弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

平成18年7月27日判決言渡同日原本交付裁判所書記官
平成17年(ワ)第11055号不正競争行為差止請求事件
(口頭弁論終結の日平成18年6月9日)
判決
原告深江化成株式会社
訴訟代理人弁護士平尾孔孝
同竹岡富美男
同中嶋勝規
被告エフ・シー・アール・アンドバイオ株式会社
訴訟代理人弁護士笹野哲郎
同種谷有希子
同関通孝
同貞本幸男
主文
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1請求
被告は,別紙第2物件目録記載のサンプリングチューブ(以下「被告商品」と
いう。)の製造,輸入及び販売をしてはならない。
第2事案の概要
1本件は,原告が製造販売するサンプリングチューブについて,その円錐状部分
の先細先端部分の底面部すなわちゲート部分が平底すなわちフラットゲートのタ
イプであり,かつバルブゲート金型を用いて製造することにより,ゲート部分に
樹脂を注入したピンゲートの跡(以下「ゲートピン跡」という。)がないという
特徴を有する形態であり,その形態は周知商品等表示となっているのに,被告が
同一もしくは酷似した形態を有する被告商品を製造販売し,原告の商品と混同を
生じさせていることが不正競争防止法2条1項1号の不正競争行為に該当すると
して,原告が,被告に対し,同法3条1項に基づき,被告商品の製造,輸入及び
販売の差止めを求めた事案である。
2前提となる事実(証拠により認定した事実は末尾に証拠を掲げた。その余は争
いのない事実である。)
(1)サンプリングチューブは,主としてミリリットル単位の少量での検査をす
る試薬等の対象物を入れるプラスチック製のチューブ容器であり,DNA,血
液検査などの医療検査,食品検査等の検査用の試験管として,あるいは検査等
の対象物を簡易保存,分離撹拌するための容器として使用されている。(少量
での検査であることにつき甲17)
(2)原告は,平成13年ころから,別紙第1物件目録記載のサンプリングチュ
ーブ(以下「原告商品」という。)を販売している。
(3)被告は,平成17年1月ころから,被告商品をOEM商品として米国のア
キシジェン社より買い入れ,日本国内において販売している。
(4)原告商品と被告商品は,容量1.5ミリリットルでフラットゲートである
点において共通している。また,原告商品と被告商品は,その寸法,形態がほ
ぼ同一である。
3争点
(1)原告商品の,フラットゲートでゲートピン跡がないという形態は,「商品
等表示」に該当するか。また,その「商品等表示」は需要者の間で周知になっ
ていたか。
(2)被告商品は,上記(1)の「商品等表示」とほぼ同一の形態を有しているため,
原告商品と「混同」を生じさせるおそれがあるか。
第3争点に対する当事者の主張
1争点(1)(周知商品等表示性)について
(1)原告の主張
ア商品の形態が「商品等表示」に該当するための要件について
不正競争防止法2条1項1号にいう商品等表示は,商品が自己の商品を表
示するものとして出所表示機能をもつことを要件とし,特別顕著性といった
特段の主張立証を求めるものではない。周知性の程度も,当該商品の需要者
の圧倒的多数が知っているという高度なレベルに達する必要はなく,表示が
保護に値する利益としての信用を表象している状態であれば足りる。
イ原告商品の特徴的な形態について
原告商品は,フラットゲートでかつゲートピン跡を残さないようにした点
において,他のメーカーの商品にはない特徴的な形態を有している。なお,
ピンゲート金型を使用した場合は,底面はフラットになるものの,点状のゲ
ートピン跡が残るので,外側底面は完全にフラットにはならない。
サンプリングチューブは,そのゲート部分に注入されている内容物につき,
サンプリングチューブを垂直に立てた状態で斜めから見るため,ゲート部分
の外側底面中央にゲートピン跡があると,ゲート部分の内容物の有無,内容
がわかりにくくなる。また,フラットゲートではない場合,ゲート部分がレ
ンズの機能を果たし,内容物が微量になればなるほどゲート部分に残された
微量の残留物の確認が困難となる。原告商品は,ゲートピン跡がなくフラッ
トゲートであることから,上記のようなレンズ効果が生じることなく,ゲー
ト部分の内容物を鮮明に確認できるという点で視認性に優れている。
ウ取引の実情と需要者の認識
原告は,平成13年から現在に至るまで,フラットゲートでゲートピン跡
がない原告商品を販売してきた。
サンプリングチューブの最終需要者は,理工学,医学,薬学部のある全国
