弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人金森健二の上告理由について。
 原審の適法に確定した事実によれば、訴外株式会社D相互銀行は、訴外Eの所有
であつた本件土地建物につき根抵当権の設定を受け、昭和三七年五月九日その旨の
登記を経由したが、被上告人は、昭和四二年三月三一日右抵当権の実行によりこれ
を競落し、その後代金を完納してその所有権を取得し、同年四月二六日所有権移転
登記をえたところ、これより先、上告人は、昭和四一年一月一〇日右Eから本件土
地建物を期間の定めなく賃借し、同年三月二二日本件賃借権設定登記を経たという
のである。右事実関係のもとにおいては、本件建物の賃貸借は期間の定めのない賃
貸借であるから、民法六〇二条の定める短期賃貸借と解すべきものであり(最高裁
昭和三六年(オ)第二八号同三九年六月一九日第二小法廷判決民集一八巻五号七九
五頁、同四二年(オ)第四七七号第四七八号同四三年九月二七日第二小法廷判決民
集二二巻九号二〇七四頁参照)、上告人が民法三九五条の規定により右賃借権をも
つて被上告人に対抗することができるとした原審の判断は正当として首肯すること
ができる。論旨は、上告人が借家法一条の規定によつても右賃借権をもつて被上告
人に対抗できるというのであるが、右賃借権の被上告人に対する対抗力が登記に基
づくものであると借家法一条に基づくものであるとによつてその効果を異にするも
のではないのであるから、原審が諭旨のいう対抗力の存否につき判断することがな
くても、原判決(その引用する第一審判決を含む。以下同じ。)の結論に何らの影
響を及ぼすものではなく、論旨は理由がない。もつとも、原審の認定した事実によ
れば、本件土地の賃貸借は建物所有を目的とする賃貸借と推認できるところ、期間
の定めのないこの種の賃貸借の存続期間は借地法二条一項、三条の定めるところに
より三〇年であるから、本件士地の賃貸借をもつて民法六〇二条に定める短期賃貸
借とすることはできず、上告人は民法三九五条により右賃貸借をもつて被上告人に
対抗することができないものといわなければならない(最高裁昭和三五年(オ)第
三三六号同三八年二月二六日第三小法廷判決裁判集民事六四号六六三頁参照)。こ
れと見解を異にし本件土地の賃貸借が借地法二条一項の適用を受けないとする原審
の判断は、違法というべきであるが、原審は、上告人が被上告人に対し本件土地の
賃借権設定登記の抹消登記手続をする義務があるとし、本件土地に関する被上告人
の本訴請求を認容すべきものとしているのであるから、右の違法は原判決の結論に
影響を及ぼさないものというべきである。
 論旨は、被上告人の所論の解約申入が借家法一条ノ二に定める正当の事由を欠く
旨主張するが、抵当権の実行により建物を競落した者が賃貸借の解約申入をする場
合においては、短期賃貸借制度の趣旨が同条にいう正当の事由の存在を認定する上
において極めて有力な資料となることは、当裁判所の判例とするところであり(前
記最高裁昭和三九年六月一九日判決、同四三年九月二七日判決参照)、原審の確定
した事実および右賃貸借が成立した昭和四一年一月一〇日から原審の弁論終結時で
あること記録上明らかな昭和四四年九月二九日まで三年八月余の期間が経過してい
ることを考慮するときは、右解約申入につき同条所定の正当の事由が存するとした
原審の判断は正当として首肯することができる。
 原判決に所論の違法はなく、論旨は、すべて採用することができない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    飯   村   義   美
            裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    下   村   三   郎
            裁判官    松   本   正   雄
            裁判官    関   根   小   郷

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