弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴はこれを棄却する。
         理    由
 検察官原田秀隆の控訴趣意は別紙のとおりである
 右控訴趣意第一点について
 本件記録に徴すれば、所論の如く、起訴状記載の公訴事実は三回に互る地代家賃
統制令違反の事実であるが、原審第四回公判期日において立会検察官は裁判所の許
可を得て右事実中第二の訴因(被告人は昭和二十四年十一月初旬頃札幌市ab丁目
自宅に於てAに対しその所有家屋内二階三畳間一室を貸与するに際り北海道知事の
認可を受けないで家賃の額を一日金二百円と定め賃貸借契約を結んだ)に対し昭和
二十二年勅令第九号第二条違反の訴因(被告人は前記日時前記自宅に於てAとの間
に同人に部屋を提供して売淫せしめその収益金を同人と四分六分の割にて分配する
ことを約し以て婦女に売淫をきせることを内容とする契約をした)竝びに罰条を予
備的に追加したところ、原判決は前者については犯罪の証明なしとして無罪の言渡
をなし、後者については、これと前者とは刑事訴訟法第三百十二条第一項にいわゆ
る公訴事実の同一性がないから、適法に審判の対象として裁判所に係属しなかつた
ものとして何等の裁判をしなかつたことが認められる。
 ところで右地代家賃統制令違反と昭和二十二年勅令第九号違反の両訴因は次にの
べる如くその間に公訴事実の同一性がないと解するのが相当であると思料されるか
ら、後者は適法に裁判所に係属したものとは認め難く、従つて原判決は刑事訴訟法
第三百七十八条第三号にいわゆる「審判の請求を受けた事件について判決をしなか
つた」場合に該当しないものというべきであるから論旨は理由がない。
 右控訴趣意第二点について
 <要旨第一>然らば次に右地代家賃統制令違反の訴因と昭和二十二年勅令第九号違
反の訴因との間に公訴事実の同一性がありゃ否やにつき考察するに、公
訴事実の同一性とはその基本である事実関係において同一であることを意味するも
のと解すべきところ、右両訴因の事実関係を比較対照すれば、両者はたまたま契約
の当事者、日時、場所および、部屋を提供する点において符合するところがある
が、その基本となる点においては前者は一日二百円の賃料で二階三畳の間一室を貸
すことを約したという事実で後者は売淫をさせ利益を四分六分の割合で分けること
を約したという事実で基本的には両者は明らかに各別個の事実関係を形成している
ものというべきであるから右両訴因の間には公訴事実の同一性はないと解するのが
正当である。従つてこれと反対の見解に立つて原判決に理由のくいちがい乃至は刑
事訴訟法第三百十二条第一項の解釈適用を誤つた違法ありとなす論旨にはにわかに
賛同し難い。
 右控訴趣意第三点について
 右の如く地代家賃統制令違反の訴因と昭和二十二年勅令第九号違反の訴因との間
には公訴事実の同一性がないものと解すべきに拘らず原審が第四回公判期日におい
てその同一性ありとして立会検察官に対し前者の訴因に対し後者の訴因並びに罰条
を予備的に追加することを許したのは、刑事訴訟法第三百十二条第一項の規定に違
<要旨第二>反するものといわねばならない。しかしながら右両訴因につき立証の責
に任ずべきものは原審検察官であり、しかも許可したのはあくまでも予
備的な訴因の追加であつて右両訴因の中何れを採用するかは今後なお原審裁判官の
自由裁量に委ねられているのであるから、原審検察官としてはたとえ予備的訴因で
ある後者が採用せられると確信し且同訴因につき十分な立証がなされたとしても、
前者の訴因についても十分な立証をなすべく努力すべきであることは勿論であるの
みならず本件記録を精査すれば、原審検察官は本来の訴因である前者につき十分な
立証を尽したことが推知されるから、右の訴訟手続の違法が直ちに所論の如く原判
決に影響を及ぼすこと明らかであるとはいい得ない。論旨は理由がない。
 そこで刑事訴訟法第三百九十六条により本件控訴を棄却することとして主文のよ
うに判決をした次第である。
 (裁判長判事 黒田俊一 判事 鈴木進 判事 東徹)

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