弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決中、控訴人敗訴の部分を取消す。
     被控訴人は控訴人に対し、別紙物件目録(四)記載の建物を明け渡せ。
     訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。
         事    実
 第一 当事者の求める裁判
 一 控訴人
 主文第一、二項同旨の判決(控訴人は原審において、別紙物件目録(一)記載の
建物の明渡及び、同目録(三)記載の建物の収去と同目録(二)記載の土地の明渡
を請求していたが、当審において建物明渡請求の目的物を同目録(四)記載の建物
と訂正するとともに、その余の請求をいずれも取下げた。)及び仮執行の宣言
 二 被控訴人
 本件控訴を棄却する。
 との判決
 第二 主張
 当事者双方の本訴請求に関する攻撃防禦は、当審において、控訴人の「請求原因
7」(原判決五枚目裏一〇行目から六枚目表六行目まで)及び被控訴人の「請求原
因に対する認否7」(同七枚目表五行目)を次の一項のとおり訂正し、控訴人の本
件賃貸借契約終了に関する選択的主張及び被控訴人のこれに対する反論をそれぞれ
二項及び三項として、さらにこれについての被控訴人の抗弁及び控訴人の反論をそ
れぞれ四項及び五項として、付加するほかは、原判決事実摘示(原判決二枚目裏八
行目から同二二枚裏一〇行目まで)と同一であるから、これを引用する。なお、以
下において使用する略語は、すべて原判決のそれにならう。
 一 「請求原因7」及び「これについての認否7」を次のとおり訂正する。
 (一) 控訴人の請求原因7
 本件建物は、本件住宅の南側に接して増築されているが、高床上の同建物の居室
は、六畳及び四畳半の二間から成る子供の勉強部屋のみで、もちろん台所、便所、
玄関もなく、本性住宅から右居室へ行くには、同住宅南側六畳間の外側踊場から鉄
製階段を上下して連絡することができ、両者は一体として利用してはじめてその建
物としての効用をもつものである。したがつて住宅の構造上、利用の実体及び取引
上の社会通念にてらし、本件建物は本件住宅に付合して一体化したものというべ
く、又本件住宅には、右増築よりも以前に、その北側に接して軽量コンクリートブ
ロツク壁と亜鉛鋼板葺屋根の物置(床面積五・七四平方メートル。以下「北側物
置」という。)が付設されており、これまた本件住宅と一体化しているものであ
る。よつて以上の増築建物及び北側物置は本件住宅と一体となつて一個の不動産、
すなわち別紙物件目録四記載の建物を形成しているものであり、被控訴人は同建物
を占有している。
 故に控訴人は被控訴人に対し、本訴をもつて右建物の明渡を求めるものである。
 (二) 請求原因7に対する認否
 右7の主張を争う。
 二 控訴人の当審における本件賃貸借契約終了に関する新たな選択的主張
 1 正当事由による解約申入等
 控訴人は当審において、新たな選択的請求として、別紙物件目録(四)記載の建
物の明渡を請求するものであるが、控訴人は被控訴人に対し、借家法一条の二を根
拠に、次にのべる正当事由に基き、昭和五五年二月一三日付準備書面をもつて、本
件賃貸借契約の解約を申入れた。よつて、右申入れから六ケ月を経過した昭和五五
年八月一三日限りで、本件建物賃貸借契約は終了したものである。
 (一) 控訴人側の事情
 (1) 本件住宅を含む都営住宅名称「東京都営第四、第五練馬a町b丁目住
宅」(戸数二六〇戸、以下「本件都営住宅」という。)は東京都練馬区内の既成市
街地にあり、昭和三〇年から三二年頃にかけて建設されたものであるが、既に老朽
化しているため、従前からその建替えの必要性が指摘されていた。しかも控訴人に
とつて新たに公営住宅建設のための用地を確保することは困難である。そこで控訴
人は、昭和五〇年三月二五日本件都営住宅を含む隣接の都営住宅団地について、鉄
筋コンクリート造の中層集合住宅への建替えを決定した。
 (2) そこで控訴人は本件都営住宅の居住者に対する説明会を、昭和五〇年七
月三〇日の団地自治会役員に対する説明会を皮切りに、一〇数回に亘つて開催し
た。
 その結果入居者の圧倒的多数の協力を得て、昭和五二年三月頃から建替工事に着
