弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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       主   文
被告は、別紙目録記載(一)の図書の出版をしてはならない。
被告は、別紙目録記載(二)の物件を廃棄せよ。
訴訟費用は、被告の負担とする。
この判決は、仮に執行することができる。
       事   実
第一 当事者の申立
一 原告
1 主文第一ないし第三項同旨
2 仮執行宣言
二 被告
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は、原告の負担とする。
第二 原告の請求原因
一 「日本人の海外活動に関する歴史的調査」と題する調査報告書(以下「本件著
作物」という。)は、近代における日本及び日本人の在外財産、特にその歴史的生
成過程に関する調査報告に関する著作物であつて、別紙比較対照表中、本件著作物
の欄記載のとおり、合計一一篇、三七冊から構成されている。しかして、大蔵省管
理局は、昭和二四年一月頃から昭和二五年七月までの間、政府部内の関係機関に配
布するため、同管理局名義をもつて、約二〇〇部に限り、全三五巻に分けて印刷し
て、本件著作物の複製刊行(この刊行分を以下「本件旧版」という。)をした。
二 本件著作物についての原告の著作活動の概要は、次のとおりである。
1 日本国政府は、昭和二一年頃、わが国が遠からず連合国に対する賠償問題及び
日本人の在外資産の補償問題などに当面することを考慮し、これに備えて、右諸問
題に関する内部執務資料を整備することを企画し、昭和二一年勅令第二九二号「大
蔵省特殊財務部臨時設置制」の施行により、大蔵省特殊財務部を設置し、同財務部
をして、「連合国最高司令官の要求に基く在外財産の調査に関する事項」(同設置
制第一条第三号)などを所掌させることとした。
2 次いで、政府は、昭和二一年八月、右在外財産の調査を担当する機関として、
大蔵省及び外務省の申合せに基づく在外財産調査会規程(昭和二一年九月二八日実
施)により、大蔵省の附属機関として、在外財産調査会(以下「調査会」とい
う。)を設置した。
 なお、右当時施行されていた旧憲法下において、行政各部の官制は、原則とし
て、勅令をもつて、定められるところ、国民の権利義務と直接に関連しない国家機
関については、必ずしも勅令の公布を必要とするものではなく、また、その後昭和
二二年五月三日施行の現行憲法下においても、国民の権利義務と直接に関連する権
限を有する行政機関については、法律をもつて定められるところ、右のような権限
を有しない行政機関については、法律をもつて、定めることを要せず、任意の形式
をもつて、定め、又は特に定めをしないで設置、廃止することも妨げないのであ
る。しかして、調査会は、右のとおり、勅令により、設置されなかつたが、国民の
権利義務と直接に関連しない機関であるので、その必要はなかつたのである。した
がつて、調査会は、旧憲法下及び現行憲法下においても、国家機関であるというこ
とができる。
3 調査会は、その事務として、日本及び日本人の在外財産の調査を実施したが、
その際、まず、海外からの引揚者からアンケートをとつて、外国にある日本企業の
終戦時におけるいわば貸借対照表的、静態的な資産状態を示し得る資料を収集し
た。次いで、調査会は、右在外財産の歴史的生成過程に関する調査を行い、経済史
的見地から分析整理をして、その調査結果を報告書の形式に編さんすることを企画
し、延べ合計約三〇〇名の臨時職員を任命して、右調査を行わせた。その具体的方
法として、調査会は、その各部会(満洲、朝鮮、台湾、北支、中南支、樺太、欧
米、南方Ⅰ、南方Ⅱ、南洋群島の各部会)の調査地域について、統一的な構想の下
に調査項目を章単位で分類し、右職員らに対し、原則として、章を単位として、客
観的に在外財産の生成過程などについて、報告書草案を執筆して提出することを命
じた。右職員らは、右指示により、主として既存の公表された資料又は自己の所持
する資料を分析して調査を行い、右報告書草案を作成し、昭和二二年一二月頃、そ
の作成を完了した。かくて、調査会は、その頃、各部会毎に右報告書草案の提出を
受け、総務部会において、「総論」「朝鮮篇」「台湾篇」「樺太篇」「南洋群島
篇」「満洲篇」「北支篇」「中南支篇」「海南島篇」「南方篇」「欧米其の他諸地
域篇」の一一篇三七冊からなる報告書として、これを編さんし、本件著作物を編さ
んしたのである。
4 調査会の臨時職員らは、当初、嘱託として任命されたが、その後、嘱託制度の
廃止に関する政令(昭和二三年政令第五六号)により、常勤の調査員、事務補助員
又は翻訳員に任命換された。右政令は、嘱託制度を廃止し、臨時職員制度の合理
化、明確化を図ろうとしたもので、常勤又は非常勤の臨時職員を置き得るとし、そ
の任命は、職名、相当級別、給与、職務内容などを明記した辞令書を交付して行い
(第四条第一項)、右臨時職員は一ないし三級官と同格の政府職員とされ、その給
与は官吏に準じ(同条第二項)、常勤の臨時職員には官吏服務規律及び官吏懲戒令
が適用される(第六、第八条)と定めている。しかして、調査会の臨時職員らは、
いずれも常勤であり、嘱託から右のように任命換され、職名が変更されたが、その
前後を通じ、実質的には勤務形態や給与などの勤務条件には何らの変更がなく、月
給は官吏に準じて支給され、官吏服務規律及び官吏懲戒令の適用を受ける地位、身
分にあつたから、実質的意義における官吏であつた。
5 しかして、調査会は、昭和二四年一月、廃止され、その際、大蔵省管理局(現
在の理財局)は、調査会の事務を承継した。
三 以上の次第であるから、調査会は、在外財産の調査に関する事項を所掌事務と
する国家機関であるところ、本件著作物の著作を発意し、その所属の職員に対し、
その職務として、報告書の執筆、提出を命じ、本件著作物を編さんした。
 本件著作物は、右のとおり、官公庁の著作物ではあるが、近代における日本の海
外経済活動を国内経済の発展と関連づけながら、経済史的見地から叙述したもので
あつて、海外諸地域における政治、経済、統治、教育関係などの事項を含み、史料
的、学術的価値の高いものであり、また、一般国民に対し、周知徹底させることを
目的としたものではなく、前述のとおり、政府部内の執務資料とする目的に出たも
のであり、さらに、本件著作物には調査会の印章、著名もないから、旧著作権法
(以下「旧法」という。)第二条第一号所定の官公文書には該当しない。したがつ
て、本件著作物の著作者は、調査会の事務の帰属主体たる原告であり、また、その
著作権は、原始的に原告に帰属するものである。
四 被告は、図書の出版、販売などを目的とする株式会社であるが、本件旧版の復
刻版と称して、原告に無断で昭和四八年五月末発行の予定で、別紙目録記載(一)
の図書の発行(この発行予定分を以下「本件新版」という。)を企図し、別紙目録
記載(二)のネガフイルム(以下「本件ネガフイルム」という。)に基づいて、そ
の印刷に着手している。ところで、本件旧版と本件新版の内容を比較すると、別紙
比較対照表記載のとおり、本件新版においては、本件旧版の一部の章を省略し、そ
の余の大部分の記述をそのまま収録して、適宜合冊したものである。したがつて、
本件新版の発行は、本件著作物の複製発行に該当することが明らかである。
五 よつて、原告は、著作権法第一一二条に基づき、被告に対し、本件新版の発行
