弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

主         文
 1 本件控訴を棄却する。
 2 控訴費用は控訴人らの負担とする。
事実及び理由
第1 当事者の求める裁判
 1 控訴人ら
(1) 原判決を次のとおり変更する。
(2) 被控訴人は,控訴人らに対し,1074万5116円及びこれに対する平
成12年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(3) 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。
(4) 仮執行の宣言。
 2 被控訴人
本件控訴を棄却する。
第2 事案の概要
   事案の概要は,次のとおり付け加えるほかは,原判決「事実及び理由」中の
「第二 事案の概要」欄に記載のとおりであるから,これを引用する(ただし,原
判決書2頁12行目の「記録検出の結果」を削る。)。
(当審における控訴人らの主張)
  原判決は,原審で双方から指摘された最判昭和53年3月30日の考え方を
引用して,地方自治法242条の2第7項の弁護士報酬額算定の基準となる経済的
利益は,基本的には,算定不能の場合によるべきであるという見解のもとに,K弁
護士会報酬等規程15条1項による経済的利益が算定不能の場合の見なし利益額8
00万円をもって,本件住民訴訟の経済的利益の額としている。しかし,上記判例
の事案は,訴え提起の手数料印紙額の認定が問題となった事案である。住民訴訟の
訴えの手数料印紙額については,これが高額に過ぎると住民訴訟の制度の趣旨を没
却することになるという点が配慮されるべきであるが,逆に,法242条の2第7
項による弁護士報酬請求権は,住民訴訟を支えるための権利であるから,上記判例
の考え方を同項による弁護士報酬額の算定に際して利用することは合理的とはいえ
ない。この点は原審で主張したとおりであるが,更に,法242条の2第7項によ
る弁護士報酬負担制度と類似する商法268条の2第1項の規定に関する実務の考
え方も,参照されるべきである。すなわち,商法267条の規定による株主代表訴
訟の訴えにおける訴訟の目的の価額の算定問題については,財産権上の請求にあら
ざる請求に係る訴えとみなす趣旨の立法により解決されたが,その後においても,
商法268条の2第1項の規定による弁護士報酬額の認定については,株主代表訴
訟の結果会社の損害が回復されたときは,第一次的には会社に利益がもたらされた
ことになる点に鑑み,会社が回復した損害額を基準として,弁護士報酬規程により
着手金及び報酬が算定され,これに諸般の事情を加味して,最終的に決定されてい
るのが実務の取扱なのである。地方自治法242条の2第7項の解釈においてもこ
れと異なった解釈をすべき合理的な理由はなく,個別具体的な訴訟において,その
請求額,当事者の数,事案の内容,弁護士の手数の繁簡,提訴前に取った措置,自
治体が得た利益などの諸般の事情を考慮して,相当な額を判断すべきである。
第3 当裁判所の判断
1 当裁判所も,控訴人らの請求は,原判決が認容した限度で理由があるから,
認容すべきであり,その余は理由がないから,棄却すべきであると判断する。その
理由は,次のとおり付け加えるほかは,原判決「事実及び理由」中の「第三 争点
についての当裁判所の判断」に記載のとおりであるから,これを引用する(ただ
し,原判決書10頁22行目の「また、」から同頁25行目の末尾までを「なお,
本件住民訴訟の第2次第一審が係属中に,Zが被控訴人に3178万6898円を
支払っているが,これに本件住民訴訟の追行がどのように寄与しているかは明らか
でない。」に,同12頁7行目の「12年」を「平成12年」にそれぞれ改め
る。)。
 地方自治法242条の2第7項の規定による「相当と認められる額」(相当
額)は,同条の2第1項4号の規定による訴訟の原告が勝訴した場合に,「(その
原告が弁護士に支払うべき)報酬額の範囲内で」定められるべきものであり,普通
地方公共団体が弁護士に訴訟委任したとすれば支払うべき仮想的報酬額の範囲内で
定められるものではない。控訴人らは,本件住民訴訟の訴訟代理人に対し,口頭
で,K弁護士会報酬等規程の定めに従い,法242条の2第7項の手続により弁護
士報酬を支払う旨約束したというのであるが(原審第1回口頭弁論期日における控
訴人らの陳述),要するに具体的な金額の約束はないものの,K弁護士会報酬等規
程の定めに従う報酬額を支払うことを約束したというのである(敗訴の場合は無報
酬とする旨を含む趣旨かもしれない。)。したがって,本件の相当額の認定につい
ては,まず具体的な本件住民訴訟におけるこの約束による報酬額を認定する必要が
あるところ,この点は,原判決の認定判断するとおりであり,特別の事情のない限
り,K弁護士会報酬等規程のうち,事件等の対象の経済的利益の額を算定すること
ができないときについて定める15条1項を一応適用すべきものと認めざるを得な
い。本件住民訴訟で控訴人らが勝訴した場合に被控訴人が受けることになる経済的
利益がいかに大きいものであっても,これが直ちに控訴人らの受ける経済的利益に
該当すると考えることは相当でないのであって,控訴人らの受ける経済的利益は,
原判決が説示するように,K弁護士会報酬等規程による「経済的利益の額を算定す
ることができないとき」に該当すると解するほかないと考えられるからである。こ
のように弁護士会の定める弁護士報酬規程を一応の基準としても,前記相当額の認
定については,更に,その他の一切の事実を総合的に考慮する必要があり,住民訴
訟の認容額も考慮すべき事実であるから,控訴人らの主張はその意味で十分検討す
べきものと考えられるが,引用した原判決の認定判断は,これと同旨の見解のもと
に相当額を認定しているのであり,この認定判断を覆すに足りる証拠はない。
 控訴人らは,株主代表訴訟の場合について指摘している。しかし,株主代表
訴訟の場合に控訴人らの主張するような実務例があるとしても,株主代表訴訟と住
民訴訟ではその制度の趣旨,目的及び効果において異なる面があるから,両者を必
ずしも同様の考慮のもとに取り扱うべき必然性があるとまでは認めがたいのである
が,いずれにしても,本件では報酬契約が前記のように認められるから,双方を抽
象的に比較検討する主張は,採用することはできない。
2 よって,原判決は相当であって,本件控訴は理由がないから,これを棄却す
ることとし,控訴費用の負担について民訴法67条,61条,65条を適用して,
主文のとおり判決する。
   大阪高等裁判所第6民事部
  裁判長裁判官  加   藤   英   継
  裁判官小 見 山       進
  裁判官大   竹   優   子

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