弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各控訴を棄却する。
         理    由
 本件各控訴の趣意は、被告人Aの弁護人豊田誠・同鈴木堯博連名提出の控訴趣意
書・被告人Bの弁護人潁原徹郎提出の控訴趣意書にそれぞれ記載のとおりであり、
これに対する答弁は検察官市川道雄提出の答弁書に記載のとおりであるから、いず
れもここに引用し、原審記録を精査し、被告人Aについての当審における事実取調
べの結果をも参酌して、次のとおり判断する。
 第一 理由不備の論旨(被告人Aの弁護人豊田誠・同鈴木堯博連名提出の控訴趣
意書二)について、
 所論は要するに、原判決の理由の判示は、無限連鎖講という語句を用いてはいる
ものの、理由中に記載されている事実では、(一)無限連鎖講の防止に関する法律
(以下無限連鎖講防止法と略称)二条にいう無限連鎖講の要件である「一定額の金
銭を支出する加入者が無限に増加する」という要件を充す事実が摘示されておら
ず、また判示の事実からみて加入者が無限に増加することを論理的な前提としてい
ることを窺わせる理由も述べられていない。(二)また、判示の理由だけでは同条
の「連鎖して段階的に二以上の倍率をもつて増加する」という要件についての判示
がなく、(三)更に「先に加入した者が先順位者、以下これに連鎖して段階的に二
以上の倍率をもつて増加する後続の加入者がそれぞれの段階に応じた後順位者とな
り」「順次先順位者が後順位者の支出する金銭から自己の支出した額を上回る額の
金銭を受領する」との要件についても、いつ誰がいくら支払つて加入者となり、そ
の加入者が先順位者としていつ二人以上の加入者として誰と誰を新たに加入させた
か、先順位者がいつ後順位者の誰と誰から支払われたいくらの金銭で自己の支出額
を上回るいくらの金銭を受領したかの認定もないから、原判決は理由を附さなかつ
た誤りが存するというにある。
 しかしながら、原判決挙示の証拠によると、原判決が本件「C」の仕組みにつき
認定判示するところはすべて正当として肯認することができるところであつて、原
判決は、その理由中の判示において、被告人らが運営した「金銭配当組織」として
の本件「C」の組織・仕組みを具体的に摘示しており、その摘示する本件「C」の
仕組みは、判文上から一定の金銭を支出する加入者が無限に増加することを前提と
してはじめて成り立ち得る仕組みとして判示していることが明白である。
 すなわち、原判決の判文全体の文意によると、原判示が判示した本件「C」の仕
組みは、
 人工宝石五カラツト購入名下に四〇万円を支出し準販売員(原判決S会員)とな
り、その準販売員が新たに同様四〇万円を支出する者を勧誘して準販売員にする
と、先の準販売員は新たに準販売員となつた者の支出する四〇万円のうちから販売
コミツシヨン名下に一〇万円の配当を受けるとともにエリート販売員(原判決E会
員)に昇格し、エリート販売員となつた後新たな者を準販売員にすると、右エリー
ト販売員、は新たに準販売員となつた者の支出する四〇万円のうちから販売コミツ
シヨン名下に二〇万円の配当を受け、その新準販売員を自己の管轄下に置き(原判
決親会員・子会員の関係)、
 右エリート販売員の管轄下に入つた右準販売員が新たな者を勧誘して準販売員に
すると、勧誘した準販売買は勧誘されて販売員となつた者の支出する四〇万円から
販売コミツシヨン名下に一〇万円の配当を受け、(親会員である)エリート販売員
は管理コミツシヨン名下に一〇万円の配当を受け、勧誘した(子会員である)準販
売員は新たなエリート販売員に昇格し、勧誘された新たな準販売員が代つて(親会
員である)エリート販売員の管轄下に入る(原判決E会員となつた者の直上のE会
員(親会員)の直下の後順位者たるS会員(子会員)との関係、この関係は準販売
員(子会員)が新たな準販売員を勧誘加入させエリート販売員となる都度新たな準
販売員が代つて管轄下に入る(子会員となる)ことにより限りなく続く)、そして
(親会員であるエリート販売員は、自己の管轄下にあつた準販売員が、エリート販
売員となつた後新らたな者を準販売員にしたときは、オーバーライトコミツシヨン
名下に新たに準販売員となつた者の支出する四〇万円のうちから一万円の配当を受
ける、そして、以上の関係がそれぞれの加入者につき連続して無限に続くというも
のである、
 ことが明らかである。
 従つて、右判示によると、本件「C」は、所定の金額四〇万円を支出した者が受
け取る配当はその者と連鎖して加入してくる後順位者の支出する金銭四〇万円のう
ちから賄われ、後順位の加入者があることによつて始めて右配当が可能となるもの