の差止を求めるとともに、本件ネガフイルムの廃業を求める。
第三 原告の請求原因に対する被告の答弁
一 請求原因一の第一段は争う、第二段のうち、本件旧版が大蔵省管理局名義で約
二〇〇部刊行されたことは認めるが、その余の点は不知。
二 同二の1のうち、大蔵省特殊財務部が原告主張の勅令により設置されたことは
認めるが、その余の点は争う。
三 同二の2、3は争う。
四 同二の4、5は不知。
五 同三のうち、本件著作物が原告主張のような価値を有していること、本件著作
物には調査会の印章、署名がないことは認めるが、その余の点は争う。
六 同四は認める。
第四 被告の主張
一 調査会は、国家機関ではないのであつて、その事情は、次のとおりである。
1 調査会は、原告主張のとおり、旧憲法下に勅令に基づかないで設置されたもの
であるから、国家機関ではあり得ない。ちなみに、調査会と同種の事務を管掌する
大蔵省特殊財務部は、昭和二一年勅令第二九二号をもつて、設置されていることか
らみても、調査会は、勅令に基づいて設置される必要があつたことは明らかであ
る。
 また、右主張が認められないとしても、調査会は、原告主張のように在外財産の
調査を管掌するものであれば、その職務の遂行に際し、国民の権利義務に直接関連
する可能性がないとはいえないから、勅令に基づかないで、設置されることは許さ
れないものである。
 さらに、仮に国家機関が勅令に基づかないで設置される場合があるとしても、外
部に表われる行為としては、職員の任官行為がある筈であるが、調査会には、かか
る職員の任官行為があつたとはいえない。
 もつとも、調査会は、その職員に対し、調査会名義で、その事務を嘱託するとの
辞令用紙を準備していたとしても(甲第一一号証参照)、具体的に右辞令交付の対
象となつた者を特定できるような大蔵次官及び外務次官の決裁があつたことが明ら
かでなく、かつ、本件著作物の執筆者で、右辞令交付の対象となつた者も明らかで
ない。
 また、調査会は、昭和二三年三月三一日、嘱託制度の廃止に関する政令(昭和二
三年政令第五六号)の施行に準じて、調査会名義で、その職員に対し、調査員、事
務補助員、翻訳員に任命するとの辞令(甲第一二号証)を交付したが、同令第五条
によれば、右の任命行為は当該官庁の長が内閣総理大臣の承認を得て行うものと規
定されているところ、調査会長が右の規定に従つて、右任命行為を行つたことは明
らかでない。さらに、右辞令が本件著作物の執筆者に交付されたものともいえな
い。けだし、原告は、右執筆者の数が合計約三〇〇名であると主張するが、右辞令
の交付を受けた者の数は、これと一致せず、これを下廻ることが明らかだからであ
る(甲第一二号証参照)。
 したがつて、調査会が国家機関であることを前提とする原告の主張は、理由がな
い。
2 仮に右1の主張が理由がないとしても、調査会は、原告主張のとおり、現行憲
法下に法律又は政令に基づかないで、存続するものであるから、国家機関ではあり
得ない。すなわち、現行憲法施行の日である昭和二二年五月三日から施行された行
政官庁法(昭和二二年法律第六九号)第一二条によれば、各省等の部局、機関の設
置は法律又は政令の定めるところによるとされ、右法律に代る現行国家行政組織法
第七条、第八条によれば、内部部局、付属機関、その他の機関の設置は法律の定め
るところによるとされている。
このように、行政官庁法は、現行憲法下において、国会の意思尊重、内閣の行政責
任の明確化という理念に基づいて、行政組織については、従来の官制に代つて、法
律又は政令の根拠を要することとしたものと解されるから、従来勅令によらずに設
置された国家機関があつても、現行憲法、行政官庁法の施行と同時に存立の法的根
拠を失い、国家機関ではあり得なくなつたものというべきである。
 ところで、調査会は、原告主張のとおり、大蔵省、外務省の申合せにより、設置
されたものにすぎず、右申合せは、政令などの形式的効力を有しないから、調査会
は、右昭和二二年五月三日からは国家機関としての法的根拠を欠き、私的な権利能
力のない社団にすぎなくなつた。しかも、調査会が原告主張のとおり、国家機関で
あつて、昭和二四年一月、廃止されたとすれば、行政官庁法第一二条により、法律
又は政令により、廃止されるべき筈であるのに、かかる事実も存在しなかつた。し
かして、原告において、本件著作物が完成したと主張する時期は昭和二二年五月三
日以後であつたから、右当時、調査会が国家機関であつたことを前提とする原告の
主張は、理由がない。
二 仮に調査会が原告主張のように昭和二四年一月、廃止されたとすれば、本件著
作物についての著作権は、旧法第一〇条により、すでに同日限り消滅している。
三 仮に調査会が国家機関であつたとしても、原告は、本件著作物についての著作
権を取得していない。すなわち、旧法第一一条第一号によれば、官公文書は著作権
の目的物となり得ない旨が規定されているところ、その理由は、官公文書が一般に
周知されるべき性質を有するから、一般国民は、これを知る権利があり、国家、地
方公共団体などにおいて、これを一般国民の知り得る状態に置く義務があることに
由来する。なお、旧法における右官公文書の範囲は、現行著作権法第一三条各号所
定のいわゆる有権文書に限定されず、これよりも広く解すべきものであり、その解
釈については、同法第三二条第二項が斟酌されるべきである。
 しかして、本件著作物は、原告主張のように国家機関である調査会が在外財産調
査という担当事務遂行のため、その職員が職務として執筆し、政府部内の執務資料
とするものであり、また、本件著作物は、その序ないし例言からすれば、その内容
を広く一般国民に周知させる意図のもとに作成されたことが明らかであり、さら
に、学術的、資料的価値も高いので、国民全体の財産ともいうべきものである。し
たがつて、本件著作物は、旧法第一一条第一号所定の官公文書に該当するから、原
告がその著作権を取得することはない。
四1 仮に右主張が理由がないとしても、旧法下においては、法人若しくは団体は
著作物の著作者とはなり得ないものであつたから、調査会の事務の帰属主体である
と主張する原告は、本件著作物の著作者ではあり得ないのである。また、旧法下に
おいては、いわゆる職務著作の場合には、実際に著作行為を行つた者が著作者であ
り、その著作権もその者に原始的に帰属し、その者の使用者に当然に帰属すること
はあり得ない。ただ、使用者に著作権を帰属させるという趣旨の特約が存在する場
合にのみ使用者に著作権が帰属することはあるが、単に実際に著作行為を行つた者
に著作権が留保されない了解があつたということでは足りないと解される。したが
つて、本件著作物について、原告がその著作者であり、著作権者であるということ
はできない。
2 仮に職務著作について、法人若しくは団体が著作者となり、その著作権者とな
り得るものであるとしても、その範囲は限定的に解釈されなければならない。けだ
し、実際に著作行為を行つた者以外の者が著作者となり、あるいは著作権者となる
ことは、一般原則の例外だからである。ところで、旧法においては、この点につい
て、明文の規定はなかつたから、その解釈については、現行著作権法第一五条の規
定が斟酌され、その範囲を越えないものであることを要する。
 しかして、これを本件についてみるのに、調査会は、昭和二一年九月二八日、設
置されたが、その頃から大蔵省及び外務省の職員をして、アンケート調査などの方
法により、日本企業などの終戦時における在外財産の静態的な調査を進めて来たと
ころ、この本来の調査に関連して、副次的な調査として、右在外財産の歴史的生成
