面のしわまたはレリーフ図形の形
で記録されるので、簡単な械機的プレス法でレコードを作るように容易にホログラ
ムの複製を作ることができる。また、粒子から散乱させられた光線による好ましく
ない背景は、ハロゲン化銀ホログラフイに固有の欠点であるが、本願発明(一)に
おいては、像情報を帯びているのはホログラム図形にそつくりの変形図形自身であ
るので、背景部分は元来滑らかであり、かつ、雑音を含まないため、好ましくない
散乱した背景は元来存在せず、よしあつても極く低いレベルのものだけである。
(d) ハロゲン化銀フイルムは、処理中、即ち現像中光学系から取出さなければ
ならないが、熱プラスチツクフイルムの場合には、オンライン・リアルタイム処理
(光学系から取出すことなく直ぐに処理すること)が可能であり、しかも、処理中
にその情報を観察することができ、再生された像は熱プラスチツク影像部材が最適
現象を行うように現像されている間に観察され、完全な動作サイクルが一秒程度の
間に行われる。
(e) ハロゲン化銀フイルムは再使用できないのに対して、熱プラスチツクフイ
ルムは再使用することができる。
(f) 熱プラスチツクフイルムは、適当な分解能を与える点において、従来の最
良のハロゲン化銀フイルムよりもすぐれており、しかも、露光時間をはるかに短か
くてよい。
審決は、上記の作用効果を看過誤認して、熱プラスチツク材料を用いることは周知
技術の選択にすぎないとし、本願発明(一)の進歩性を否定したものであつて、違
法を免れない。
 なお、被告は、右(a)ないし(f)をフロスト電子写真法の特徴であるとする
が、それは、現像するためにトナーを使用する従来のゼログラフ現像法に比較した
ものであり、一方、原告の主張する本願発明(一)の効果は、従来のハロゲン化銀
ホログラフイに対するものであるから、両者は比較の対象を異にし、被告の主張は
意味がない。
(二) 判断遺脱について
 審決は、理由中において本願発明(一)について判断しているだけであつて、同
(二)について何ら判断を示していない。しかし、同(一)は方法の発明であるの
に対し、同(二)は装置の発明であるから、前者について拒絶査定を正当とする場
合であつても、必ずしも後者も同様であるとは限らない。したがつて、審決は、本
願発明(二)についての判断を遺脱した違法がある。
第三 答弁
被告指定代理人は、請求の原因について次のとおり述べた。
一 請求原因一ないし三の事実は認める。
二 同四のうち取消事由の存在は争う。審決の認定ないし判断は正当であつて、審
決に原告主張の違法は存しない。その理由は次のとおりである。
(一) 原告の主張中、本願出願前のホログラフイでは、感光材料としてもつぱら
ハロゲン化銀フイルムが使用されていたこと、
本願発明(一)が熱プラスチツク材料を使用したことによつて従前例と比較してそ
の主張の(a)ないし(f)の作用効果を奏するものであることは争わない。
 しかし、熱プラスチツク層がその上に記録を作り易いことはよく知られた事実で
あり、また、右(a)ないし(f)の効果も、引用例のようなフロスト形の電子写
真法の有する特徴として当業技術者の熟知するところであつて、それをホログラム
用感光材料として並べ直したものにすぎない。換言すれば、熱プラスチツク材料を
ホログラフイに応用して生ずる効果は、同材料固有のものとして熟知されているも
のであり、ホログラフイに利用することによつて新たに格別の効果が発生するわけ
ではないのである。
 したがつて、周知技術(材料)の単なる選択にすぎないとした審決の判断は正当
である。
(二) 特許法第四九条柱書の規定は「……特許出願が次の各号の一に該当すると
きは、その特許出願について拒絶」査定する旨を定めているから、明細書の一部で
あれ、特許請求の範囲中の一項であれ、その特許出願のいずれかの部分に不特許事
由の存するときその特許出願が拒絶査定されるのは、同条の文言上明かである。し
たがつて、本願において、特許請求の範囲第一項の発明が拒絶査定されるべきもの
である以上、同第二項の発明につき理由中において格別の判断を示さずとも、審決
を違法とする理由にはならない。
第四 証拠関係(省略)
       理   由
一 請求の原因事実中、本願発明につき、出願から審決の成立にいたるまでの特許
庁における手続の経緯、発明の要旨及び審決理由の要点は、当事者間に争いがな
い。
二 そこで、審決に原告主張の取消事由があるか否かについて考察する。
(一) 本願発明(一)の進歩性について
 本願発明(一)と引用例のものとの間に審決認定の一致点及び相違点のあること
は、原告の自認するところであり、他方、本願発明(一)においては、感光材料と
して可変熱プラスチツク材料を使用することによつて、ハロゲン化銀フイルムを使
用する従前のホログラフイに比較して原告主張の(a)ないし(f)の作用効果を
奏するものであることは、当事者間に争いがない。
 そして、成立に争いのない甲第二号証の三(引用例)及び乙第一号証の一ないし
四(「XEROGRAPHY AND RELATED PROCESSES」T