であるから、四〇万円の金銭を支出する加入者が次から次へと連鎖して無限に増加
するものであるとして維持できる仕組みであることが明らかである。
 そしてまた、右判示の本件「C」の仕組みによると、四〇万円を支出し加入した
者が支出した金額を上回る金銭の配当を取得するためには、先順位者に連鎖してそ
れぞれの段階において、後順位者となる新たな加入者を少なくとも直接二人以上加
入せしめなければならないものであることも明白で、前記所論(一)・(二)指摘
の要件についての理由不備はなく、そしてある組織・仕組みが無限連鎖講防止法二
条にあたるものであることを判示するには、その組織・仕組みそのものを具体的に
判示すれば足り、所論のいうように誰が誰と誰を加入せしめた等のその活動である
現実の個々的事象を逐一判示することを要するものではなく、原判決の判示は本件
「C」が無限連鎖講にあたるものであることの判示として欠けるところはない。
 よつて、原判決には、被告人らが運営した本件「C」が同条に規定する「金銭配
当組織」である無限連鎖講と認定・判示するについて理由不備はなく、論旨は理由
がない。
 第二 法令の解釈・適用の誤りの論旨(被告人Aの弁護人豊田誠・同鈴木堯博連
名提出の控訴趣意書四)について、
 所論は要するに、(一)無限連鎖講防止法二条にいう「金銭配当組織」とは、本
来的にはいわゆる「ねずみ講」の様な金銭配当組織それ自体を指称するというべき
で、商品販売組織の外観を呈しながらも実質的に金銭配当組織であるとするのに
は、商品販売の実質がいささかも認められない場合に限らるべきであるのに、原判
決は本件につき、四〇万円を支払うことによつて人工宝石五カラツトの交付を受け
現実に単品販売をした例もある旨認定しているのにもかかわらず同条を適用したの
は、右の「金銭配当組織」の解釈・適用を誤つたものであり、(二)又同条の「加
入者が無限に増加するもの」とは加入者が無限に増加する必然性のある仕組みをい
うものであつて、例えば、いわゆる「ねずみ講」では先順位者は新たに二倍以上の
加入者を増加させなければ自らは損害のみ負担させられることに帰するから加入者
を勧誘せざるを得ない立場に常におかれているので無限に増加する必然性を帯びて
いるものであるが、本件「C」では仮りに四〇万円を出捐して五カラツトの人工宝
石を購入したとしても、その者は自ら販売員となつてコミツシヨンを取得するため
勧誘行為に出るか、それとも人工宝石の購入のみにとどめてしまい加入者を増加さ
せないままにしておくかの選択の自由をもつているので、ここでは加入者が無限に
増加する必然性はなく、更に同条にいうところの「連鎖して段階的に二以上の倍率
をもつて増加する」との要件について原判決は「文理上加入者が連鎖して二以上の
倍率で増えていくことで足り、その倍率が予め定められていることまでは必要でな
いと解する」と判示しているが、そもそも二倍以上の倍率で増加することが仕組み
のなかで予め定められているからこそ無限連鎖講が存在し得る基盤があるので、仕
組みそのものの必然性として二以上の倍率で増加することが予定されていなければ
ならないものであるから、原判決はこれらの解釈・適用も誤つているというのであ
る。
 <要旨>しかしながら、商品の販売に名を借りあるいはその外形をとつているもの
の実質的には金銭の支出・配当が無限連鎖講防止法二条の要件を具備する限
り同条にいう「金銭配当組織」と解すべきであるから、商品販売に名を借り金銭を
支出して交付された物品を加入者の勧誘をすることなく他に販売し得た例がたまた
ま存しても、それがごく少数にとどまり、その大部分がその金銭の支出・配当が同
条の要件を具備する場合には、同条にいう「金銭配当組織」と解すべきであるとこ
ろ、原判決は証拠に基づき、本件「C」において極めて少数の者が受領した人工宝
石を販売した例があつたとしても、その実体において同条にいう「金銭配当組織」
にあたるとするものであるから、そのこと自体において同法条の解釈・適用の誤り
があるとはいえない(なお右認定が正当であることは第三(一)記載のとおりであ
る)。そして、同条の「加入者が無限に増加するものであるとして」の規定は、加
入者が無限に増加するものとしての前提にたたなければその組織・仕組みが成り立
たないものであることを意味するにとどまり、加入者が後順位者となる新たな加入
者を勧誘する義務を負担すると否とを問わず、加入者が自己の支出した金銭の回収
やそれを上回る金銭を取得するため新たな加入者を勧誘するかそれらを断念し勧誘
行為に出ないかの選択の自由を有する場合も含むものであるが(所論引用例におい
