弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決中、上告人らに関する部分を破棄する。
     右部分につき被上告人の控訴を棄却する。
     控訴費用及び上告費用は、被上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人市川巌の上告理由一ないし三について
 一 原審が適法に確定した事実関係は、次のとおりである。
 1 上告人有限会社A1水産(以下「上告人会社」という。)、D機工株式会社
(以下「D」という。)及び被上告人は、昭和五五年一〇月一日、被上告人が上告
人会社に金融を得させることを目的として、上告人会社が所有していた本件冷凍冷
蔵庫をDが買い受けた上、被上告人に売り渡し、被上告人がこれを更に上告人会社
に割賦販売するという名目で、被上告人から売買代金名下に一七四四万円をDに交
付し、Dが上告人会社に右金員を交付することを合意した。
 2 上告人会社は、同日、右交付金について、被上告人との間で、次のとおりの
合意をした(以下、この合意と右1の合意のうち上告人会社と被上告人との間の合
意を合わせて「本件契約」という。)。
  (一) 上告人会社は、被上告人に対し、Dから交付される一七四四万円に同日
から昭和六〇年九月三〇日までの利息金六九八万円を加算した二四四二万円を元利
金を均等とする月賦払の方法で支払う。
  (二) 月賦金は四〇万七〇〇〇円とし、第一回分と前払月賦金一二二万一〇〇
〇円は契約締結日に現金で支払い、残り五六回分は昭和五五年一一月から昭和六〇
年六月まで毎月二八日を満期日とする約束手形で支払う。
  (三) 上告人会社がこの約定に違反したとき、又は手形不渡処分を受けるなど
支払停止の状態に陥ったときは、被上告人の通知、催告を要せず期限の利益を失う。
  (四) 上告人会社がこの約定による債務の支払を遅滞したときは年三〇パーセ
ントの割合による遅延損害金を支払う。
 3 上告人A2、同A3は、E、Fとともに、昭和五五年一〇月一日、被上告人
との間で、上告人会社の被上告人に対する本件契約による債務につき連帯保証した。
 4 被上告人は、同日、上告人会社から物件受領書の交付を受けた上、Dに対し
て同社との間の売買代金一七四四万円を支払った。
 5 上告人会社は手形を発行することができない状態であったため、Eは、上告
人会社の代表取締役である上告人A2の了承の下に、上告人会社に代わり右2の月
賦金の担保として被上告人に約束手形を振り出し、そのうち昭和五五年一一月から
昭和五六年六月分までの八通につき決済した。
 6 上告人会社は、売買代金名義の融資金をEを通じて受領することを了承して
いたが、その後、同人から被上告人による融資金として額面一〇〇万円の為替手形
三通を受け取った外は全く金員の交付を受けず、右各手形も不渡りとなり、結局、
被上告人の出捐した金員が上告人会社に支払われたことはなかった。
 二 右事実関係の下において、原審は、上告人会社、被上告人及びDの三者間の
各契約はリースバックないし割賦バックと称されているものであり、一般に、この
種の契約は借主と中間者、中間者とリース業者、リース業者と借主との各売買契約
が別個に成立したことになり、リース業者は借主と中間者との売買に関与せず、そ
の代金の授受に立ち会うものでもないから、中間者がリース業者の代理人であると
か、リース業者に悪意ないし過失が肯定されるなど特段の事情のない限り、借主は
中間者から融資金たる代金の支払を受けられないことを理由にリース業者からの代
金の支払請求を拒否することは許されないとした上、本件において右の特段の事情
は認められないから、上告人会社は本件契約による前記一2の月賦金の残額を被上
告人に支払わなければならないとして、上告人会社及びその連帯保証人である上告
人A2、同A3に対してその支払を求める被上告人の請求を認容すべきものとした。
 三 しかしながら、原審の右判断は是認することができない。その理由は、次の
とおりである。
 前記事実関係によれば、上告人会社、被上告人及びDの三者間では、本件冷凍冷
蔵庫につき売買契約締結の形式があるとしても、各当事者間では真にその目的物件
の所有権を移転する意思があったとはみられないばかりでなく(なお、被上告人は
上告人会社に融資をする意思であったが、その営業目的がリース及びこれに付随す
る割賦販売と定められており金融業は認められていなかったため、割賦販売契約の
形式を借りて本件契約を締結したものであることは、被上告人の主張自体からも明
らかである。)、Dは被上告人から売買代金名下に受領した一七四四万円と同額の
金員を上告人会社に交付することを同意したにすぎないのであって、Dが転売利益
を取得する余地はない。そして、右三者間の各契約の内容をみるのに、これをいわ
ゆるリース契約と評価しなければならないものではない。むしろ、右三者間の各契
約の中で実質的意味があるのは本件契約だけであって、本件契約においては、上告
人会社がDを通じて被上告人から一七四四万円の融資金の交付を受け、その返済と
して元本一七四四万円と特定の期間の利息金六九八万円を被上告人に支払うことが
明確に合意されていることからすると、本件契約の実質は、元本を一七四四万円と
しこれを上告人会社が被上告人に対して前記一2の各約定に従って返済する趣旨の
金銭消費貸借契約又は諾成的金銭消費貸借契約であるというべきであるのに、前記
のような被上告人の営業目的に合致させるため本件冷凍冷蔵庫の割賦販売契約を仮
装したものと考えるほかはない(なお、前記事実関係のうち、上告人会社が売買代
金名義の融資金をEを通じて受領することを了承していたことは、右判断を左右す
るものではない。)。してみると、前記事実関係によれば、上告人会社は一七四四
万円の融資金の交付を受けていないのであるから、本件契約に基づく右融資金を返
還すべき義務がないものといわなければならない。
 そして、被上告人の請求は、上告人会社の本件契約に基づく融資金の返還義務に
ついて上告人会社及びその連帯保証人である上告人A2、同A3にその支払を求め
る趣旨であると解されるところ、これが理由のないことは明らかである。これに反
する原審の前記判断には、法令の解釈適用を誤った違法があり、右違法は判決に影
響を及ぼすことが明らかである。論旨は理由があり、その余の点について判断する
までもなく、原判決中上告人らに関する部分は破棄を免れない。そして、前記説示
に徴すれば、被上告人の請求は棄却すべきであり、これと同旨の第一審判決は正当
であり、被上告人の右部分についての控訴はこれを棄却すべきものである。
よって、民訴法四〇八条、三九六条、三八四条、九六条、八九条に従い、裁判官全
員一致の意見で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    貞   家   克   己
            裁判官    園   部   逸   夫
            裁判官    佐   藤   庄 市 郎
            裁判官    可   部   恒   雄
            裁判官    大   野   正   男

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