過程に関し、経済史的見地からの調査を行う必要があると考え、この歴史的調査を
訴外Aら約三〇〇名の者に嘱託して行わせ、本件著作物を執筆させた。ところで、
右約三〇〇名の者は、いずれも海外からの引揚者であり、その身分については、右
一の1にも述べたとおり、任官行為があつたわけではなく、公務員ではなく、嘱託
として、取り扱われたものであり、なお、その後、国の機関たる各庁(調査会を含
まない。)に適用される嘱託制度の廃止に関する政令(昭和二三年政令第五六号)
の施行に準じて(甲第一二号証参照)、調査会の職員で調査員、事務補助員、翻訳
員となつたものがあるとしても、右の者らがこれに当るかどうかは明らかではな
い。しかして、右の者らは、右Aら四名の編集委員が構成した篇別、章別に従つ
て、各章毎程度の調査、執筆を分担し、調査会側からは、報告書は客観的に記述す
ることの指示を受けたが、執筆内容などについての指示を受けず、また、資料の提
供を受けたわけでもなく、主として、自己の所持する資料の分析、整理によつて、
右調査、執筆をしたのである。なお、右Aら四名の編集委員は、各執筆者の原稿を
取りまとめたにすぎず、加筆訂正をしたことがなく、昭和二二年一二月頃、調査会
に対し、これを報告書として、提出し、また、その際、調査会と執筆者らとの間に
は著作権の帰属などについての特約もされなかつた。
 右事実によれば、本件著作物の執筆者らは、調査会から指揮監督を受ける関係に
はなく、その職務上の義務として、本件著作物の執筆をしたものではなく、その執
筆を嘱託ないし委嘱されたにすぎず、また、本件著作物は、調査会の統一的な構想
の下に執筆者らが分担執筆したものではなく、各自の寄与ないし関与が著作物の中
に融合しているものでもないというべきである。したがつて、本件著作物は、いわ
ゆる嘱託著作物にあたり、現実にその著作行為を行つた者が著作者であり、その著
作権もその者に原始的に帰属するのであり、原告がその著作者であり、著作権者で
あるということはできない。
3 以上のとおり、本件著作物については、原告がその著作者及び著作権者でない
ことは明らかである。
 ちなみに、右の事実は、次の諸事情に徴しても首肯できるところである。すなわ
ち、本件著作物の複製発行にあたる本件旧版は、原告の著者名義で刊行されたもの
ではない(旧法第六条参照)うえ、その著作権は、国有財産に関する台帳にも記載
がない(国有財産法第三二条、第五ないし第七条参照)。また、訴外株式会社原書
房(以下「原書房」という。)は、本件著作物の一部である「台湾統治概要」と全
く同一内容の図書を複製発行し、さらに、本件著作物の内容が他のいくつかの文書
に節録引用されているが、原告は、これらについて、警告をするなどの措置を講ず
ることなく、放置して来た。
第五 被告の主張に対する原告の反論
一 被告の主張事実は争う。
二 行政官庁法の立法趣旨は、天皇の官制大権が否定されるのに伴い、従来、勅令
により制定されていた各省官制等がその法的根拠を失うため、これを法律による形
式に改め、もつて、旧憲法から現行憲法への移行を可能にすることにあつた。そし
て同法第一条によれば、「内閣総理大臣及び各省大臣の分担管理する行政事務の範
囲は、法律又は政令に別段の規定あるものを除く外、従来の例による。」と規定さ
れ、また、同法第一二条によれば、「総理庁、各省、内閣官房及び法制局には、法
律又は政令の定めるところにより、所要の部局及び機関を置く。」と規定されてい
る。ところで、右「法律又は政令」は、日本国憲法施行の際現に効力を有する命令
の規定の効力等に関する法律(昭和二二年法律第七二号)及び日本国憲法施行の際
現に効力を有する勅令の規定の効力等に関する政令(昭和二二年政令第一四号)に
より、従来の勅令で法律により規定すべき事項に関するものは法律と同一の効力を
有し、それ以外のものは政令と読み替えるものとされたので、従来、勅令により設
置されていた部局及び機関は、現行憲法施行後も従前どおり存続することとなつ
た。
 ところで、各省庁に置かれる部局及び機関が必ずしも法律により、その設置を規
定すべきものでないことは、請求原因二の2に述べたとおりであるところ、調査会
は、外部に関係することがなく、単に内部において、補助又は答申をする機関であ
るから、その設置、廃止、変更は、法律により規定する必要はない。したがつて、
行政官庁法施行当時、すでに勅令によることなく設置されていた調査会は、同法第
一二条の規定にかかわりなく、有効に存続するものと解すべきである。
 なお、行政官庁法は、昭和二四年五月三一日まで施行期間が延長され、これに代
わる国家行政組織法は、同年六月一日、施行されたが、調査会は、前述のとおり、
これより先同年一月、廃止されたから、同法第三条、第八条は、調査会には適用さ
れ得ない。
第六 被告の抗弁
 仮に本件著作物についての著作権が原告に帰属するものであるとしても、原告の
本件請求は、左記の事情からすれば、権利の濫用として、許されないものである。
一 出版の自由は、表現の自由の一環として、憲法第二一条により、国民の基本的
権利の一つとして、保障されるところ、その自由を制約できる範囲、程度は、合理
的な基準のもとに決定されるべきものである。
二 一方、著作権法により保護される権利は、狭義の著作権と著作者人格権とがあ
るところ、著作者人格権の侵害は、著作者に多大の苦痛を与え、その創作の意欲を
そぐことなどを考慮すれば、これを保護し、その侵害行為を制約することには合理
性が認められる。これに反し、著作権は、著作物を複製し利用する権利であつて、
その利用により、使用料などの収益を挙げるもので財産権であるから、憲法第二九
条第二項により、公共の福祉の観点から一定の制約を受けるべきものである。
 ところで、著作権の対象たる著作物は、精神的産物であつて、先人の文化的遺産
に負うところが大きく、その自由な相互的利用は、人類社会の進歩発展の根源とな
るから、著作権については、その著作権者の私的利益は尊重され、保護されなけれ
ばならないが、他面、社会的公共的利益を配慮して、種々の制約がされ、その保護
の限界が画されるのである(著作権法第一条、第五一条、第五七条、旧法第三〇条
等参照)。しかして、著作権は、その公共的性格からみて著作権法所定の制約事項
に止まらず、その権利の行使が権利の濫用となる場合にも許されないが、その基準
としては、一般的には著作権の利用行為の差止により、著作権者が受ける利益(財
産的利益)に比し、侵害者の受ける不利益が甚大である場合には、右権利の濫用に
あたると評価されるべきである。これを分説すれば、次の諸点が問題とされる。
1 著作物の社会的、文化的価値が高度であり、一般国民特に研究者らによる右著
作物の自由な利用の必要性が大であり、その成果として、学問的進歩のあり得るこ
とが客観的に予測されること
2 著作権者が合理的な理由がないのに、右のような著作物を研究者らに利用でき
ない状況に置くこと
3 著作物の無断利用行為があつても、著作権者が全く損害を受けず、又は軽微な
損害を受けるにすぎない場合あるいは著作権者が多少の損害を受けても社会公共の
ために受忍することが妥当であると認められること
4 なお、右のいずれの場合にも、右著作物の無断利用行為は、専ら営利を目的と
するものではないこと
三 しかして、以上の諸点を本件についてみるのに、原告の本訴請求は、本件著作
物の著作権(財産権)に基づき、本件新版の発行という本件著作物の利用行為につ
いての差止請求をするものであるところ、原告は、本件新版の発行の差止により、