ても出捐した金銭の回収やそれを上回る金銭の取得を断念し加入者の勧誘行為に出
ない自由はある)、通常加入者は自己の支出した金銭の回収やそれを上回る金銭を
取得する行為に出るものであり、原判決の認定した本件「C」の仕組みは前叙第一
において説示のとおりであるから、自己が支出した四〇万円を回収しそれを上回る
金銭を取得するため新たな準販売員の勧誘行為に出て新たな準販売員とすることを
前提としており、四〇万円を支出する準販売員が無限に増加するものとして始めて
成り立ち得る組織・仕組みであり、「加入者が無限に増加するものであるとして」
との要件に該当することは明らかで、原判決にはその点についての解釈・適用の誤
りはない。また原判決が認定した本件「C」は四〇万円を支出して準販売員となつ
た者が、それぞれ自己の支出した金銭を回収しそれを上回る金銭を取得するために
は、その者がそれぞれの段階に応じた後順位者として同じく準販売員となる者を直
接新たに二人以上勧誘・加入せしめなければならない仕組みになつていることも明
らかであるから、同法二条にいう後続の加入者が「連鎖して段階的に二以上の倍率
をもつて増加する」との要件を充足しているとした原判決には、この点についても
解釈・適用の誤りはない。
 以上、原判決には同条の要件についての解釈・適用の誤りはなく、論旨は理由が
ない。
 第三 事実誤認の論旨について、
 一、 本件「C」を無限連鎖講防止法二条に該当するとした事実誤認(被告人A
の弁護人豊田誠・同鈴木堯博連名提出の控訴趣意書三の(一)(二)及び被告人B
の弁護人潁原徹郎提出の控訴趣意書第一)の主張について
 所論は要するに、原判決には、本件「C」の仕組みそのものについて認定の誤り
があり、またこの仕組みが人工宝石の販売のための組織であるのに金銭配当組織で
あるとした認定の誤りがあるというものである。即ち、(一)その販売する人工宝
石は天然の宝石と酷似し専門家でも肉眼では見分けがつかない精巧なものでフアツ
シヨン性を持ちアクセサリーとして十分な商品価値があり、(二)その「販売員申
込み及び同意書」の「販売員が販売するに当つての注意事項」欄においては、人工
宝石の商品名・その性質・価格・取り替え・返品・解約方法などについての注意事
項が定められ、新規販売員応募者に対する説明会でも、それらについての説明がな
され、(三)販売促進のため、販売員に等級を与え販売実績に応じコミツシヨンを
与えるシステムとして、販売員はジユニア販売員(Jという)・準販売員(Sとい
う)・エリート販売員(Eという)に区分され、ジュニア販売員は登録料一万円を
納入した者、準販売員はジユニア・準・エリート各販売員のいずれかから人工宝石
五カラツト以上を買受け販売員資格取得の申込みをした者又はジユニア販売員とし
て人工宝石五カラツト以上を販売した者とし、準販売員として人工宝石一五カラツ
ト以上の販売実績をあげるか又は人工宝石五カラツトを販売したうえその購入者を
勧誘し準販売員とすることに成功するかによつてエリート販売員に昇格することと
し、この場合新たに準販売員となつた者は、自己を勧誘したもとの準販売員を管轄
するエリート販売員―直上のエリート販売員―の管轄下におかれる、各等級の販売
員が人工宝石を販売する販売コミツシヨンとして一カラツトにつきジユニア販売員
は一万円・準販売員は二万円・エリート販売員は四万円を受取るほか、エリート販
売員は自己の管轄する準販売員またはジユニア販売員を管轄して販売を促進した努
力に対し、管轄下の準販売員が販売した一カラツトに付二万円・自己の管轄下のジ
ユニア販売員が販売した一カラツトに付三万円・自己の管轄下の準販売員の管轄す
るジユニア販売員が販売する一カラツトに付二万円を、また準販売員は自己の管轄
するジユニア販売員が販売した一カラツトに付一万円を、それぞれコミツシヨンと
して取得し、更にオーバーライトコミツシヨンとしてエリート販売員はその管轄下
にあつた準販売員が新たにエリート販売員になるとその新たなエリート販売員が販
売した一カラツトに付二、〇〇〇円を取得する定めとなつているものである等、す
べてが人工宝石の販売を前提とする仕組みであり、販売員の勧誘を伴わない人工宝
石のみの販売も少なくなく、稀には在庫管理の手落ちで人工宝石の授受なしに、販
売員となつた例もあるが、その故に商品販売が仮装のものであるというのは独断で
あり、また本件「C」が「金銭配当組織」である旨の被告人らの検察官に対する供
述は利益誘導にもとずきなされた不本意な供述である。従つて、原判決は本件
「C」のシステムについての事実を誤認し、その誤認を前提としてこれを「金銭配
当組織」と断定する誤りを犯しているというにある。
