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平成27年3月19日判決言渡
平成26年(行コ)第39号保安林指定解除拒否処分取消等,市道供用開始決定
等無効確認,公共用物使用収益拒否処分取消等,損害賠償請求控訴事件
主文
1本件控訴をいずれも棄却する。
2控訴費用は控訴人らの負担とする。
事実及び理由
第1控訴の趣旨
1原判決を取り消す。
2(甲事件)
(1)農林水産大臣が平成22年4月23日付けで控訴人会社に対してした保
安林の指定を解除しない旨の処分(農林水産省指令22林整治第82号)を
取り消す。
(2)農林水産大臣は,控訴人会社の平成20年12月19日付け申請に係る保
安林の指定の解除をせよ。
3(乙事件)
(1)主位的請求
ア日進市長が平成7年4月27日付け日進市告示第53号をもってした市
道αβ線の区域決定のうち,原判決別紙2物件目録記載の各土地に係る部
分が無効であることを確認する。
イ日進市長が平成7年4月27日付け日進市告示第54号をもってした市
道αβ線の供用開始決定のうち,同各土地に係る部分が無効であることを
確認する。
(2)予備的請求
控訴人らと被控訴人市との間で,控訴人らが同各土地について道路法4条
の制限を受けない完全な所有権を有することを確認する。
4(丙事件)
(1)日進市長が平成23年11月8日付けで控訴人会社に対してした公共用
物使用収益許可申請を不許可とする処分(23日土第604号)を取り消す。
(2)日進市長は,控訴人会社の平成23年10月17日付け公共用物使用収
益許可申請に係る許可をせよ。
5(丁事件)
(1)被控訴人市は,控訴人会社に対し,500万円及びこれに対する平成25
年5月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2)被控訴人Aは,控訴人会社に対し,500万円及びこれに対する平成25
年5月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2事案の概要
1愛知県採掘権登録第823号の鉱区内においてけい石及び耐火粘土の採取事
業(以下「本件事業」という。)を計画する控訴人会社は,平成20年12月
19日付けで,農林水産大臣に対し,原判決別紙3物件目録Ⅱ記載1ないし4
の各土地の森林についてされている保安林の指定(以下「本件保安林指定」と
いう。)の解除の申請(以下「本件保安林解除申請」という。)をしたが,平成
22年4月23日付けで,同大臣から,本件保安林指定の解除をしない旨の処
分(以下「本件保安林不解除処分」という。)を受けた。また,控訴人会社は,
本件事業の事業区域内に被控訴人市が公共用物として管理している用悪水路
(以下「本件水路」という。)があることから,平成23年10月17日付け
で,日進市長に対し,本件水路の付替え及び復元工事を目的とする公共用物使
用収益許可申請(以下「本件公共用物許可申請」という。)をしたが,同年1
1月8日付けで,同市長から,本件公共用物許可申請について不許可とする処
分(以下「本件公共用物不許可処分」という。)を受けた。
本件のうち,甲事件は,控訴人会社が,本件保安林不解除処分の取消し及び
農林水産大臣に対する本件保安林指定の解除の義務付けを求める事案である。
乙事件は,控訴人らが,被控訴人市との間で,主位的に,日進市長が平成7年
4月27日付けでした市道αβ線(以下「本件市道」という。)の路線認定(以
下「本件路線認定」という。),区域決定(以下「本件区域決定」という。)及
び供用開始決定(以下「本件供用開始決定」という。)のうち,いずれも控訴
人らが所有する原判決別紙2物件目録記載の各土地(以下「本件各土地」とい
う。)に係る部分が無効であることの確認を求め,予備的に,控訴人らが本件
各土地について道路法4条の制限を受けない完全な所有権を有することの確
認を求める事案である。丙事件は,控訴人会社が,本件公共用物不許可処分の
取消し及び日進市長に対する本件公共用物許可申請に係る許可の義務付けを
求める事案である。丁事件は,控訴人会社が,(1)被控訴人市が,本件保安
林解除申請について,本件市道及び本件水路に関する問題点を捏造して何ら根
拠のない意見を述べ,本件保安林解除申請及び本件事業を違法に妨害したため,
本件保安林不解除処分がされ,本件事業の開始が遅れた,(2)被控訴人Aは,
被控訴人市の市長として上記違法な妨害行為を主導したとして,被控訴人市に
対しては国家賠償法1条1項に基づき,被控訴人Aに対しては民法709条に
基づき,各自,本件事業の遅延による損害として2598万1702円(借入
金の発生金利及び営業利益の運用益)のうち2400万円及びこれに対する丁
事件訴状送達の日の翌日(被控訴人市につき平成25年5月14日,被控訴人
Aにつき同月12日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損
害金の支払を求める事案である。
2原審は,甲事件について,農林水産大臣が本件保安林不解除処分に用いた審
査基準の定めは森林法の趣旨目的に反する明らかに不合理な内容ではなく,こ
れに従って本件保安林不解除処分をしたことについて,社会通念に照らし著し
く妥当性を欠くことが明らかではなく,裁量権の逸脱濫用ではないとして,森
林法26条2項の「公益上の理由により必要が生じたとき」の要件を満たさな
いと判断し,本件保安林不解除処分は理由があり,その他,他事考慮や裁量権
濫用の違法もなく,保安林解除申請は行政手続法8条の申請に当たらないなど
として,本件保安林不解除処分の取消請求を棄却し,本件保安林指定の解除の
義務付け請求に係る訴えは不適法であるとして却下した。乙事件について,本
件路線認定の処分性を否定し,その無効確認の訴えは不適法であるとして却下
し,本件区域決定に違法はなく,本件供用開始決定について,控訴人市が本件
各土地を道路として使用する権原を取得しており,道路の形状は維持されてい
て黙示の公用廃止がされたとはいえず,控訴人会社は道路法4条の制限のある
所有権を取得し,控訴人Bも控訴人会社から上記制限のある所有権を取得して
いると判断して,主位的請求である本件区域決定及び本件供用開始決定の無効
確認請求及び予備的請求である本件各土地について道路法4条の制限を受け
ない完全な所有権を有することの確認請求をいずれも棄却した。丙事件につい
て,本件公共用物許可申請は本件水路の取壊しを内容とするもので,本件水路
を使用収益することの許可を求めるものではなく,本件保安林不解除処分があ
る以上,本件事業は遂行不能であるから,そのような事業のために本件水路を
使用することが「必要やむを得ない」とはいえないと判断して本件公共用物不
許可処分の取消請求を棄却し,本件公共用物許可申請に係る許可の義務付け請
求に係る訴えは不適法であるとして却下した。丁事件について,被控訴人Aが
市長として意見を述べたことは,およそ根拠を見出せないものでも,専ら本件
事業を妨害することを目的としたものでもないから,違法ではないとして,控