問うに値しない程度の利益を受けるにすぎないのに反し、右差止により、被告を含
め一般国民は、極めて甚大な損害を受けることになるのであつて、その理由は、次
のとおりである。
1 本件著作物の価値
 本件著作物は、戦前、戦中の日本及び日本人の海外(植民地、占領地全域にわた
る。)における事業の最終段階における状態又はその評価などに関する基礎的調査
を体系的に集大成した報告書であり、その在外財産獲得の方法などを明らかにして
いる。
 右事実によれば、本件著作物は、日本及び日本国民の歴史的教訓とすることを重
大な目的とし、内容としているから、戦前、戦中の日本及び日本人の海外における
経済的活動の総合的研究について役立つのみならず、アジア全域にわたり、外国資
本の輸入などが顕著となつている近時においても、過去の歴史を教訓として示す意
義がある。したがつて、本件著作物は、史料的、学術的にみて、
他に類をみない高度の価値を有し、近代日本史学、アジア史学、日本植民地史ない
し日本帝国主義史研究などの発展に大きく寄与することが予測され、ひいては日本
国民が正しく社会を発展向上させて行くための教訓、参考書となるものというべき
である。
2 原告の本件著作物を利用させるべき義務
 国家は、元来、国民のために存在するものであるところ、原告は、次のような理
由からして、本件著作物を進んで一般国民に利用させ、流布すべき義務がある。
 すなわち、第一に、国家機関がその職員をして、本件著作物を著作させた以上、
右著作物は、国民の福祉、文化を向上させ、国家社会の発展に寄与することを目的
としたものであるうえ、その必要経費も国民の税金をもつて、まかなわれたもので
あり、国民のために、その著作活動がされたものというべきである。第二に、わが
国においては、明治維新以来、時の政治活動、経済活動など国家の活動領域全般に
わたる知識、情報は、官公庁により独占的に把握されて来た状態にあり、かかる点
についての調査は、国家の経済力と調査能力がなければできない事項である。した
がつて、原告が著作権を有する著作物の利用は、歴史学のみならず、人文、社会、
自然諸科学全般にわたり、必須であり、学問と文化の進歩、発展のために不可欠の
ものである。第三に、憲法の基本理念である国民主権主義からしても、国が著作し
た著作物については、原則として、一般国民の自由利用が認められるべきである。
また、国民は、憲法第二一条により、表現の自由の一環として、知る権利を保障さ
れるところ、国の著作物の内容は、国民の知る権利の対象となるのである。
 しかるに、原告は、本件著作物の完成後二〇年以上を経過した今日に至るまで、
これを一般国民が利用できない状態に置き、これを一般国民に利用させ、流布すべ
き義務を怠つている。なお、大蔵省管理局が刊行した本件旧版は、極く僅かの図書
館などに備え付けられているにすぎず、しかも、全巻が備え付けられているわけで
はないので、特定の官吏や研究者のみがこれを利用できるにすぎない。このよう
に、原告が本件著作物を一部の官吏又は原告と特別の関係を有する研究者らのみに
利用させ、その一部の引用をさせるなどしていることは不合理であり、法の下の平
等に反し、許されないところである。
3 原告の財産的損害の不存在
 原告は、被告が本件新版の発行をしても、何ら財産的損害を受けることはない。
しかも、被告は、単に営利を目的として、本件新版の発行をするものではなく、本
件著作物を公共の利用に供することにより、学問、文化の向上発展を図ろうとする
ものであり、また、本件著作物の利用行為により、独占的、排他的な権利を得よう
としているものではないから、原告が被告の右利用行為を黙過したとしても、一部
の国民の営利目的に奉仕したとはいえない。
4 官公庁の著作物の複製発行に関する商慣習
 被告が本件新版の発行をしようとした昭和四八年五月当時、官公庁が著作権を有
する調査報告資料などの複製発行については、官公庁の許諾を要しない商慣習が存
在したといえる。
5 著作権法に定める紛争処理手続の無視
 原告としては、本件新版の発行の差止については、前述のような重大な問題点が
あつたから、直ちに本件訴訟を提起すべきではなく、むしろ、著作権法第一〇五条
以下に規定する紛争処理手続の利用を考えるべきであるのに、そのような措置をと
らなかつた。
6 被告の財産的損害の発生
 被告は、本件新版の発行の準備のため、すでに本件旧版八、四〇〇頁の大部分の
フイルム撮影を終了しており、現在、その準備の続行を中止させられることになれ
ば、甚大な損害を受けることになる。
四 以上のとおり、原告は、本件著作物の完成後二〇年余にわたり、これを一般国
民に利用させる義務を怠り、これを放置して来たものであり、被告による本件新版
の発行により、何らの損害を受けるものではなく、その発行の差止を求める利益も
必要もない。これに反し、被告が本件新版の発行を差し止められるならば、その出
版の自由を不当に制約されるうえ、一般国民の知る権利は侵害され、学問研究の前
進、ひいては社会の文化、学問の向上も侵害され、官公庁の著作物の複製発行に関
する商慣習も無視され、被告のみならず、一般国民も甚大な損害を受けることにな
るので、原告の本件請求は、権利の濫用として、許されないものである。
第七 被告の抗弁に対する原告の答弁及び反論
一 原告の答弁
 抗弁事実中、本件著作物が史料的、学術的にみて、高度の価値を有する著作物で
あること、原告が本件について、著作権法に定める紛争処理手続をとらなかつたこ
とは認めるが、その余の点は争う。
二 原告の反論
1 著作権の公共性による制約について
 被告は、著作権の公共性を強調して、著作権に基づく権利の行使が権利の濫用と
評価されるべき基準を挙げるが、右基準は、承認できるものではない。けだし、現
行著作権法は、それ自体で著作物の私権性とその公共的性質との調和の問題を解決
しようとして、同法中に著作権の内容が公共的性質による制約を受けるように規定
しているからである。すなわち、同法は、著作権を私権として定める(第一七条第
一項後段)が、その公共的性質を考慮して、保護期間を定め(第五一条以下)、範
囲を限定して自由利用を認め(第三〇条以下)、強制許諾の制度を設ける(第六七
条以下)などして、その内容を規制するところ、右規制を除けば、著作権者による
著作権の排他的、独占的行使を認め(第二一ないし第二八条、第六一条、第六三、
第七九条など)、侵害行為に対する差止請求権を認め(第一一二条)、さらに、侵
害行為者に対する罰則を定め(第一一九条以下)、私権としての著作権を保護して
いる。したがつて、著作権者が侵害行為の差止請求権の行使について、再度、著作
権の公共的性質に基づいて、権利の濫用として、制約を受けることはあり得ないも
のというべきである。
2 本件著作物の価値について
 本件著作物は、被告主張のように高度の史料的、学術的価値を有するものである
が、このために第三者がその著作物を無断で出版することが是認されるべきもので
はない。また、出版の自由は、著作権を有する著作物について、これを出版する自
由を意味するが、第三者の著作物を無断で出版する自由を意味しない。
3 国家の本件著作物を利用させる義務について
 原告は、著作権法により、
私人と同様に本件著作物に対する著作権の保護を受けるものであり、被告主張のよ
うに、これを一般国民に広く利用させる義務を負うものではない。なお、研究者ら
は、所定の図書館において、本件著作物を利用する方法などがあり(甲第一四号証