 よつて按ずるに、Dの検察官に対する供述調書に添付の「販売員申込み及び同意
書写」・Eの検察官に対する供述調書添付の「お申込み書写」・Fの検察官に対す
る供述調書添付の「契約書写」など記録中の本件「C」の仕組みを示す書面を検討
すると、ジユニア販売員を経ることなくただちに準販売員となる資格方得方法につ
いては明確を欠くところであるものの、本件「C」における人工宝石の販売員とな
る資格及びその資格取得の方法、ジユニア販売員から準販売員・準販売員からエリ
ート販売員への昇格、各等級販売員相互の関係、販売コミツシヨン等の取得ないし
その額などの建前は所論のいうとおりであるけれども、原判決挙示の証拠を綜合す
ると、以下の事実が認められる。即ち、被告人らの運営した株式会社Gの「販売員
申込み及び同意書」には、「株式会社Gの販売員に成る条件」の個所に、始めから
エリート販売員になる事は出来ないこと、ジユニア販売員を希望する者は販売員登
録申請書の必要事項に自己記入署名捺印又は捺印の上登録費一万円を添えて申し込
むこと、準販売員を希望又は昇格する者は「販売員申込み及び同意書」に必要事項
を自筆記入の上一通を保有し一通を株式会社Gに送付・持参すること、「販売員の
昇格方法」の個所にジユニア販売員が五カラツト以上の販売実績をあげると準販売
員になれ、準販売員が一五カラツト以上の販売実績をあげるか準販売員を一人株式
会社Gに紹介することによりエリート販売員になれる旨の記載がそれぞれあるのみ
で、ジユニア販売員を経ることなく準販売員になる資格取得の条件・方法の規定は
なく、「販売員が販売するに当つての注意事項」中の「五カラツト以上お買上げの
お客様とメディツクの販売員とはあくまでも別です、五カラツト以上お買上げいた
だいたお客様で、なおかつこの販売員申込み及び同意書・住民票又は印鑑証明書一
通を提出していただいた方のみが販売員になれるという事実に留意しておいて下さ
い。(準販売員以上)」との規定と合せて、ようやく五カラツト以上を購入し販売
員申込み及び同意書等を提出したものはジユニア販売員を経ることなく準販売員と
なり得ることが理解できることになつているもので、この様に明確を欠く規定の仕
方をしたのは、被告人A(昭和五六年一一月七日付)及び同B(昭和五六年一一月
四日付)の検察官に対する各供述調書に徴すると、四〇万円を支出して人工宝石を
買うことを条件に準販売員になれることを表面きつて明白に記載すれば、四〇万円
を出させて後続の販売員を紹介することによつてコミツシヨンを配当してゆく金銭
配当組織であることが判明してしまうのでそれを隠蔽し人工宝石の販売組織を偽装
するためであつたと窺えること、そして原判決挙示の証拠によると、被告人らが運
営していた株式会社Gの本件「C」において取扱つた人工宝石八種類は一カラツト
五、〇〇〇円乃至一万五、〇〇〇円程度で仕入れられ、しかもその内の三種類は単
なるガラス製品にすぎないものであり、そのことは被告人らも認識し、説明会等に
おいても一般に販売することは困難なものである旨の説明さえなされていること、
被告人らは右人工宝石そのものの販売についてはほとんど努力をなさず、専ら前記
「販売員申込み及び同意書」にも明確には記載されていない四〇万円を支出し人工
宝石五カラツトを受領して直ちに準販売員となる者を勧誘するための説明会に力を
入れ、既に販売員となつた者に「君達はただ友人を誘つて説明会の会場に連れてく
るだけでいい、下手な説明をされたら誤解されて友達が来てくれないことになつて
しまう、君達の友達に対する説明や説得はGの幹部の方で行う」旨申し向け、説明
会の会場に新たに勧誘しようとする者をあつめさせ、その説明会においては、「四
〇万円を支出し人工宝石を五カラツト買つた者が準販売員となれるが、エリート販
売員となるためには人工宝石を一五カラツトを販売するか準販売員となる者を一人
Gに紹介しなければならない、準販売員のままで人工宝石を売つた際の販売コミツ
シヨンは一カラツトにつき二万円だが貴方達は商品知識や販売経験がないので売る
のはむずかしいし、一五カラツトも売るのは更にむずかしい、しかし準販売員を一
人Gに紹介するのは簡単な筈だ、友人・知人等を説明会に連れてくればGで説明を
して準販売員にしてあげる、友人・知人等を説明会に連れてくる際に『人工宝石の
販売で金儲けをしないか』等といわずに『アルバイトの口で金儲けの話があるから
その説明会に行つて見ないか』と言えば友人・知人であれば説明会に来てくれる、
準販売員の時に準販売員を一人Gに紹介するとエリート販売員に昇格するとともに
その人が支出する四〇万円から一〇万円が販売コミツシヨンとしてGから支払われ
