弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 本件上告理由は末尾添付の上告代理人提出の上告理由書の通りでこれに対して次
のように判断する。
 原判決の確定した事実によると、被上告人は上告人の父Aから本件山林を昭和二
三年五月一日買受け、その後同年九月二日上告人はAから同山林の贈与を受けた
が、いづれも移転登記手続未了のうちに右Aは昭和二七年二月一四日死亡し、上告
人がこれを相続してその権利義務を承継したが、被上告人は本訴提起後間もない昭
和二七年四月二一日上告人に代位して上告人のために相続による所有権取得登記を
なしたと謂うにある。
 以上のような事実関係の下においては上告人はAに対する関係では受贈者として
既に本件山林につき所有権を取得して居り、移転登記請求権を取得しているのでそ
の所有権を相続することはあり得ない筋合であることまことに所論の通りである
が、他面上告人はAの相続人として被相続人の法律上の地位を承継し、従来Aが被
上告人に対して負担していた本件山林所有権の移転登記義務についてもこれを承継
していることが明かである。即ちAの生前においてはいわゆる不動産の二重譲渡の
場合に該当し、上告人と被上告人は互にその権利を主張し得ない立場にあり、いず
れか早く登記を経由して始めてその所有権を対抗し得た関係にあり、上告人が先に
自己名義の所有権取得登記を得ておれば自己の所有権を以て被上告人に対抗し得べ
く、反対に被上告人は所有権取得を主張し得ず、従つてその後上告人のため相続が
開始しても被上告人に対する登記義務の承<要旨>継とゆうことはあり得ない。しか
し本件の如く上告人が被相続人から生前贈与を受けた不動産につき登記のな
いまま被相続人が死亡し、その相続をした場合には異なる。即ち上告人は相続前生
前贈与による所有権を以て第三者に対抗し得なかつた関係上、右贈与がなくして相
続が開始された場合と同一の立場になり上告人は被相続人の被上告人に対する所有
権移転登記義務を承継するものといわなければならない。したがつてこの場合は上
告人は所謂二重譲渡を受たものとしての立場を失つたものとゆうべく、上告人は民
法第一七七条にいわゆる第三者に該当せず、登記なき故を以て被上告人の所有権を
否定し得ないと同時に、上告人は最早生前贈与による登記ができず、相続による登
記があつても被上告人に対し優先的所有権取得を主張し得ないものと解すべきであ
る。又相続による所有権取得登記に対し生前なされた贈与による所有権取得登記と
同一の遡及的効力を附与することはできない。
 所論は上告人はAに対する関係では所有権を取得し登記請求権を取得したことを
強調して、相続人としてAの被上告人に対して負担する登記義務を承継した点を看
過した一方的な見解であり、又相続登記の対抗要件につき独自の解釈をなすもので
論旨は到底採用できない。
 以上説示の通り論旨は理由がないから本件上告を棄却することとし民事訴訟法第
四〇一条第三九六条、第三八四条、第九五条、第八九条を適用して主文のように判
決する。
 (裁判長裁判官 岡田建治 裁判官 佐伯欽治 裁判官 岡田辰雄)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