の大学及び病院,民間企業,検査センター等の各種理化学検査,研究機関等
である。このようにサンプリングチューブの需要者層は限定されているので,
原告は,新聞,雑誌等の一般のマスコミ等による広告宣伝は特にせず,ディ
ーラーからユーザーへの流通経路を重視した需要者との間のコミュニケーシ
ョンを通じてユーザーに密着した販売体制をとり,原告社員が常時ディーラ
ーないし需要先に出向いて原告商品を説明するという宣伝広告方法をとって
いる。このように,原告は,カタログ販売を重視し,需要先に「ワトソン」
ブランドのカタログを無償で全国で毎年1万部頒布してきた。
そして,原告のすべての商品カタログにおいて,「フラットゲート」の文
言を記載し,うたい文句として,チューブの底部の突起が全くないフラット
ゲートなので,レンズ効果がほとんどなく,高可視度で見やすく,内容の確
認が容易に行えることをうたって宣伝広告しているので,フラットゲート及
びゲートピン跡がないことは原告商品の特徴として需要者にも知られている。
したがって,フラットゲートでゲートピン跡がないという形態は,原告の製
品であることを示す極めて強い自他識別機能を有している。
なお,カタログのブランド名は商品表示と相まって周知性を基礎づけるも
のである。また,株式会社アシスト(以下「アシスト社」という。)あるい
は株式会社イナ・オプティカ(以下「イナ・オプティカ社」という。)の商
品は,いずれも原告が製造していたもので,販売は各社がしていたとしても,
製造については原告が独占的に行っていたのであるから,原告商品の出所表
示性が否定されるものではない。
エ販売実績
原告が販売する容量1.5ミリリットルのサンプリングチューブの平成1
6年における年間国内販売数は全体の18パーセントであり,原告商品は,
平成14年4月以降,容量1.5ミリリットルのサンプリングチューブの売
上額の20ないし25パーセントを占めている。原告商品の宣伝,広告,市
場における評価,消費者の認識等により,フラットゲートという形態は,出
所表示機能を有している。国内で製造されるサンプリングチューブの約90
パーセントは原告が製造しているものであり,それ以外はほとんど外国メー
カーが製造したものを輸入している。
オ展示会等への出展
原告は,原告商品を学会等における理化学機器の展示会等に必ず出展して
いるが,外国製品が展示,紹介されることはない。これまでに原告商品を出
展したのは,①平成15年10月15日から18日まで,第76回日本生化
学学会(パシフィコ横浜),②平成16年5月19日から21日まで,第3
回国際バイオEXPO(東京ビッグサイト),③平成16年10月13日か
ら16日まで,第77回日本生化学学会(パシフィコ横浜),④平成17年
10月19日から21日まで,全日本科学機器展in大阪2005,⑤平
成17年10月19日から22日まで,第78回日本生化学学会(神戸)で
ある。
このように,平成16年ころには,ゲートピン跡がなくフラットゲートの
サンプリングチューブは,全国の市場及び一般消費者の間で,原告商品とし
て広く周知されていた。
(2)被告の主張
ア商品の形態が「商品等表示」に該当するための要件について
そもそも商品の形態自体は本来商品の出所を表示するものではないが,あ
る形態が永年継続してある商品に使用され,又は短期間であっても強力に宣
伝され,あるいはその形態が極めて特殊独自であることにより,その形態自
体が出所表示の機能を備えるに至ったような場合には,それらは商品表示と
して,不正競争防止の保護対象とされる。その趣旨はあくまでもそのような
商品表示に化体された他人の営業上の信用を自己のものと顧客に誤認混同さ
せて顧客を獲得する行為を不正競争行為として防止することにある。したが
って,商品形態に商品表示性があるというためには,①特別顕著性,②周知
性の2要件を満たす必要がある。
イサンプリングチューブ一般の形態について
原告や被告が取り扱っているプラスチック製理化学器材は,日本のみなら
ず世界各地でも製造販売されているが,そのサイズは各社でほぼ同一である。
容量1.5ミリリットルのサンプリングチューブは,これを置くラックやこ
れを入れて使用する遠心機の構造,仕様が世界でほぼ同一であり,ゆえにサ
ンプリングチューブのサイズも必然的に世界でほぼ同一(径が10ないし1
3ミリメートル,長さが40ミリメートル前後)にならざるを得ない。また,
各社は,プラスチック製理化学器材の製造に関する世界の先駆的会社である
エッペンドルフ社の製品を基本としている状況もある。このように,プラス
