弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     被告人Aに対する原判決を破棄する。
     被告人B及び同C外四名に対する原判決のうち右被告人両名に関する部
分を破棄する。
     被告人Aを懲役八月、被告人Bを懲役一年二月、被告人Cを懲役二年に
処する。
     ただし、被告人三名に対して各三年間右刑の執行を猶予する。
     被告人Bから金三十一万五千円を追徴する。
     押収の出来高証明書二通(東京高等裁判所昭和三二年押第八三八号の五
の赤谷川綜合開発ボーリング、グラウト工事関係綴一冊のうち物第五号証の一)の
虚偽記載部分をいずれも没収する。
     訴訟費用中、当審の証人Dに支給した分は被告人Aの単独負担、原審証
人E、同F、同G及び同Hに支給した分は被告人Bの単独負担とし、原審証人Iに
支給した分は被告人Cと原審相被告人J及び同Kとの連帯負担とする。
     被告人Bの本件控訴を棄却する。
         理    由
 被告人三名に対する原審検事杉本覚一の控訴理由は、いずれも本件記録に編綴せ
られた同人作成名義の控訴趣意書(いずれも右各書面に添付されている各資料を含
む)記載のとおりであるから、いずれもこれらをここに引用することとし、これら
に対する被告人Aの弁護人中村信敏及び同牧瀬幸、並びに被告人Cの弁護人松岡末
盛の各答弁は末尾に添付せられた右各自作成の答弁書と題する書面記載のとおりで
あり、また被告人Bの弁護人柳川澄の控訴理由は末尾に添付せられた同人作成の控
訴趣意書記載のとおりである。よつてこれらに対して当裁判所は左のごとく判断す
る。
 第一、 被告人Aの弁護人中村信敏及び同牧瀬幸は答弁として、同被告人に対す
る検事控訴趣意書は刑事訴訟法で定められた方式に違反するものと認められるから
同法第三八六条第二号に則つて決定をもつて同被告人に対する検事控訴は棄却せら
るべきである旨主張するので、この点について審究するに、
 被告人Aに対する検事控訴趣意書によれば、その冒頭において、原審判決には、
判決に影響を及ぼすことが明らかな事実誤認の違法があり、然らずとするも、訴訟
手続の法令違背による審理不尽の違法があり、そのため事実を誤認したものと認め
られ、これまた判決に影響を及ぼすことが明らかであり、いずれの点よりするも到
底破棄を免れないものと思料すると前提し、その理由については、被告人Bに対す
る収賄被告事件の控訴趣意書中、第一、「事実誤認」の項の中の「二、Aから金二
十万円の収賄の事実について」と題する部分の理由記載をまずそのまま全部ここに
引用した上、と記載されてあり、続いてさて、本件は、検察官提出の甲第三四号証
の六(記録七〇七丁-七〇八丁)までの証拠によつて、前記引用の控訴趣意書記載
の理由(ただし引用の証拠は甲第三四号証までで甲第三五号証以下を除く)により
その証明は十分であると信ずる<要旨>旨記載されていて、検事は、右引用部分と同
一の記載を控訴趣意書本文中に重ねて記載する煩を避け、これに代えるに、
右Bに対する控訴趣意書の謄本を添付資料として本趣意書本文と契印附加したもの
であつて、すなわち、右資料は本趣意書の内容として本文と一体をなすものとみら
れ右引用部分の記載と右趣意書の本文と相まつて原判決に事実の誤認があることの
理由を示したものとみられるのであるから本趣意書を趣意内容を示していない不適
法なものと目すべきではないというべきである。所論引用の大審院判例は上告趣意
書に他の書面を上告論旨に援用するとあるのみでなんら資料の添付及び説明はなく
該文書を参照しなければその論旨を知悉し得ない場合の案件でありまた昭和二五年
一〇月一二日最高裁判所判決に示すところは上告趣意書には控訴趣意第一点を援用
すると記載あるのみで上告趣意書自体にまつたく趣意内容を示してない場合の案件
であつていずれも本件とはその趣を異にするものであるが故に、これらをもつて本
件事案を律することは適切ではないというべきである。また検事は右資料の引用に
ついて被告人Aにつき、原裁判所において取り調べなかつた甲第三五号以下は本趣
意書には引用しないと説明しているのであるから、所論のごとく、訴訟記録及び原
裁判所において取り調べた証拠に現われていない事実を援用した廉はない。なお検
事の所論は、右甲第三五号以下を除くとして同引用部分に挙示せられたその余の証
拠をそれぞれ対応部分に援用して控訴理由とする趣意であると認められるが故に資
料の何れの部分を如何ように引用するか明確を欠くことなく控訴理由が不分明と目
すべきではない。なお、牧瀬弁護人所論の訴訟手続の法令違反の控訴理由について
も、検事は、本件の場合原審裁判所は刑事訴訟法第三一三条の規定に拘らず、当然
検察官の弁論再開の請求を採用して、弁論を再開し、検察官にその立証責任を十分
果させると共に、職権主義の立場からすれば自らも検察官に更に立証を促すとか、
職権による取調をなす等して、十分に事案の審理を遂げるべき訴訟法上の義務を有
していたものといはねばならぬと主張しているのであつて、所論はひつきょう原裁
判所には刑事訴訟法第三一三条の適用を誤り同法第一条所定の趣旨に則らなかつた
訴訟手続上の法令違背があつたものというに帰着するものとみられるが故に、その
当否は別として控訴理由の内容を趣意書に明示しないものと目すべきではない。か
くして被告人Aに対する検事の控訴趣意書が所論のごとく刑事訴訟法又は刑事訴訟
規則で定める方式に違反するものとは肯認しがたく、決定をもつて控訴棄却を求め
る論旨は採ることはできない。
 (その他の判決理由は省略する。)
 (裁判長判事 中野保夫 判事 尾後貫荘太郎 判事 堀真道)

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