弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 被告人Aの弁護人村尾元良の上告趣意について。
 人権の尊重せらるべきものであることは、多言を要しないところであるが、記録
を精査しても原審がその審理をなすに当り被告人に対し不当にその人権を無視する
措置に出でたことを認むべき何等の証跡もない。論旨は、所論原審の審判手続に如
何なる違法があり、その違法が原判決に如何に影響を与えたかを明確にすることな
く、唯慢然と審理が被告人の人権を無視したものであるから原判決を破毀すべきで
あると主張するに帰着し、採用の限りでない。
 同被告人の弁護人桑名邦雄の上告趣意第一点について。
 原審の認定した事実によれば、被告人は他の共犯者十数名と共謀して、B工業株
式会社から繊維製品を強奪することを企て、トラツクを準備して右会杜に到り被告
人の誘導のもとに共犯者中の四名が会社事務室内で宿直員三名に対し拳銃を突付け、
麻縄を以てその手足を縛う有合せの手拭布片を以て目隠をする等の暴行を加え同人
等の反抗を抑圧しつゝある間に全員協力して会社倉庫内から会社所有の白金巾、黒
木綿生地等千九百余点を強取したというにあつて、この認定事実は、原判決挙示の
証拠に照らしてこれを肯認するに難くない。されば被告人は本件犯行に際し唯単に
現場の案内をしたり、或は強取した後の盗品の運搬手伝をしたというのではなく、
共謀者の一人としてその実行に加担したものであると認定されたものであるから、
原審が被告人に対し強盗罪の正犯として擬律したのは当然である。原判決には所論
のような違法はなく論旨は理由がない。
 同第二点について。
 本論旨の理由のないことはその引用にかかる各弁護人の上告趣旨に対する説明に
より明らかである。
 被告人Cの弁護人中村登音夫の上告趣意第一点について。
 原判決はその挙示する証拠を綜合して被告人が他の共犯者と共謀して判示強盗を
敢行したものであること、すなわち、被告人に所論強盗の意思のあつたことを認定
しているのであり、しかもその事実認定はその援用証拠を綜合すればこれを肯認す
るに難くないのである。そして被告人の自白に対するいわゆる補強証拠なるものは、
必ずしもその自白を全面的に裏付けするものたることを要せず、唯自白そのものの
真実性を保証し得れば足ると解すべきことは、当裁判所大法廷の判例とするところ
である。されば原判決には所論のような違法はなく、論旨は右判例と反対の見地に
立つものであり採用に値しない。
 同第二点について。
 記録によれば、被告人が昭和二一年五月一六日逮捕せられ、同年七月一一日勾留
状の執行を受けたものであること、また原判決挙示の所論被告人の白白が同年九月
四日の予審第一回被告人訊問の際(勾留後一ケ月二五日)及び同年一〇月二九日開
廷された第一審第一回公判期日(勾留後三ケ月一八日)にそれぞれなされたもので
あることは論旨の指摘するとおりである。しかし、被告人は同年六月一〇日既に警
察署においても本件犯行を任意自供しているのであり、所論の自白は右警察署にお
ける自供を再確認したに過ぎないものたることが窺われ、所論の勾禁とは何等因果
関係のないことが明白であるばかりでなく、(当裁判所大法廷判決、判例集二巻四
号三六四頁以下参照)、本件事案の内容の複雑性、殊に多数の共同正犯の存するこ
と、並びに当時におけるわが国下級裁判所における事件の輻輳状況等その他諸般の
事情を斟酌すれば、右自白が必ずしも不当に長い拘禁後の自白とはいい得ないもの
であることは、当裁判所大法廷判例(判例集二巻二号一七頁以下参照)の趣旨に徴
して明らかである。されば原判決には所論のような違法はなく論旨は理由がない。
 よつて旧刑訴四四六条に従い裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
 検察官 十蔵寺宗雄関与
  昭和二七年一二月二五日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    岩   松   三   郎
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    斎   藤   悠   輔
 裁判官沢田竹治郎は退官につき署名捺印することができない。
         裁判長裁判官    岩   松   三   郎

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