るが、エリート販売員となつてからは自分が準販売員一人を紹介するとその人が支
出する四〇万円から二〇万円が販売コミツシヨンとして支払われ、自分が紹介した
準販売員又はその後任者が準販売員を紹介すると新たに準販売員となつた人が支出
する四〇万円から一〇万円が販売コミツシヨンとして支払われるので、いくらでも
高収入が得られる、こんな楽な金儲けの方法はない」等四〇万円を支出し準販売員
となり、新たに準販売員となる者を一人勧誘・紹介すればその者の支出する四〇万
円の内から販売コミツシヨンとして一〇万円の配当を受けるとともにエリート販売
員に昇格し、以後新たな準販売員を勧誘・紹介する(この場合その者を自己の管轄
下におくことになる)か、あるいは右管轄下の準販売員が別の新たな準販売員を勧
誘・紹介すると、その都度それらの者が支出する四〇万円のうちから販売コミツシ
ヨンとして前者の場合は二〇万円・後者の場合は一〇万円を受け取ること、またエ
リート販売員は自己がもと管轄していた準販売員がエリート販売員となつて新たに
別の準販売員を勧誘・紹介するとオーバーライトコミツシヨンとして一万円を受け
取ることができ、それにより容易に自己が準販売員となるため支出した四〇万円を
上回る多額の利益を得ることができる旨巧妙な説明とその出席者を連れて来た販売
員を含む数人による強引・執拗な説得により、出席者に四〇万円を支出し準販売員
となることを承諾させることに重点が置かれ、人工宝石の性質・販売については新
たな販売員を勧誘する説明を始める導入的な意味合で説明がなされたにすぎず、交
付されるべき人工宝石も現実には交付を受けていない者も相当数あつたこと、前述
の如く「販売員申込み及び同意書」の記載によれば登録料として一万円を支出し登
録することによりなれるジユニア販売員については、昭和五五年一二月末頃から同
五六年五月迄の間はその説明すらもなされず、ジユニア販売員は極めてわずかしか
いなかつたこと、四〇万円を支出し準販売員となつた者も交付を受けた人工宝石は
加入証明程度にしか意識せず、その支出した金額に相応する商品性を有するものと
は認識していなかつたことは無論、それを販売して利得をあげ得るとも考えず、説
明会で説明を受けたように専ら新たな準販売員を勧誘・紹介することにより配当金
を受けて自己が支出した四〇万円を回収しそれを上回る利得を受けることにつと
め、人工宝石を受け取ることすら関心を持たず、その交付を得られなかつた者も特
段の異議を申し出ることなく、交付を受けた者も人工宝石を販売しようとした者は
極めて少数にすぎず、現実にこれを販売し得た者は更に少ないものであつたことが
明らかで、右の様な事実に徴すれば、人工宝石はその有するそれ相応の商品性の故
に交付・受領されたものではなく、表面上売買を仮装するために交付・受領された
ものにすぎず、本件「C」なるものは表面の組織・仕組みにかかわらず、その実態
は新たに準販売員となつた後順位者が人工宝石の売買代金の名のもとに支出する金
銭を勧誘・紹介者などのその先順位者に配当する金銭配当組織というに十分であ
り、その金銭配当組織への加入及び加入後の昇格・相互の先後(親子)の関係並び
に配当の基準・方法・金額等は要するに原判決の認定・説示のとおりであることが
優に肯認できるところであつて、原判決にはこの点について事実の誤認はない。
(なお、被告人らの検察官に対する各供述調書は原審において被告人らが証拠とす
ることに同意したもので、その任意性を疑わせるような事情は認められず、その記
載内容は具体的・詳細で不自然な点はなく、他の証拠と対比しても矛盾するところ
は窺えないので、その任意性・信用性は欠けるところはない。)
 二、 運営の時期についての事実誤認(被告人Aの弁護人豊田誠・同鈴木堯博連
名提出の控訴趣意書三の(三))の主張について、
 所論は要するに、被告人Aは株式会社Gの代表取締役であり腹心といわれた原審
相被告人Hが置手紙を残して失踪した昭和五六年二月二八日頃から同社における地
位が急激に危くなり、同年三月一六日頃福岡市で開催された同社の全国幹部会議に
おいて被告人Bが同社の代表取締役となり同人を中心に運営して行くことが確認さ
れてからは、同社の運営からはずされて報告もほとんど受けないようになり、不知
の間に同月二〇日に取締役を辞任したこととして同月三一日その旨の登記がなさ
れ、同年五月二四日に被告人Bに対し同社の取締役を辞任する旨の辞任届を送つて
からは同社と無関係となつたものであるから、被告人Aが昭和五六年七月二一日頃
まで本件「C」を運営したとする原判決はその点に関し事実を誤認したものである
というのにある。
 しかしながら、原判決挙示の証拠に徴すると、被告人Aは原判決認定の如く、被
