弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人丸山公夫,同柴山聡,同前田直哉の上告受理申立て理由(ただし,排
除された部分を除く。)について
1本件は,原判決別紙物件目録記載の土地(以下「本件土地」という。)を時
効取得したと主張する上告人が,本件土地は所有者が不明な土地であるから民法2
39条2項により国庫に帰属していたと解すべきであるなどとして,被上告人
(国)に対し,上告人が本件土地の所有権を有することの確認を求める事案であ
る。
被上告人は,本件土地は,過去において所有者が存在していたことが推認される
民有地であって,国庫に帰属していたということはできないから,本件訴えは確認
の利益を欠き不適法であると主張する。
2原審の適法に確定した事実関係の概要は,次のとおりである。
(1)上告人は,昭和30年5月26日に法人格を取得した宗教法人である。
(2)本件土地は,明治4年正月5日太政官布告第4号により官有地に区分さ
れ,次いで,明治7年11月7日太政官布告第120号により官有地第三種に区分
された墳墓地であるが,その後,明治8年7月8日地租改正事務局議定「地所処分
仮規則」に従い民有地に編入された。
(3)本件土地については,登記記録は作成されているが,表題部所有者の登記
も所有権の登記もない。
(4)上告人は,法人格を取得した昭和30年5月26日から20年間本件土地
を占有したことによりこれを時効取得したと主張して,被上告人に対し,平成19
年12月14日送達の本件訴状により,取得時効を援用する旨の意思表示をした。
3所論は,本件土地は,表題部所有者の登記も所有権の登記もなく,従前の所
有者が全く不明なのであるから,これを時効取得した上告人が現行登記制度の下で
所有名義を取得するには本件訴えによるしかなく,本件土地は民法239条2項に
より国庫に帰属していたものと解して本件訴えの確認の利益を認めるべきであるの
に,これを認めなかった原審の判断には,法令解釈の誤りがあるというのである。
4そこで検討すると,被上告人は,本件土地が被上告人の所有に属していない
ことを自認している上,前記事実関係によれば,被上告人は,本件土地が明治8年
7月8日地租改正事務局議定「地所処分仮規則」に従い民有地に編入されたことに
より,上告人が主張する取得時効の起算点よりも前にその所有権を失っていて,登
記記録上も本件土地の表題部所有者でも所有権の登記名義人でもないというのであ
るから,本件土地の従前の所有者が不明であるとしても,民有地であることは変わ
らないのであって,上告人が被上告人に対して上告人が本件土地の所有権を有する
ことの確認を求める利益があるとは認められない。
所論は,本件訴えの確認の利益が認められなければ,上告人がその所有名義を取
得する手段がないという。しかし,表題部所有者の登記も所有権の登記もなく,所
有者が不明な土地を時効取得した者は,自己が当該土地を時効取得したことを証す
る情報等を登記所に提供して自己を表題部所有者とする登記の申請をし(不動産登
記法18条,27条3号,不動産登記令3条13号,別表4項),その表示に関す
る登記を得た上で,当該土地につき保存登記の申請をすることができるのである
(不動産登記法74条1項1号,不動産登記令7条3項1号)。本件においては,
上告人において上記の手続を尽くしたにもかかわらず本件土地の所有名義を取得す
ることができなかったなどの事情もうかがわれず,所論はその前提を欠くものとい
うべきである。
そうすると,本件訴えは確認の利益を欠き不適法であるといわざるを得ない。
5以上と同旨の原審の判断は,正当として是認することができる。論旨は採用
することができない。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官千葉勝美裁判官古田佑紀裁判官竹内行夫裁判官
須藤正彦)

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