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平成13年(行ケ)第206号 審決取消請求事件
平成13年6月28日口頭弁論終結
        判      決
    原      告   ベクトン ディッキンソン アンド カンパニー
    訴訟代理人弁護士   松尾和子
    訴訟代理人弁理士   加 藤 ちあき
    被      告   小野薬品工業株式会社
     主      文
 1 特許庁が登録第0394796号商標の登録取消審判事件(取消2000-
30724号)について平成12年12月14日にした審決中,「その余の商品に
ついての審判請求を却下する。」との部分を取り消す。
 2 訴訟費用は,被告の負担とする。
    事実及び理由
 1 原告は,主文同旨の判決を求め,別紙のとおり,請求の原因を述べた。
2 被告は,公示送達によるものでない適式の呼び出しを受けながら,本件口頭
弁論期日に出席せず,答弁書その他の準備書面も一切提出しないから,原告の主張
する請求の原因事実をすべて自白したものとみなされる。
3 自白したものとみなされる上記請求の原因事実の下では,本件商標の指定商
品である「化学品,薬剤」の中には,「ばんそうこう」が含まれるものと解するの
が相当であり,これが含まれないとする審決は,本件商標の指定商品である「化学
品,薬剤」についての解釈を誤ったものというべきである。そして,この誤りが審
決の結論に影響を及ぼすことは明らかである。
4 以上のとおりであるから,原告の本訴請求は理由がある。そこで,これを認
容することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を
適用して,主文のとおり判決する。
   東京高等裁判所第6民事部
       裁判長裁判官     山   下   和   明
裁判官     設   樂   隆   一
裁判官     宍   戸       充
別    紙
1 被告は,本件商標登録第0394796号に係る商標(以下「本件商標」と
いう。)の商標権者である。本件商標は,昭和23年10月13日に登録出願さ
れ,昭和25年12月14日に,第1類「化学品,薬剤」を指定商品として設定登
録され,昭和45年12月22日,昭和55年12月23日,平成3年3月26日
に,それぞれ商標権存続期間の更新登録がされたものである。
2 原告は,本件商標の登録取消審判事件(取消2000-30724号事件)
において,本件商標の指定商品中「ばんそうこう及びこの類似商品,消炎剤及びこ
の類似商品」について,その登録を取り消す旨の審決を求め,請求の理由として,
「被請求人が,本件商標をその指定商品中「ばんそうこう及びこの類似商品,消炎
剤及びこの類似商品」のいずれについても,継続して3年以上日本国内において使
用していないし,専用使用権者及び通常使用権者として本件商標を使用している者
も存在しない。」旨を述べた。
3 特許庁は,平成12年12月14日,上記登録取消審判事件において,「登
録第0394796号商標の指定商品中「消炎剤及びこの類似商品」については,
その登録は取り消す。その余の商品についての審判請求を却下する。」との審決を
し,その謄本は,同13年1月9日に,原告に送達された。
4 審決は,「本件審判請求において登録の取消を求める商品「ばんそうこう及
びこの類似商品」については,本件商標の指定商品「化学品,薬剤」中には包含さ
れていない商品である。そうすると,本件審判請求中「ばんそうこう及びこの類似
商品」についての登録の取消を求める部分は,不適法な審判請求であって,その補
正をすることができないものであるから,商標法第56条において準用する特許法
第135条の規定により却下すべきものである。」との判断を示して,上記3のと
おり,上記商品についての審判請求を却下した。
5 審決の上記判断は,次に述べるとおり,誤りである。
 本件商標は,昭和23年10月13日に商標登録出願され,大正10年商標
法(法律第99号)施行規則第15条による商品分類第1類「化学品,薬剤及び医
療補助品」の中の一部である「化学品,薬剤」を指定商品として,昭和25年12
月14日に設定登録され,その後,上記1のとおり,それぞれ商標権存続期間の更
新登録がなされて今日に至っているものである。
 大正10年商標法に基づき出願された本件商標につき,出願審査段階で特許
庁により使用された昭和7年3月付けの「類似商品例集」によると,第1類「化学
品,薬剤及び医療補助品」の記号12「薬剤類」の「カ」の行に「膏薬,軟膏、硬
膏,擦剤,絆創膏」の商品表示が記載されている。したがって,原告が登録の取消
しを求めた商品「ばんそうこう及びこの類似商品」は,本件商標の指定商品である
「薬剤」に包含される。
6 よって,審決が「ばんそうこう及びこの類似商品」について,原告の取消請
求を却下したのは違法であり,取り消されるべきである。

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