弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人荒井尚の上告理由第一点について。
 (1) 所論の点について原判決の認定した事実(請求原因三の(一)(1)に
ついての事実)は、要するに、本件選挙の第一開票区第五、六投票所の各投票箱は
判示の日ふたが閉ぢられた後両津市a所在第一開票所に送致するため右各投票所か
ら持ち出されたものであり、いずれも送致の途中同市役所加茂分室内に運び込まれ
たけれども、それは送致の便宜のための外、格別の意図に出でたものではなかつた
というに帰するから、右各投票箱の持出は公職選挙法施行令四四条に違反するもの
でない。論旨は採用できない。
 同第二点について。
 (2) 原判決が認定した事実は、本件第一開票区第五ないし第九各投票所の投
票管理者はいずれも各自の投票区の投票箱、投票録、選挙人名簿を投票立会人を伴
わず自らの手によらないで投票事務従事者等により前記第一開票所に送致したとい
うのである(上告人の対立候補者の部下の市吏員をして送致せしめたとの主張事実
は原判決の認定しないところである。)から、右各送致は公職選挙法五五条に違反
すること原判決説示のとおりである。(イ)しかし、また、原判決の認定事実(請
求原因三の(一)(1)についての事実)によれば、右第五、第六投票所の各投票
箱は前記のとおり途中同市役所加茂分室に運び込まれたとはいえ、いずれも被告委
員会書記I、分室職員、投票立会人等十余名在室中の事務室机上に置かれ何人もこ
れを開函したものなく、約一時間半の後事務従事者等によつてそれぞれ背負われ第
五投票所投票管理者代理J外四、五名附添の下に右開票所に運ばれ、その間各投票
箱の開函等不正行為の介在し得る余地はなかつたというにある。原判決が、公職選
挙法五五条の規定の趣旨は、投票箱が投票管理者より開票管理者に送致される途中
において、もし投票管理者及び投票立会人の管理を離れることがあつた場合に投票
箱が不正に開函せられ、投票の増減等がなされる虞のある事情の生ずることを防止
するためであつて、もし右のような虞のある事情が起らず異常がなかつた場合にお
いてもなお投票管理者自ら投票立会人とともに投票箱を送致しなかつたというだけ
で必ずその選挙を無効とする趣旨ではないと説示した法律判断は正当であり、そし
て、原判決がこの理由により、前記認定にかかる、不正行為の介在し得る余地なく、
各投票箱がなんら異状のなかつた事実に照らし右違法の事実があつたからとてこれ
をもつて当然本件選挙の結果に異動を及ぼす虞があつたもので選挙を無効ならしめ
るということができないとした判断は相当である。(ロ)次に原判決が、第七、第
八、第九各投票区の各投票箱が投票管理者自らの手によらず開票管理者に送致され
開票予定時刻に開票所に到着したことは認められるが、途中開函等異常のことが行
われたと疑うに足る事実のあつたことは認められないと(請求原因三の(2)につ
いて)認定した上、右違法の一事をもつて本件選挙の結果に異動を及ぼす虞がある
ものということができないとした判断も正当である。(ハ)なお、原判決が、第七、
第八、第九投票区の各投票録、選挙人名簿は前記分室での投票の集計の必要上そこ
に運ばれ、第五、第六投票区の投票録、選挙人名簿とともに同分室から投票管理者
でない前記Iによつて開票前開票所に持参送致せられ判示のとおり置かれてあつた
ことを(請求原因三の(一)の(2)、(二)について)認めた上、このことの違
法はなんら選挙の結果に異動を及ぼす虞がないものと判断したことも同様に正当と
いうを妨げない。
 (3) 更に、原判決が、所論の各投票箱の鍵が原判示のとおりの状態で保管せ
られ前記開票所の開票管理者に送致せられた事実を(請求原因三の(一)(3)に
ついて)認定した上、かかる事実である以上特別の事情のない限り投票箱の不法開
函等を疑うべき何物もなく、従つて、右は公職選挙法施行令四三条に違反するもの
ではあるけれども、この違法は右選挙の結果に異動を及ぼす虞があるものというこ
とはできないとした判断も相当というを妨げない。論旨はいずれも採用できない。
 同第三点について。
 所論は第二点(2)(イ)及び(ハ)においてそれぞれ説示した事実(論旨二は
原判示に副わない事実の主張を含む)についての原判決の説示が当裁判所の判例(
昭和二七年(オ)第一三六号同年一二月五日第二小法廷判決)に違反するというけ
れども、右判例は、公職選挙の開票所、選挙会の構成員でありかつ候補者がその権
利に基いて届け出た立会人を立ち会わせることを拒否してその事務を執行した場合
に関するものであるから、事案を異にし本件に適切でなく、論旨は採用できない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    島           保
            裁判官    小   林   俊   三

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