弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決中被告人に関する部分を破棄する。
     被告人を長期一年短期六月の懲役に処する。
     原審における訴訟費用の二分の一及び当審における訴訟費用の全部はこ
れを被告人の負担とする。
         理    由
 岩見沢区検察庁検察官桑原一右の控訴趣意及びこれに対する弁護人坂谷由太郎の
答弁はいづれも別紙記載の通りである。
 <要旨>裁判所が被告人に対し少年法を適用して裁判をなすべきか否かは、裁判所
がその被告人に対し有罪として刑の言ひ渡しの判決をなす当時の少年法の規
定と被告人の年齢との関係によつて決すべきものであつて、起訴当時のそれによつ
て決すべきものではない。少年法は昭和二十四年一月一日より施行せられ、二十歳
に満たないものを少年とすると規定してゐるけれども、第六十八条によつて施行後
二年間は十八歳に満たない者を少年として取扱ふことと定めているのであるから、
昭和二十五年十二月三十一日までは少年とは十八歳未満の者を指し、翌昭和二十六
年一月一日からは少年とは二十歳未満の者をいふことになる。故に昭和二十五年十
二月三十一日以前に十八歳以上の者は成人として取扱はれ、従つて起訴も亦少年法
所定の手続によらずしてなされるものであるけれども、それが昭和二十六年一月一
日以後に裁判所において刑の言渡しの判決を受ける当時、二十歳未満であるなら
ば、裁判所は少年法の規定を適用して処断すべきものである。
 この点に関する弁護人の答弁第一項の所論には賛成できない。
 又少年法第五十二条には「少年に対して長期三年以上の有期懲役又は禁錮をもつ
て処断すべきときは、」不定期刑を科すべきものと定めてあつて、ここに「処断す
べきとき」とは、裁判所が判決をもつて言ひ渡すところの所謂宣告刑を指すもので
はなく、法定刑に法律上の加重減軽及び酌量減軽を加へて得たところの刑の範囲を
指すものである。
 この点に関する弁護人の答弁第二項の所論も亦当裁判所の賛成できないところで
ある。
 今本件を見るに被告人は昭和七年二月十二日生であつて、昭和二十五年十二月二
十三日の起訴当時においては十八歳以上であつて、成人として取扱はれたが、昭和
二十六年一月十三日の原審判決当時は二十歳未満であるから、この場合には少年法
の適用を受けるものであること明らかである。しかも一件記録及び原判決によれば
被告人に対しては長期三年以上の有期の懲役をもつて処断すべきときに該当するの
であるから、被告人に対しては正に少年法第五十二条を適用して不定期刑を科すべ
きであつたのに拘はらず、原判決が被告人に対し懲役六月に処したのは明らかに法
律の適用を誤つた違法があつて、その違法が判決に影響を及ぼすこと明らかである
から、検察官の本件控訴は理由があり、原判決は刑事訴訟法第三百九十七条第三百
八十条により破棄を免れない。
 よつて当裁判所は同法第四百条但書により次の通り判決する。
 当裁判所の認定した罪となるべき事実は原判決記載の第一及び第二の事実(被告
人に関する犯罪事実の摘示)と同一であり、これを認める証拠は原判決に掲げた証
拠と同一であるから、いづれもこれを引用する。
 法律によると被告人の原判決判示第一及び第二ノ一の各行為は刑法第二百三十五
条第六十条、判示第二の二の行為は同法第二百三十五条にそれぞれ該当するが、以
上は刑法第四十五条前段の併合罪であるから同法第四十七条第十条により重い判示
第二の二の竊盗の罪の刑に併合罪の加重を加へる。而して被告人は少年法第二条の
少年であるから少年法第五十二条を適用し、被告人に対し主文第二項の通り量刑処
断し、訴訟費用の負担については刑事訴訟法第百八十一条第一項により主文第三項
の通りこれを定める。
 よつて主文の通り判決する。
 (裁判長判事 竹村義徹 判事 西田賢次郎 判事 河野力)

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