の一、二)、本件著作物を学術上利用する道が閉ざされているわけではない。
4 原告の財産的損害の不存在について
 原告は、国有財産としての著作物を特定の私人に対して使用収益させるときは、
適正な対価としての使用料を徴収すべきものとされている(財政法第九条第一項参
照)から、被告が無断で本件著作物の複製発行をすることにより、右使用料相当額
の損害を受けるのである(著作権法第一一四条)。
5 官公庁の著作物の複製発行に関する商慣習についる
 官公庁が著作権を有する調査報告資料についても、通常は、その複製発行が官公
庁の許諾を得てされているのであつて(甲第七号証の一、二、甲第九号証)、仮に
たまたま無断で複製発行がされた事例が数例あつたとしても、原告としては、右の
ような事例を知つた場合には、侵害者に対し、抗議をして来たのであり(甲第八号
証の一、二、甲第一〇号証)、これを容認したことがなく、結局、被告主張のよう
な商慣習が存在するとはいえない。
 なお、他の著作物の著作者がその著作物中に本件著作物の一部を引用しても、こ
れは、その全部の複製発行とは同列に論ずることができず、一部引用は、旧法第三
〇条第一項第二号、著作権法第三二条の規定により、適法とされることがある。
6 著作権法に定める紛争処理手段について
 元来、原告が本件について、訴訟手続と右紛争処理手続のいずれを選択するかは
原告の任意である。
 また、原告が本件訴訟を提起するに至つた経過は、次のとおりであつて、右措置
は、正当なものである。すなわち、大蔵省においては、昭和四六年頃、原書房から
本件著作物について、出版権の設定を受けたい旨の申入を受けたので、検討した
が、本件著作物が資料的に十分なものとはいえず、政府の調査結果として外部に刊
行するのには、なお相当確認をして、誤りがないようにする必要があること、本件
著作物の執筆者らは、政府の内部資料となるものとして執筆しているので、これを
外部に発行することについては、執筆者らの個人的立場を配慮する必要があること
などの理由から、右時点においては、出版権の設定に消極の判断をするに至つた。
ところで、原告は、昭和四八年三月初旬頃、被告が本件著作物の複製発行を予定し
ていることを知り、大蔵事務官訴外Bを介して、被告に対し、同年三月八日、電話
をもつて、次いで、同年三月一三日、書面をもつて、それぞれ右発行の中止を申し
入れたが、被告が何ら誠意ある態度を示さなかつたため、本件訴訟を提起するに至
つたのである。
第八 証拠(省略)
       理   由
一 本件著作物と本件旧版
成立に争いのない甲第五号証、乙第二三、第二九号証の各一、二、第三〇号証の一
ないし三、第三一ないし第三四号証の各一、二、第三五号証の一ないし三、証人
A、同Bの各証言、弁論の全趣旨を総合すれば、本件著作物は、近代における日本
及び日本人の在外財産特にその歴史的生成過程に関する調査報告に関する著作物で
あつて、別紙比較対照表中、本件著作物の欄記載のとおり、合計一一篇、三七冊か
らなることが認められ、他に右認定をくつがえすに足りる証拠はない。
 また、本件旧版が大蔵省管理局名義で約二〇〇部刊行されたことは、当事者間に
争いがなく、右事実と証人A、同Bの各証言、弁論の全趣旨を総合すれば、大蔵省
管理局は、昭和二四年頃から昭和二五年頃までの間、政府部内の関係機関に配布す
るため、同管理局名義をもつて、約二〇〇部に限り、全三五巻に分けて、印刷し
て、本件著作物の複製物たる本件旧版を刊行したことが認められ、他に右認定をく
つがえすに足りる証拠はない。
二 調査会と本件著作物の著作
1 前示甲第五号証、乙第二三、第二九号証の各一、二、第三〇号証の一ないし
三、第三一ないし第三四号証の各一、二、第三五号証の一ないし三、成立に争いの
ない甲第一、第二号証の各二、第六、第一三号証、乙第四五号証、その方式及び趣
旨により公務員が職務上作成したものと認められるので真正な公文書と推定すべき
甲第一、第二号証の各一、第一一、第一二号証、証人A、同Bの各証言、弁論の全
趣旨を総合すれば、次の事実が認められる。
(一) 日本国政府は、終戦直後の昭和二〇年頃、わが国が近い将来、連合国に対
する賠償問題、日本人の在外資産の補償問題などに当面することを予想し、これに
備えて、右問題に関する内部執務資料を整備することを企図し、昭和二一年勅令第
二九二号「大蔵省特殊財務部臨時設置制」の施行により、大蔵省特殊財務部を設置
し、(右財務部が右勅令により設置されたことは、当事者間に争いがない。)、同
財務部をして、「連合国最高司令官の要求に基く在外財産の調査に関する事項」
(同設置制第一条第三号)などを所掌させることとした。
(二) 次いで、政府は、昭和二一年八月に至り、右在外財産の調査を担当する機
関として、大蔵省及び外務省の申合せに基づき、在外財産調査会規程(昭和二一年
九月二八日実施)を制定し、これによつて、大蔵省の附属機関として、調査会を設
置した。右規程によれば、調査会は、大蔵大臣及び外務大臣の管理の下に在外財産
の調査をする機関とされ(第一条)、会務の統括者として会長、その下に副会長、
委員、幹事を置くが、会長には外務大臣、副会長には大蔵次官をもつてあて(第二
ないし第六条)、総務部会においては、在外財産の調査の方針及びその最終的決定
並びに各部会の連絡調整を行い(第八条)、会長が組織構成を定める地域別部会に
おいては、各地域毎に在外財産を編さん集計して、その結果を総務部会に報告し
(第七ないし第九条)、会の庶務は大蔵、外務両省が行う(第一一条)旨が定めら
れ、なお、会長の指定による地域別部会としては、満州、朝鮮、台湾、北支、中南
支、樺太、欧米、南方Ⅰ、南方Ⅱ、南洋群島の各部会が置かれた。
(三) 調査会は、その事務である在外財産の調査を実施するため、まず、引揚者
からアンケートの方法により、外国にある日本企業の終戦当時における静態的な資
産状態を示し得る資料を収集した。次いで、調査会は、右在外財産の歴史的生成過
程などに関する調査を行い、経済史的見地から分析整理して、その調査結果を報告
書の形式に編さんすることとし、昭和二一年九月頃、調査会名義の辞令を交付し
て、延べ合計約三〇〇名の臨時職員を任命したうえ、調査会の右各地域別部会の調
査地域について、統一的な構想の下に調査項目を章単位で分類し(その分類は、別
紙比較対照表中、本件著作物の欄記載のとおり)、右職員らに対し、原則として、
章を単位として調査し、客観的に在外財産の生成過程について、報告書草案を執筆
して、提出することを命じた。
 右職員らは、右指示に基づき、主として、既存の公表された資料や自己の所持す
る資料を分析して調査を行い、右報告書草案を作成し、昭和二二年一二月頃、その
作成を完了した。かくて、調査会は、その頃、各部会毎に右報告書草案の提出を受
けたうえ、総務部会において、Aら四名を編集委員として、「総論」「朝鮮篇」
「台湾篇」「樺太篇」「南洋群島篇」「満洲篇」「北支篇」「中南支篇」「海南島
篇」「南方篇」「欧米其の他諸地域篇」の一一篇三七冊からなる報告書として編さ
んして、本件著作物を編さんした。
(四) 調査会の右臨時職員は、当初、嘱託として任命されたが、その後昭和二三
年三月三一日、当時在職した約一三一名は、国の機関たる各庁(特別調達庁及び公
団を含む)に適用される昭和二三年政令第五六号「嘱託制度の廃止に関する政令」
の施行に準じ、同日付の調査会名義の辞令を交付され、常動の調査員、事務補助員
又は翻訳員に任命換された。右政令によれば、各庁は、常勤または非常勤の臨時職
員を置くことができるが、その条件として、その服務の態様及び在任期間を具体的