告人B並びに原審相被告人H・I・Jと株式会社G東京支社を開設し本件「C」を
運営することを共謀し、昭和五五年一二月二四日からその運営を開始したものであ
るが、原審において被告人Aが証拠とすることに同意した被告人A(昭和五六年一
〇月三〇日付・同年一一月七日付)・被告人B(昭和五六年一一月八日付)・原審
相被告人H(昭和五六年一一月五日付)・同I(昭和五六年一一月四日付)・同J
(昭和五六年一一月七日付)の検察官に対する各供述調書及びK・Lの検察官に対
する各供述調書並びに原審における被告人A及び被告人Bの各供述によれば、被告
人Aは株式会社Gの各支社をいずれかはそれぞれ独立させ自己は最高顧問としてそ
れらを実質的に把握する意図のもとに昭和五六年三月一六・七日頃福岡市で開かれ
た同社の全国幹部会において、株式会社Gの経営を同社東京支社長の被告人Bにま
かせ、自己は最高顧問の地位につく旨発表し、出席者の承諾を得、以後被告人Bに
おいて、閉鎖登記簿謄本・登記簿謄本によつて認められるように、昭和五六年三月
三一日に、同月二〇日従前の取締役被告人A並びにM・N・O・P及び代表取締役
原審相被告人Hは退任し被告人Bが代表取締役、Q・Mが取締役に就任した旨の登
記手続をなし、更に同年四月三〇日株式会社Gの本社を大阪市a区bc丁目d番地
から東京支社事務所であつた東京都渋谷区ef丁目g番h号のiビルに移転する旨
の登記手続をなしたが、被告人Aは同社福岡支社から本社に送金すべき金員を勝手
に持出し費消したことで被告人Bらと紛争を生じた同年五月迄は引続き会長コミツ
シヨンとしての金員を受けていたほかにも同社の北九州支社の収益を顧問料として
その後も取得していたものであること、右紛争の結果被告人Aは同年五月下旬頃に
被告人B宛に同社の取締役を辞任する旨の書面を送りはしたもののそれにより東京
における本件「C」の運営が停廃されたものではなく、被告人A自身同社の最高顧
問としての地位を退いたものとは思わず、同年六月中旬福岡市で株式会社Rを設立
して本件と同じ「C」を運営していたK・Lの仲介で被告人Bと仲直りした際も、
被告人Bに対し「今迄のことを忘れ、どうどうとやつてくれ」と述べ、自らが最高
顧問である立場に変りがないことを明らかにしていること等の事実が認められると
ころであつて、これらの事実に照せば、被告人Aが昭和五六年五月下旬以後本件
「C」の運営についての共謀関係から離脱しその責を問われない立場になつたもの
ということはできないところであつて、株式会社Gの事務所が捜索差押を受けた結
果その運営ができなくなつた日の前日である昭和五六年七月二一日迄その運営をし
たものとしての刑責を問われるべきであるから、原判決には被告人Aが本件「C」
を運営した時期に関して事実誤認はない。
 三、 違法性阻却事由についての事実の誤認(被告人Aの弁護人豊田誠・同鈴木
堯博連名提出の控訴趣意書三の(四)の主張について、
 所論は要するに、被告人Aが本件「C」の運営を始める前項から運営に関与して
いた時期においては、「C」が無限連鎖講防止法に違反するとの当局の見解は示さ
れておらず、かえつて違反するものではない旨の見解が公にされ合法と見られてい
たものであり、同被告人が運営に関与しなくなつてから右法律に違反するとの評価
を受けるにいたつたものであるから、実質的にみれば、事後に法律が制定されたに
等しいので、遡つて同被告人の責任を追及することは許されず、仮りにそうでない
としても「権限ある者から許容されていた行為」として違法性が阻却されるもので
あるというにある。
 しかし、被告人Aが本件「C」の運営について責任を問われるべき期間は昭和五
六年五月下旬頃迄にとどまるものでないことは前述したとおりである。そして、原
判決挙示の証拠並びに証人堤賢二郎・同中村政法に対する尋問調書に照せば、昭和
五六年五月頃迄の新聞に株式会社Rや株式会社Gが営業方法として採用していた
「C」と呼ぶ組織・仕組みが無限連鎖講であるいわゆる「ネズミ講」にあたるか否
かについて、福岡通産局などが消極的な見解を示しているかの如くに窺える記事が
掲載されていたことが認められるものの、それが、いかなる事務・権限を分掌する
どの部課のどの様な地位にある者がどのような機会に示したものであるか明らかで
ないのみならず、福岡通産局商工部の「割賦販売法」「訪問販売等に関する法律」
の施行に関する事務を分掌する消費経済課消費者信用係は昭和五四年末か同五五年
始頃から、右「C」は「訪問販売等に関する法律」が規制する連鎖販売取引である
いわゆるマルチ商法に類似する疑いがあるなどの観点から種々行政指導をし、外か