HE FOCAL PRESS 一九六五年発行)によれば、引用例の電子写真法
は、帯電された可変熱プラスチツク材料を加熱変形して像を形成する方法を利用す
るところのゼログラフイであり、その方法は、フロスト変形法(現像法)と呼ばれ
るものであるが、フロスト電子写真法には次のような特徴、すなわち、
A 光投影による露出 フロスト板の感光性層は、従来のゼログラフイに用いられ
るような光導電材料である。投影露光は、多くの応用の場合に十分に速くすること
ができるであろう。また、弱い密着露光も同様に可能である。
B 簡単で速い現像 帯電、露出および加熱の工程は、複雑な機械を用いなくても
できる。装置は、小型、簡単かつ確実なものになろう。
C 粉体や外面からの作用薬剤の不要なこと ゼログラフ方法にいつも用いられる
流体も粉体も、フロスト像形成には不要である。このことは、可変工程とかゴミ、
液のこぼれなどの原因となる供給上の問題を無視できる。像の転写とか乾繰という
問題もないし、像を固定するのには試料を単に室温でさませば十分である。
D 消去の可能性 多数の応用の場合において(像の)消去と(材料の)再使用は
明かに有用であろう。
E 固有の連続的な階調 連続的な階調の再生にスクリーニング(網目焼付技術)
の技術が不要である。単なる光入力が像形成板またはフイルム上にしかるべきフロ
ストの変化を生ずる。
F 従来の光学系 フロスト像の光散乱は、従来の投影系(装置)が使用できる程
度の大きさ(濃淡)である。シユリーレン投影系さえ用いなければ、普通のマイク
ロフイルムと同様、光学的には、傷、ゴミ、皮膜の異常などにも敏感ではない。
があることは、本願出願当時、当業者間において周知の事項であつたと認めること
ができる。
 ところで、原告は、右特徴は、いわゆるトナー現像による従来のゼログラフイと
比較したものであるから、従来のハロゲン化銀ホログラフイに対する本願発明
(一)の効果と対比することは意味がない旨主張する。
 しかし、本願発明(一)と引用例のものとの前掲一致点及び相違点に成立に争い
のない甲第三号証(本願の特許願)をあわせ考えると、本願発明のホログラフイに
用いられる、電荷図形の形成された可変熱プラスチツク材料を加熱変形して記録図
形を形成する方法もフロスト変形法であつて、本願発明(一)と引用例のものと
は、可変熱プラスチツク材料に対する図形形成方法がフロスト変形法である点で共
通し、ただ、その形成された図形が干渉性ビーム(レーザー光)による位相ホログ
ラム(本願発明(一))か、光照射による明暗像(引用例)かの点で相違すること
が明らかである。そうである以上、本願発明の前掲各効果が顕著なものであるか否
かの判断は、それが右共通点たる可変熱プラスチツク材料を用いるフロスト変形法
に基づく固有のものかどうかによつて左右されることはいうまでもないから、同法
の特徴との対比を意味がないとする原告の主張は失当である。
 そこで、本願発明(一)の効果たる前掲(a)ないし(f)について、フロスト
電子写真法の特徴たる前掲AないしFを参酌しつつ、これを検討する。
 まず、(b)は、Bの「簡単で速い現像」及びCの「流体も粉体も、フロスト像
形成には不要である。」に、(e)は、Dの「(像の)消去と(材料の)再使用は
明らかに有用であろう。」に、(f)の後段(露光時間の短かさ)は、Aの「投影
露光は、多くの応用の場合に十分に速くすることができるであろう。」にそれぞれ
相当するものということができる。
 次に、前記甲第二号証の三によれば、引用例のゼログラフイにおいては、感光材
料(記録板)たる可変熱プラスチツク材料の表面には、フロスト状のしわ、すなわ
ち、表面電荷の密度とともに深さが増大する顕微鏡的な細胞状の凹みによつて像図
形が形成されることが認められるところ、(1) それは(f)の前段(優れた分
解能)そのものに相当し、(2) (a)の「熱プラスチツクフイルムは、均質で
あつて粒子性を有しないので、微細な干渉図形を記録するのに適している。」につ
いては、右認定中の「像図形」を単にホログラフイにおける形成図形に対応させて
「干渉図形」と置換えたものにほかならないし、(3) (c)の前段(複製の容
易性)については、引用例の可変熱プラスチツク材料の表面にもしわによる像図形
が形成されていて、その複数を作り易いことは構成上当然であるから、可変熱プラ
スチツク材料を用いたフロスト変形法をホログラフイに適用した場合に当然予測さ
れる効果に過ぎない。また、(c)の後段(粒子からの散乱光からの好ましくない
背景の防止)は、それ自体、感光材料が可変熱プラスチツク材料であることによる
効果であることが明らかであるから、引用例のものにおいても当然具備している。
 さらに、(d)については、前記甲第三号証によれば、本願発明(一)におい
て、別紙図面第3図のような記録部材を使用する場合には、現像処理中に再生像を
観察することができるけれども、同第4図のような記録部材を使用した場合には、
暗所で現像処理をしなければならないため、処理中の観察は不可能であることが認
