弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決並びに第一審判決を破棄する。
     本件公訴事実中第一審判決引用の一覧表中の(5)、(8)、(10)、
(13)、(15)、(23)、(29)、(31)、(32)、(34)乃至(
36)の臨時物資需給調整法違反の罪につき被告人を免訴する。
     同表中の爾余の罪につき被告人を懲役四月及び罰金四万円に処する。
     但し右懲役刑につき被告人を二年間その刑の執行を猶予する。
     右罰金を完納することができないときは金二百円を一日に換算した期間
被告人を労役場に留置する。
     第一審及び当審の訴訟費用は被告人の負担とする。
         理    由
 弁護人棚野誠幸の上告趣意について。
 所論は、刑訴四一一条の職権発動を求めるものであつて、同四〇五条の上告理由
に当らない。
 しかし、職権を以て調査すると、原判決の是認した第一審判決の認定確定した犯
罪中主文第二項掲記の各犯罪については、いずれも原判決があつた後昭和二七年政
令一一七号により大赦があつたので、これと爾余の犯罪とを併合罪として処断した
第一審判決並びにこれを是認した原判決は、刑訴四一一条五号により破棄を免れな
いし、また、右大赦にかゝつた犯罪については同四一三条但書、四一四条、四〇四
条、三三七条三号により免訴すべく爾余の罪については直ちに判決を為すべきもの
と認める。
 よつて、右爾余の罪につき法令の適用をすると、被告人の所為は臨時物資需給調
整法一条並びに内一覧表記載の(1)乃至(4)の所為については昭和二二年一〇
月三一日旧石油製品配給規則一条、別表第一、四条に、爾余の所為については昭和
二四年三月三一日新石油製品配給規則一条、別表第一、一二条に違反し、同法四条
一項に該当するところ(罰金刑については罰金等臨時措置法二条、四条適用但し一
覧表(1)の罪についてはなお刑法一〇条、六条を適用する。) 右調整法四条二
項に基き情状により懲役及び罰金を併科すべく、以上は刑法四五条前段の併合罪で
あるから、懲役刑については同法四七条本文一〇条により犯情の最も重いと認める
同一覧表記載の(39)の罪につき定めた刑に法定の加重をし、罰金刑については
同法四八条二項によりこれを合算し、その刑期、金額の範囲内で主文第三項のとお
り刑を科し、懲役刑については同法二五条により主文第四項の期間その執行を猶予
し、罰金不完納の場合は同法一八条により主文第五項のとおり労役場に留置し、第
一審及び当審の訴訟費用は刑訴一八一条により主文第六項のとおり被告人の負担た
るべきものとし、裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
 検察官 石田富平公判期日に出席。
  昭和二七年一一月六日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    岩   松   三   郎
            裁判官    入   江   俊   郎

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