手し、昭和五五年二月二〇日現在二二七戸の建設が完了し、一六三世帯がすでに入
居を完了しており(九六戸は工事中)残るは二棟(三〇戸)のみである。
 (3) この建替工事にあたつては、本件都営住宅の間取りが六畳、四畳半、台
所だけなのに対し、六畳・六畳・四畳半・台所兼食事室のものが一五三戸、六畳・
四畳半・四畳半・台所兼食事室のものが一九一戸、六畳・台所兼食事室のものが九
戸と、総戸数三五三戸を予定しており、従前よりもいずれも規模も大きく、付帯設
備も浴室・トイレ付と著しく改善されている。もつとも従来の住宅の場合よりも家
賃が高くなつているが、入居者の負担を軽減するため、向う五カ年間は家賃の減額
措置がとられている。
 (4) しかるに被控訴人他一名が右建替工事用地内の従前の公営住宅から退去
しないため、前述した建設予定の二棟(三〇戸)の建替工事に着手できないでい
る。そのため低額所得者に対する公営住宅の提供が著しく遅延するばかりでなく、
建設のための費用も値上りし、折角の建替工事の完成が阻まれる結果を惹起してい
る。
 (二) 被控訴人側の事情
 (1) これに対し被控訴人方世帯は、被控訴人のほか妻のAも所得があり、右
両名の年間所得の合算額は年々増加し、昭和五三年には七〇〇万円を超えているも
のと推定される。そのため被控訴人はここ一両年中に、法二一条の三に定める「高
額所得者」に該当するに至ることは明らかで、法二一条の二及び条例一九条の七の
規定に基き、明渡義務を負うに至ることは確実である。
 (2) 控訴人は被控訴人に対し、次の都営住宅一戸を右明渡後の代替住宅とし
て提供している。
 住宅名 都営練馬a町c丁目アパート第d号棟e号室
 間取り 六畳・四畳半・四畳半・台所兼食事室(浴室・水洗トイレ付)
 使用料 月額二万一九〇〇円
 保証金 月額使用料の二カ月分(四万三八〇〇円)
 (三) 双方の事情の比較衡量
 右に述べた双方の事情を比較衡量すると、控訴人において別紙物件目録(四)記
載の建物の明渡を求める正当事由が存することは明白であるのに対し、被控訴人が
都の提供する代替住宅を受入れても、特段の不利益を蒙るものでないから、被控訴
人が本件住宅になお居住しなければならない必要性は毫も存しない。故に都営第
四、第五住宅の建替という、大きな公益目的に徴するとき、その住居の近くに前記
代替住宅の提供を受けている被控訴人としては、もはや本件住宅の明渡を拒否する
理由はないものといわねばならない。
 2 控訴人は、被控訴人の後記反論に対し、本件解約申入の合法性について、次
のとおり主張する。
 (一) 公営住宅の建替えを、法第三章の二の「公営住宅建替事業」として本件
都営住宅につき法二四条三項後段による用途廃止をしたうえで実施するか、あるい
は又、従来の公営住宅を「引き続いて管理することが不適当である」として、同項
前段による用途廃止をしたうえで建替えるかは、事業主体が任意に選択しうるとこ
ろであり、又法二四条三項前段により用途廃止をしたうえ公営住宅の明渡を請求す
る場合、その法律上の根拠を、条例二〇条一項六号に基くものとするか、あるいは
又、借家法一条の二に基くものとするかは、これまた事業主体が任意に決しうるも
のというべきである。ただし、法二四条三項前段の用途廃止による建替えの場合
は、法第三章の二の「公営住宅建替事業」の場合と異り、いわゆる正当事由を要す
ることはもちろんである。
 (二) 仮に右主張が認められず、借家法一条の二よりも条例が優先して適用さ
れるべきだとしても、控訴人は被控訴人に対し、昭和五六年一月二八日付準備書面
をもつて、条例二〇条一項六号及び同条二項に基き、本件住宅の明渡を申入れた。
よつて被控訴人は控訴人に対し、同日以降本件住宅を明渡すべき義務を負うもので
ある。
 三 被控訴人の認否及び反論
 1 控訴人の新請求に対する本案前の抗弁
 控訴人の当審における、正当事由に基く解約申入による本件住宅の明渡請求は、
訴の変更に当り、従前の請求との間に請求の基礎の同一性がないから、許されな
い。けだし従前の請求は、昭和四一年一一月分から翌四二年三月分までの割増賃料
の不払、同四九年七月頃の無断増築を各理由とする契約解除に基くものであるのに
対し、新請求は、昭和五五年二月現在の本件住宅に関する建替えの必要性等の正当
事由に基く解約申入を請求原因とするものであり、互いにその対象である事実の範