訴人会社の被控訴人市及び被控訴人Aに対する損害賠償請求をいずれも棄却
した。そこで,控訴人らは,丁事件について不服申立部分を2598万170
2円のうちそれぞれ500万円に限定し,乙事件のうち本件路線認定の無効確
認を求める部分を除いて控訴した。
3関係法令等の定め,前提事実及び争点は,原判決の「事実及び理由」中の「第
2事案の概要」の2ないし4に記載するとおりであり,当事者の主張は,4
のとおり控訴人らの当審における主張を加えるほかは,同「第3当事者の主
張」に記載するとおりであるから,これらを引用する。以下,略称は,原判決
の略称による。
4控訴人らの当審における主張
(1)甲事件について
ア本件保安林不解除処分の要件充足性について
(ア)都道府県知事は,事業者との事前面談においては,林野庁との調整
結果を踏まえて事業者に対し指導を的確に行うものとされている。した
がって,愛知県は,林野庁と密接に調整して控訴人会社の指導に当たっ
たものであり,控訴人会社は,この指導に応じて,残置森林以外の項目
については全て補正していたのである。このようにして,愛知県が林野
庁と調整し,合意して進達した本件保安林解除申請について,林野庁が
何らの指導をすることなく,実質わずか6日間の審査で本件保安林不解
除処分とすることは許されない。
(イ)本件理由①ないし⑥について
控訴人会社は,いずれも本件保安林解除申請に対する審査の過程で,
林野庁と調整して指導に当たる愛知県からは本件理由①ないし⑥につい
ては何ら指摘されていなかった。とりわけ本件理由①,②については,
被控訴人市は,愛知県からの照会に対し,単に管理上支障があると回答
するだけでその理由を説明していない。本件区域決定及び本件供用開始
決定は,無効であり,控訴人会社が平成14年11月19日に本件各土
地を購入した当時,本件市道部分については,誰も利用していない雑木
林で,道路の形態を呈しておらず,被控訴人市も管理していなかったも
のであり,この時点までに黙示の公用廃止がされていたというべきであ
る。したがって,控訴人会社は,本件各土地について道路法4条の制限
を受けない完全な所有権を取得していたのであるから,これを被控訴人
市が管理するということはなく,管理上の支障はなかった。また,愛知
県及び林野庁は,控訴人会社に対し,本件水路について被控訴人市に許
認可を求めるよう指導することを怠っていたのであり,進達に当たって
水路等は問題とされていなかった。そうでありながら,控訴人会社が本
件水路を使用する権利を取得することが確実でないことを理由として本
件保安林不解除処分をすることは,信義則に反し許されない。したがっ
て,本件理由①ないし⑥は,あえて本件保安林不解除処分をするよう不
解除理由を作出するために後付けされたものであり,いずれもその理由
となるものではない。
(ウ)本件理由⑦について
①林野庁の内部規準では,残置森林又は造成森林で林帯幅がおおむね
50m以上とされているのであり,愛知県は,平成21年8月19日,
控訴人会社に対し,幅員がおおむね50m以上の残置森林又は造成森
林の配置を計画するよう指導していたのである。そして,取扱要領別
表の「おおむね50メートル以上」は,2割の許容範囲を示すもので,
実際は40メートル以上を意味するから,本件事業の計画は,造成森
林と合わせて林帯幅40mという林野庁の内部基準を満たしていると
いえる。そして,地下70mの深さで斜めに掘削していく本件事業の
性質上,残置森林の林帯幅を50m確保するとなると窯業界が求める
鉱物採掘量を確保できなくなるのであり,周辺部に林帯幅40m以上
の残置森林を配置できないやむを得ない理由があるというべきである。
また,本件事業の性質上,造成森林は,それぞれの箇所で植林が可能
になったら順次可及的速やかに整備するのであって,残置森林と合わ
せて幅40m以上となる森林の造成は,事業開始時点からではなく,
植栽が可能な埋戻作業完了時点から可及的速やかに行えば足り,控訴
人会社の工事工程表による造成森林でも上記内部基準を満たしている
というべきである。本件の保安林は,土砂流出防止の目的とするもの
であるが,本件事業の場合,洪水調整池が設置されているため,山を
掘削しても土砂流出防止という保安林の機能は果たされていて,一時
的にも機能が失われることはないのである。
②本件事業区域の周辺には,総合運動公園,大学,高校,住宅地等が
あるが,いずれも尾根を挟んで反対側に位置する。また,藤島鉱山の
事業用地の周辺には,既に多数の鉱山や砂利採取場,愛知万博跡地が
ある。そうすると,本件の掘削事業自体は,地下に掘り進んでいくと
いう本件事業について,粉じん,騒音,景観等の悪影響を上記総合運
動公園等に及ぼすことは考えられないから,本件事業では林帯幅を確
保する必要はなく,本件理由⑦は,保安林不解除処分の理由とはなら
ない。上記内部基準は,柔軟に解釈すべきであり,本件理由⑦をもっ
て本件保安林不解除処分をすることは,必要の限度を超えた控訴人会
社の財産権の制限として許されない。愛知県が林野庁からの指示に基
づき調査した結果,15件の事例のうち残置森林の幅50m以上とい
う条件を満たしていたのは1件のみであるから,本件理由⑦による本
件保安林不解除処分には,平等原則に反し裁量権を逸脱する違法があ
る。愛知県及び林野庁が残置森林のみで50mの林帯幅を確保するよ
う指導したことは,上記内部基準に反するものである。
したがって,本件理由⑦も本件保安林不解除処分の理由となるもの
ではない。
イ被控訴人国の補正指導義務違反の違法について
本件理由①ないし⑥は,いずれも本件保安林解除申請に対する審査の過
程で愛知県からは指摘されていなかったものである。したがって,本件理
由①ないし⑥が本件保安林不解除処分の理由となるのであれば,愛知県な
いし林野庁は,控訴人会社に対し,本件理由①については,水路の管理上
支障があると指摘して水路の計画変更を指導すべきであり,同②について
は,本件市道の廃止に関して被控訴人市と交渉ないし協議するよう指導す
べきであり,同③ないし⑥についても補正を指導すべきであった。また,
本件理由⑦についても,林帯幅の確保や造成森林の植栽開始時期が不十分
であれば,直ちに本件保安林不解除処分をするのではなく,控訴人会社に
対し,補正を求めるべきであった。そうであれば,控訴人会社は,計画を
変更して林野庁の規準に沿った設計をしたはずである。そうすると,本件
保安林不解除処分は,上記補正指導義務に違反してされたもので違法であ
るから,取り消されるべきである。
ウ本件保安林指定の解除の義務付けについて
控訴人会社が愛知県知事による進達までに本件理由①ないし⑦を補正
しなかったことについて,同社の責めに帰すべき事由はなく,被控訴人国
にはイの補正義務に違反した責めに帰すべき事由がある。したがって,当
事者の公平の観点から,本件保安林不解除処分の取消しにとどまらず,農
林水産大臣に本件保安林指定の解除を義務付けるべきである。
(2)乙事件について
ア本件区域決定及び本件供用開始決定の違法について
(ア)道路法18条1項により区域決定がされると,道路予定区域の土地
