弁護士法人ITJ法律事務所

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       主   文
特許庁が昭和五〇年一〇月一七日同庁昭和四五年審判第一〇五八号事件についてし
た審決を取消す。
訴訟費用は被告の負担とする。
       事   実
第一 当事者の求めた裁判
 原告訴訟代理人は主文同旨の判決を求め、被告訴訟代理人は「原告の請求を棄却
する。訴訟費用は、原告の負担とする。」との判決を求めた。
第二 請求の原因
 原告訴訟代理人は本訴請求の原因として次のとおり述べた。
(特許庁における手続)
一 原告は、「日曜夕刊」の漢字を左から右に横書きして成り、第二六類「新聞」
を指定商品とする登録第七三二二六七号の商標(昭和三九年一二月一〇日登録出
願、昭和四二年一月三一日登録。)につき、昭和四五年二月四日その商標権者たる
被告を被請求人として、旧商標法(昭和五〇年法律第四六号による改正前のもの。
以下同じ。)第五〇条第一項により、不使用を理由とする商標登録取消の審判を請
求(昭和四五年審判第一〇五八号)したところ、特許庁は昭和五〇年一〇月一七日
右請求は成り立たない旨、主文第一項掲記の審決をし、右審決の謄本は同年一一月
二九日原告に送達された。なお、被告は昭和五一年八月六日右商標権の存続期間の
更新登録の出願をした。
(審決の理由)
二 右審決は次のように要約される理由を示している。
 審判請求人(本件原告)の請求の理由は、本件登録商標は、継続して三年以上日
本国内において、商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれによつても、
その指定商品について使用されていないから、旧商標法第五〇条第一項の規定によ
り、その登録を取消されるべきであるというにあるが、右商標不使用の事実につい
ては、その立証の責任がある請求人においてなんら挙証するところがなく、これを
認めることができない。
(審決の取消事由)
三 しかしながら、右登録商標は、右審判請求時まで継続して三年以上日本国内に
おいて、商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれによつても、その指定
商品について使用されていない。したがつて、審決が、右商標不使用の事実を認め
ず、
その登録の取消をしなかつたのは違法である。
第三 答弁
 被告訴訟代理人は請求の原因について次のとおり述べた。
一 原告主張の前掲一及び二の事実は認める。
二 同じく三の事実は争う。この点に関する審決の判断は正当であつて、審決に原
告主張のような違法はない。
第四 証拠(省略)
       理   由
一 前掲請求の原因事実中、被告に商標権のある登録商標について、その構成、指
定商品、登録年月日及び存続期間の更新登録出願、原告の登録取消審判の請求から
審決の成立に至るまでの特許庁における手続並びに審決の理由に関する事実は当事
者間に争いがない。
二 そこで、右審決の取消事由の有無について判断する。
(一) 成立に争いのない甲第三号証、乙第二号証の一ないし三、第三号証、証人
A及び同Bの各証並びに原、被告各本人尋問の結果(但し、被告本人の供述中、後
記信用しない部分を除く。)を綜合すれば、被告は、東京都杉並区<以下略>に店
舗を設け、同区、世田谷区及び渋谷区の各一部の購読者を対象として朝日新聞の取
次販売業を営むものであるが、本件商標の登録出願中の昭和四一年四月頃から登録
後の昭和四四年九月半頃までの間、時には中断したりしながらも、概ね月三回位一
般日刊紙の夕刊がない日曜日に、顧客に対するサービスのため、「朝日新聞和泉町
専売所」の肩書を付した被告の発行名義をもつて、「日曜夕刊」と題し、既刊の朝
日新聞に掲載された記事の中から再度読者に知らせたい事実を抜き出し、または、
近所の面白いニユースを取り上げて記事とし、わら半紙の片面に謄写版刷りにした
印刷物を毎回五〇〇部位宛作製したうえ、店頭の新聞販売用スタンドに入れて置
き、不特定多数の希望者に自由に取らせて無料で配布したこと、しかし、被告がそ
の他に右商標を使用したことはないこと、また、被告は、右商標権について、昭和
四四年九月一六日Bに対し、期間同日から昭和四七年八月末日まで、地域関東地域
一円、対価一か月金五万円毎月一五日前払の約で専用実施権を設定したが、それ
は、夕刊日曜株式会社が「夕刊日曜」だんち版という名称の新聞を発行するについ
て本件商標権者たる被告から類似商標の使用として苦情が出ることを恐れ、その役
員のBに依頼してその個人の資格で、専用使用権を取得させたものであること、な
お、同人はその後三回位にわたり株式会社サンデープレスから本件商標使用の対価
名義で金二〇万円宛の支払を受けたが、それは、夕刊日曜株式会社の関係者の一部
により設立された株式会社サンデープレスが同様に「夕刊日曜」だんち版という名
称の新聞を発行するについて、本件商標権者たる被告から類似商標使用といわれた
ことを回避しようとしたものであること、そのような事情のため、夕刊日曜株式会
社、株式会社サンデープレスは、両社とも「夕刊日曜」という名称の新聞を発行し
た事実はあるが、「日曜夕刊」という名の新聞を発行した事実はないこと、そして
以上の他、本件商標権につき専用使用権者または通常使用権者は存在しないことを
認めることができ、被告本人の右認定に反する述供部分は前示証拠に照らし信用す
ることができず、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。
(二) 右認定の事実について考えれば、被告が「日曜夕刊」なる印刷物を無料で
配付したのは、被告の朝日新聞取次販売営業の顧客に対するサービスたるにすぎ
ず、もとより、商取引としてなされたものとはいえず、したがつて、右印刷物は商
標法第二条にいう商品というに足りないから、これに本件商標の「日曜夕刊」とい
う標章が附されたとはいえ、その配布をもつて右商標について右規定のいう「使
用」に該当するものということはできない。そうすると、結局、本件商標は本件審
判請求時たる昭和四五年二月四日まで継続して三年以上日本国内において、商標権
者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれによつても、その指定商品について使
用されていなかつたものというべきであつて、審決が右商標不使用の事実を認め
ず、その登録の取消をしなかつたのは違法というほかはない。
三 よつて、本件審決の違法を理由にその取消を求める原告の本訴請求を正当とし
て認容することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法第七条及び民事訴訟法
第八九条の規定を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 駒田駿太郎 石井敬二郎 橋本攻)

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