囲と時期とを異にし、審理の訴訟資料や証拠資料を利用して継続的審理を正当化す
る一体性は存しない。しかも被控訴人にとつて審級の利益を奪われることとなる。
 2 新しい主張に対する認否
 (一) 控訴人主張事実1の前文のうち、控訴人主張の解約の申入のあつたこと
は認めるが、その余は争う。
 (二) 同(一)の(1)のうち、本件住宅を含む本件都営住宅が東京都練馬区
内に所在し昭和三〇年から三二年頃にかけて建設されたことは認めるが、その余は
争う。被控訴人が入居している本件住宅は耐用年数三五年と定められているほど
で、未だ全く老朽化していない。
 (三) 同(一)の(2)のうち、説明会が開催されたこと、昭和五二年三月頃
から建替工事に着手したことは認めるが、その余は不知。
 (四) 同(一)の(3)のうち、従来の住宅よりも家賃が高くなつていること
は認めるが、その余は不知。
 (五) 同(一)の(4)は争う。
 (六) 同(二)の(1)のうち、被控訴人の妻佐千代に所得があることは認め
るが、その余は争う。
 (七) 同(二)の(2)及び同(三)は、いずれも争う。
 3 控訴人の解約申入は、その法的根拠を欠き違法である。
 公営住宅の建替事業に伴う明渡を求めるには、法第三章の二以下の所定の手続に
よるべきであり、借家法一条の二の正当事由に基く解約申入による明渡請求は許さ
るべきでない。けだし昭和四四年法律第四一号による法改正により、法第三章の二
「公営住宅建替事業」の章が新設され、法三二条の四以下に、公営住宅建替事業の
施行の要件及び手続に関する規定が定められるに至つた。この規定は、借家法に対
する特別法というべきであるから、建替えのために明渡を求めるには、右新規定が
定める法的要件と手続に従うべきであつて、借家法一条の二によるべきではないか
らである。
 4 控訴人には本件住宅の明渡を求める正当事由は存しない。
 控訴人が主張する正当事由に関する論拠は、事実に反し、さらに都の住宅政策の
誤りと無策を、被控訴人ら居住者の犠牲によつて糊塗しようとするものであつて、
到底正当事由たりえないものである。すなわち、今日では、かつてのように住宅の
絶対数不足を名目として何が何でも住宅の数を増やすだけが住宅政策のすべてでは
なく、今後の主要な課題は、住宅の「質」と居住者の「定住化」であるというのが
常識化している。しかるに控訴人は用地取得の困難性を主張するけれども、他に十
分利用可能な都有地が存している。そして今や将来の住宅のあり方として高層住宅
は不適格であると指摘されている。しかるに本件住宅は未だ老朽化しておらず、こ
れを建替えねばならぬ必要性も存しないのに、敢て高層住宅に建替えようとしてい
る。のみならず控訴人の本件建替工事により増加する戸数は僅か九三戸であるにす
ぎず、増加率も一・三五倍強で、到底法二三条の四第三号の「二倍以上」の要件を
満たすこともできない。
 しかるに被控訴人は、これまで、控訴人から建替えについでの交渉を受けたこと
は一度もなく、ましてや、代替住宅についての希望を聞かれたことも全くない。と
ころが本訴訟において控訴人主張の準備書面をもつて、突然代替住宅の提示を受け
た。しかしその間取りは本件住宅に比べ狭く、かつ賃料は現在額(二一〇〇円)の
一〇倍の高額である。被控訴人は東京電力株式会社に勤務する会社員であり、昭和
三三年から本件住宅に居住し、その間長女・長男をもうけ、現在に至るまで二〇数
年間本件住宅を生活の根拠としてきたものである。
 したがつて、本件建替事業なるものは、被控訴人の右の如き居住権を奪うに足り
るほどの合理的根拠を有しておらず、反対に建替計画自体、法所定の要件を具備し
ていないから、控訴人には、本件住宅の明渡を求める正当事由を有していないもの
というべく、本件解約申入は無効であるといわねばならない。
 5 なお、控訴人は、仮定的主張として、条例二〇条一項六号を本件明渡請求の
法的根拠として主張しているが、同条項は本来、本件の如き建替事業に適用の余地
のないものであり、しかも、本件は、そこにいう「管理上の必要性」の要件を満た
しているものということができないから、この点からも右主張は失当である。
 四 被控訴人の抗弁
 控訴人は、被控訴人の本件住宅への入居に際し、将来本件住宅を被控訴人に分譲