に定め、任命は、職名、相当級別、給与、監督官吏、職務上の責任又は権限の範
囲、職務内容を明記した辞令書を交付して行うことが必要とされ(第四条第一
項)、また、右臨時職員は一ないし三級官と同格の政府職員とされ、その給与は官
吏に準じ(同条第二項)、常勤の臨時職員には官吏服務規律及び官吏懲戒令を適用
する旨が定められた(第六、第八条)。
 しかして、調査会の臨時職員は、いずれも常勤であり、大蔵省管理局管理課長の
監督下にあつて、月給の支給を受け、嘱託制度廃止の前後を通じて、実質的には勤
務形態や給与などの勤務条件には何らの変更がなかつた。
 また、調査会と右臨時職員との間には、右職員をもつて、本件著作物の著作者と
する旨の約定がされたことはなかつた。
(五) 調査会は、その後昭和二四年一月、廃止され、その際、大蔵省管理局(現
在の理財局)は、調査会の事務を承認した。
 ところで、調査会は、本来、調査会名義で公表すべきものとして、本件著作物を
作成したものであり、前述のとおり、本件旧版は、大蔵省管理局名義をもつて、刊
行されたのであり、個々の職員名義をもつて、公表することは全く予定していなか
つた。
右のような事実が認められ、他に右認定をくつがえすに足りる証拠はない。
2 ところで、旧憲法下においては、行政各部の官制は、天皇の権限に属し、原則
として、勅令をもつて定められていたところ、これは、官制大権が国家機関を設置
し、その名称、組織、権限を定めるからであり、したがつて、設置される機関が国
民に対し、統治権を行使し、国民の権利義務と直接関連するものであれば、その設
置について、必ず勅令をもつて、一般にこれを公布することが必要であるが、そう
でない限り、必ずしも勅令の公布を必要とするものではなく、勅令を制定せずに国
家機関を設置しても、官制大権の本質に反するものではないと解するのが相当であ
る。
 そして、昭和二二年五月三日施行の現行憲法下においては、同日から昭和二四年
五月三一日までの間、施行された行政官庁法(昭和二二年法律第六九号)第一二条
によれば、総理庁、各省、内閣官房及び法制局には法律又は政令の定めるところに
より、所要の部局及び機関を置く旨が規定されていることが明らかである。右行政
官庁法の立法趣旨は、現行憲法の施行により、従来の天皇の官制大権が否定される
結果、勅令たる各省官制、各省官制通則により、設置されていた各省等が現行憲法
の施行により、存続の根拠を失うことに対処するため、各省等の設置、組織、権限
などを法律によつて定め、もつて旧憲法から現行憲法への移行を可能にしたものと
解するのが相当である。
 しかして、現行憲法下においても、各省庁に置かれる部局及び機関は、そのすべ
てが法律によつて定められるのではなく、行政機関の種別により、差異が存すると
解される。すなわち、国の行政機関は、その権限の点からみて、次の四種に分類す
ることができる。
(イ) 意思又は判断を決定して、これを外部に表示する権限をもつた機関
(ロ) 右(イ)の機関の権限の行使を補助することを権限とする機関
(ハ) 右(イ)の機関の諮問に応じて意見を述べることを権限とする機関
(ニ) 外部に対し、実力を行使することを権限とする機関
 右各機関のうち、右(イ)、(ニ)の種類の機関は、直接、外部と関係するもの
であるから、これについて定めることは、同時に外部の者に対し、その行為を国の
行為と認めて、これに服従することを命ずる意味を含むので、法治主義の原則上、
それは、必ず法規の形をもつてしなければならない。これに反し、右(ロ)、
(ハ)の種類の機関は、単に内部において行為するのみで、直接、外部と関係する
ことはないから、法治主義の適用はなく、その設置、廃止、変更については、法律
をもつて、定めることを要せず、任意の形式をもつて、定め、又は特に定めをせ
ず、現実に設置、廃止することができるものと解される。そして、旧憲法下におい
ても、右(イ)、(ニ)の種類の機関については、必ず勅令をもつて、定められる
が、右(ロ)、(ハ)の種類の機関については、必ずしも勅令をもつて、定められ
る必要はなかつたのである。
 以上のとおりであるから、右(ロ)、(ハ)の種類の機関については、行政官庁
法第一二条の適用はないものと解するのが相当である。
3 しかして、本件についてみるのに、調査会は、前示認定のとおり、昭和二一年
八月、在外財産の調査を担当する国家機関として大蔵省及び外務省の申合せに基づ
く在外財産審査会規程により、設置されたもので、右当時施行の旧憲法下における
勅令をもつて、設置されたものではないが、すでに判示したところからすれば、調
査会は、直接、外部と関係するものではなく、国民の権利義務と直接に関連するも
のでもないから、旧憲法下において、国家機関として、有効に存続し、また、現行
憲法下においても、行政官庁法第一二条の適用を受けず、国家機関として、有効に
存続したものと解するのが相当である。
三 著作権の発生と帰属
1 旧法第一一条第一号によれば、官公文書は、著作権の目的から除外されている
ところ、これは、官公文書が一般に公示され、周知徹底されるべき性質を有するも
のであり、何人にも自由に利用できる状態に置かれなければならないものであるこ
とに基づくのであるが、これに反し、官公庁の発行する文書でも高度に学術的意義
を有し、必ずしも一般的に周知させることのみを意図しないものは、学術に関する
著作物として、著作権の保護を受けるべきものと解するのが相当である。
 しかして、右二の1に認定した各事実と前示乙第二三、第二九号証の各一、二、
第30号証の一ないし三、第三一ないし第三四号証の各一、二、第三五号証の一な
いし三、第四五号証、証人A、同B、同Cの各証言、被告代表者尋問の結果を総合
すれば、本件著作物は、前示認定のとおり、官公庁の編さんした著作物であるが、
近代における日本及び日本人の海外経済活動に関する調査を経済史的見地から分析
整理して叙述したものであつて、海外諸地域における政治、経済、統治関係などの
事項を含み、史料的、学術的価値の高いものであること(本件著作物が右のような
価値を有することは、当事者間に争いがない。)、また、本件著作物は、必ずしも
一般国民に対し、周知徹底させることを目的としたものではなく、むしろ政府部内
の執務資料とすることを意図したものであつたこと、なお、本件著作物には調査会
の印章、署名がないこと(右事実は、当事者間に争いがない。)が認められ、前示
乙第四号証の記載部分をもつて、これを左右するに足りず、他に右認定をくつがえ
すに足りる証拠はない。
 右認定の事実によれば、本件著作物は、官公庁としての調査会の印章、署名がな
いので、旧法第一一条第一号にいう官公文書とはいえないうえ、本件著作物は、学
術に関する著作物として、著作権により、保護されるべきものと解するのが相当で
ある。
2 ところで、右二の1に認定した各事実によれば、調査会は、在外財産の調査に
関する事項を所掌事務とする国家機関であるが、本件著作物の著作を発意し、調査
会が任命し、実質的意義における官吏であつたというべき臨時職員に対し、その職
務上作成すべきものとしての調査報告書の執筆、提出を命じて、本件著作物を編さ
んしたものであり、しかも、調査会の著作名義で公表すべきものとして、本件著作
物を作成し、右職員を著作者とする旨の約定をしたこともないことが認められる。
右認定の事実によれば、本件著作物の著作者は、調査会の事務の帰属主体たる原告
であり、その著作権は、原告が原始的に取得したものと解するのが相当である(旧