チック製理化学器材は,同じ種類のものであれば,基本的には同じサイズで
ある。
ウフラットゲートの特別顕著性について
サンプリングチューブは,もともと丸底タイプのものが販売されていたが,
その後平底タイプも販売されるようになり,現在では,丸底,平底の両タイ
プが流通している。遅くとも平成5年には原告以外のメーカーの平底タイプ
のサンプリングチューブが多数流通していた。したがって,原告商品のフラ
ットゲートという形態に特別顕著性はない。
エゲートピン跡がないことの特別顕著性について
サンプリングチューブの製造工程においては,ゲート部分に必ず樹脂注入
の跡(以下「ゲート跡」という。)が残るところ,そのゲート跡は指摘され
なければ気が付かないほどごく小さなものであり,特別顕著性足りえない。
現に,販売会社各社も,カタログにおいて,丸底か平底かという明記はして
いるものの,それに加えて底に樹脂注入の跡が存在するか,存在する場合ど
のような形状なのかについてまで明記したものはない。ユーザーの興味もせ
いぜい丸底か平底かという程度にとどまるのであって,さらに,底にゲート
跡が存在するかどうか,存在する場合どのような形状なのかという点にまで
及ばないためである。ゲート跡は,標章等と同様の非常に印象的,特徴的な
ものであるという特別顕著性の要件を満たさない。また,原告以外のメーカ
ーすなわちエッペンドルフ社及びアシスト社でも,平底タイプのサンプリン
グチューブでゲートピン跡が残っていない商品を製造販売している。
オ需要者の認識と取引の実情について
サンプリングチューブは消耗品であるから,取引者及び需要者が注意する
のは製品として価格,性能,性能の保証となる製造会社名及び商標である。
取引者及び需要者は,数あるカタログの中から特定のメーカーのカタログを
選び出し,そのカタログの中から必要な商品を購入しているのであり,形態
については,どこの会社のものであってもほぼ同一であるから,取引者及び
需要者が形態によって購入の意思を左右されるようなことはない。
カ周知性について
原告の主張する平成16年における約18パーセントという市場占有率は,
平底,丸底を含めた市場占有率であるし,原告が指摘する会社以外において
も,平底,丸底を含めた容量1.5ミリリットルのサンプリングチューブが
販売されており,その2社だけでも3000万本は販売されている。そして,
原告商品に限定した平成16年の市場占有率は更に小さい数値(約1.04
パーセント)となる。
原告は,ワトソンブランドで商品を流通させ,認知周知されていると主張
するが,これは原告商品の形態ではなく,むしろ「ワトソン」というブラン
ド名が商品の出所表示機能を有していることを裏付けるものである。
2争点(2)(「混同」のおそれの有無)について
(1)原告の主張
被告商品が販売されるようになってから原告商品と混同する者がおり,その
結果,西日本地域のユーザーに混乱が生じ,原告に対して,原告商品の製造販
売はしなくなるのかという問い合わせがあったり,被告商品の説明を求めてく
る事態が生じた。
(2)被告の主張
西日本地域のユーザーに混乱が生じた点は否認する。混同のおそれは単に混
同の可能性があるというのでは足りず,混同する蓋然性が高いことを要する。
原告商品はカタログ販売が主流であるところ,カタログ販売においては販売会
社名が取引において重視され,原告はWATSON,被告はLabStuf
fという標章を付して販売していることからすれば,混同する蓋然性はまった
くない。
第4当裁判所の判断
1争点(1)(周知商品等表示性)について
(1)商品の形態が「商品等表示」に該当するための要件
商品の形態は,必ずしも商品の出所を表示することを目的として選択される
ものではないが,①商品の形態が客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴
を有しており,かつ,②長期間継続的かつ独占的に特定の営業主体の商品に使
用されるか,又は短期間でも強力に宣伝されたような場合などには,商品等表
示として需要者の間に広く認識されることがあり得るというべきである。
(2)証拠(各事実の末尾に記載した。)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実
が認められる。
アサンプリングチューブの基本的な形態
原告商品及び被告商品のような容量1.5ミリリットルのサンプリングチ
ューブは,いくつもの会社(日本国内で有力なものは数社ないし10社)か
ら発売されているが,その基本的なサイズ,形状は,世界で共通しており,
各社の製品についてもほぼ同じである。(甲1の2,甲2,5,6,9,1