する旨確約したので、被控訴人はこれを信頼して、昭和三三年七月右住宅に入居す
るとともに爾来これを良好な状態に管理しつづけてきたものである。したがつてい
わゆる「確約の法理」により、右確約に対する被控訴人の信頼は、もちろん法的保
護に値するものといわねばならない。すなわち、昭和二六年公営住宅法の制定から
昭和三四年法律第一五九号による改正に至るまでに建設された公営住宅について
は、入居者に対する分譲・定住を前提とする、いわゆる「国民住宅」であつた。し
たがつて当時は、制度的に、一定の年数経過後には、当該入居者に分譲するという
のが原則であり、控訴人から異口同音に、一定年数経過後には公営住宅は居住者に
払下げると説明を受け、被控訴人はその確約を信じ、将来自分の土地、建物となる
と期待して居住住宅の改良や街路・外灯等環境の整備に協力しつづけてきたもので
ある。
 ところで行政主体が自己の将来における作為、不作為を予め約束する意思表示を
「行政上の確約」と呼び、行政主体は、この確約に拘束されるものであるから、控
訴人が前述のように本件住宅を被控訴人に分譲すると確約した以上、同住宅を分譲
すべき義務があり、したがつて苟も被控訴人に対し、借家法一条の二に基き本件住
宅の明渡を求めることは許されない。
 五 控訴人は、被控訴人の右「確約の法理」の抗弁に対し、次のとおり反論す
る。
 先ず「確約の法理」は、行政法上の問題であつて、私法上の問題ではないから、
私溝上の問題である本件賃貸借契約に適用される余地はない。しかして仮に適用が
あるとしても、本件では、その要件を充足していない。すなわち、控訴人は被控訴
人に対し、本件住宅の分譲を確約したことは全くない。又被控訴人が分譲を受けら
れることを前提として、具体的な活動を開始したとも考えられないから、被控訴人
が本件住宅の分譲を受けられないことによつて、社会通念上看過しえない程の積極
的損害を蒙つているということはできないからである。
 第三 証拠関係(省略)
         理    由
 一 次の事実は、当事者間に争いのないところである。
 1 本件住宅が控訴人の所有に属し、被控訴人がこれを占有していること
 2 被控訴人の本件住宅占有は、昭和三三年七月二五日から始められ、控訴人主
張の賃貸借契約にもとづくものであつたこと
 3 控訴人が昭和四一年一〇月二二日被控訴人に対し同年一一月一日以降一か月
につき二一〇円の割増賃料を徴収する旨を通知し、右通知は同年一〇月二二日ころ
被控訴人に到達したこと
 4 被控訴人は昭和四一年一一月一日から同四二年三月末日までの割増賃料合計
一〇五〇円の支払をしていないこと
 5 被控訴人が昭和四九年七月ころ控訴人の許可を受けないで本件住宅の敷地で
ある本件土地上に本件建物を建築したこと
 6 控訴人が被控訴人に対し、同年一二月二七日到達の書面で昭和五〇年一月三
一日までに本件割増賃料を支払うように、及び本件建物を収去して本件土地を原状
に回復するように催告したこと
 7 控訴人が被控訴人に対し同年二月二一日付書面で被控訴人の本件住宅使用許
可を取消し、これを明渡すよう請求し、同書面は同月二四日被控訴人に到達したこ

 なお、控訴人が被控訴人に対し、その本件住宅入居に先立ち法及び条例に基き第
二種東京都営住宅としての使用許可をしたことは、被控訴人の明らかに争わないと
ころである。
 二 原本の存在並びに成立に争いのない乙第一五号証及び原審証人Bの証言によ
れば、被控訴人の昭和四〇年中の給与収入総額は五〇万五〇〇一円以上七八万六六
六六円以下であつたことが認められ、これに反する証拠はなく、また同年中妻及び
未成年の子二人があつたことは当事者間に争いがない。
 そして、施行令一条三号(昭和四二年政令第一〇五号による改正前のもの)の計
算に従うと、被控訴人は同年中に月額二万五〇〇〇円を超え、四万五〇〇〇円以下
の収入があつたこととなり、従つて控訴人は昭和四一年一〇月二二日の時点で、被
控訴人に対し、割増賃料規定により、家賃額の〇・二を上限として割増賃料を徴収
する権利を有していたというべきところ、その限度内において控訴人は前記のよう
に増割賃料徴収の通知をなし、被控訴人に到達したのであるから、被控訴人は同年
一一月一日以降一か月二一〇円の割合による割増賃料債務を控訴人に対して負担す