法第六条、著作権法第一五条参照)。
3 被告は、調査会が昭和二四年一月、廃止されたとすれば、本件著作物について
の著作権は旧法第一〇条により、消滅した旨主張するが、すでに判示したとおり、
本件著作物についての著作権は原告に帰属するものであるので、調査会の廃止によ
り、右著作権に何らの消長を来たすべきものではないから、被告の右主張は、理由
がない。
 また、被告は、本件旧版が原告の著作名義で刊行されなかつた事実をもつて、本
件著作物についての著作権が原告に属しない事情となる旨主張し、すでに判示した
とおり、本件著作物の複製物たる本件旧版は、大蔵省管理局名義で刊行され、原告
の著作名義で刊行されたものではないけれども、同管理局の事務の帰属主体が原告
であることは明らかであるので、右事実をもつて、右2に判示したところを左右す
るに足りるものとは思料されないから、被告の右主張は、理由がない。
 さらに、被告は、本件著作物についての著作権は国有財産に関する台帳に記載さ
れていないので、これは右著作権が原告に属しない事情となる旨主張するが、仮に
右著作権が国有財産に関する台帳に記載されていないとしても、右事実をもつて、
右2に判示したところを左右するに足りるものとは思料されないから、被告の右主
張は、理由がない。
 加えるに、被告は、本件著作物の内容が他の文書に節録引用されているが、原告
はこれを放置しているので、これは本件著作物についての著作権が原告に属しない
事情となる旨主張するが、仮に原告が右のような節録引用を放置した事実があつた
としても、他人がその著作物に本件著作物の一部を引用することは、出所を明示
し、正当の範囲内のものであれば、許容されるのであり(旧法第三〇条第一項第
二、著作権法第四八条参照)、本件著作物についての著作権を侵害することにはな
らない。したがつて、原告が右引用を放置していたとしても、右事実をもつて、直
ちに被告の右主張事実を肯認することはできず、被告の右主張は、理由がない。
四 著作権の侵害
 次に、請求原因四の事実は、当事者間に争いがない。
 以上の事実によれば、被告が本件新版を複製発行することは、原告が本件著作物
について有する著作権を侵害するものであり、原告は、著作権法第一一二条によ
り、被告に対し、本件新版の複製発行の差止及び本件ネガフイルムの廃棄を請求で
きるものといわなければならない。
五 権利濫用の成否
 そこで、被告の抗弁について、判断するのに、被告は、憲法第二一条所定の出版
の自由を制約できる範囲、程度は合理的でなければならず、また、著作権の行使は
憲法第二九条第二項により、公共の福祉の観点から一定の制約を受けるという見地
からして、本件においては、原告の本件著作物についての著作権の行使は権利の濫
用となる旨主張する。
 ところで、財産権は、憲法第二九条第一項により、保障されるが、その保障は絶
対無制約のものではなく、同条第二項により、公共の福祉の要請による制約が許容
されるところ、著作権法は、財産権たる著作権の性質に鑑み、著作物を広く利用さ
せるという公益上の理由から著作権の内容を制約する規定を設けている(第三〇な
いし第五〇条)が、なお、被告主張のような事由により、著作権の行使が権利の濫
用となるかどうかは問題となるので、以下順次、被告の具体的主張について、検討
する。
1 まず、被告は、本件著作物が史料的、学術的にみて、高度の価値を有し、史学
の発展に寄与するものであることなどを理由として、本件新版の発行が許容される
べきである旨主張し、本件著作物が右のような価値を有することは、当事者間に争
いがないところであるが、右事実をもつて、直ちに被告が原告に無断で本件新版を
発行することが許容されるものと解することはできない。
2 次に、被告は、本件著作物は国民のために著作されたものであり、また、学
問、文化の発展に不可欠のものであるうえ、国民は憲法の基本理念である国民主権
主義、憲法第二一条により、知る権利を保障されていることからみても、原告は本
件著作物を一般国民に利用させる義務を負う旨主張するが、右三の1に判示したと
おり、本件著作物は、必ずしも一般国民に対して周知徹底させることを目的とした
ものではなく、政府部内の執務資料とすることを意図したものであるうえ、国家機
関が編さんした著作物であることを理由として、直ちに被告主張のように、原告が
本件著作物を一般国民に利用させる義務を負うものと解することはできない。
 また、その結果、本件著作物が一部の者のみに利用されるにすぎないとしても、
本件著作物の右のような性格、利用目的からすれば、右事実をもつて、直ちに法の
下の平等に反するものと解することはできない。なお、成立に争いのない甲第一四
号証の一、二、証人Bの証言を総合すれば、一般国民としても、所定の手続を経れ
ば、大学の図書館などにおいて、本件旧版を利用できることがあることが認められ
る。
3 次に、被告は、原告が本件新版の発行により、何ら財産的損害を受けることが
ない旨主張するが、財政法第九条第一項によれば、原告は、国有財産としての本件
著作物の複製発行を特定の私人に許諾するときは、適正な使用料を徴収すべきもの
であるから、被告の本件新版の無断発行により、右使用料相当額の損害を受けるも
のであり(著作権法第一一四条参照)、何ら財産的損害を受けることがないという
ことはできない。
4 次に、被告は、昭和四八年五月当時、官公庁発行の著作物の複製発行について
は、官公庁の許諾を要しない旨の商慣習が存在した旨主張し、成立に争いのない甲
第四号証、乙第一、第二、第一〇号証、原本の存在及び成立に争いのない乙第四四
号証、弁論の全趣旨により真正に成立したと認められる甲第七、第八号証の各一、
二、第九号証、第一〇号証(但し、官署作成部分の成立に争いがない。)、証人
B、同D、同Cの各証言、被告代表者尋問の結果を総合すれば、従前、出版業界に
おいては、官公庁発行の著作物の複製発行について、一般的には官公庁の許諾を受
けてしていたが、場合によつては、その許諾を受けないでしたこともあつたこと、
しかし、官公庁としては、その許諾を受けないでした右複製発行を容認していたも
のではなかつたことが認められ、他に右認定をくつがえすに足りる証拠はない。
 右認定の事実によれば、右当時、官公庁発行の著作物の複製発行について、被告
主張のような商慣習が存在していたものとは認められない。
5 次に、被告は、原告が本件新版の発行の差止について、著作権法第一〇五条以
下に規定する紛争処理手続をとることなく、直ちに本件訴訟を提起したことは不当
である旨主張し、原告が右紛争処理手続をとらなかつたことは、当時者間に争いが
ないところであるが、元来、原告が本件について、訴訟手続と右紛争処理手続のい
ずれを選択すべきかは、原告の任意に委ねられているところであつて、原告が右紛
争処理手続をとることなく、本件訴訟を提起したことをもつて、不当な措置と解す
ることもできない。
6 次に、被告は、本件新版の発行の準備を中止することになれば、甚大な損害を
受ける旨主張するが、被告が右発行の中止により、損害を受けるとしても、これ
は、被告自身が原告に無断で、あえて右発行をしようとしたためにほかならないの
であつて、これを不問に付して、右発行の中止による結果の重大性のみを強調し、
その責を原告に帰することはできない。
7 以上のとおりであるから、被告の右各主張は、いずれも理由がなく、原告にお
いて、被告の本件新版の発行の差止及び本件ネガフイルムの廃棄を求めることは、
正当な権利行使であつて、憲法第二一条所定の出版の自由を侵害するものでもない