らの苦情の問い合せには正常な商形態でないと答え、殊に株式会社Rが説明会にお
いて「C」は通産省も公認しているものである旨説明していることを聞知するやそ
の営業本部長のLに出頭を求め、同人に対し公認などしているものてはない旨注意
をあたえでいるのであつて、結局右「C」が巧妙に人工宝石の販売の外形をとつて
いたため、監督・取締りにあたる機関が調査・捜査しその実体を把握するのに時間
を要し昭和五六年七月二二日にいたつて株式会社Gの事務所を無限連鎖講防止法違
反の容疑で捜索・差押をするにいたつたものであり、「C」が違法なものではない
とし、これを認容していたものでないことが認められるところであつて、所論は理
由がない。以上原判決に事実誤認がある旨の論旨は全て理由がない。
 第四 量刑不当の論旨について
 一、 被告人Aの量刑不当(同被告人の弁護人豊田誠・同鈴木堯博連名提出の控
訴趣意書五)の主張について
 所論は要するに、通産省・福岡通産局や警察などから「C」が無限連鎖講にあた
る違法なものであるとの指導・警告等を受けたことがなく、新聞にも法律に違反す
るものでない旨の記事が掲載されていたことや、弁護士に鑑定を依頼した結果にお
いても無限連鎖講にあたるものでない旨の回答を得ていたので、被告人Aは本件
「C」が無限連鎖講防止法に違反するものではなく法律上許されているものと誤信
していたものであるから、違法性の認識を必要としないとする判例の立場にたつて
も斟酌又は宥恕すべき事由があるものとして刑の減軽がなされるべきこと、国又は
地方公共団体は無限連鎖講防止法四条により無限連鎖講の防止に関する調査及び啓
もう活動などの行政措置を講じ未然にこれを防止すべき責任があるのにもかかわら
ず、これを怠り、昭和五六年五月頃迄「C」について何らの指導・監督もなさず、
被告人Aらに違法行為を継続せしめておきながら、後になつて被告人Aらに対して
のみその責任を追及することは片手落ちであること、被告人Aは昭和五六年三月頃
以降本件「C」の運営からはずされ以後ほとんど関与していなかつたものであるこ
と等の事情に照せば、懲役一年六月に処しその刑の執行を猶予しなかつた原判決の
量刑は重きに過ぎて失当であるというにある。
 よつて按ずるに、前記第三の三に掲示の証拠によれば、「C」が人工宝石の販売
という外形をとつていたため、その実体が十分に把握されていなかつた時期である
昭和五六年五月頃迄「C」が無限連鎖講にあたるか否かについて福岡通産局などが
消極的な見解を示しているかの如く窺える記事が新聞に掲載され、その頃迄本件に
つき無限連鎖講としてその発生を未然に防止する措置がとられず、鑑定の依頼を受
けた弁護士が「C」は無限連鎖講防止法に違反するものでない旨の回答をなしてい
たことが認められるところであるが、被告人Aの検察官に対する各供述調書によれ
ば、同被告人自身、K・Lらが株式会社Rを設立して運営していた「C」に加入し
た昭和五三年一二月頃、既に「C」は人工宝石の販売というもののその実質はいわ
ゆる「ねずみ講」(無限連鎖講)であることを認識していたものであり、それの運
営による利得の多いことに着眼し自らも独立して「C」を運営することを決意した
時には禁じられた危い橋を渡つてやるものだから長期間継続することは出来ないの
で、短期間に多額の利得を得ようと企図したこと、また昭和五六年一月末頃福岡通
産局から「C」の書類一式の提出を求められたことを知るや、いよいよ来るものが
きたがそれにしても早すぎると感じたというのであるから、同被告人が違法性につ
いての認識を欠いていたということはできない(右各供述調書が任意性・信用性に
欠けるものでないことは前述のとおりである。)そして前記第三の三に記載の如く
通産省・福岡通産局や警察などが適切な防止措置が講じ得られなかつたのは「Cの
実体の把握に時間を要したものであつて放置していたとは非難し得ないこと、並び
に原判決の「量刑の理由」に記載されている本件犯行の態様・規模・与えた被害の
程度、被告人Aが本件「C」を運営するため設立した株式会社Gの取締役会長とし
て本件「C」の運営の実権を握り東京支社の開設に際しても中心的役割を果し多額
の利得を得ていたものであること、被害回復のための何らの手段も講じられていな
いことなどを併せ考慮すれば、被告人Aの刑責は重いものがあるといわざるを得な
いところである。そうすると、通産省・福岡通産局や警察などの監督・規制・取締
りにあたる機関が早期に迅速・適切な措置を講じたならば本件の被害の発生・拡大
を防止し得たであろうこと、本件について一応は反省の情を披瀝していること、原
判決も「量刑の事情」に指摘しているように本件「C」に加入した者の個々の被害