るに至つたというべきであり、条例一一条三項によれば右は毎月末日までにその月
分を納付すべきものとされている。
 三 以上の事実を総合すれば、控訴人が被控訴人に対してなした本件割増賃料の
滞納及び無許可増築を理由としてなした前記明渡請求(形式的には一箇であるが、
実質的には二箇の明渡請求である。)は、法二一条四項、二二条一項二号及び四
号、条例一五条四号、二〇条一項二号及び五号に照らしていずれも有効であるとい
わねばならない。なお条例二〇条一項二号は「正当な事由がなく使用料を三月以上
滞納したとき」と規定しているが、その「使用料」は、法二二条一項二号「家賃又
は割増賃料を三月以上滞納したとき」と対比するときは「家賃又は割増賃料」と同
義であると解するのが相当であるし、原審における被控訴人本人尋問の結果によれ
ば、被控訴人が割増賃料を滞納したのは割増賃料制度が法律上違法不当なものであ
ることを理由としたものであることが認められるところ、右が正当な事由に該らな
いことは後述するところから明らかである。また被控訴人が知事の許可を得ること
なく本件住宅敷地内に本件建物を建築したことが条例一五条四号及び二〇条一項五
号に該当することはいうまでもない。それ故被控訴人は控訴人の明渡請求が到達し
た昭和五〇年二月二四日限り本件住宅の賃借人たる地位を失つたものである。
 四 被控訴人は割増賃料規定の違憲無効あるいはその適用違憲を主張しているの
で以下に判断する。
 1 原判決七枚目表九行目から同裏一〇行目までの主張について
 一般私人間の取引は公正な価格をもつてなされることが理想であり、公正な価格
は通常市場価格であるから、建物賃貸借においても賃料額の決定は当事者間の自治
に委ねられるのは当然であるが、建物賃貸借はしばしば長期間に亘ることから、当
初合意によつて決定された賃料額が市場価格から遊離する場合が生じるので、法は
当事者間の公平を図り、賃料額を市場価格に近づけるため、一定の要件のもとに賃
貸(借)人に賃料増(減)額請求権を与えているが、右の目的に照らすときは、右
増(減)額請求権の要件に、市場価格と関係のない賃借人の収入の増(減)を加え
なかつたことは当然であるし、一方公営住宅の賃料は、法一条に掲げられた目的に
副い、法一二条の制限の範囲内で一般市場価格よりはるかに低廉に定められるので
あつて、一般市場価格と公営住宅賃料との差額は、実質的には事業主体たる地方公
共団体が住宅に困窮する低額所得者に付与する経済的援助であると考えられるとこ
ろ、入居者の収入が増加した場合に割増賃料規定により一定の基準に従い、援助を
削減する手段として入居者に割増賃料を課することは、割増賃料と本来の賃料を合
算してもなお市場価格に比して低廉であることを考えれば、法一条の目的に照ら
し、まことは相当といわねばならない。それ故被控訴人のいう差別には合理的な理
由があり、被控訴人の主張は失当である。
 2 原判決七枚目裏末行から一二枚目裏一〇行目までの主張について
 まず被控訴人のいう居住権なる概念が憲法上の権利として一般に承認されている
とはいえないから、居住権侵害の主張自体失当といわなければならない。もつとも
被控訴人は居住権は憲法二五条一項、一三条、二九条によつて支えられる権利であ
ると主張しているから、以下に明渡努力義務規定及び割増賃料規定が右各条項に違
反するかどうか検討してみることとする。
 前述したように公営住宅の入居者は、実質的には事業主体たる地方公共団体から
低額所得着たる地位に基き経済的援助を受けているのであるが、この援助が一旦開
始されると、入居者の収入が増加するなどの事情変更にかかわらず永続するとすべ
きでないことはもちろんであるところ、明渡努力義務規定は、入居者の住居の安定
の必要をも考慮し、入居後三年を超え、かつ入居申込の資格たる収入額の基準に比
し、ある程度高い別箇の基準(第二種東京都営住宅の場合は前者は月額二万円以下
であるに対し、後者は月額二万五〇〇〇円以上とされている。)を超える収入のあ
る者のみに、明渡に努力する義務を課しているに過ぎないのであるから、右規定が
ただちに国民の健康で文化的な最低限度の生活を営む権利、国民の生活、自由及び
幸福追求に対する権利、あるいは財産権を奪うものとは到底考えられないから、明
渡努力義務規定が憲法二五条一項、一三条、二九条に違反するということはできな
