弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人岸達也の上告趣意について。
 上告趣意第一点乃至第五点の論旨はいずれも原審に対する控訴趣意において申立
てられていないものであり、また、原審は右論旨のいずれについても職権で調査し
判断しなければならないものではないから、原審の是認した第一審判決の量刑を不
当とする上告趣意第六点とともに第二審判決に対する上告適法の事由を定めた刑訴
四〇五条各号のいずれにも明らかに該当しない。しかのみならず(一)記録によれ
ば被告人は昭和二四年五月二〇日館林簡易裁判所裁判官河内雄之の逮捕状によつて
同日午後三時a地区警察署において逮捕され、同日午後三時半同署に引致され、翌
二一日に被告人の司法警察員に対する第一回供述調書が作成されたことを認められ
る。ところで、刑訴二〇三条によれば司法警察員は逮捕状によつて被疑者を逮捕し
たときは直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げなけれ
ばならぬのであるから、前記a地区警察員はすくなくとも被告人を逮捕した当日た
る二〇日中には被告人にこれを告げている筋合である。されば逮捕の日の翌二一日
に至つて司法警察員が被告人を取調べるに際し重ねて犯罪事実の要旨及び弁護人を
選任することができる旨を告げるの要のないことはいうまでもないところであるし、
また、司法警察員がこれ等の事実を被告人に告げたことを必ず調書に記載すべき旨
の法令の規定も存しないから、所論の司法警察員に対する被告人の供述調書に司法
警察員が被告人に対して犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告
知したことの記載が存しないからといつて、被告人の抑留をとらえて憲法三四条に
反するものということはできない。従つて所論の司法警察員に対する被告人の供述
調書は不法な勾留中において作成された供述調書とはいえないから、仮りに所論の
ように不法勾留中に作成された被告人の供述調書はこれを証拠とすることができな
いものであるとしても、論旨第一点はその前提を欠きとるをえない(二)自首減軽
は事実裁判所の裁量に委せられていることがらであるから、自首の主張ががあつて
もこれが判断を示す必要がなく、また自首の事実があつても、刑を減軽しなければ
ならないものでもない。されば第一審裁判所が自首の点について何等触れるところ
がなかつたからといつて違法であるとはいえない。しかのみならず所論の司法警察
員に対する被告人の供述調書中「御署では私達を探している処で……」の被告人の
供述記載に徴し被告人は本件において罪を犯しいまだ官に発覚させる前に自首した
ものとはいうことができない。されば、論旨第二点は単に訴訟法違反の主張として
もその前提を欠きとるをえない。(三)一件記録を閲するに原裁判所は適法な公判
手続を経て本件を審理判決しているものと認むるに充分であるから、原判決には法
律に定める手続によらないで刑を科したというような違法は存しない論旨第三点は
とるをえない。(四)審判の公開に関する規定に違反したことを理由として控訴の
申立をなす場合の刑訴三七七条の規定は同四一四条により上告審にも準用されるの
である。しかるに本件上告趣意書にはその点につき何等の証明保証書をも添附して
いないから論旨第四点は不適法として採用し難い(昭和二四年新(れ)五六二号同
二五年七月一三日当法廷判決判例集四巻八号一三四三頁以下参照)(五)第一審公
判廷において第五点の論旨のように裁判所が被告人に質問をなした後に証拠調をし
ていることは記録上明らかであるが、証拠調前にかゝる質問をすることは被告人を
訴訟当事者としてではなく、証拠方法として取扱つたという公式論者のそしりを免
れないだけで、裁判所がその裁量に基き必要であると思料して質問し、被告人がこ
れに対し任意に供述をした以上必ずしも違法であるということはできない。(六)
第六点の原審の是認した第一審判決の量刑不当の論旨も亦刑訴四一一条を適用すべ
きものとは認められない。
 よつて刑訴四一四条、三八六条一項三号に従い裁判官全員一致の意見で主文のと
おり決定する。
  昭和二五年一一月三〇日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    澤   田   竹 治 郎
            裁判官    齋   藤   悠   輔
            裁判官    岩   松   三   郎

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