所有者等の関係する権利者は,同法91条等による私権の制限を受け,
その後供用開始決定により道路法上の私権の制限を受けることになる。
道路法が,路線認定,区域決定及び供用開始決定をそれぞれ区別して規
定し,各段階において公示と縦覧を要求しているのは,区域決定の時点
において,関係する権利者に決定を周知徹底させ,供用開始決定前にこ
れを争う機会を与えたものと解すべきである。そうすると,路線認定,
区域決定及び供用開始決定を同日に行うことは,道路法の制度趣旨に反
するものであり,これを禁止する規定がないからといって,本件路線認
定及び本件供用開始決定と同日に本件区域決定を行ったことが違法でな
いということはできない。したがって,本件路線認定及び本件供用開始
決定と同日に行った本件区域決定は,道路法に違反して無効である。
(イ)Cは,本件市道部分を認定道路と認識してはいなかったのであり,
被控訴人市も本件市道部分を道路として通行の用に供する必要はないと
考えていたとみられる。それ故,Cが異議を述べていないからといって,
被控訴人市が本件市道部分を道路として使用することについて黙示に承
諾していたとはいえない。したがって,本件供用開始決定は,被控訴人
市が本件市道部分を道路として使用する権原を取得することなくして行
ったものとして違法であるから,無効である。
(ウ)①本件市道は,少なくともγδ線の供用開始がされた平成7年以降
は,被控訴人市で管理されず,道路の形状を呈さなくなった。被控訴人
市は,平成7年頃には,廃棄物の不法投棄を防ぐため,本件道路の幅員
が狭くなるように本件市道部分の両側を壁で塞ぎ,平成12年頃には,
本件市道部分の入口を塞ぐように看板を設置した。そして,その一部が
朽ちてなくなった上記壁の代わりにε財産区組合がトラ柵を設置しロー
プを張ったところ,これについて異議を出すこともなく,その後も被控
訴人市の水路整備工事としてD株式会社(以下「D」という。)をして同
様のトラ柵とロープを設置させて,本件市道を公共の用に用いていなか
った。控訴人らにおいて本件市道部分にロープや立入禁止等を表示した
看板を設置したことはない。本件市道の約78.4%は幅員が4m未満し
かなく,建築基準法上は道路と認められず,自動車同士のすれ違いも不
可能である。平成元年10月30日に保安林解除申請の際に撮影された
写真(乙事件乙60の1)は,撮影位置(同乙60の2)と合致してお
らず,本件市道を撮影したものとは認められない。
②道路敷地が他人の所有地である場合に,一般交通の用に供する必要
がないのに,これを道路として認定することは,私有財産を公共のた
めでもないのに無償で制限するものとして許されない。道路法10条
は,「廃止することができる」という文言にかかわらず,市町村長に,
私有地上の道路について,一般交通の用に供する必要がなくなった場
合には,その路線を廃止することを義務付けたものと解すべきである。
そうすると,本件市道は,元々雑木林となっていて道路として利用さ
れず,被控訴人市も管理していなかったのであるから,被控訴人市と
しては,本件市道を廃止すべき義務があった。それにもかかわらず,
これに違反して,本件市道を道路認定し,本件区域決定及び本件供用
開始決定をしたものであるから,本件区域決定及び本件供用開始決定
は,当然に無効となる。
③本件供用開始決定は,保安林の指定を解除しないまま保安林である
土地を道路として供用開始するものであり,森林法に違反し無効であ
る。
イ黙示の公用廃止について
ア(ウ)のとおり,本件市道部分は,平成7年頃には道路の形態を呈して
いなかった。平成14年11月11日実施の官民境界査定の際に撮影され
た写真(乙事件乙70)は,本件市道を撮影したものと認められず,同官
民境界査定は,本件市道を対象としてされたものではない。そのことは,
立会人である土地家屋調査士Eの回答書(乙事件甲59)や地元の有力者
で上記官民境界査定に立ち会ったFの陳述書(当審における甲67)から
も明らかである。Cが同人の所有地を分断している旨を指摘していたのは,
本件市道部分ではなく,γδ線である。したがって,控訴人会社が同月1
9日に本件各土地を購入した当時,本件市道部分は道路の形態を呈してい
なかった。以上により,本件市道部分については,この時点までに黙示の
公用廃止がされていたというべきであり,控訴人会社は本件各土地につい
て道路法4条の制限を受けない完全な所有権を取得していた。
(3)丙事件について
国又は地方公共団体は,公共の用に供する目的で水路等を管理しているの
であるから,公共の用に支障がないのに水路の付け替えを拒否することは,
目的に反する。そして,管理上の支障がないのに,本件水路が存在すること
を理由として,本件公共用物不許可処分をし,本件事業の計画を阻止するこ
とは,権利の濫用であり許されない。本件公共用物許可申請は,用悪水路の
付け替えや復元工事を目的として行ったものであって,形こそ多少違っても
本件水路の機能を害するものではなく,これを「損壊」として拒否する理由
はない。本件公共用物許可申請は,鉱山開発事業に不可欠で,公共用物の機
能を害しない以上,許可しなければならないものである。したがって,本件
公共用物許可申請は,本件条例4条1項1号の「工作物の設置(中略)によ
り公共用物を使用すること」の一種として認められるべきである。本件公共
用物許可申請が本件条例3条に違反し,同4条1項各号のいずれにも該当し
ないことを理由とする本件公共用物不許可処分は,違法である。
本件公共用物不許可処分は,政治的な理由によりされたものである。また,
被控訴人市が本件訴訟では処分時の理由を大幅に変更して主張したことは,
理由附記の制度を無にするものであり許されない。
(4)丁事件について
本件意見理由①,②にいずれも何ら根拠がないことは,上記のとおりであ
り,被控訴人市が何ら根拠のない本件意見理由①,②をもって本件保安林解
除申請及び本件事業を妨害したことは,公共物の管理の限界を超えるものと
して,控訴人会社に対する違法な公権力の行使というべきである。
また,公権力の行使に当たり公共団体の公務員が,その職務を行うについ
て,故意又は重過失があれば,賠償をした公共団体から求償されるのである
が,本件では,求償請求の可否を決定するのが被控訴人市の市長である被控
訴人A自身であり,自己に対し求償請求することを期待できない。したがっ
て,公務員の個人責任を否定する上記法理をもって,控訴人会社の被控訴人
Aに対する請求に理由がないとする根拠になるものではない。
第3当裁判所の判断
1当裁判所も,甲事件のうち,控訴人会社が農林水産大臣に対する本件保安林
指定の解除の義務付けを求める訴え,丙事件のうち,控訴人会社が日進市長に
対する本件公共用物許可申請に係る許可の義務付けを求める訴えは,いずれも
不適法であるからこれを却下するのが相当であり,控訴人らのその余の訴えに
係る請求は,いずれも理由がないからこれを棄却するのが相当であると判断す
る。その理由は,次のとおり補正し,2ないし6のとおり,控訴人らの当審に
おける主張に対する判断を加えるほかは,原判決の「事実及び理由」中の「第