められるから、単に一実施例による効果であつて、本願発明(一)に一般の効果で
あるとは解することができない。のみならず、前記甲第二号証の三によれば、引用
例において用いられる可変熱プラスチツク材料の構造は、別紙第3図の記録部材の
それと同一であることが認められるから、引用例のものにおいても、(d)の効果
は達成されるものといわなければならない。
 以上のとおりであつて、結局、本願発明(一)の(a)ないし(f)の効果は、
いずれも、引用例のものとの共通点である可変熱プラスチツク材料を用いるフロス
ト変形法ないしは熱プラスチツク材料自体の性質に基づくものであつて、これらを
ホログラフイに適用したことによつてはじめて生じた顕著な効果であるとはいうこ
とができない。
 したがつて、本願発明(一)について、当業者が引用例のものから容易に発明す
ることができるとした審決の判断は正当であつて、これに原告主張のような違法は
ない。
(二) 判断遺脱について
 前記甲第三号証及び成立に争いのない甲第一二号証によれば、本願は、特許法第
三八条但書の規定による特許出願であつて、その特許請求の範囲には、特定発明と
して方法の発明たる本願発明(一)が記載され、次いで、その実施に直接使用する
装置の発明たる同(二)が記載されていることが明らかであるが、審決が理由中に
おいて右後者の発明について格別の判断を示していないことは、被告の自認すると
ころであり、原告は、この点において違法があると主張する。
 およそ、特許法第四七条によれば、特許庁長官は、特許出願を審査官に審理させ
なければならないものであるが、同法第三八条但書のいわゆる併合出願の審査にお
いて、二以上の発明のうちの一発明について拒絶理由があるときどのように処理す
べきかについては、直接これに関する明確な規定は存しない。
 しかし、同法第三八条但書の規定は、一発明一出願の原則を緩和して、所定の関
連性を有する複数の発明に限つて、一通の願書で特許出願をすることを認めたもの
であるが、その場合でも、発明の個数に応じた複数の特許出願が客観的に併合され
ているのではなく、その複数の発明が一体となつた一個の出願と解すべきものであ
り、したがつて、これに対する特許法上の処分は、特段の規定がない限り、一個の
ものでなければならない。
 ところで、同法第一二三条第一項柱書後段には「特許請求の範囲が二以上の発明
に係るものについては、発明ごとに(特許無効審判を)請求することができる。」
と規定され、また、同法第一八五条には、「特許請求の範囲が二以上の発明に係る
ものについての特則」との見出しのもとに、発明ごとに特許がされ、また、特許権
があるものとみなされる例外的場合が列挙されているが、これは特許の後の法律上
の取扱いを特に定めたものであり、出願手続中の取扱いには関していない。
 そうである以上、審査及び拒絶査定に対する審判においても、併合出願された二
以上の発明は一体として取扱うのが特許法の趣旨であると解さざるをえないもので
あり、したがつて、併合出願された二以上の発明のうち一発明について拒絶理由が
あるときは、同法第四九条の規定によつて、その特許出願たる併合出願全部につい
て拒絶すべき旨の査定をしなければならない。
 なお、このように解することは、もし併合出願された他の発明について拒絶理由
がない場合には、その発明に関する限り、権利保護の機会が奪われる結果になりう
ることは否定できないが、そうかといつて、拒絶すべき発明を除いた残余の発明に
ついて併合出願が存続するものと解するならば、併合出願がされた二以上の発明相
互間に同法第三八条但書各号の関連性がない場合には、個々の発明については他の
拒絶理由がなくても、同条違反として併合出願全部が拒絶される(同法第四九条。
但し、併合出願が特許された場合には、同法第三八条違反が特許無効の事由になら
ないことは、同法第一二三条の規定から明らかである。)ことと均衡を失するもの
があろう。そして、いずれの場合であつても、出願人にとつては、拒絶理由のない
発明について特許出願の分割手続をして、その権利を保全すべき途が残されている
のである。
 そうすると、審決は、理由中において併合出願された二発明のうち本願発明
(一)について拒絶すべき旨の判断をしており、その判断は前項判示のとおり正当
とすべきものであるから、審決が、同(二)について格別の判断を示すことなく、
本件審判請求を不成立としたのは相当であつて、この点に何ら違法はない。
三 よつて、本件審決の違法を理由にその取消を求める原告の本訴請求を失当とし
て棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法第七条及び民事訴訟法
第八九条の規定を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 荒木秀一 橋本攻 永井紀昭)
(別紙)
<12048-001>

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