弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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    主     文
被告人を懲役2年に処する。
この裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。
    理     由
(罪となるべき事実)
 被告人は,
第1 Aと共謀の上,株式会社B及び株式会社Cが有する商標の使用に関し,何ら権限
がないのに
1 平成11年4月上旬ころから同年5月中旬ころまでの間,被告人が,静岡県清水市
a町b番c号D商店において,株式会社Bが指定商品装身具,その他本類に属する
商品(旧指定商品区分第21類)として登録を受けた商標である「ADABAT」の文
字(登録年月日,平成1年12月25日,商標登録番号2197414号)及び指定商
品かばん類等(指定商品区分第18類)として登録を受けた商標である犬図形(登
録年月日,平成7年8月31日,商標登録番号3072281号)と類似する商標をか
たどった布地を布生地に貼り付け,Aが同市d町e番地のfの同人方で同布生地をバ
ッグ1個に仕立てた上,平成11年5月中旬ころ,D商店において,Eに対し,同バッ
グを代金5000円で販売譲渡し,もって株式会社Bが有する商標権を侵害し
2 同年6月中旬ころ,被告人が,D商店において,株式会社Bが指定商品フェルト及
び不織布等(指定商品区分第24類)として登録を受けた商標である犬図形(登録
年月日,平成8年5月31日,商標登録番号3153657号)と類似する商標をかた
どった布地を布生地1枚に貼り付けた上,平成11年6月下旬ころ,同店において,
Fに対し,同布生地を代金約3000円で販売譲渡し,もって株式会社Bが有する商
標権を侵害し
3 平成12年2月中旬ころから同年5月下旬ころまでの間,被告人が,D商店におい
て,株式会社Bが指定商品被服等(旧指定商品区分第17類)として登録を受けた
商標である「ADABAT」の文字(登録年月日,平成1年8月31日,商標登録番号2
162499号)及び指定商品被服等(指定商品区分第25類)として登録を受けた商
標である犬図形(登録年月日,平成8年5月31日,商標登録番号3152982号)と
類似する商標のマーキングシートを布生地に貼り付け,Aが前記同人方において
同布生地をベスト1着に仕立てた上,平成12年5月下旬ころ,D商店において,G
に対し,同ベストを代金約1万5000円で販売譲渡し,もって株式会社Bが有する
商標権を侵害し
4 平成13年4月中旬ころから同年5月下旬ころまでの間,被告人が,D商店におい
て,株式会社Cが指定商品被服等(指定商品区分第25類)として登録を受けた商
標である「SHONANBO」の文字(登録年月日,平成8年9月30日,商標登録番号
3202441号)及びSHONAN DUKEの頭部正面向きの絵柄(登録年月日,平
成12年6月2日,商標登録番号第4389093号)と類似する商標を布生地に刺繍
し,Aが前記同人方において同布生地をベスト2着に仕立てた上,平成13年5月下
旬ころ,D商店において,Hに対し,同ベスト2着を代金合計約2万2000円で販売
譲渡し,もって株式会社Cが有する商標権を侵害し
第2 I及び株式会社Bが有する商標権の使用に関し,何ら権限もないのに
1 平成11年10月下旬ころ,D商店において,Iが指定商品織物等(指定商品区分第
24類)として登録を受けた商標である「adidas」の文字(登録年月日、昭和60年3
月25日、商標登録番号第1499855号)と類似する商標を布生地1枚に刺繍する
などし、平成11年11月上旬ころ、同店において、Jに対し、同布生地を代金約49
00円で販売譲渡し,もってIが有する商標権を侵害し
2 平成13年6月上旬ころ,D商店において株式会社Bが指定商品メリヤス生地等
(指定商品区分第24類)として登録を受けた商標である「adabaT」の文字(登録年
月日,平成13年1月12日,商標登録番号4445240号)及び犬図形(登録年月
日,平成8年5月31日,商標登録番号第3153657号)と類似する商標を布生地
1枚に刺繍するなどし,平成13年6月上旬ころ,同店において,Kに対し,同布生
地を代金約2200円で販売譲渡し,もって株式会社Bが有する商標権を侵害し
たものである。
(量刑の理由)
 本件は,いわゆる偽ブランド商品の製造及び販売により登録商標権を侵害したという
事案である。被告人は,自社が販売する布生地等に有名ブランドの商標を貼り付けるな
どして,自社商品の価値を高めるとともにその販売数を拡大し,専ら自己の経済的利益
を追求しようとしたものであり,その安易かつ身勝手な動機に酌むべき事情はない。ま
た被告人は,平成5,6年ころから継続的に偽ブランド商品の製造及び販売を敢行して
きたのに加え,平成11年5月ころからは,新たに導入したパソコンや高額なコンピュータ
ー刺繍ミシンを駆使して,多数の登録商標をより精確に模造してきたものであり,その犯
行は極めて計画的かつ職業的であり犯情悪質である。実際被告人は,平成11年7月2
7日以降,偽ブランド品の受注により,約220万円もの代金を得たものであって,各商標
権者に与えた損害も決して少額とはいえない。そうすると,商標権,著作権等の無体財
産権が極めて重要な財産的価値を有する現在の流通取引社会において,被告人の刑
事責任は重いと言わざるを得ない。
 しかし,被告人は,捜査段階から一貫して犯行を素直に認めるなど反省改悛の情を示
していること,被告人には前科がないこと,被告人の妻が情状証人として出廷し被告人
の指導監督を誓っていること,すでに新聞報道等により被告人及びD商店の信用が相
当程度低下するなどの社会的・経済的制裁を受けていることなど,被告人のために酌む
べき事情もある。
 そこで,以上の諸事情を総合考慮すると,主文の刑が相当である。
 よって,主文のとおり判決する。
(求刑 懲役2年)
平成14年2月7日
静岡地方裁判所刑事第1部
裁判官     篠 原 康 治

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