4当裁判所の判断」の1ないし4に記載するとおりであるから,これを引用
する(ただし,原判決の第4の2(2)(85頁17行目冒頭から86頁23行
目末尾まで)は除く。)。
原判決の56頁4行目の「8月5日」を「8月4日」に,同59頁10行目
の「3年間」を「3年目」に,同77頁24行目の「1月28日」を「1月2
7日」に,同91頁10行目の「原告らの主位的請求」から11行目ないし1
2行目の「理由がない」までを「控訴人らの主位的請求(本件区域決定及び本
件供用開始決定の各無効確認請求)は,いずれも理由がない」にそれぞれ改め
る。
2甲事件について
(1)控訴人らは,林野庁が何らの指導をすることなく,実質わずか6日間の審
査で,本件保安林不解除処分とすることは許されない旨主張する。しかし,
本件保安林解除申請については,事前相談の段階から一貫して,残置森林・
造成森林の要件が問題となっており,本件保安林不解除処分に当たってその
要件を満たさない点が考慮されたことは明らかであって,5年近くの長期に
わたる事前相談及び申請書類の審査,検討等がされ,この間,林野庁は,再
三,愛知県を通じて控訴人会社に対し,指導をしているとみられるのである
(原判決の第4の1(1)ウ,エ)。そして,林野庁は,随時愛知県を通じて本
件保安林解除申請の内容や問題点を把握しており,進達後短期間のうちに本
件保安林不解除処分に至ったことが不自然でないのである(同(4)イ)。した
がって,林野庁が進達後短期間のうちに本件保安林不解除処分をしたことが
何ら違法となるものではない。
(2)本件保安林不解除処分の要件充足性のうち本件理由⑦について
ア控訴人会社は,本件理由⑦について,本件事業の計画は,林帯幅40m
以上の残置森林又は造成森林を配置する旨の林野庁の内部基準を満たして
いる旨主張する。
本件保安林解除申請のような,土石等の採掘を目的とした5ha以上の保
安林の転用に係る解除申請については,①周辺部に幅おおむね50m以
上の残置森林を配置するか,又は,②周辺部に幅おおむね50m以上の
残置森林を配置できないやむを得ない理由があり,一時的に土地の形質を
変更する必要がある場合に,その必要がある箇所に限って,伐採後速やか
に残置森林と合わせて幅おおむね50m以上になる森林を造成すると,取
扱要領等に定められている(原判決の第2の2(2)イ,ウ)。控訴人らの主
張は,上記①について,残置森林と造成森林と合わせて40mの林帯幅を
確保すれば足りることを前提としたものである。しかし,取扱要領等の適
用に当たって留意すべき事項を定めた留意事項の1(2)キは,「森林の配置
については,残置森林によることを原則とし,極力基準を上回る林帯幅で
適正に配置されるよう事業者に対し指導するとともに,造成森林の配置は,
土地の形質を変更することがやむを得ないと認められる箇所に限って適用
する等その運用については厳正を期するものとする。」としているのである
(原判決の同エ)。したがって,取扱要領が「原則として周辺部に幅おおむ
ね50メートル以上の残置森林又は造成森林を配置する。」旨の基準を示し,
その「おおむね50メートル以上」というのが40m以上を指すとしても,
上記②のやむを得ない理由等の有無を問わず,残置森林と造成森林と合わ
せて40mの林帯幅を確保すれば足りるということにはならない。残置森
林のみで50mの林帯幅の確保を要求する県事務所の指導は,何ら林野庁
の内部基準に反するものではない。控訴人会社は,県事務所の指導は,幅
50m以上の残置森林又は造成森林の配置を求めるという混乱したもので
あった旨主張する。しかし,県事務所の指導において,原則的な林帯幅と
やむを得ない理由等がある場合の林帯幅とが混在していたことがうかがわ
れるものの,そのような指導をしていたことをもって,上記内部基準にか
かわらず,やむを得ない理由等を問わず,残置森林と造成森林と合わせて
40mの林帯幅を確保すれば足りるということにはならない。
控訴人会社は,原判決別紙8のとおり,残置森林幅が40mない箇所は
造成森林で補い,残置森林幅が40mあるところも造成森林を加えて林帯
幅を広く取っており,林帯幅の不足はない旨,本件保安林解除申請書の添
付図面(甲事件甲1〔資料No.14の14頁〕(原判決別紙8と同じ))は
その証拠である旨主張する。しかし,これによっても,40m以上の残置
森林幅を確保できているのは一部にとどまるものであり,上記①の要件を
満たしているものではない。控訴人会社は,愛知県が林野庁の指示の下で
全ての解除条件を審査し,平成21年11月17日,本件保安林解除申請
について要件が整ったと判断した旨主張する。しかし,県事務所は,前同
日,控訴人会社から本件保安林解除申請について修正に係る書類を受け取
ったのであり,同年12月4日になっても,林野庁治山課は,同日出張し
てきた県森林保全課に対し,残置森林幅おおむね50mを確保できない理
由の更なる説明が必要である旨の意見を述べているのである。そうすると,
同年11月17日の時点では,県事務所は,なお林野庁の意見を聴く必要
があると考えており,林野庁は,同年12月4日の時点でもなお林帯幅の
問題が残っていると認識したといえる。したがって,県事務所は,同年1
1月17日の時点では,原判決が第4の1(1)エ(タ)で認定するとおり,本
件保安林解除申請について形式的な要件が整ったとして受理したにとどま
り,林野庁の指示の下で解除要件を審査した結果,同要件を満たしている
と判断したものとは認められない。
イ控訴人会社は,(ア)本件保安林解除申請においても,平成24年3月
8日付け「残置森林及び造成森林とりまとめ表」及びその添付図面(甲事
件甲40)と同様の林帯幅を取っており,残置森林及び造成森林の幅がお
おむね50mを確保している区域は,97%に達し,40m未満の区域で
も,洪水調整池兼沈砂池を配置するためにやむを得ず50m幅を確保でき
ないとしている旨,(イ)残置森林の林帯幅を50m確保すると,窯業界
の求める鉱物採掘量を確保できない旨,(ウ)残置森林と合わせて幅40
m以上となる森林の造成は,事業開始時点からではなく,植栽が可能な埋
戻作業完了時から可及的速やかに行えば足りる旨主張して,本件保安林解
除申請には,上記ア②の「やむを得ない理由」に当たる旨主張する。
しかし,本件保安林解除申請書には,平成24年3月8日付け「残置森
林及び造成森林とりまとめ表」の添付図面(甲事件甲40)のように残置
森林を外周で囲まれた内側の区域は全て造成森林を配置する内容の図面
が添付されていなかったことは,原判決が第4の1(1)オ(イ)で認定する
とおりである。甲事件甲40の添付図面では,残置森林及び造成森林がお
おむね50m以上ある区域が図示されているのに対し,本件保安林解除申
請書の甲事件甲1〔資料No.14-36〕には,そのような図示がない。
甲事件甲1(資料No.14本文)における残置森林又は造成森林の配置
の説明は,残置森林幅,造成森林幅及び林帯幅の平均値と森林率を記載し
たものであり,上記「残置森林及び造成森林とりまとめ表」にある残置森
