弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人材津豊治の上告理由第一点ないし第三点について。
 原判決に所論の誤りがあるとしても、原審は証拠によつて「昭和二五年八月一日
訴外Dが本件土地を被上告人B1に賃貸し、同被上告人は右土地中被上告人B2占
有部分を同B2に転貸し、訴外Dにおいて右転貸を承諾した」旨認定しているので
あり、右認定は挙示の証拠により是認できるから、前記の誤りは原判決の結論に影
響を及ぼさない。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用できない。
 同第四、五点について。
 原審の挙示する証拠によれば、所論転貸に対する訴外Dの承諾がなされたとする
原審の認定を是認できる。なお、原判決中「控訴人B3の供述」とあるのは、B2
の誤記であることが記録上明白であるから、所論は、ひつきよう、原審の前記事実
認定を非難するに帰し、採用できない。
 上告代理人志方篤、同萩原博司の上告理由第一点について。
 原審の挙示する証拠によれば、原判示の経緯により、昭和二五年八月一日訴外D
が本件土地を被上告人B1に賃貸し、B1が右土地のうち被上告人B2占有部分を
同人に転貸し、Dにおいて右転貸を黙示的に承諾した旨の原審認定を是認できなく
はない。所論は、るる陳述するが、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨、
事実の認定を非難するに帰し、採用できない。
 同第二点について。
 乙第四号証の一、二の成立に関する原審の認定、および被上告人B3が所論転借
につきDの承諾を得たことに関する原審の認定は、挙示の証拠により是認できる。
所論は、ひつきよう、原審の右認定を非難するに帰し、採用できない。
 同第三点について。
 記録によれば、原審は、「昭和二九年二月二七日第一審判決添付第二目録(一)
記載の建物につき被上告人B1名義に所有権保存登記がなされた際には、建物敷地
である本件土地につき未だ分筆登記がなされていなかつたので、a町b番地所在建
物として前記建物の登記がなされたところ、その後本件土地が同町b番地のc、d、
eに分筆登記された」趣旨を判示しているものと、判文上、解せられなくはない。
右の事実によれば、本件土地賃借人たる被上告人B1は、前記地上建物登記後右土
地所有者から分筆後の前記三筆の土地所有権を譲りうけた上告人に対し、原判示の
賃借権を対抗しうるものというべく、被上告人B1において右賃借権を上告人に対
抗しうる以上、被上告人B2、同B3が原判示のごとく地主Dの承諾を得て取得し
た転借権をそれぞれ上告人に対抗しうるものと解すべきである。それ故、右と同趣
旨の見解に立ち、上告人の本訴請求を排斥した原審の判断は正当である。原判決に
所論の違法はなく、論旨は採用できない。
 上告代理人渡辺靖一の上告理由第一点ないし第三点について。
 原審の確定したところによれば、昭和二五年八月一日、訴外D、被上告人B1、
同B2の合意により、本件土地はDからB1に賃貸され、さらに、右土地中被上告
人B2の占有部分がB1からB2に転貸され、Dにおいて暗黙のうちに右転貸を承
諾したというのであり、原審の右認定は挙示の証拠により是認できる。なお、甲第
二号証(賃貸借契約書)の存在はなんら前記認定を妨げるものではなく、所論判例
は本件に適切でない。所論は、審理不尽、理由不備、法令違背などをいうが、その
実質は、ひつきよう、原審の証拠の取捨判断、事実の認定を非難するに帰し、採用
できない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    山   田   作 之 助
            裁判官    草   鹿   浅 之 介
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    石   田   和   外

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