は(直接的には)四〇万円を限度とするにとどまり経済的破綻に陥つた者の存在は
窺えず、それらの者は(巧妙・強引・執拗な説明・説得によつたものではあるにせ
よ)一面自己の金銭欲につられて加入した点もあることなどの有利な事情を斟酌し
ても、被告人Aを懲役一年六月に処しその刑の執行を猶予しなかつた原判決の量刑
は重きに過ぎて不当であるとは認められない。論旨は理由がない。
 二、 被告人Bの量刑不当(同被告人の弁護人潁原徹郎提出の控訴趣意書第二)
の主張について、
 所論は要するに、被告人Bは本件「C」が無限連鎖講にあたるものとの明確な認
識までは持つていなかつたものであり、同被告人が本件「C」を運営していた当時
はそれが明らかに違法なものと一般には解釈されておらず、通産省・警察などから
も違法なものである旨の警告を受けていなかつたものであるから、同被告人が再度
かかる犯行を犯さないようにするためであつても、又類似組織の発生を防遏するた
めであつても、本件「C」が無限連鎖講に該当する違法なものであることを明らか
にすれば、その目的を達し得ること、マルチ商法と呼ばれる訪問販売等に関する法
律の第三章に規定する連鎖販売取引においては一名あたりの出捐額が数百万円・数
千万円となることも稀ではないのに、その刑罰の最高刑は懲役一年にとどまるもの
であることに比較すれば、本件「C」においては一名あたりの被害額は四〇万円に
とどまつているので、マルチまがいの商法ともいえる本件「C」の事犯について懲
役一年六月の実刑を科することは均衡を失し重きに過ぎるので刑の執行を猶予され
たいというにある。
 しかしながら、被告人Bの検察官に対する各供述調書によつても、同被告人はい
わゆるマルチ商法(無限連鎖取引)による営業を行いその規制を受けた経験を有す
るものであるが、それにより多額な借財をかかえることとなつたため、昭和五六年
六・七月頃「C」の話を聞きただちにそれがいわゆるねずみ講(無限連鎖講)に該
当する違法なものであることを認識したものの、右借財の返済のためにも手取り早
く多額の利得を得られる手段として自己も「C」を経営することを考え、マルチ商
法運営当時の仲間であるM・原審相被告人Iなどを誘い、同年九月頃に右Mを介し
被告人Aらを知り、被告人Aらが「C」を運営するために設立した株式会社Gの東
京支社の支社長として本件「C」を運営することとなり、東京支社の事務所を設け
るなどの準備をし、原判示の如く被告人Aらと共謀のうえ昭和五五年一二月二四日
頃から本件「C」を運営したものであることが認められるところであつて、同被告
人が本件「C」が無限連鎖講にあたる違法なものであることを承知してこれを運営
したことは明らかである。そして同被告人は昭和五六年三月迄は株式会社G東京支
社長として、同年四月以降は同社の代表取締役として本件「C」の運営を継続し、
通産省・警察の規制・取締りが近いことを察知してからは各支社をそれぞれ独立さ
せて右規制・取締りの影響を最少限度に食い止め、なおその運営を続けようと企画
していたものであり、しかも本件「C」運営により利得は被告人Aと並んで多額で
あること、前述の如く原判決の「量刑の理由」記載の本件犯行の態様・規模・被害
の程度や被害回復のための何らの手段も講じられていないことなどの点をも併せ考
慮すれば、被告人Bの刑責も被告人A同様に重いものがあるといわざるを得ない。
又所論はマルチ商法と呼ばれる連鎖販売取引に対しての最高刑と比較してそれを超
える刑を科することは重きに過ぎる旨主張するが、連鎖販売取引を規制する訪問販
売等に関する法律と無限連鎖講防止法とは、それぞれ目的・内容を異にする法律で
あるから、訪問販売等に関する法律における無限連鎖取引の規制違反についての最
高刑が懲役一年であることをもつて、それを超える刑を科することは均衡を失する
と言うことはできない。そうすると通産省・警察などの監督・規制・取締りにあた
る機関が早期に迅速・適切な措置を講ずれば本件の被害の発生・拡大を防止し得た
であろうことや、本件について反省の情を披瀝していること、前述のような本件
「C」に加入した者の個々の被害の状況・意図などの有利な事情を斟酌しても、被
告人Bを懲役一年六月に処しその刑の執行を猶予しなかつた原判決の量刑は重きに
過ぎて不当であるとは認められない。論旨は理由がない。
 以上、本件各控訴の論旨はいずれも理由がない。
 よつて、刑訴法三九六条により本件各控訴をいずれも棄却することとし、主文の
とおり判決をする。
 (裁判長裁判官 山本茂 裁判官 篠原昭雄 裁判官 渡邉一弘)

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