弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人を懲役壱年及び罰金六拾万円に処する。右罰金を完納することが
できないときは金参千円を壱日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
     この裁判確定の日から参年間右懲役刑の執行を猶予する。
     東京地方検察庁の領置にかかる別紙目録第一記載の腕時計百弐拾七個
(同庁昭和二十八年領第五三三九号の一の内)はこれを没収する。
     被告人から金参百弐拾九万七千五百弐拾八円を追徴する。
     訴訟費用は全部被告人の負担とする。
         理    由
 本件控訴の趣意は東京地方検察庁検事正柳川真文及び弁護人真田康平提出の各控
訴趣意書に記載されたとおりであるから、ここにこれを引用し、これに対し次のよ
うに判断する。
 検察官の論旨第一点について
 (一) まず原審が刑法第十九条第一項第四号第二項により東京地方検察庁の領
置にかかる現金七十七万一千五百円(同庁昭和二十八年領第五三三九号の二の内)
の没収を言い渡した点について考按するに、原判決援用の証拠によると、被告人は
昭和二十七年六月一日頃Aから関税逋脱の密輸入品である原判示腕時計合計千九十
五個を故買したうえ、翌六月二日頃その内の二百六十八個と、それ以外の三十一個
とを含めた合計二百九十九個の時計を実弟BをしてCに売り込ましめたところ、右
Cは内百七十一個を代金七十七万一千五百円で買い受けたのであるが、右百七十一
個の中には原判示千九十五個以外の三十個が含まれているので、原審が被告人の本
件故買に係る時計の一部を売却した代金中その領置にかかる分を没収の対象とした
としても、その金額は本件以外の三十個を除外した百四十一個分の代金六十五万一
千五百円でなければならないことが明らかであるから、原審は既にその金額の算定
において誤をおかしていること所論のとおりである。しかし、その点を除外しても
右金員が原判決の如く刑法第十九条第一項第四号によつて没収され得るためには、
該金員が<要旨>対価となる前のその関税賍物自体が同法条項第三号によつて没収し
得る場合でなければならない。しかるに関税賍物の没収については関税法に
特別の規定が存するので、刑法第十九条第一項第三号の適用は排除される結果、関
税賍物の対価についても同法条項第四号の規定を適用してこれを没収することは許
されないのである。
 そして本件貨物の如き昭和二十九年法律第六十一号による改正前の関税法(以下
「旧関税法」という)当時における関税賍物を没収することができない場合におい
ては、同法律第六十一号附則第十三項により旧関税法第八十三条第三項に従い該賍
物の原価に相当する金額を追徴すべきであつて、その賍物の対価が押収されている
からといつて、これを没収し得べき限りでない。されば原判決が前示金員の没収を
言い渡したのは法令の適用を誤つたもので、この誤が判決に影響を及ぼすことは明
らかである。
 (二) 次に東京地方検察庁の領置にかかる別紙目録第一記載の腕時計百二十七
個が、原判示の如く被告人においてAより故買した関税逋脱の密輸入品の一部であ
つて被告人の所有に属するものであることは、原判決援用に係る被告人の司法警察
員及び検察官に対する各供述調書、証人C、同Bの各供述等によつてこれを明認し
得られるので、旧関税法第八十三条第一項の規定によりこれを没収すべきであるに
かかわらず、原審が原判示のような独自の見解のもとに前示百二十七個の腕時計の
没収を言い渡さなかつたのは、これ亦所論の如く判決に影響を及ぼすこと明らかな
法令の解釈適用の誤をおかしたものといわなければならない。
 (三) 更に原判決挙示の証拠によると、関税逋脱の密輸入品である原判示腕時
計千九十五個のうち別紙目録第一記載の腕時計百二十七個を除く同目録第二記載の
腕時計九百六十八個については、既に被告人から他に売却せられて没収不能である
と認められるから、前説示の理由により旧関税法第八十三条第三項を適用して、そ
の原価相当額の追徴を言い渡すべきであるのに、原審はその言渡をしていないの
で、この点についても原判決は所論のとおり、法令の解釈適用において判決に影響
を及ぼすこと明らかな誤をしているものというべきである。
 以上(一)ないし(三)の各論旨はすべて理由があり、原判決は右いずれの点に
おいても、到底破棄を免れない。
 弁護人の論旨第二点について
 本論旨の理由のあることは、検察官の論旨第一点に対し(一)の項において説示
したとおりである。
 (その他の判決理由は省略する。)
 (裁判長判事 谷中董 判事 坂間孝司 判事 司波実)

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