林及び造成森林の幅がおおむね50mを確保している区域が97%に達
する旨及びその一応の算出根拠の各記載や洪水調整池兼沈砂池を配置す
るためにやむを得ず50m幅を確保できない旨の記載はないのである。し
たがって,上記「残置森林及び造成森林とりまとめ表」及びその添付図面
は,本件保安林解除申請書及びその添付図面と全く異なる内容のものとい
わざるを得ず,その記載内容が本件保安林不解除処分時においてその判断
の対象となる控訴人会社の申請に係る計画の内容をなしていたとみるこ
とができないものである。上記(イ)の主張については,結局,本件事業に
より窯業界が求める鉱物採掘量を確保する必要性が,本件保安林の機能維
持に係る公益上の必要性を明らかに上回るとはいえず,そうである以上,
控訴人会社としては,取扱要領等所定の要件を満たした状態で採掘事業を
実施することを検討するほかないことは,原判決が第4の1(2)エ(ア)で
控訴人の採算上の都合に関して説示するとおりである。上記(ウ)の主張に
ついては,森林の造成が,埋戻作業が完了した時点以降にされることであ
るから,伐採から上記時点までの間長期にわたって森林が果たしている機
能が確保されない状態が継続することになりかねず,森林法の趣旨,目的
に沿わないものというほかない(原判決の同(イ))。
控訴人会社は,植栽工事を行う時期について,県事務所から本件保安林
解除申請書添付の工事工程表以上の詳しい記載を求められておらず,同記
載が具体的でないことをもって本件保安林解除申請に不備があるとする
ことはできない旨主張する。しかし,県事務所は,平成21年8月19日,
採掘完了から復旧までの間が5年以上空いている旨指摘して再検討を求
めているのであり,その求めに対して,控訴人会社は,出荷後植栽可能と
なり次第,植林するとして,植栽開始時期を具体的に特定しない旨を付記
した工事工程表(甲事件甲1(資料No.3))を提出したのである。そう
すると,上記の工事工程表の記載をもって,本件保安林不解除申請につい
て,可及的速やかに森林が造成されるものではなく,「やむを得ない場合」
であるとはいえないと判断したことが相当でないといえない。
ウ控訴人会社は,(ア)本件事業区域の周辺にある総合運動公園等は,い
ずれも尾根を挟んで反対側に位置し,藤島鉱山の事業用地の周辺には,既
に多数の鉱山や砂利採取場,愛知万博跡地があるから,本件事業が,粉じ
ん,騒音,景観等の悪影響を上記総合運動公園等に及ぼすことはあり得ず,
本件事業では林帯幅を確保する必要はない旨,(イ)本件事業では洪水調
整池が設置されているため,土砂流出防止という保安林の機能が失われる
ことはない旨,(ウ)愛知県が調査した15件の事例のうち残置森林の幅
50m以上という条件を満たしていたのは1件のみであるから,本件理由
⑦による本件保安林不解除処分には,平等原則に反し裁量権を逸脱した違
法がある旨主張する。しかし,本件事業区域から約200mないし300
m先に日進市総合運動公園等や住宅地があるのであり,その距離に照らす
と,本件事業区域と上記総合運動公園等との間に尾根ないし森林があるか
らといって,本件事業について上記の悪影響を及ぼすことがなく,林帯幅
を確保する必要がないなどとはいえない。控訴人会社は,林帯幅の確保に
ついて,県事務所も林野庁も騒音防止や飛砂防止の観点から対策を講じる
よう指導していたものではない旨主張するが,林帯幅の確保以外に騒音や
飛砂を防止する対策は見当たらないものである。また,本件事業において
洪水調整池が設置されるからといって,本件事業区域全般にわたって土砂
流出を防止できるとは認め難く,それのみで本件保安林の機能を代替し得
るものでないことは,原判決が第4の1(2)エ(オ)で説示するとおりである。
また,土砂流出防止のみならず,騒音や飛砂を防止するためにも林帯幅の
確保が必要であることは,上記のとおりである。さらに,本件保安林解除
申請のような,土石等の採掘を目的とした5ha以上の保安林の転用に係る
解除申請についてよるべき基準は,アで説示するとおりであり,林帯幅4
0mないし50mという単純な基準ではなく,やむを得ない理由の有無や
伐採後可及的速やかに造成されるかどうかも考慮する基準である。上記1
5件の事例及び本件事業は,それぞれ事業の内容や規模が異なり,したが
って,周辺部に一定の幅の残置森林を配置できないやむを得ない理由もそ
れぞれ異なる。また,上記15件の事例のうち,新基準が適用される9件
について造成森林の造成が開始される時期は,事業開始3年目までが8件
で,これを7年目とする残り1件は個別の事情があったものであり(原判
決の第4の1(1)キ(ウ)),これらの事情を考慮して,上記15件の事例に
ついては基準を満たすと判断されたとみられる。そうすると,上記15の
事例について造成森林を含む林帯幅40m以上又は残置森林幅50m以上
を確保した事例が1例しかないことをもって,本件保安林不解除処分が本
件理由⑦を理由としてされたことについて,平等原則に反し裁量権を逸脱
した違法があるということはできない。控訴人会社の上記各主張はいずれ
も採用することができない。
控訴人会社は,工事の過程で森林を全て伐採せざるを得ない鉱山開発に
おいては,一時的にも保安林の機能を失わせてはならないとするのは事業
者に過大な負担である旨主張する。しかし,本件事業において,伐採から
埋戻作業が完了し森林が造成されるまでの期間は短期間にとどまるもので
はないから,これによる公益上の損失は甚大とみられる。控訴人会社に残
置森林を配置できないやむを得ない理由があるとはいえないのであり,保
安林の機能を失わせてはならないとすることによる事業者の負担が過大で
あるということはできない。
その他,控訴人会社は,上記内部基準は,柔軟に解釈すべきである旨,
愛知県及び林野庁が残置森林のみで50mの林帯幅を確保するよう指導し
たことは,上記内部基準に反するものである旨など縷々主張するが,本件
保安林解除申請が,上記の①及び②の要件を満たすものでないことは,上
記説示するとおりである。上記取扱要領が内部基準であることやこれと異
なる指導を受けたことをもって,農林水産大臣が,本件保安林解除申請に
ついて「公益上の理由により必要が生じたとき」に当たらないと判断した
ことが,その裁量権を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法と評価さ
れるものではない。
エ以上により,本件保安林不解除処分は本件理由⑦をもって要件を充足し
ている。
(3)本件保安林不解除処分の要件充足性のうち本件理由①ないし⑥について
(2)で説示するとおり,本件保安林解除申請については,本件理由①ないし
⑥について判断するまでもなく,同⑦をもって「公益上の理由により必要が
生じたとき」に当たらないと判断することができるのであって,その裁量権
を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法と評価されるものではない。
付言するに,本件区域決定及び本件供用開始決定が何ら無効ではなく,平
