弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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○ 主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は、控訴人の負担とする。
○ 事実
一 控訴人は、「原判決を取り消す。被控訴人が控訴人に対し横須間特第三三号を
もつて昭和五一年五月二八日付でした物品税決定処分(税額一〇五八万三四〇〇
円)及び横須間特第三四号をもつて同日付でした物品税決定処分(税額五九四万
円)は、いずれもこれを取り消す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とす
る。」との判決を求め、被控訴人は、主文同旨の判決を求めた。
二 当事者双方の主張及び証拠関係は、主張として、控訴人において、
「一 物品税法七条一項は同法三条二項の例外規定であつて、第二種の物品につい
て本来納税義務を負うのは製造者である。租税法律主義のもとでは、このような例
外規定は厳格に解釈されねばならない。二 物品税法七条一項は、「材料若しくは
原料のうち主要なもの」と規定しているのであつて、「主要」の語義は、元来扇の
かなめを意味し、扇のかなめが一つしかない如く、「主要なもの」とは一種に限ら
れるべきである。のみならず、「のうち主要なもの」という表現が、比較の問題を
伴うものであつて、第二種の物品の性状、機能、用途等について重要な特性を与え
る原材料のうち「主」たる一種に限定するものであることは、文理上からも極めて
明白である。三 物品税法七条一項において、資金、労務については、「全部若し
くは大部分」と規定したのに対し、原材料については、「主要なもの」と規定した
のは、その単純な量的評価をもつては足りず、第二種の物品の性状、機能、用途等
からみて、これに重要な特性を与えるという質的評価によつてかなめとなるものを
判断しなければならないとしたのである。四 要するに、物品税法七条一項の原材
料の供給によるみなし製造の場合は、第一義的には、第二種の物品の性状、機能、
用途等について、重要な特性を与える原材料を供給して製造を委託したか否かが問
題となるのであるが、このような特性を比較しただけでは、換言すれば、質的評価
による比較だけでは、そのうちいずれがかなめとなる最も重要な特性を与えるも
の、即ち「主要なもの」であるかを決し得ない場合がある。このようなときは、第
二義的に、価格または数量等の量的評価によつて、そのうちいずれがかなめとなる
重要な特性を与える主要なものであるかを決しなければならない。本件は、大型モ
ーターボートにおける舶用エンジンと艇体とであるから、まさにこの場合にあたる
のである。」と述べ、被控訴人において、「一 物品税法七条一項に規定する『第
二種の物品の製造に必要な材料若しくは原料のうち主要なもの』とは、第一義的に
は、製造委託にかかる第二種の物品の性状、機能、用途等について重要な特性を与
える原材料をいうものと解すべく、また、この意味の原材料が数種類存在する場合
においても、同規定の適用要件としての主要原材料とは、それらのうち最も重要な
もの一種類に限定されなければならないというものではない。二 なんごく丸の舶
用エンジンの価格が四四一万円であることは認める。」と述べ、証拠として、控訴
人において、甲第九ないし第一一号証を提出し、乙第七号証の成立を認め、被控訴
人において、乙第七号証を提出し、甲第九ないし第一一号証の成立をいずれも認め
ると述べたほかは、原判決の事実摘示と同一であるから、これをここに引用する。
○ 理由
一 当裁判所も、控訴人の請求は容認し得ないと判断するものであるが、その理由
は、次に附加、訂正、削除するはかは、原判決の理由説示と同一(ただし、原判決
二二枚目裏八行目中「委託シ・・・・・・(タ)」を「委託・・・・・・(ス
ル)」に、同一〇行目中「委託者」を「委託者・・・・・・」に、同二三枚目表四
行目「委託し・・・・・・(た)」を「委託・・・・・・(する)」に、「をした
者」を「をした者・・・・・・」に、同五行目中「委託を受けた者」を「委
託・・・・・・を受けた者・・・・・・」に、同二四枚目裏四行目及び七行目中
「超える」を「占める」に改める。)であるから、これをここに引用する。
