弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 上告弁護人保坂政治郎、同海野普吉、同中島武雄の上告趣意について
 入場税法(昭和二三年七月七日法律一一〇号により廃止されたが廃止前になした
行為に関する罰則の適用についてはなお従前の例によるものである)一六条一項に
よると「詐欺其ノ他不正ノ行為ニ依リ入場税ヲ逋脱シ……タル者ハ其ノ逋脱シ……
タル税金ノ五倍ニ相当スル罰金ニ処ス」と規定し、その六条ノ三において「入場税
ハ毎月分ヲ翌月末日迄ニ納付スベシ」と規定しているのである。而して原判示第一
の事実は「昭和二二年一〇月一四日から同月二六日迄の間甲府税務署の検察済証印
を受けない入場券を発売しその売上高を正規の帳簿に記入せず且つ入場税課税標準
申告書に不正の記載をなして甲府税務署長に提出して入場税金二万五千二百円を逋
脱し」たというのであつて右判示は不正の記載をした申告書を税務署長に提出した
事実をもつて逋脱罪が成立したという趣旨ではなく、右事実は前示法律一条一項に
定める「不正ノ行為」の存した事実を判示したものであつて、右不正の行為により
入場税金二万五千二百円を前示法律の定める期間内に納付せずこれを逋脱した逋脱
罪既遂の事実を確定判示した趣旨であることは原判文明白である。原判示第二乃至
第四の事実も亦同様である。論旨は何時如何なる内容の申告書を甲府税務署長に提
出したか、それか如何に虚偽であつたか、納税期は何時であつたか、その時期に正
当な額の税を納付しなかつたかどうか、正当な税額と実際に納付した額との差額如
何等を具体的に判示すべきである、しかるに原判決は此等の点についての判示がな
いにもかかわらず逋脱罪の既遂として処断しているのは理由不備の違法があるとい
うのである。しかし原判決は逋脱罪の判示として前記の如く申告書の内容に不正の
記載のある事実を示しておりその不正の記載というのは原判決が脱税したと認定し
た税金の額だけ申告書に記載されていなかつた趣旨であることは自ら明らかであり、
これにより逋脱罪の構成要件中の「不正の行為」の存した事実は具体的に判示され
ているものといえるのである。そしてその申告書の提出された日時は必ずしもこれ
を判示する必要はない。また本件では税務署長が入場税法六条ノ二但書により申告
を不相当と認め課税標準額を決定するというが如き税法上の特別の行政的措置を執
つていないので即ち申告を相当としていたことが原判決挙示の証拠から認められる
ので入場税の納期は同条ノ三の規定により翌月末日迄であることは明らかであり原
判示は「入場税金……円を逋脱し」と判示してあるから納期に納むべき税を納付し
なかつた趣旨であることも明らかである。また本件の如く証拠により脱税額を算定
できる場合には逋脱罪の判示としてはその脱税額を判示するをもつて足り正当な税
額と実際に納付した額との差額を算定する必要はない。
 以上の理由により本件においては入場税逋脱罪の事実摘示として稍々簡単に過ぎ
る嫌はあるが判示事実を入場税法の諸規定及び原判決挙示の証拠に照らし逋脱罪既
遂の事実が十分に認められるから原判決には所論の如き理由不備の違法ありという
ことはできない。よつて刑訴施行法二条旧刑訴四四六条により主文のとおり判決す
る。
 この判決は裁判官全員一致の意見である。
 検察官 橋本乾三関与
  昭和二七年一〇月三日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎

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