弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

主文
被告人を懲役1年6月に処する。
この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。 
被告人から金30万円を追徴する。
訴訟費用は被告人の負担とする。
理       由
(罪となるべき事実)
 被告人は,平成9年3月17日から,静岡県A警察署警備課警備係主任として出
入国管理及び難民認定法に規定する犯罪の取締りに関すること等の職務に従事し
ていたものであるが,
第1 静岡県浜名郡a町bc番地のdに事務所を置くB会社代表取締役として,外
国人労働者等を雇用して人材派遣業を営んでい
るCから,平成13年4月下旬ころ,同県浜松市efg番地所在のD店駐車場
において,同人及び同人が人材派遣する日本に
滞在する外国人に係る出入国管理及び難民認定法に規定する犯罪の取締りに際
し,取締りを免れさせる等の有利かつ便宜な取
り計らいを受けたいとの趣旨の下に貸与されるものであることを知りながら,
現金30万円を交付させて貸与させ,もって自
己の前記職務に関して同額相当の金融の利益を得て賄賂を収受し,
第2 Cに対し,同年6月下旬ころ,B会社事務所内において,前記趣旨の下に,
現金250万円を貸与するよう要求し,もって
自己の前記職務に関して同額相当の金融の利益の賄賂を要求した。
(量刑の理由)
本件は,出入国管理及び難民認定法違反等の取締りを担当する警察官であった被
告人が,不法残留の外国人等を雇用し,人材派遣業を行っていた,B会社の代表取
締役のCから,取締りを免れる等有利かつ便宜
な取り計らいを受けたいとの趣旨で貸与されることを知りながら,現金30万円の
貸与を受け,さらに同趣旨のもとで250万円の貸与を要求した事案である。
 その経緯は,被告人が,以前B会社が不法残留の外国人の関係で摘発を受けた
際,捜査を担当してCと顔見知りとなり,その後も取締りや指導のためにB会社を
訪れる一方,出入国管理及び難民認定法違反の嫌疑があっても大目に見るなど有利
な取り扱いをするうち,Cから飲食店で接待などを受けるようになり,そのような
癒着した関係の中で,Cが被告人による有利かつ便宜な取り計らいを求め,被告人
の頼みであれば断り難いのを利用し,住宅の修繕費や教育費,更にはギャンブル等
で作った多額な借金をギャンブルで儲けて返済しようと思い,その資金としてCか
ら30万円を借用したというものと,更に自己の借金を整理するため,同様の趣旨
で250万円の借金を申し込んだというものであるから,いずれの犯行も金融の利
便を目的としたもので
その動機,経緯には何ら酌量の余地はない。
 また,被告人は自ら要求して積極的に本件を犯したもので,その犯行自体いずれ
も悪質であり,被告人は本件以外にも飲食店等での饗応や現金の貸与を数回受けて

たことを認めているし,更にはB会社に不法残留の外国人がいても見逃すなどした
もので,自己の立場や節度を弁えず規範意識が鈍麻しており,強い非難を免れな
い。そして,借用した金員はその大半をギャンブルや遊興費に費消しており犯行後
の情状も芳しくない。
 警察官はその職務を,厳正,中立,公正に行うべきであり,廉潔性を強く求めら
れているのに,それを蔑ろにしたもので,警察の威信や職務に対する信頼性を甚だ
しく失わせたものであり,被告人の犯行が社会に与えた衝撃には大きいものがあっ
たことなどに鑑みると,被告人の刑責は重いと言うべきである。
 他方,被告人は,犯行を素直に認めるなどして反省改悛の情を示していること,
被告人が賄賂として受けたのは無利子での金30万円の借用の利益であり,貸与を
受けた金員については返済をしていること,これまでに前科前歴がないこと,警察
官として長らく地域の安全や秩序の維持等に携わってきたこと,被告人の妻が情状
証人として出廷し,その更生に助力する旨約していること,本件発覚により懲戒免
職に付され,事件がマスコミに大きく報道され強い非難を浴びるなどの社会的制裁
を受けたことなど,酌むべき事情もある。
 そこで,以上の諸事情を総合考慮すると,主文の刑に処した上,その刑の執行を
猶予するのが相当である。
 よって,主文のとおり判決する。
(求刑 懲役1年6月 追徴金30万円)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