弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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○ 主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
○ 事実
控訴人は、一原判決中、控訴人に関する部分を取り消す。被控訴人が平成四年七月
二一日付宮城県(監)達第一号をもってした控訴人に対する特定建設業の許可の取
消処分を取り消す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決
を求め、被控訴人は、主文同旨の判決を求めた。
当事者双方の主張は、次のほかは、原判決の事実摘示のうち「第二 当事者の主
張」中控訴人と被控訴人に関する部分のとおりであり、証拠関係は、記録中の証拠
関係目録記載のとおりであるから、これらを引用する(ただし、原判決六枚目裏五
行目の「II五(2)」を「II五(二)」と訂正する。)。
(控訴人)
一 控訴人が、所定の期日までに建設業法の求める資本額を満足させる手続を行わ
なかったことは、控訴人の使用人であるAのミスであり、会社役員の関知しないと
ころである。本件では、代理もしくは委任関係は、控訴人と控訴人代表者との間の
問題であり、Aは履行補助者の関係に立つのみであって、Aの行為は控訴人には何
らの影響を及ぼさない。したがって、Aが会社の登記簿謄本を偽造したとしても、
その効果はA自身が負うのみで、控訴人に影響を及ぼすものではない。
また、代表者の監督責任も、偽造か否かを点検せよとまでは言い得ない。
二 建設業法三二条に定める聴聞は、憲法上の要請に基づく国民の権利保護の目的
に沿うものであるから、聴問の外形をとったというだけでは不十分である。しかる
に、本件では、聴聞を行ったとはいうものの、その内容は誘導尋問の連続であり、
これによって、被聴聞者をして、行政が行わんとしている処分の理由、これに対す
る反論並びに行わんとしている処分の瑕疵を判断せしめる材料とはならず、聴問の
目的を達し得ないものといわなければならない。
三 原判決の判断は、徒に形式に走るのみであって、その理由は不備であり、その
効力を維持するに不十分なものである。
○ 理由
当裁判所も、控訴人の請求を棄却すべきものと判断するが、その理由は、原判決の
理由の記載中、控訴人に関する部分のとおりであるから、これを引用する(ただ
し、原判決一三枚目表一〇行目の「II五(2)」を「II五(二)」と訂正す
る。)。
控訴人は、当審において、控訴人の登記簿謄本の偽造は、Aが独断で行ったもので
あり、控訴人代表者ら会社役員は、全く関知しないところであるから、控訴人には
責任がない旨及び聴問手続は違法である旨の原審での主張を、繰り返し主張する
が、右各主張は理由がないことは、原判決説示のとおりである。よって、本件控訴
は理由がないから、主文のとおり判決する。
(裁判官 武田平次郎 栗栖 勲 荒井純哉)

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