1 原判決二四枚目裏八行目中「供給される原材料」から同二五枚目表九行目まで
を次のとおり訂正する。
委託者が委任にあたつて供給する原材料については、その価格や数量をみなし製造
者の指標とすることは、材質の良否や価格の変動という日常的な不確定要因と連動
しやすく、徴税事務の画一性や敏速性の要請に適さないうらみがあるのに対し、原
材料が物品の性状、機能、用途等について重要な特性を付与するものであるとき
は、かような原材料の質的機能に鑑み、これを供給して製造を委託した者自らが当
該物品を製造したと同視しても不合理ではなく、かつそのような指標によることの
方が、前記徴税事務の要請によりよくこたえるものであるとしたからに外ならない
と解せられる。
2 原判決二五枚目裏末行中「なお、」から同二六枚目裏一〇行目までを次のとお
り訂正する。
ところで、控訴人は、物品税法七条一項は同法三条二項の例外規定であり、租税法
律主義のもとでは、このような例外規定は厳格に解釈されるべき旨及び同法七条一
項に規定する「主要なもの」とは、重要な特性を与える原材料が数種あるときは、
そのうちいずれが「主」であるかを比較衡量したうえ、かなめとなる一種に限られ
るべきである旨主張する。
しかしながら、まず、物品税法七条一項が、同項に規定する特殊な場合には同項に
いう委託者等を製造者とみなすことによりこれに納税義務を課することとし、本来
の製造者たる同項にいう受託者等を納税義務者から除外する意味において同法三条
二項に対し特例を定めた規定であること及び同法が憲法に定めた租税法律主義のも
とに制定された法律であることを考慮しても、右規定の解釈にあたり通常の解釈理
論と異なる厳格解釈が特段に要請されるものではなく、当該法条の用語について
は、その趣旨や目的との相関のなかで通常の用法に即して解釈すれば足りるものと
いわなければならない。
そうして、物品税法七条一項が規定する「主要」とか「主要なもの」とかの文言
は、法令以外で用いられる場合も(たとえば、「主要国会議」)、法令で用いられ
る場合も(たとえば、証券取引法一八九条一項にいう「主要株主」、食糧管理法二
条にいう「主要食糧」、その他道路法七条一項、公共用地の取得に関する特別措置
法二条等参照)、控訴人主張のように一個のものに限定して用いられるものではな
く、「主要なもの」が複数あることを含意するものということができ、このこと
は、物品税法七条一項に、「・・・・・・第二種の物品の製造に必要な材料若しく
は原料のうち主要なもの」と規定してあるからといつて変わるものではない。蓋
し、右の「のうち」として比較衡量の対象とされるのは、右の意味での「主要」で
ない原材料であることは明らかであるからである。また、同条項において、資金や
労務の供給については、「全部又は大部分」として、この種の供給については複数
あつても、相互の比較衡量によつて製造者とみなされる者が単一となるよう規定さ
れていることとの権衡を以て控訴人主張の論拠とすることも相当ではない。蓋し、
先にも触れたように、原材料の場合は、資金や労務の場合とは異り、量的指標では
なく質的指標を以てすることを是としたのであるから、その単純な権衡をいうのは
早計といわなければならない。ただ、委託者の供給にかかる原材料が物品に重要な
特性を与えるものであるかどうかの認定が質的比較衡量のみでは困難な場合におい
ては、その原材料の価格又は数量が当該物品の原材料の総価格又は総数量の少なく
とも過半数を占めるか否かとの量的比較によつて、その原材料が「主要なもの」に
該当するか否かを決することも考えられようが、本件はこのような場合ではない。
3 原判決二九枚目表八行目中「そうすると、」の下に「前説示のところから明ら
かなように、」を加え、同裏一行目から同四行目中「ところであるから、」までを
削る。
二 よつて、控訴人の本訴請求をいずれも理由がないとして棄却した原判決は相当
であるから本件控訴を棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七
条、民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 林 信一 高野耕一 石井健吾)

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