弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人を懲役六月及び罰金五万円に処する。
     但しこの裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。
     被告人において罰金を完納することができないときは金五百円を一日に
換算した期間被告人を労役場に留置する。
     本件公訴事実中物価統制令違反の点(第一審判決判示第二の(一)の(
イ)乃至(ル)の事実)について被告人を免訴する。
         理    由
 弁護人阿比留兼吉の上告趣意は刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 しかし職権を以つて調査するに、本件公訴事実中第一審判決判示第二の(一)の
(イ)乃至(ル)の物価統制令違反の事実については、原判決後昭和二七年政令第
一一七号により大赦があつたので、刑訴四一一条五号、四一三条但書、四一四条、
四〇四条、三三七条三号により、原判決を破棄し、右事実につき被告人を免訴すべ
きものとし、なお右事実と併合罪の関係にあるものとして処断されたその余の事実
につき更に判決する。
 原判決の引用にかかる第一審判決の認定した事実中右大赦にかからない事実に法
令を適用すると、判示第二の(二)の(イ)及び(ロ)の石油製品を配給割当公文
書と引換えることなく譲り受けた各所為は臨時物資需給調整法一条、四条一項、旧
石油製品配給規則(昭和二二年一〇日三一日総理庁外一〇省省令第一号)四条に各
該当するところ、情状により同法四条二項に基き懲役及び罰金を併科することとし、
昭和二四年二月一日以前の所為である判示第二の二の(イ)の所為については罰金
等臨時措置法二条、刑法六条、一〇条を適用し、軽い旧法の罰金刑に従い、以上は
刑法四五条前段の併合罪であるから同法四七条、一〇条により重い判示第二の(二)
の(ロ)の罪の懲役刑につき法定の加重をなし、罰金刑については同法四八条二項
を適用した刑期及び金額の範囲内において被告人を懲役六月及び罰金五万円に処し、
同法二五条によりこの裁判確定の日より二年間右懲役刑の執行を猶予し、同法一八
条一項に従つて被告人が右罰金を完納することができないときは金五百円を一日に
換算した期間被告人を労役場に留置することとする。
 よつて主文のとおり判決する。
 この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。
 検察官大津民蔵出席
  昭和二九年五月一四日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    谷   村   唯 一 郎
 裁判官藤田八郎は出張につき署名押印することができない。
         裁判長裁判官    霜   山   精   一

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