弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴はいずれもこれを棄却する。
     被告人両名に対し当審の未決勾留日数中六拾日を各本刑に算入する。
         理    由
 職権をもつて被告人氏名不詳者の控訴の適否につき判断する。
 およそ控訴をするには申立書を第一審裁判所に差し出さなければならないことは
刑事訴訟法第三百七十四条の<要旨第一>明定するところであり、被告人がなす控訴
申立書には被告人がこれに署名押印しなければならないことは刑事訴訟
規則第六十条によつて明瞭であつてここに署名とは氏名を自署するの意であること
はいうまでもない。と<要旨第二>ころが、本件控訴申立書には「氏名不詳甲」なる
記載はあるが、「氏名不詳甲」というのが被告人の氏名でないことは明
かであるから、これを被告人の署名と認めるわけにはゆかない。すなわち本件控訴
は法令上の方式に違反しているものにほかならないから、刑事訴訟法第三百九十五
条によりこれを棄却すべきものである。
 いつたい、公訴権の対象となつた受身の被告人が、第一審で自分の権利を擁護す
るために裁判官に対しその氏名を告げないことが、いわゆる黙秘権行使の範囲内に
入るかどうか、その点は論議の余地がないでもないであろうが、その被告人が有罪
の判決を受け控訴を申立てた場合は、自ら進んで裁判を求めるのであるから、自分
が何の何某であるかを裁判官の前で堂々明かにすべきは、裁判所に対する手続とし
て当然の筋道といわなければならない。さればこそ、われわれは前示法条からして
控訴申立書には被告人が署名押印しなければならないものと解釈した次第なのであ
る。しかして右の手続を践まない被告人に対し裁判を拒否しても、憲法にいわゆる
何人も裁判所において裁判を受ける権利を奪われないという条章には違反したこと
にはならない。何となれば被告人たる者が右法条に従つてさえいれば、控訴裁判所
は被告人の不服申立の内容を十分に聴き、事後審の裁判をするであろうからであ
る。
 以上の次第で当裁判所は前示法条を厳格に解し、当控訴審においても終始自分の
氏名を秘匿する被告人の控訴申立を手続上の瑕瑾の故を以て排斥した次第である
が、被告人は如何なる社会に在つても法律の定めた手続には従わなければならない
ものであることを深く省みるべきであろう。
 被告人Aの弁護人杉之原舜一の控訴の趣意は別紙のとおりで、これに対する当裁
判所の判断は左のとおりである。
 本件記録を精査しても、B鉄道管理局C工場が軍需工場化しつつあり、それがひ
いてわが民族の独立を危くしていること、同工揚において職制の圧迫、労働強化、
低賃銀によりその従業員の自由が奪われ奴隷化しつつあること、被告人等D党員が
同工揚に入場することを一般的に拒否されているのは同工揚の軍需工場化、植民地
化、従業員の奴隷化をより強化し促進するためであることは、いずれもこれを認め
ることができないかち、かかる事実を前提とし被告人の入場を拒否したことがボツ
タム宣言の厳正実施を意図するもので正当の理由に基くとの主張は到底採用するわ
けにはゆかない。されば本件控訴は刑事訴訟法第三百九十六条により棄却すべきも
のである
 よつて当審における未決勾留日数の本刑算入につき刑法第二十一条を適用して主
文のとおり判決する。
 (裁判長高等裁判所長官 下飯坂潤夫 判事 西田賢次郎 判事 臼居直道)

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