成14年11月時点までに本件市道について黙示の公用廃止がされていたと
は認められず,依然として被控訴人市おいて管理する必要があることは,後
記の乙事件及び丙事件で認定説示し,また,原判決が同各事件において認定
説示するとおりである。
(4)他事考慮の有無について
控訴人会社は,本件保安林不解除処分が政治的な理由から行われたもので
ある旨,県事務所の主任主査であるG(以下「G主査」という。)がその旨を
述べている(当審における甲74)旨,本件保安林不解除処分に他事考慮,
裁量権濫用の違法がある旨主張する。しかし,本件保安林解除申請が,残置
森林・造成森林の点で,森林の機能保持という公益に関わる要件を満たして
おらず,本件保安林不解除処分が本件理由⑦をもって要件を充足しているこ
とは,2(2)で説示するとおりである。G主査は,控訴人会社の代表者らに対
して,本件保安林不解除処分後に同処分について個人的に述べているにすぎ
ず(当審における甲74),これをもって,本件保安林解除申請が上記公益に
関わる要件を満たしていると認めることはできない。仮に本件理由⑦以外の
事情が考慮され,かつそれを考慮したことに理由がないとしても,そのこと
をもって本件保安林不解除処分が違法となるものではない。そうすると,控
訴人らが主張する上記の事情をもって,本件保安林不解除処分に他事考慮,
裁量権濫用の違法があるということはできない。
(5)行政手続法8条違反について
控訴人会社は,本件保安林不解除処分については,申請者に対しては,行
政手続法上の申請権に基づく個別の拒否処分として扱うべきであり,同法8
条が適用される旨,本件保安林処分理由関係書面をもって適法な理由の提示
があるとはいえない旨主張する。しかし,保安林の指定の解除は,専ら公益
的な見地から,特定の者を名宛人とせずに行う一般的処分であることは,原
判決が第4の1(5)イで説示するとおりである。行政手続法8条の「申請」と
は,「自己に対し何らかの利益を付与する処分を求める行為」(同法2条3号)
であり,当該処分の名宛人は自己であることを要すると解される。森林法2
7条1項は,保安林の指定又は解除に直接の利害関係を有する者について保
安林の指定又は解除を申請することができる旨規定しているが,保安林の指
定の解除は,それ自体申請者を名宛人とする処分ではない。保安林の解除に
直接の利害関係を有する者に申請権があることをもって,保安林指定解除処
分が当該申請者を名宛人とするものであるということはできない。また,一
定範囲の地域住民に保安林指定解除処分取消訴訟の原告適格があることをも
って,同処分がその申請者を名宛人とする処分であることを理由付けるもの
ではない。以上により,本件保安林不解除処分について行政手続法8条は適
用されない。したがって,本件保安林不解除処分に,行政手続法8条に違反
する違法があるとはいえない。
(6)被控訴人国の補正指導義務違反の違法について
控訴人会社は,愛知県ないし林野庁が控訴人会社に対し本件理由①ないし
⑦について補正を指導し又は補正を求めるべきであったとして,本件保安林
不解除処分に,上記補正指導義務に違反する違法がある旨主張する。しかし,
本件保安林解除申請については,5年近くの長期にわたる事前相談及び申請
書類の審査,検討等がされ,事前相談の段階から,残置森林・造成森林の要
件が一貫して問題となっていたことは,原判決が第4の1(4)イで説示すると
おりである。そして,その過程で,県事務所が控訴人会社に対し,周辺部に
幅おおむね50m以上の残置森林又は造成森林を配置すること等を求めたが,
控訴人会社は,平成20年8月25日及び同年10月15日に提出した修正
書類に対する県事務所等の検討結果を聞かないまま,自ら事前相談を打ち切
って,同年12月19日,本件保安林解除申請書及びその添付資料を提出し,
さらに,県事務所が控訴人会社に対し周辺部に幅おおむね50m以上の残置
森林又は造成森林を配置すること等を求めたのに対し,控訴人会社代表者は,
林野庁治山課に対し,平成21年4月16日,隣接地の案件では残置森林が
50m確保されていないにもかかわらず保安林が解除されている旨主張し,
同年7月22日にも同様の主張をした上,本件で残置森林幅50m取ること
は控訴人会社の方針として不可能であり,変更はしない旨を述べていたので
ある(原判決の第4の1(1)ウ,エ)。控訴人会社は,事前相談の段階から,
県ないし林野庁により一貫して残置森林・造成森林の要件を問題とされ,そ
の過程で上記要件についての対応を求められていたのに,自ら事前相談を打
ち切って,本件保安林解除申請書及びその添付資料を提出し,その後も県か
ら上記と同様の対応を求められても,これに応じない意思を明らかにし,そ
の後に本件保安林不解除処分がされたのである。したがって,愛知県ないし
林野庁が,本件保安林不解除処分の前に,控訴人会社に対し,残置森林・造
成森林の要件について更なる補正を求める義務を負っていたと認めることは
できず,本件理由⑦についての補正指導義務の違反はない。そして,控訴人
会社が,上記のとおり残置森林・造成森林の要件について補正に応じない意
思を明らかにしている以上,本件保安林解除申請について本件保安林指定の
解除がされる見込みはないのであるから,本件理由①ないし⑥について更に
指導し補正を求める必要があるとはいえない。以上により,本件保安林不解
除処分について,愛知県ないし林野庁に補正指導義務違反の違法があったと
は認められない。
3乙事件について
(1)本件区域決定及び本件供用開始決定の違法について
ア控訴人らは,本件路線認定及び本件供用開始決定と同日に行われた本件
区域決定は,道路法に違反して違法である旨主張する。しかし,本件区域
決定が本件路線認定及び本件供用開始決定と同じ日に行われても,本件区
域決定自体が公示され,その日から1か月間所定の場所で縦覧されたので
あり(原判決の第4の2(3)),これにより関係する権利者は本件区域決定
を争う機会を保障されていたのである。そもそも,本件路線については,
新たにγδ線が完成,開通したことに伴い,従前から存していた旧γδ線
のうち一部について名称を「αβ線」に変更して残置されたものである。
全く新規に道路が設置される場合と異なる取扱いをされても何ら不合理
ではない。したがって,本件区域決定について,本件路線認定及び本件供
用開始決定と同日に行ったことをもって,道路法に違反する違法があると
はいえない。
イ控訴人らは,Cが本件市道部分を認定道路と認識していなかったとして,
同人が異議を述べていないことをもって,本件市道部分を被控訴人市にお
いて道路として使用することを黙示に承諾していたとはいえない旨主張す
る。しかし,本件市道部分について昭和30年まで拡幅工事が行われ,C
が本件各土地を購入した昭和47年10月当時,本件市道部分が既に道路
の形状で分筆されていた。そして,Cが,昭和54年3月に本件市道部分
について旧γδ線として供用開始等がされた際に,苦情や異議を述べてい
ないのであり,したがって,不動産業者であるCは,本件市道部分が被控
訴人市によって道路として使用されていると認識していたとみられる(以
