弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     当審における訴訟費用は全部被告人の負担とする。
         理    由
 弁護人長谷川勉上告趣意第一点について。
 第一審第三回公判調書に「公開をしたこと又は公開を禁じたこと及びその理由」
が記載されていないことは所論のとおりである。それ故第一審の公判調書作成手続
は記載事項を遺脱したもので明らかに刑訴四八条二項刑訴規則四四条四号の規定に
違反しているものといわなければならない。しかし、刑訴五二条は「公判期日にお
ける訴訟手続で公判調書に記載されたものは、公判調書のみによつてこれを証明す
ることができる。」と規定しているのであるから、逆に右公判調書に「公開をした
こと」が記載されてないからといつて、直ちに所論のごとくその公判手続は公開さ
れなかつたと速断するを得ない。本件では公開したか公開をしなかつたかは何等公
判調書に記載されていないのであるから、公判調書以外の資料でこれを証明するこ
とができるわけである。そして、刑訴三七七条によれば、審判の公開に関する規定
に違反したことを理由として控訴の申立をした場合には控訴趣意書に、その事由が
あることの充分な証明をすることができる旨の検察官又は弁護人の保証書を添附し
なければならないものであつて、この規定は刑訴四一四条により上告審にも準用さ
れるのである。しかるに、前記公判調書には被告人その他訴訟関係人において異議
を述べる等公開をしなかつたことを推認すべき記載がなく、原控訴趣意書にも公開
をしなかつた旨の主張及び立証がなく、また、本件上告趣意書にもその点につき何
等の証明保証書をも添附してないから、本論旨は、その前提において不適法として
採用し難くまた、同四一一条を適用すべきものとも思われない。
 同第二点について。
 記録によれば、本件(昭和二四年三月二九日起訴)第一審の審理及び裁判は判事
補服部一雄が一人でこれをしたものであること竝びに判事補の職権について裁判所
法及び訴訟法上制限のあることは所論のとおりである。しかし、同判事補は昭和二
三年法律一四六号判事補の職権の特例等に関する法律一条の規定により同年一〇月
五日当裁判所から判事の職務を行わしめる者に指名された判事補であることは当裁
判所に顕著な事実である。そして刑訴四八条、刑訴規則四四条によれば公判調書に
は裁判官の官氏名を記載すれば足りるものであるから、公判調書上同判事補が判事
の職務を行う職権を有することは特に記載する必要はなくその他記録上これを明ら
かならしめなければならないものではない。
 されば、本論旨もその前提において採用し難い。
 同第三点について。
 所論前段は、第一審判決の認めなかつた前科のあることを主張して第一審判決が
累犯加重の手続に出なかつたことを審理不尽又は判例違反でありこれを是認した原
判決も違憲又は違法であるというのである。しかし、かゝる第一審判決の認めなか
つた被告人に不利益な事実を新に主張することは、被告人のためにする上訴理由と
して是認することはできない。されば所論はその前提において明らかに刑訴四〇五
条所定の上告適法の事由となし難い。
 次に、所論後段は量刑不当の主張であるが当裁判所は本件では刑訴四一一条を適
用すべきものと認めることはできない。
 被告人本人の上告趣意について。
 所論は、第一審判決の認めた窃盗既遂は犯意なく未遂であり、且つ刑の量定が甚
だ不当であるというのである。されば、明らかに刑訴四〇五条に該当しないし、ま
た、同四一一条を適用すべきものと認められない。
 よつて刑訴四〇八条、一八一条に従い裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決
する。
  昭和二五年七月一三日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    沢   田   竹 治 郎
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    岩   松   三   郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