弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
       本件上告を棄却する。
       上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人都築弘ほかの上告受理申立て理由について
 1 本件は,被上告人が,第1審判決別紙図面(一)の(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)(ヘ)
(ト)(イ)の各点を順次直線で結んだ範囲内及び同別紙図面(二)の(イ)(ロ)(ハ)(ニ)
(ホ)(ヘ)(ト)(チ)(リ)(ヌ)(ル)(ヲ)(ワ)(イ)の各点を順次直線で結んだ範囲内の各
埋立地(以下,併せて「本件各埋立地」という。)の所有権を時効取得した亡父か
らこれを相続により取得したと主張して,上告人に対し,被上告人が本件各埋立地
の所有権を有することの確認を求める事案である。
 本件各埋立地は,公有水面埋立法(昭和48年法律第84号による改正前のもの。
以下「旧埋立法」という。)2条に基づく大分県知事の埋立免許を受けて海面の埋
立工事が行われ,これが完成したが,旧埋立法22条に基づく竣功認可がされてい
ない埋立地(以下「竣功未認可埋立地」という。)である。本件の争点は,竣功未
認可埋立地である本件各埋立地が取得時効の対象となるか否かである。
 2(1) 海は,特定人による独占的排他的支配の許されないものであり,現行法
上,海水に覆われたままの状態でその一定範囲を区画してこれを私人の所有に帰属
させるという制度は採用されていないから,海水に覆われたままの状態においては
,私法上所有権の客体となる土地に当たらない(最高裁昭和55年(行ツ)第14
7号同61年12月16日第三小法廷判決・民集40巻7号1236頁参照)。ま
た,海面を埋め立てるために土砂が投入されて埋立地が造成されても,原則として
,埋立権者が竣功認可を受けて当該埋立地の所有権を取得するまでは,その土砂は
,海面下の地盤に付合するものではなく,公有水面埋立法35条1項に定める原状
回復義務の対象となり得るものである(最高裁昭和54年(オ)第736号同57
年6月17日第一小法廷判決・民集36巻5号824頁参照)。これらのことから
すれば,海面の埋立工事が完成して陸地が形成されても,同項に定める原状回復義
務の対象となり得る限りは,海面下の地盤の上に独立した動産たる土砂が置かれて
いるにすぎないから,この時点ではいまだ当該埋立地は私法上所有権の客体となる
土地に当たらないというべきである。
 (2) 公有水面埋立法35条1項に定める上記原状回復義務は,海の公共性を回
復するために埋立てをした者に課せられた義務である。そうすると,【要旨】長年
にわたり当該埋立地が事実上公の目的に使用されることもなく放置され,公共用財
産としての形態,機能を完全に喪失し,その上に他人の平穏かつ公然の占有が継続
したが,そのため実際上公の目的が害されるようなこともなく,これを公共用財産
として維持すべき理由がなくなった場合には,もはや同項に定める原状回復義務の
対象とならないと解すべきである。したがって,竣功未認可埋立地であっても,上
記の場合には,当該埋立地は,もはや公有水面に復元されることなく私法上所有権
の客体となる土地として存続することが確定し,同時に,黙示的に公用が廃止され
たものとして,取得時効の対象となるというべきである(最高裁昭和51年(オ)
第46号,同年12月24日第二小法廷判決・民集30巻11号1104頁参照)。
 3 これを本件についてみるに,原審が適法に確定するところによれば,(1) 
Dは,昭和25年9月30日,本件各埋立地が存在する場所を含む海面6000坪
について,大分県知事から旧埋立法2条に基づく埋立免許を受け,遅くとも昭和3
2年9月ころまでには埋立工事を完成し,本件各埋立地は陸地となったが,竣功認
可がされることなく同免許は失効した,(2) 被上告人の祖父であるEは,同月こ
ろ,Dから本件各埋立地を代金22万円で買い受けてその引渡しを受け,販売用の
松を植樹するなどして本件各埋立地の占有を開始した,(3) Eは,昭和45年1
2月27日に死亡し,被上告人の父であるFが相続により本件各埋立地の占有を取
得して,平成7年11月21日に死亡するまでその占有を継続した,(4) 本件各
埋立地の西側に隣接する一帯の土地も昭和30年ころに海面が埋め立てられたもの
であったが,これらの土地については,昭和48年から昭和49年にかけて,旧埋
立法36条2項(昭和48年法律第84号により削除された。)に基づく埋立ての
追認申請がされ,大分県知事によりこれが認可されて,その後土地の表示に関する
登記がされた,(5) 本件各埋立地についてこれまで原状回復が求められたとの事
情はうかがえないというのである。これらの事実によれば,本件各埋立地は,Fが
占有を開始した昭和45年12月27日の時点までには,公共用財産としての形態
,機能を完全に喪失し,Eによる平穏かつ公然の占有が継続したが,そのために実
際上公の目的が害されることもなく,もはやこれを公共用財産として維持すべき理
由がなくなっていたということができる。そうすると,Fが占有を開始した上記の
時点においては,本件各埋立地は,私法上所有権の客体となる土地として存続する
ことが確定し,同時に,黙示的に公用が廃止されたものとして,取得時効の対象と
なるものと解すべきである。これと同旨の見解に立って本件各埋立地に対するFの
取得時効の成立を肯定した原審の判断は,正当として是認することができる。原判
決に所論の違法はなく,論旨は採用することができない。
 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 津野 修 裁判官 滝井繁男 裁判官 今井 功 裁判官 中川
了滋 裁判官 古田佑紀)

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