上,原判決の第4の2(4)ア)。したがって,被控訴人市が,Cの黙示の承
諾により,本件供用開始決定当時,本件市道部分を道路として使用する権
原を取得していたと優に認めることができる(なお,控訴人らは,被控訴
人市がCの黙示の承諾による権原取得を主張していないから弁論主義に違
反する旨主張するが,被控訴人市は,原審において本件供用開始決定当時,
既に本件市道部分を道路として使用する権原を取得していた旨等を主張し,
当審において上記の主張をしているのであるから,何ら弁論主義に違反す
るものではない。)。控訴人会社は,平成22年2月12日の控訴人会社代
表者の発言に係るCの認識について,Cの所有地を分断するのは本件市道
ではなくγδ線である旨主張する。しかし,Cの所有地には本件市道によ
り分断されている部分もある(重要事項説明書中の図面(当審における甲
66の末尾から7枚目))から,Cが本件市道によって所有地が分断されて
いないと認識していたとは認められない。
ウFは,平成7年頃,被控訴人市が本件市道部分の入口を壁で塞いだ旨,
平成12年頃には上記壁の代わりにε財産区組合が設置したトラ柵及び
ロープについて被控訴人市が異議を出すこともなく,その後も被控訴人市
の水路整備工事としてDをして同様のトラ柵とロープを設置した旨陳述
する(当審における甲67)。そして,控訴人らは,写真(乙事件甲53,
55,当審における甲68,乙事件乙71)がこれに沿う旨主張する。し
かし,証拠(Fがε財産区代表としてDの代表取締役と連名で日進市長に
提出した始末書(当審における丙78),平成22年2月3日撮影の写真
(同丙76⑬))によれば,Fは,平成22年2月,Dに指示して本件市
道部分の入口及び道路を挟んだ向かい側の2か所に盛土をし,いずれも市
の指示で撤去したことが認められる。また,証拠(乙事件甲54)によれ
ば,上記写真(乙事件甲53,55)は,平成15年2月27日に撮影さ
れたものである上,写っているものは壁ではなく,被控訴人市が設置を自
認している柵と認められる。そして,航空写真(乙事件乙71)によれば,
同柵は被控訴人市所有地内に屈曲して設置され,本件市道部分の入口を封
鎖してはいないことがうかがわれ,平成7年頃にも盛土がされたことを裏
付ける証拠はないし,上記柵を設置したのがそのような盛土が消失したこ
とによるものであることをうかがわせる事情もない。上記写真(当審にお
ける甲68)も,平成26年5月26日に撮影されたものであって,平成
12年頃の本件市道の入口の状況についてのFの陳述を裏付けるもので
はない。以上によれば,Fの上記陳述を採用することはできない。本件市
道について,被控訴人市による管理がされず,道路の形状を呈していない
とする平成22年3月5日撮影の写真(当審における甲75の③ないし
⑤),同年5月14日にG主査がした供述(同甲74),同年9月2日撮影
の写真(甲事件甲6資料23),平成24年当時の県当局の認識(同甲4
1の1,2)も,本件区域決定及び本件供用開始決定当時において,本件
市道が道路の形状を示さなくなっていたことを裏付けるものではない。ま
た,本件土地を取得した控訴人会社が,本件市道部分に「立入禁止藤島
鉱山」と表示した看板を設置し,その看板より前の位置にはロープが張ら
れているのであり(当審における丙77),同看板とロープはいずれも控
訴人会社の関与の下に設置されたと認めるのが相当である。他に,本件区
域決定及び本件供用開始決定当時に,本件市道について,被控訴人市によ
る管理がされず,道路の形状を呈さなくなったと認めるべき証拠はない。
以上により,本件区域決定及び本件供用開始決定について,本件市道を廃
止すべき義務に違反してされた違法がある旨の控訴人らの主張は,その前
提を欠いているから,理由がない。
エ控訴人らは,本件供用開始決定は,保安林の指定を解除しないまま保安
林である土地を道路として供用開始するものであり,森林法に違反する旨
主張する。しかし,本件供用開始決定に係る本件市道は,旧γδ線(廃止
前のεδ線)の一部であり,本件市道部分は大正以前から通行の用に供さ
れ,昭和26年に本件市道部分を含む廃止前のεδ線の路線認定及び供用
開始がされ,昭和54年に,εδ線の廃止と同時にこれを含む旧γδ線の
路線認定及び供用開始がされ,平成7年の旧γδ線の一部を本件市道とし
て本件供用開始決定するに至ったのである(原判決の第4の2(1)イない
しキ)。そうすると,本件市道は,本件供用開始決定以前から道路であっ
たものである。控訴人らの主張によっても本件供用開始決定が違反する旨
指摘する森林法の規定は明らかではないが,本件市道部分に係る本件供用
開始決定は,本件市道について森林法34条で禁止される立木の伐採をし
て道路を開設し,供用開始決定をしたものではない。以上により,本件供
用開始決定が森林法に違反すると認めることはできない。
(2)黙示の公用廃止について
控訴人らは,本件市道について,平成14年11月11日実施の官民査定
における査定道路ではなく,同査定の際に本件市道を確認したことはなく,
その際に撮影されたとする写真(乙事件乙70)も本件市道の写真を撮影し
たものと認められない旨,同月19日までに黙示の公用廃止がされていた旨
主張する。しかし,本件市道については,旧γδ線のうち一部が名称を変更
して残置されたものであることは,前記(1)アで説示したとおりであり,本
件区域決定及び本件供用開始決定当時に,本件市道について,被控訴人市に
よる管理がされず,道路の形状を呈さなくなったとは認められないことは,
(1)ウで説示するとおりである。そして,平成15年1月撮影の航空写真(乙
事件甲57)には,εからδに向かう道路状態の一本の筋が写っており,平
成14年や平成12年撮影の航空写真(乙事件乙73,74,当審における
甲79)でも,本件市道が道路として通っていることを確認することができ
るのである(平成16年及び平成19年各撮影の航空写真(当審における甲
80,81)では,本件市道が分かりにくくなっているが,これをもって平
成14年11月19日当時本件市道部分が道路としての形状を失っていた
ことを裏付けるものではない。)。平成14年11月11日の官民査定の申請
者はCであるから,同査定の際に同社の所有地を分断しているとみられる本
件市道を含めて関係者が現況を確認することは十分考えられる。同査定の対
象道路が本件市道でないからといって,同査定の際に本件市道の存在を確認
した旨の事実確認をした書面(乙事件乙70)が信用できないということに
はならない。また,被控訴人市は,不法投棄をしないように,平成12年頃,
本件市道部分の入口を封鎖しない形で柵を設置し(上記(1)ウ),平成15年
2月27日までに警告等の看板を本件市道部分に設置し(乙事件甲53ない
し55),平成22年2月に,FがDに指示して本件市道部分の入口及び道
路を挟んだ向かい側の2か所にした盛土を撤去させており(上記(1)ウ),平
成14年11月19日の前後の時期を通じて,一貫して本件道路を維持管理
していたと認められる。その他,控訴人らが主張する事情をもって,上記認