い。
 また割増賃料規定の趣旨は既に見たとおりであつて、右趣旨に照らすときは、右
規定が憲法二五条一項、一三条、二九条に違反するとは到底いえない。なお被控訴
人は割増賃料は明渡努力義務の不履行に対する制裁金として定められたものである
と主張するが、割増賃料はあくまで割増賃料であり、公営住宅使用の対価の一種で
あつて、制裁金でないことは明瞭である。それ故被控訴人のこの主張もまた採用し
えない。
 3 原判決一二枚目裏末行から一三枚目表末行までの主張について
 法二四条一項はもと「事業主は、政令で定めるところにより、公営住宅又は共同
施設がその耐用年限の四分の一を経過したときは、建設大臣の承認を得て、当該公
営住宅又は共同施設を入居者、入居者の組織する団体又は営利を目的としない法人
に譲渡することができる。」と規定していたが、昭和三四年法律第一五九号により
右「経過したときは」が「経過した場合において特別の事由のあるときは」と改め
られ、これにより入居者に対する公営住宅払下の可能性が窄められたことは確かで
あるが、明渡努力義務規定ならびに割増賃料規定は、右と同一の機会に新設された
けれども、払下の問題とは直接関連がない事柄であるから、仮りに右法改正中法二
四条に関する部分が公営住宅居住者の払下期待権を侵害するとしても、その故に明
渡努力義務規定や、割増賃料規定が違憲無効といえないことはいうまでもなく、右
主張は失当である。
 4 原判決一四枚目表初行から向裏三行目までの主張について
 割増賃料規定に基づいて実際に被控訴人が請求された本件割増賃料は一か月僅か
二一〇円に過ぎないから、仮りに被控訴人主張の事実関係がそのとおりであつたと
しても、右割増賃料が被控訴人に対し本件住宅の賃借権の放棄を余儀なくさせるほ
どの負担であるとは到底云いがたく、適用違憲の主張は採用できない。また被控訴
人は法二一条の二の二項が割増賃料の徴収につき事業主体の裁量を許したことと、
条例一九条の三が割増賃料の徴収を必要的としていることの矛盾をいうが、事業主
体は法の規定により割増賃料の徴収権限を与えられているのであるから、条例が右
徴収を必要的なものとして定めたとしてもなんら不都合はなく、この点に関する被
控訴人の主張も理由がない。
 五 被控訴人は割増賃料の請求について借家法七条二項の適用があるから、割増
賃料の支払を怠つても、基本たる賃料を支払つている限り、被控訴人に債務不履行
の責はなく、控訴人の明渡請求は理由がない旨主張<要旨第一>するので案ずるに、
同法七条二項は、賃貸人の賃料増額請求権の行使がしばしぱ過大であり、賃借人は
右行使の結果たる賃料増額の有無又はその数額の正当性を裁判確定前に
正確に知ることが事実上不可能であるにもかかわらず、右結果の発生は右請求権行
使の時点に遡るとされ、また金銭債務の不履行は故意過失を要件としないため、裁
判確定後にはじめて知りえた正当な賃料額による不足分を提供しても賃料不払によ
る賃貸借契約の解除を防止しえないという不合理な危険から賃借人を解放するため
に、昭和四一年法律第九三号によつて賃料増減請求権と同一条下に新設された規定
であるから、元来同条一項の増額請求権行使の結果につき、当事者間に争いのある
ときにのみ適用されるものと解すべきである。そして賃料増額請求権の制度がもつ
ぱら賃貸借当事者間の公平を図るためのものであるのに対し、割増賃料の制度は、
法一条の掲げる目的に副い、公営住宅既入居者とそれ以外の住宅困窮者間の公平、
あるいは社会全体の公平を図ろうとするもので、両者はまつたく異質の制度である
し、また割増賃料徴収の要件は、公営住宅入居後三年以上を経過したこと及び入居
者の収入が一定の収入基準を超え、割増賃料規定に該当するに至つたことであつ
て、入居者にとつて確知しがたい要素は含まれていないから、割増賃料徴収の適否
は入居者にとつておのずから明らかなはずであり、正当な割増資料の請求に対しそ
の支払を怠つた入居者には少なくとも過失があつたというべきであるから、かかる
入居者を保護するために、借家法七条二項を類推適用し、又は準用する余地のない
ことももちろんである。
 それ故被控訴人の右主張は採用することができない。
 六 被控訴人は法二一条四項、条例一五条四号は公営住宅の事業主体である地方
公共団体の内部的準則にとどまり、私法上の賃貸借の当事者である被控訴人を直接
