弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告人代理人沢克己、同前川信夫の上告理由第一点について。
 原判決は、本件室の賃貸借契約には、賃貸人の書面による承諾なしに賃借人が賃
借物件の修理および模様替もしくは造作の新設等すべて現状を変更する施設等をな
すことを一切禁止する旨の特約が存在していたこと、右特約は、被上告人が家屋の
所有者として、本件ビルディングの構造が、自己の希望しないのに、その意思に関
係なく、賃借人により変更されたり、造作加工されたりすることを禁止しようとす
る趣旨で締結されたものであること明らかであるから、いやしくも賃借人のなした
工事にして、原状維持の必要的修理の範囲を超え、社会観念上賃借部分の変更と認
められる限り、右特約に触れること、上告人Aが本件室に対してなした工事は右特
約にいう現状変更に該当するものであると認定判断したのである。しかして、右の
ごとき現状不変更の特約が、民法上の賃借物保管義務を確認したにすぎないとして
も、原判決が、前記認定判断の過程において、特約の効力を重視するあまり、右民
法上の義務の内容を不当に加重ないし拡張して解釈した事跡は認められない。され
ば、所論は、原判決を正解しないでその法令違背をいうものであつて、採用できな
い。
 同第二点について。
 本件室について生じた原審認定のような腐蝕損傷状態のもとでは、上告人がした
本件工事は、本件ビルデイングの構造的重要部分に関し、単に右腐朽部分の必要的
修理の域を超え、まさに判示特約にいう現状変更に該当するものと認める旨の原審
の判断は正当として是認できる。所論の縷述するところは、畢竟、原審の認定に添
わない事実を前提とし、独自の見方に立つて、原審の右判断に所論の違法があると
いうものであり、採用できない。
 同第三点について。
 原審が認定した本件工事の内容と対照すれば、判示の「構造的重要部分」とは、
構造の重要部分という程度の意味であると解すべきである。そして、本件現状変更
禁止の特約がかかる部分の変更を禁止するものであることは、原審が確定した該特
約の趣旨に徴して疑いのないところである。所論は原判決を正解しないでその理由
そごをいうものであつて、採用できない。
 同第四点について。
 原審が確定した一切の事実関係を斟酌すれば、本件解除権の行使はいまだ信義則
に反するものといえないとした判断は是認できる。所論中原審の認定に添わない事
実を前提として右判断を攻撃する部分は失当である。
 また、原判決を通覧すれば、上告人ら主張の本件工事が家屋保全のための補強工
事であるとの点ならびに上告人Aにおいて本件工事をしなければならない客観的な
必要性があつたとの点は、いずれも、これを排斥した趣旨と解されるから、所論判
断遺脱・理由不備ないし理由そごの主張もまた失当である。所論は採用できない。
 同第五点について。
 原審が確定した事実関係のもとでは、本件工事が腐朽部分の必要的修理の域を超
えたものとした判断は是認できる。右判断をするについて、必らずや鑑定または検
証等所論のごとき釈明処分または証拠調を経なければならないものではない。審理
不尽をいう所論は、独自の見解に基づき、前示判断を攻撃するものでしかなく、採
用できない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、
主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    山   田   作 之 助
            裁判官    草   鹿   浅 之 介
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    石   田   和   外

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