定説示を左右するものではない。以上により,本件市道について,平成14
年11月19日までに黙示の公用廃止がされていたと認めることはできな
い。
4丙事件について
控訴人会社は,(1)被控訴人市が管理上の支障がないのに本件水路が存在す
ることを理由として本件公共用物不許可処分をし,本件事業の計画を阻止する
ことは,権利の濫用である旨,(2)本件公共用物許可申請に係る行為は,本
件水路の付け替えであって本件水路の機能を害するものではなく,これを「損
壊」として拒否する理由がない旨,(3)本件公共用物許可申請については,
鉱山開発という本件事業に不可欠で,公共用物の機能を害しない以上,許可し
なければならないものである旨,(4)本件条例が公共用物の掘削を許可の対
象としていないのは,許可の対象としている工作物の設置,土石の採取が掘削
を伴うもので当然である旨,掘削を許可しないのは,公共用物の管理の限界を
超える条例制定権の濫用である旨主張する。しかし,本件条例4条1項各号は,
いずれも同2条所定の公共用物の存続を前提としたもので,水路の付け替えな
ど,当該公共用物そのものが一時的にも存続できなくなるような行為は,「使
用又は収益」の範疇を超える行為として,同4条に基づく許可の対象として予
定されていないのである(原判決の第4の3(1)ア)。そして,仮に本件公共用
物許可申請に係る行為が,公共用物の機能を害しないとしても,市の所有に係
る公共用物について,一部の者が自己の事業のための使用収益等のために独占
することが当然に許されるべきものとはいい難いものである。公共用物の機能
を害しないことをもって,一部の者が,当該公共用物を自らの使用収益等のた
めに独占することができ,その独占する行為について当然に許可されるべき権
利ないし法的地位を有するとはいえないことは,開発行為についての例によら
なくとも明らかである。そうすると,本件公共用物許可申請について,これに
係る行為が本件水路を付け替えるものであることをもって,当然に許可される
べきであるとはいえないし,本件条例が掘削を許可の対象としておらず付け替
えを認めていないことをもって,条例制定権を濫用したものということもでき
ない。また,本件公共用物許可申請について本件公共用物不許可処分をするこ
とが,権利の濫用であることを理由付ける事情はない。本件保安林不解除処分
が,本件水路に係る本件理由①のみならず,同⑦を理由とするものであって,
同処分が本件理由⑦により相当と認められることは,前記2(2)で説示すると
おりである。そうすると,本件事業は,いずれにせよ本件保安林不解除処分が
されていることにより,遂行することができないものであって,そのような遂
行不能な事業のために公共用物を使用することが「必要やむを得ない」とはい
えず,本件公共用物許可申請は,本件条例4条2項所定の要件を満たさないも
のである。したがって,本件公共用物許可申請について,当然に許可されるも
のとはいえない上,本件公共用物不許可処分について,それのみによって本件
事業が阻止されるものではなく,権利を濫用するものということはできない。
また,控訴人会社は,本件公共用物不許可処分の理由について,処分時の理
由は政治的な理由である旨,被控訴人市が本件訴訟では処分時の理由を大幅に
変更して主張したことは,理由の提示の制度を無にするものであり許されない
旨主張する。しかし,本件公共用物不許可処分は,本件保安林不解除処分がさ
れていることを理由の1つとして本件公共用物処分通知書に記載していたも
のであって,同処分が本件理由⑦により相当と認められることは,前記2(2)
で説示するとおりである。そうすると,本件公共用物許可申請については,本
件公共用物処分通知書に記載されたその余の理由について判断するまでもな
く,本件保安林不解除処分がされていることをもって「必要やむを得ない」と
はいえないと判断することができるのである。以上により,被控訴人市が,本
件保安林不解除処分がされていること以外の理由も本件公共用物処分通知書
に記載し,さらに本件訴訟において本件公共用物許可申請に係る行為が本件条
例4条1項各号所定の対象行為に当たらないことを本件公共用物不許可処分
の理由に追加して主張したことをもって,本件公共用物不許可処分が,理由の
提示を欠くことになるものではなく,政治的な理由によるもので適法な理由を
欠いているものと認めることもできないのである。
5丁事件について
控訴人会社は,本件意見理由①,②にいずれも何ら根拠がない旨主張するが,
控訴人会社の甲事件ないし丙事件についての上記主張にいずれも理由がない
ことは,2ないし4で説示するとおりである。
また,控訴人会社は,被控訴人市の市長である被控訴人Aが,自己に対し求
償請求することを期待できないとして,公務員の個人責任を否定する法理をも
って,控訴人会社の被控訴人Aに対する請求に理由がないとする根拠となるも
のではない旨主張する。しかし,そもそも,被控訴人Aによる本件意見提出行
為が違法な行為であるとはいえないことは,上記説示及び原判決が第4の4
(1)アで説示するとおりである。本件においては,求償権の前提となる被控訴
人市の控訴人会社に対する損害賠償債務自体が認められないのであるから,控
訴人会社の上記主張は,その前提を欠くものである。その上,公権力の行使に
当たる公共団体の公務員が,その職務を行うについて,故意又は過失によって
違法に他人に損害を与えた場合は,公共団体がその被害者に対して賠償の責め
に任ずるのであって,公務員個人は民事上の責任を負わないのであり,当該公
務員は,故意又は重大な過失がある場合に,公共団体による求償権の行使を受
けることがあるにとどまるものである。当該公務員において求償権の行使を受
けることがあることをもって,被害者が,当該公務員に対し,故意又は重大な
過失によって違法に損害を受けたと主張して損害賠償請求をすることができ
ることを理由付けるものではない。この理は,当該公務員が当該公共団体の長
である場合にも妥当するものである。
6まとめ
以上のとおりであって,控訴人らの当審における主張は,いずれも採用する
ことができない。したがって,甲事件のうち本件保安林指定の解除の義務付け
を求める訴え及び丙事件のうち本件公共用物許可申請に係る許可の義務付け
を求める訴えは,いずれも不適法であるからこれを却下するのが相当であり,
控訴人らのその余の請求(甲事件のうち本件保安林不解除処分の取消請求,乙
事件の主位的請求(本件区域決定及び供用開始決定の各無効確認請求)・予備
的請求(道路法4条所定の制限のない所有権の確認請求),丙事件のうち本件
公共用物不許可処分の取消請求,丁事件の各損害賠償請求)は,いずれ理由が
ないから棄却するのが相当である。
第4結論
よって,原判決は相当であり,本件控訴はいずれも理由がないから,これを
棄却することとし,主文のとおり判決する。
名古屋高等裁判所民事第1部
裁判長裁判官木下秀樹
裁判官前澤功
裁判官舟橋伸行

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