に拘束するものでないと主張するが、公営住宅法、東京都営住宅条例が単なる地方
公共団体の内部的準用にとどまるものでなく、国民一般あるいは住民一般に対し拘
束力を有するものであることはいうまでもなく、被控訴人の主張はひつきよう独自
の見解に過ぎず採用できない。
 七 被控訴人は本件増築については信頼関係を破壊するに足りないと認めるべき
特段の事情があるから、本件<要旨第二>明渡請求は無効であると主張するところ、
一般私人間の建物賃貸借においては、当事者は互いに自己の信頼に値す
る者のみを相手方として選択する自由があり、かつ自己の財産保全のためにはその
必要があるから、当事者間に信頼関係の存することが建物賃貸借契約の存続の要件
であり、かつ信頼関係が破壊されない限り、一方的に契約が解除されることはない
と考えることができるが、公営住宅の賃貸借において、事業主体が入居者を決定す
るには、法一六条ないし一八条等の規定に基づき、もつぱら住宅に困窮する低額所
得者の中からこれを定めるのであつて、もともといわゆる信頼関係の相手方にふさ
わしい者を賃借人(入居者)として選択する自由はないのであるから、公営住宅の
使用関係に、私人間の賃貸借関係に用いられる信頼関係理論を持ち込むことは相当
ではないと考えられる。それ故これと異なる見解に立脚する被控訴人の主張はもと
より失当である。
 八 被控訴人は本件増築を理由とする控訴人の明渡請求が権利の濫用であると主
張するので考えてみる。
 1 都営住宅の入居者が知事の許可を受けることなく住宅敷地内に増築をした場
合であつても、その増築が、著しく軽微なものである場合には、これを理由とする
明渡請求が権利の濫用とされる場合がありうるといえよう。しかしながらいずれも
本件建物及びその周囲の写真であることが当事者間に争いのない甲第六号証の一な
いし五、第七号証、乙第二九号証の一ないし三、検証の結果を総合すると、本件建
物は、本件住宅の南側に近接し、基礎に布コンクリートを打ち、六本の鉄骨柱の下
部の基礎鉄板(べースプレート)を地下約三〇センチメートルの基礎コンクリート
に据えつけ、アンカーボルトで締着し、その周囲を養生コンクリートで補強し、右
支柱の高さ三・一〇メートルのところに巾約三〇センチメートル、長さ約三〇セン
チメートルのH型鉄鋼を積みあげ、これを各支柱とボルトで締着して梁となし、支
柱と支柱、梁と梁との間には直径約二センチメートルの丸鋼の筋かい(ブレース)
を施して堅固に組立て、その上部に鋼板製デツキプレートを張り、その上にコンク
リートを塗り、この鉄構造体の上に、六畳、四畳半の二間の子供の勉強部屋からな
る居室部分(その間取りは、別紙図面(四)のとおりである。)として、建築され
たもので、右居室は床面積一九・八〇平方メートル、木造亜鉛メツキ鋼板葺、外壁
も波型亜鉛メツキ鋼板で囲い、屋根高は地上約六・五メートルに達し、本件住宅を
含む四戸建長屋の軒高、棟高をはるかに凌駕していることが認められ、これに反す
る証拠はない。してみれば、これをもつて著しく軽微な増築であるといえないこと
は明白であるから、前述した意味で本件明渡請求が権利の濫用であるとは到底いえ
ない。
 2 増築が、入居者にとつて真にやむをえないもので、他にとるべき手段がなか
つたために行われた場合においては、宥恕されるのが相当であり、これを理由とす
る明渡請求が権利濫用とされることもありうるであろう。そして被控訴人の主張と
して原判決一六枚目表二行目から同裏三行目までに掲げられた事情は、原審におけ
る被控訴人本人尋問の結果によつてこれを認めることができるけれども、右事情が
あるからといつて、本件増築をすることが、被控訴人にとつて不可避的であつたと
いうことはできない。何となれば、右のような事情自体、必ずしも被控訴人方に特
有なものであつたと考えにくいほか、被控訴人にとつて知事の許可をえてその範囲
内で増築をすること、都営住宅から他へ転出することなどの選択もありえたはずで
あり、これらの選択をなしえなかつたことを首肯させるに足りる特段の事情につい
ては、本件全資料によつてもこれを認めがたいからである。それ故右の意味におい
ても本件明渡請求が権利の濫用であるということはできない。
 3 本件明渡請求が、他の都営住宅入居者であつて、違法な増築をなしている者
