弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

平成13年(行ケ)第21号 特許取消決定取消請求事件(平成13年7月2日口
頭弁論終結)
          判           決
       原      告   京セラ株式会社
       訴訟代理人弁理士   高橋昌久
       被      告   特許庁長官 及 川 耕 造
       指定代理人      村本佳史
       同          市野要助
       同          宮川久成
          主           文
 特許庁が異議2000-71873号事件について平成12年11月
20日にした決定中、特許第2971659号の請求項2に係る特許を取り消すと
の部分を取り消す。
      訴訟費用は被告の負担とする。
          事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
 1 原告
   主文と同旨
 2 被告
   原告の請求を棄却する。
   訴訟費用は原告の負担とする。
第2 当事者間に争いのない事実
 1 特許庁における手続の経緯
 (1) 原告は、名称を「画像形成システム」とする特許第2971659号発明
(平成4年1月31日出願、平成11年8月27日設定登録)の特許権者である。
    平成12年5月8日、上記特許中請求項2、3に係る特許につき特許異議
の申立てがされた。
    特許庁は、同請求を異議2000-71873号事件として審理した上、
平成12年11月20日、「特許第2971659号の請求項2、3に係る特許を
取り消す。」との決定(以下「本件決定」という。)をし、その謄本は同年12月
18日原告に送達された。
 (2) 原告は、本件決定の取消しを求める本訴提起後の平成13年3月16日、
本件明細書の特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の各記載を訂正する旨の訂正審
判の請求をしたところ、特許庁は、同請求を訂正2001-39039号事件とし
て審理した上、同年5月28日、上記訂正を認める旨の審決(以下「本件訂正審
決」といい、本件訂正審決に係る訂正を「本件訂正」という。)をし、その謄本は
同年6月7日原告に送達された。
 2 特許請求の範囲の請求項2、3の記載
 (1) 本件訂正前の特許請求の範囲の記載
   【請求項2】外部からの記録紙をレジスタ手段に搬送可能な機構を備えた画
像形成装置本体(以下、装置本体)に一又は複数の給紙ユニット、及び/又は、一
の紙反転ユニットを連設配置してなる画像形成システムにおいて、
    前記装置本体に組込まれた定着手段出口側に記録紙後端が到達した事を検
知する検知手段を具え、
    前記一又は複数のユニットを前記装置本外下面に連設させて、前記装置本
体と前記一又は複数のユニットとを積層配置させ、
    前記装置本体側に給紙される方向、及び/又は前記装置本体より排紙され
る方向における前記一又は複数のユニットの搬送速度を、前記装置本体内の画像形
成速度と同等の第1の搬送速度と、前記画像形成速度より大なる第2の搬送速度と
に切換え可能に構成するとともに、
    前記検知手段によって前記定着手段出口側に記録紙後端が到達した事を検
知すると前記ユニット内の該記録紙の搬送速度を前記第1の搬送速度から前記第2
の搬送速度に速度切換え可能に構成した事を特徴とする画像形成システム。
   【請求項3】外部からの記録紙をレジスタ手段に搬送可能な機構を備えた画
像形成装置本体(以下、装置本体)に一又は複数の給紙ユニット、一の紙反転ユニ
ット、一のソータユニットの内、選択された一又は複数のユニットを連設配置して
なる画像形成システムにおいて、
    前記一又は複数のユニットを前記装置本体下面に連設させて、前記装置本
体と前記一又は複数のユニットとを積層配置させ、
    前記一又は複数のユニットの搬送速度を、前記装置本体内の画像形成速度
と同等の第1の搬送速度と、前記画像形成速度より大なる第2の搬送速度とに切換
え可能な速度制御機構を複数設け、排紙方向における速度切換え制御と給紙方向に
おける速度切換え制御を夫々独立して行なうように構成した事を特徴とする画像形
成システム。 
 (2) 本件訂正によって訂正された特許請求の範囲の記載(注、訂正部分を下線
で示す。)
   【請求項2】外部からの記録紙をレジスタ手段に搬送可能な機構を備えた画
像形成装置本体(以下、装置本体)に一又は複数の給紙ユニット、及び/又は、一
の紙反転ユニットを連設配置してなる画像形成システムにおいて、
    前記装置本体に組込まれた定着手段出口側に記録紙高判が到達した事を検
知する検知手段を具え、
    前記一又は複数のユニットを前記装置本外下面に連設させて、前記装置本
体と前記一又は複数のユニットとを積層配置させ、
    前記装置本体側に給紙される方向における前記一又は複数のユニットの搬
送速度を、前記装置本体内の画像形成速度と同等の第1の搬送速度と、前記画像形
成速度より大なる第2の搬送速度とに切換え可能に構成するとともに、
    前記検知手段によって前記定着手段出口側に記録紙後端が到達した事を検
知すると前記ユニット内の反転ユニットから所定記録紙間隔をおいて給送される後
位の記録紙の搬送速度を前記第1の搬送速度から前記第2の搬送速度に速度切換え
可能に構成した事を特徴とする画像形成システム。
   【請求項3】削除 
 3 本件決定の理由
   本件決定は、上記請求項2、3に係る各発明(以下、請求項の番号に対応し
て「本件発明2、3」などという。)の要旨を本件訂正前の特許請求の範囲の記載
のとおり認定した上、本件発明2は特開昭63-112326号公報記載の発明及
び周知の技術事項に基づいて、本件発明3は特開平2-204066号公報記載の
発明及び周知の技術事項に基づいて、いずれも当業者が容易に発明をすることがで
きたものであって、本件発明2、3に係る特許は、特許法29条2項の規定に基づ
いて拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものであるから、特
許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第
205号)4条2項の規定により取り消されるべきものとした。
第3 当事者の主張
 1 原告
   本件決定が、本件発明2の要旨を本件訂正前の特許請求の範囲の請求項2記
載のとおり認定した点は、本件訂正審決の確定により特許請求の範囲の記載が上記
のとおり訂正されたため、誤りに帰したことになる。そして、この瑕疵は本件決定
中、特許第2971659号の請求項2に係る特許を取り消すとした結論に影響を
及ぼすものであるから、本件決定中当該部分は違法として取り消されるべきであ
る。
 2 被告
   本件訂正審決の確定により、特許請求の範囲の請求項2の記載が上記のとお
り訂正されたことは認める。
第4 当裁判所の判断
   特許請求の範囲の請求項2の記載が本件訂正審決の確定により上記のとおり
訂正されたことは当事者間に争いがなく、この訂正によって同請求項に係る特許請
求の範囲が減縮されたことは明らかである。
 そうすると、本件決定が、本件発明2の要旨を本件訂正前の特許請求の範囲
のとおりであると認定したことは、結果的に誤りであったことに帰する。そして、
これが本件決定中、特許第2971659号の請求項2に係る特許を取り消すとし
た結論に影響を及ぼすことは明らかであるから、本件決定中当該部分は、瑕疵があ
るものとして取消しを免れない。
   よって、原告の請求は理由があるから認容し、訴訟費用の負担につき行政事
件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。
     東京高等裁判所第13民事部
         裁判長裁判官 篠原勝美
    裁判官 長沢幸男
    裁判官 宮坂昌利

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