弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人A及び同Bを各懲役二年六月に、被告人C及び同Dを各懲役一年
六月に処する。
    押収してある偽造一般用旅行者外食券十食分綴九千四百五十一枚(昭和二
十六年押第一四三七号の一、三及び七のうち)、同五十食分綴一枚(同押号の二)、
同一食分千百五十六枚(同押号の一六乃至二六)、「月日マデ新潟県新発田第五配
給所」なるゴム印一個(同押号の四)、「自月日至月日北海道食糧札幌」なるゴム
印一個(同押号の五)、右各印の原稿二枚(同押号の一五)、「自年月日至月日千
葉県市川支所配給所」なる活字印一個(同押号の六)、印刷用紙二束(同押号の八)、
ゼラチン板一枚(同押号の九)、セルロイド板一枚(同押号の一〇)、銅板三枚(
同押号の一一)及び亜鉛原版三枚(同押号の一二)は、これを没収する。
     第一審における訴訟費用中証人Eに支給した分は被告人Aの負担、証人
Fに支給した分は、被告人等の連帯負担、証人Gに支給した分は、被告人B及び第
一審相被告人Hの連帯負担とする。
    本件公訴事実中、物価統制令違反の点(原判示第三及び第六の事実)につ
き被告人等をそれぞれ免訴する。
         理    由
 被告人Aの弁護人若新政光の上告趣意は、事実誤認及び単なる法令違反の主張で
あり、被告人Cの弁護人板倉正の上告趣意は同被告人の物価統制令違反の所為は大
赦令により赦免せらるべきであるというにすぎず、被告人Dの弁護人田野井子之吉
の上告趣意は原判決の違憲を云々するけれどもその実質は量刑不当の主張に帰し、
被告人Bの弁護人折田清一の上告趣意第一、二点は量刑不当の主張であり、同第三
点は同被告人の物価統制令違反の所為は大赦令により赦免せらるべきであるという
のであつて、何れも刑訴四〇五条の適法な上告理由に当らない。
 しかし、職権で調査すると、本件公訴事実中、被告人等の各物価統制令違反の点
(原判示第三及び第六の事実)は、昭和二七年四月二八日政令第一一七号大赦令に
より大赦があつたので、刑訴四一一条五号、四一三条但書、四一四条四〇四条三三
七条三号により原判決を破棄し右各事実につき被告人等に対し免訴の言渡をすべき
ものとする。而して、原審が証拠により確定したその余の事実を法律に照すと、被
告人等の判示所為中第一及び第四の点は、各刑法一五五条三項前段六〇条に、第二
及び第五の点は、各同法一六五条一項六〇条に各該当するから、右前者につき各所
定刑中懲役刑を選択し、以上は、同法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条
一〇条により最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重した刑期の範囲内で被告人等
に対し、各主文二項の刑を量定し、主文三項掲記の押収物件中偽造一般用旅行者外
食券は、判示第四、の犯行から生じたものであつて何人の所有をも許されないもの
であり、「自月日至月日北海道食糧札幌」なるゴム印及びその原稿は、判示第二、
第五、の各犯行に、その余のゴム印及びその原稿並びに活字印は、判示第五の犯行
に、ゼラチン板及び銅版は判示第一、第四の各犯行に、セルロイド板及び亜鉛原版
は、判示第四の犯行に各供したものであり、印刷用紙は判示第一の犯行に供しよう
としたものであつて、いずれも犯人以外の者には属しないから同法一九条によりこ
れを没収し、訴訟費用については、刑訴一八一条一項(連帯の分については、なお
同法一八二条)を適用して主文四項記載のように各その負担を命ずることとする。
 よつて主文のとおり判決する。
  昭和二八年一一月一二日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    岩   松   三   郎
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    入   江   俊   郎

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