といわなければならず、これを目して、権利の濫用ということはできない。したが
つて、被告の抗弁は、理由がないものである。
六 結論
 してみれば、被告に対し、著作権法第一一二条に基づき、本件新版の発行の差止
及び本件ネガフイルムの廃棄を求める原告の本訴請求は、正当として、認容される
べきである。
 よつて、訴訟費用の負担について、民事訴訟法第八九条を、仮執行の宣言につい
て、同法第一九六条を適用して、主文のとおり、判決する。
(裁判官 佐藤栄一 木原幹郎 塚田渥)
別紙
物件目録
(一) 日本人の海外活動に関する歴史的調査
完全復刻版 大蔵省管理局編 昭和二二年
第一巻 総論(総目録、総論―近代に於ける日本経済の発達、極盛時に於ける日
本、日本及その植民地域に於ける人口の発達)
第二巻 朝鮮編Ⅰ(朝鮮開国より日韓併合への道、朝鮮統治の最高方針、警察行政
と其の実績)
第三巻 朝鮮編Ⅱ(産業及経済政策、農業、林業、水産業、工業、貿易商業金融財
政、交通通信)
第四巻 朝鮮編Ⅲ(在外朝鮮人の保護、戦争と朝鮮統治の性格と実績)
第五巻 台湾編Ⅰ(台湾経済半世史の概観、地理的に見た台湾、台湾の文化社会、
台湾の産業)
第六巻 台湾編Ⅱ(台湾の経済、台湾に関する統計)
第七巻 台湾編Ⅲ(白日下の台湾、日僑の追憶、終戦前後の台湾に関する資料、台
湾統治概要)
第八巻 樺太・南洋群島編(樺太の産業及経済、文化、主要統計、南洋群島の経済
及産業)
第九巻 満洲編(総論、人口労働力、政治行政、農業開拓政策、畜産・水産・林・
鉱工業、交通通信)
第一〇巻 関東洲・北支・中南支編(樺北日系事業概観、列国の対華経済進出と其
の法的条件、我が対華経済活動と在華投資、対華借款と文化事業)
第一一巻 海南島・南方Ⅰ編(総論、各論―仏印、暹羅(タイ)編、緬甸(ビル
マ)、英領馬来(マライ)編)
第一二巻 南方Ⅱ・欧米編(蘭印編、比島編、欧米編)
(二) 債権者原告、債務者被告間の東京地方裁判所昭和四八年(ヨ)第二五一五
号仮処分命令に基づく執行により同裁判所執行官Eが保管する左記物件
 記
一 無伸縮ネガフイルム 大判茶封筒入 三二包
一 無伸縮ネガフイルム 小判茶封筒入 二包
 以上
別紙
比較対照表
本件著作物(本件旧版)
日本人の海外活動に関する歴史的調査 大蔵省管理局
総目録
通巻第一冊 総論の一
第一章 近代に於ける日本経済の発達
第二章 極盛時に於ける日本
第三章 日本及その植民地域に於ける人口の発達
通巻第二冊 朝鮮篇 第一分冊
序章 朝鮮の概貌
第一章 旧来の朝鮮の政治、経済、社会、文化の性格
第二章 朝鮮開国より日韓併合への途
通巻第三冊 朝鮮篇 第二分冊
第三章 朝鮮統治の最高方針
第四章 朝鮮政治機構の近代化
第五章 警察行政と其の実績
第六章 司法及行刑と其の実績
通巻第四冊 朝鮮篇 第三分冊
第七章 教育文化政策と其の実績
第八章 衛生行政と其の実績
通巻第五冊 朝鮮篇 第四分冊
第九章 産業及経済政策
第十章 農業の発達
通巻第六冊 朝鮮篇 第五分冊
第十一章 林業の発達
第十二章 水産業の発達
第十三章 鉱業の発達
通巻第七冊 朝鮮篇 第六分冊
第十四章 工業の発達
第十五章 貿易及び商業の発達
通巻第八冊 朝鮮篇 第七分冊
第十六章 金融の発達
第十七章 財政の発達
通巻第九冊 朝鮮篇 第八分冊
第十八章 交通通信の発達
第十九章 土木及治水
通巻第十冊 朝鮮篇 第九分冊
第二十章 在外朝鮮人の保護
第二十一章 戦争と朝鮮統治
通巻第十一冊 朝鮮篇 第十分冊
朝鮮統治の性格と実績
「独立」朝鮮経済の将来
通巻第十二冊 台湾篇 第一分冊
第一部 台湾経済半世史外観
第二部 地理的に見た台湾
第三部 台湾の文化社会
通巻第十三冊 台湾篇 第二分冊
第四部 台湾の産業
通巻第十四冊 台湾篇 第三分冊
第五部 台湾の経済(其の一)
通巻第十五冊 台湾篇 第四分冊
第六部 台湾の経済(其の二)
通巻第十六冊 台湾篇 第五分冊
台湾に関する統計
通巻第十七冊 台湾篇 第六分冊の一
白日下の台湾
通巻第十七冊 台湾篇 第六分冊の二
日橋の追憶(終戦後引揚迄の日本人の生活と其の後の台湾)
通巻第十七冊 台湾篇 第六分冊の三
終戦前後の台湾に関する資料
統治篇
経済篇
通巻第十八、
十九冊 樺太篇
第一部 総論
第二部 産業及経済
第三部 交通及通信
第四部 文化
通巻第二十冊 南洋群島篇 第一分冊
第一章 序説
(略)
第八章 財政
(略)
第十一章 衛生
通巻第二十一冊 南洋群島篇 第二分冊
第十二章 交通通信
第十三章 産業概論
第十四章 農業
第十五章 林業
第十六章 糖業
第十七章 商工業
第十八章 水産業
第十九章 鉱業
第二十章 貿易
第二十一章 金融
通巻第二十二冊 満州篇 第一分冊
第一章 総論
第二章 自然条件
第三章 人口及労働力
第四章 政治、行政
第五章 文化、厚生
通巻第二十三冊 満州篇 第二分冊
第二部 満州の産業
第一章 農業
第二章 開拓政策
第三章 畜産業
第四章 水産業
第五章 林業
第六章 鉱工業
第七章 交通
第八章 通信
通巻第二十四冊 満州篇 第三分冊
第三部 満州の経済
第一章 財成
(略)
第四章 商業、配給、物価
通巻第二十五冊 満州篇 第四分冊
関東洲篇
通巻第二十六冊 北支篇
華北日系事業概観
通巻第二十七冊 中南支篇 第一分冊
最近五十年日華経済関係の史的考察
第一部 列国の対華経済進出とその法的諸条件
第二部 我が対華経済活動と在華投資
通巻第二十八冊 中南支篇 第二分冊
第三部 対華借款と対華文化事業
第四部 補遺
通巻第二十九冊 海南島篇
海南島に於ける日本経済発展概観
通巻第三十冊 南方篇 第一分冊
第一部 総論
通巻第三十一冊 南方篇 第二分冊
第二部 各論
第一章 仏領印度支那
第二章 暹羅
通巻第三十二冊 南方篇 第三分冊
第二部 各論
第三章 ビルマ
第四章 英領マライ(英領北ボルネオ、サラクワを含む)
通巻第三十三冊 南方篇 第四分冊
第二部 各論
第五章 ビルマ
通巻第三十四冊 南方篇 第五分冊
第二部 各論
第六章 フイリツピン
通巻第三十五冊 欧米其の他諸地域篇
第一章 総論
(略)
第五章 西方諸地域
別紙目録(一)の図書(本件新版)
日本人の海外活動に関する歴史的調査 大蔵省管理局編
第一巻 総論
総目録
総論
近代に於ける日本経済の発達
極盛時に於ける日本
日本及その植民地域に於ける人口の発達
第二巻 朝鮮編Ⅰ
朝鮮開国より日韓併合にへの道
朝鮮統治の最高方針
警察行成と其の実績
第三巻 朝鮮編Ⅱ
産業及経済政策
農業
林業
水産業
工業
貿易・商業
金融
財政
交通通信
第四巻 朝鮮編Ⅱ
在外朝鮮人の保護
戦争と朝鮮統治
朝鮮統治の性格と実績
第五巻 台湾編Ⅰ
台湾経済半世史の概観
地理的に見た台湾
台湾の文化社会
台湾の産業
第六巻 台湾編Ⅱ
台湾の経済
台湾に関する統計
第七巻 台湾編Ⅲ
白日下の台湾
日橋の追憶
終戦前後の台湾に関する資料
台湾統治概観
第八巻 樺太南洋群島編
樺太の産業及経済
文化
主要統計
南洋群島の経済及産業
第九巻 満州編
総論
人口、労働力
政治、行政
農業
開拓政策
畜産、水産、林、鉱工業
交通、通信
第一〇巻 関東洲・北支・中南支編
華北日系事業概観
列国の対華経済進出と其の法的条件
我が対華経済活動と対華投資
対華借款と新化事業
第一一巻 海南島・南方Ⅰ編
総論
各論
仏印。暹羅(タイ)編
緬旬(ビルマ)
英領馬来(マライ)編
第一二巻 南方Ⅱ・欧米編
蘭印編
北島編
欧米編

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