に対する控訴人の処置との間で著しい不均衡があり、その間に不当な差別があると
すれば、右明渡請求が権利の濫用としてその効力を否定される可能性があることも
必ずしも否定できない。そうして都営住宅の入居者の中には、その敷地を利用して
違法に増築している者が数多く存在していることは、弁論の全趣旨によつてこれを
認めるに難くないけれども、前述した被控訴人の増築よりも著しく堅固かつ大規摸
な増築を知事の許可なく行い、かつ控訴人の事後承認を受けた事例(単に明渡請求
を受けていないというだけで、将来その可能性がある場合は比較の対象として適当
でない。)があつたことを認めるに足りる的確な証拠はないから、本件明渡請求が
著しく均衡を失するものといえないことも明らかである。
 4 被控訴人は、本件明渡請求が公住連役員である被控訴人に対し差別的になさ
れたものであつて憲法一四条に反し、権利の濫用にあたると主張し、前出本人尋問
の結果によれば、被控訴人が公住連の役員として活動して来た事実を認めうるが、
控訴人がそのことの故に差別的に本件明渡請求に及んだとの点は、これを認めるに
足りる証拠がないから、右主張もまた失当である。
 5 そして本件明渡請求が権利の濫用であることを首肯させるその他特段の事情
については、本件全資料によつてもこれを認めえない。
 九 以上のとおりであつて、被控訴人は控訴人に対し昭和五〇年二月二五日以降
本件住宅を明渡すべき義務を負担するに至つたものである。ところで本件建物は前
認定から明らかなように台所、便所、玄関等もなく、かつ本件住宅との位置関係か
らしても、本件住宅と一体として利用してはじめてその効用を発揮するもので、独
立しては殆ど用をなさないものといえるから、本件建物は、本件住宅に付合して一
体化したものというべきである。更に検証の結果によれば、本件住宅にはその北側
に屋根を亜鉛メツキ鋼板で葺き、外壁を軽量コンクリートブロツクで囲つた床面積
五・七四平方メートルほどの物置が付設され、本件住宅と一体化し、これと付合し
ている事実を認めることができる。それ故控訴人は本件建物及び右物置部分を含む
別紙目録(四)記載の建物の全体について被控訴人に対し、所有権に基いて明渡を
求めることができるというべきである。しかるところ、控訴人の被控訴人に対する
右明渡請求を棄却した原判決は不当であるから、これを取消したうえ、右請求を認
容することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法九六条、八九条を適用して主文
のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 石川義夫 裁判官 廣木重喜 裁判官 原島克己)
      物 件 目 録
(一) 東京都練馬区a町c丁目f番g所在
    (住宅表示 同町c丁目h番i号。以下同じ)
    都営第五練馬a町b丁目住宅j号
 一 簡易耐火造スレート瓦葺平屋建共同住宅一棟四戸のうち東側から三戸目
   床面積 二八・五八平方メートル
(二) 東京都練馬区a町c丁目f番g
 畑 面積 八、五九五平方メートルのうち四三・一二平方メートル
 (別紙図面(一)の赤色部分)(編注 斜線部分)
(三) 東京都練馬区a町c丁目f番g所在
 一 鉄骨及び本造亜鉛メツキ鋼板葺高床式居宅建物
   一棟 面積 一九・八〇平方メートル(別紙図面(二)の赤色部分)(編注
 斜線部分)
(四) 東京都練馬区a町c丁目f番g所在
    (住宅表示 同町c丁目一三番六号)
    都営第五練馬a町b丁目住宅j号
 一 簡易耐火造スレート瓦葺平屋建共同住宅のうち、東側から三戸目(鉄筋及び
木造亜鉛メツキ鋼板葺高床式居宅の増築部分及び軽量コンクリートブロツク造亜鉛
メツキ鋼板葺物置部分を含む)
床面積五四・一二平方メートル(別紙図面(五)の赤線枠内の部分)(編注 斜線
部分)
図 面 (一)
<記載内容は末尾1添付>
図 面 (二)
<記載内容は末尾2添付>
図 面 (三)
<記載内容は末尾3添付>
図 面 (四)
<記載内容は末尾4添付>
図 面 (五)
<記載内容は末尾5添付><記載内容は末尾6添付>

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