弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人佐伯静治、同小林直人、同小島成一、同大野正男の上告趣意第一点につい
て。
 論旨は、単なる法令違反の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
(所論引用の判例は、事案を異にする本件に不適切であり、また原判決は、本件事
案の確定された事実関係の下においては、所論残留を正当ならしめる事由が存在し
ないとした趣旨であること、原判文を通読すれば、自から明らかである。原判決お
よびその維持する一審判決には、刑法一三〇条の解釈適用につき、所論のような過
誤は認められない。)
 同第二点について。
 論旨は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に
当らない。(本件争議当日における取引所側の、原認定のような計画によつて実施
される業務は、平常の取引所業務に比し内容的に遠くおよばないことは否定できな
いが、しかしこれによつても、取引所業務の本質的部面とみられる証券取引の公正
の監視、価格の確定とその公示については勿論、ややサービス的性格を有するとみ
られる受渡、清算についても、不十分ながら、取引所としての機能を発揮し、一応
取引所としての業務を遂行し得たものであることが認められ、少くとも刑法二三四
条による保護に値する業務の実体を有していたものと解せられる旨、および一審判
決判示第二の二の判示場立人らの判示取引所建物内への入場阻止がなされた午后三
時をやや過ぎた頃においても、もしこれらの場立人らが青行隊員らに阻止されるこ
となく立会場に入場することができ、直ちに取引所側から延刻の申請があつたとす
れば、大蔵大臣においても該申請を許可したものと認められるから、右時刻頃にお
いても場立人らが行おうとした業務が存在しなかつたとはいえない旨の原判決の判
断は、相当である。それ故、原判決には、証券取引法、取引所業務規程、同補助規
則の所論各規定および刑法二三四条の解釈適用につき、所論のような違法があると
は認められない。)
 同第三点について。
 論旨は、事実誤認、単なる訴訟法違反(採証法則違背を含む。)の主張であつて、
刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 同第四点(第一ないし第三のすべてを含む。)について。
 論旨中、原判決が当裁判所の判例に違反すると主張する点は(論旨は、これを明
記していないけれども、その引用判文からみて、昭和三三年五月二八日大法廷判決、
刑集一二巻八号一六九四頁以下を指示するものと認める。なお、所論引用のいわゆ
るA上告事件判決、刑集一〇巻一二号一六〇五頁以下は、本件とは事案を異にし適
切でない。)、原判決が争議行為の正当性を判断するに当り、単に平和的説得の域
を出ていたかどうかという狭い規準のみにより、諸般の事情からみて正当な範囲を
逸脱していたかどうかという広い規準による評価をしていないことを前提として判
例違反をいうものである。しかし、原判決およびその維持する一審判決の判示の趣
旨は、その認定する本件争議行為の全般にわたる事情から評価して、被告人の原判
示所為をもつて争議行為の正当性を逸脱したものと認め、刑法上の威力による業務
妨害罪が成立すると判断したものと解せられるので、判例違反をいう論旨はその前
提を欠くものであり、その余の論旨は、事実誤認、単なる法令違反の主張を出でな
いものであつて、すべて刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(なお、刑法二三四
条の「威力」とは、犯人の威勢、人数および四囲の状勢よりみて、被害者の自由意
思を制圧するに足る犯人側の勢力と解するを相当とし、かつ右勢力は客観的にみて
被害者の自由意思を制圧するに足るものであればよいのであつて、現実に被害者が
自由意思を制圧されたことを要するものではないと解すべきであることは、既に昭
和二八年一月三〇日当裁判所第二小法廷判決、刑集七巻一号一二八頁以下の示すと
ころである。原判決が、一審判決判示第二の一の(二)の所為を刑法二三四条の威
力業務妨害罪に当たるとしたのは、正当である。)
 よつて、刑訴四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主
文のとおり決定する。
  昭和三八年一二月二六日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    斎   藤   朔   郎
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    下 飯 坂   潤   夫

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