4,16,乙1ないし6,7,9の1ないし14の3,乙17ないし21)
イフラットゲートとゲートピン跡
サンプリングチューブを成形加工する手段としては,底部より樹脂を高温
液体の状態で高圧で注入する方法が一般的であり,ピンゲート(樹脂出口の
直径が0.5ないし0.7ミリメートル程度)の場合もバルブゲート(樹脂
出口の直径が1ないし2ミリメートル程度)の場合も,射出成形機から金型
に液体が注入され,注入された液体が固体となった段階で,金型と射出成形
機が互いに反対方向に移動して,ゲート部分が切断される。ピンゲート方式
の場合は,ゲート部分が引きちぎられるようにして切断されるが,バルブゲ
ート方式の場合は,ゲート部分がバルブ(棒)で蓋をするように切断される
点が異なる。いずれの場合も外側底面にゲート跡が残るが,その直径は,各
樹脂出口の直径に対応したものとなる。ピンゲート方式により作成されたも
のは,小さなゲートピン跡がごく僅かに出っ張るため,わざと外側底面の円
周を高くしてゲートピン跡を保護することがある。この円周の高さも僅かな
ものである。(乙22)
1.5ミリリットルのサンプリングチューブの底面は,直径5ミリメート
ル前後のものであり,その外側底面がフラットゲートであるか否かは,更に
それより小さい面積における相違である。このことと,一般にサンプリング
チューブは透明であることが相まって,外側底面にゲート跡があるのかどう
か,またそのゲート跡がゲートピン跡であるかバルブゲート方式によるゲー
ト跡であるかは,よく見なければ識別できない製品もある。(乙1ないし6,
17,18)
ウサンプリングチューブの販売形態と需要者
サンプリングチューブの需要者は,大学,病院,民間企業,検査センター
などの各種理化学検査,研究機関等であり,商品カタログにより販売される
ことが多い。原告は,ディーラーを通じて需要者に「ワトソン」のブランド
を付した商品カタログを毎年約1万部頒布し,原告商品もディーラーを通じ
て需要者に販売している。原告は,サンプリングチューブを紹介するリーフ
レット等を不定期に作成頒布したこともある。(甲1の1ないし3,甲6な
いし17)
原告の商品カタログにおいては,表紙を始めとして随所に「WATSO
N」「ワトソン」の記載があり,品番,容量,材質,形状ないしスタイル
(平底等),キャップタッチ(柔らかいか硬いか),仕様(滅菌の有無,カ
ラーの有無等),1袋あたりの入数,定価が記載されている。原告の総合カ
タログ及びダイジェストカタログには,原告商品を紹介する頁において,
「フラットゲートチューブは底面の突起がなく肉厚も側面と同じになってい
る為,レンズ効果が少なく」との記載とともに,「フラットゲート」と「従
来品」を対比した写真が掲載されているが,その「従来品」の写真からは,
外側底面にゲートピン跡があるかどうかも,円周が高くなっている等の凹凸
があるかどうかも確認することができない。「WATSONサンプリング
チューブ(フラットゲート)」とするリーフレット(平成13年に5000
部作成)及び「WATSONSCREWCAPTUBES」とするチ
ラシ(平成15年500部作成)には,原告商品について「チューブの底部
の突起が全くないゲートフリーなので高可視度で見やすく」との記載があり,
「従来の底部」と「フラットゲート」として,「従来の底部」は外側底面の
円周が高くなっているのに対し,「フラットゲート」は外側底面が平らであ
るように,サンプリングチューブの底面付近を拡大し,色付けして模式的に
図示した絵が記載されている。もっとも,その「従来の底部」でも,ゲート
ピン跡の有無は確認できない。また,「WATSONサンプリングチュー
ブ」とするチラシ(平成13年に5000部作成)では,冒頭の原告商品の
紹介では「レンズ効果がほとんど無く,内容物の確認が容易におこなえま
す。」とあるものの,底面の突起についての記載はない。(甲6ないし11,
14,16)
エ被告商品を紹介するリーフレット
被告が被告商品を紹介するリーフレットでは,商品を「ラベリングや書込
み可能のフラットキャップ目盛付突起のないフラットな底」として説明
し,従来品と対比して「従来品に比べフラットゲートチューブは均一の厚さ
で設計されているため・・・試薬を最後まで無駄にしません」として「従来
品」と「フラットゲート」が図示されているが,「従来品」の外側底面にゲ
ートピン跡や,円周が高くなっている等の凹凸があるかどうかを確認するこ
とができない。(甲2)
オ他社の製品と商品カタログ
イナ・オプティカ社は,遅くとも平成5年から現在まで,アシスト社も,
現在は平底のサンプリングチューブを販売している。イナ・オプティカ社は,
現在自らの販売するサンプリングチューブについて,2005/2006総
合カタログで「平底」として底面付近の拡大図を図示しており,アシスト社
もカタログ(時期不明)で,サンプリングチューブの絵の底部に「平底」と
記載しているが,いずれも,外側底面にゲートピン跡,突起や凹凸があるか
どうかを確認することができない。その他,両社の商品カタログにおいて,
その掲載されているサンプリングチューブの各写真から外側底面のゲートピ
ン跡の有無や凹凸を確認することは困難である。(乙7,8,16,19な
いし21)
この点に関し,原告は,上記イナ・オプティカ社とアシスト社の平底のサ
ンプリングチューブは,いずれも原告会社が製造して上記両社に販売してい
たものであると主張する。しかし,上記両社のカタログには,上記各サンプ
リングチューブはいずれもそれぞれ上記両社の自社ブランドとして記載され
ており,これらと原告商品に共通の製造者が存在するということを認識でき
る記載はないし、需要者がそれを認識しているとも認めがたい。したがって,
仮に上記各サンプリングチューブの製造者が原告であるとしても,需要者が,
上記各サンプリングチューブの出所を原告と結びつけるとは認められない。
(乙20,21)
カ原告商品の販売年数及び市場占有率
原告商品は,平成13年から販売が開始され,500本を一袋に入れて販
売され,平成13年には960袋(48万本),平成14年には9760袋
(488万本),平成15年には1万0840袋(542万本),平成16
年には1万1860袋(593万本),平成17年には1万3800袋(6
90万本)が販売された(平成14年以降の販売数については,原告商品と
形状が同じである品番131-5155Cを含む。以下同じ。)。他方,1.
5ミリリットルのサンプリングチューブの販売数は,被告商品の販売が開始
される直前である平成16年には,原告が約2651万本,原告以外が約1
億4100万ないし1億5000万本で,合計約1億7000万本であった。
したがって,原告商品の市場占有率は,平成16年には,3.5パーセント
前後であった。平成13年から15年まで及び平成17年の容量1.5ミリ
リットルのサンプリングチューブの販売数を平成16年と同量と推定すると,
原告商品の市場占有率は,平成13年には0.3パーセント弱,平成14年
には3パーセント弱,平成15年には3.2パーセント前後,平成17年に
は4パーセント前後となる。(甲5,17,乙23)
(3)「フラットゲート(外側底面が平底)で」「ゲートピン跡がない」ことの
「商品等表示」該当性について
ア前記(2)イにおいて認定した「フラットゲートで」「ゲートピン跡がな
い」点の物理的サイズ及び認識判別の難易に加えて,同ウ,エ,オにおいて
認定した各社カタログ等の記載における取扱われ方によれば一般にサンプリ
ングチューブの外側底面の小さな凹凸やゲート跡が注目される程度はさほど
高くないと推認されることを総合考慮すると,「フラットゲートで」「ゲー
トピン跡がない」ことは,需要者に対し,従来のものと隔絶した顕著な印象
を与えるものと認めることはできない。
イまた,前記(2)ウにおいて認定したサンプリングチューブの販売態様及び
原告のカタログ等の記載内容と配布数と,前記(2)カにおいて認定した原告
商品の販売年数及び市場占有率からすれば,原告商品の「フラットゲート
で」「ゲートピン跡がない」という形態は,原告商品に使用されたのが長期
間であったとも,強力に宣伝されたとも,認めることができない。原告は,
原告商品を学会等における理化学機器の展示会等に5度出展したと主張する
が,仮にそうだとしても,やはりこれを認めるに足りるものではない。
ウフラットゲートでゲートピン跡がないという形態は,前記ア説示のとおり
従来のものと隔絶した顕著な印象を与えるとはいえない商品形態であって,
これについて前記イの程度の期間の独占的使用と宣伝がされたとしても,こ
れによって,商品等表示として需要者の間に広く認識されるようになったと
認めることはできないし,他にこれを認めるに足りる証拠はない。
2結論
よって,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求は理由がないか
ら棄却することとし,主文のとおり判決する。
大阪地方裁判所第26民事部
裁判長裁判官山田知司
裁判官西理香
裁判官村上誠子

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