弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件抗告を棄却する。
         理    由
 本件抗告の趣旨は、千葉地方裁判所が同庁昭和五三年(ケ)第三二二号不動産競
売事件につき昭和五六年一一月六日なした競落許可決定の取消を求めるというもの
であり、その理由は別紙のとおりである。
 そこで検討すると、記録によれば、本件競売不動産のうちの建物(以下「本件建
物」という。)は、(一)工場・共同住宅であつて、所有者丸泰食品株式会社にお
いてその営業のため食料品の調理・加工を行う場所として使用されていたものであ
ること、(二)競売申立人商工組合中央金庫の抵当権(順位一番及び二番)の設定
登記については工場抵当法第三条の機械器具目録(以下「第三条目録」という。)
が提出されていること、(三)その他の抵当権者の抵当権設定登記については第三
条目録の提出がなされていないこと、(四)抗告人は順位四番の抵当権をAと共に
準共有するものであること、(五)商工組合中央金庫は前記提出の第三条目録記載
の機械器具も目的物件に含めて本件競売申立をしたこと、(六)原裁判所は昭和五
三年一一月九日右機械器具も本件建物と一体のものとして競売開始決定をしたこ
と、(七)昭和五四年一一月一五日に日進オートマチックス株式会社から右機械器
具のうちバケツトコンベア等については同社の所有である旨の申出がなされている
こと、(八)昭和五五年一二月一五日商工組合中央金庫は、同年一一月二五日に右
機械器具全部について担保解除をしたので同機械器具の競売申立を取下げる旨の競
売申立一部取下書を同裁判所に提出していること、(九)同裁判所は右取下書の提
出があつた後は、競売目的物件から右機械器具を除いた上競売手続を進め、昭和五
六年一一月六日本件建物を含む不動産全部について一括して株式会社サン・フーズ
に対し競落を許可する旨の決定をしたことが認められる。
 右の事実からすると、当初競売目的物件に包含された前記機械器具について、そ
の所有権の帰属の点から、本件建物に設定された抵当権の効力がこれに及ぶか否か
については問題があるともいえるが、仮にその機械器具に抵当権の効力が及んでい
たとしても、第三条目録を提出した抵当権者である競売申立人が、右機械器具につ
いて担保の解除をなしたのであるから、その時以降は本件建物についての競売申立
人の抵当権は機械器具に及ばなくなつたというべきである(工場抵当法にいう工場
に属する土地建物について抵当権が設定され、第三条目録を提出してその登記がな
された後であつても、備付けの機械器具に及んでいる抵当権の効力を合意又は放棄
により消滅させることは可能である。)。そうすると、競売申立人が右担保解除を
理由として本件競売申立の一部を取下げたことにより、本件機械器具は競売手続の
対象外となつたものと認められる。抗告人は、右競売申立の一部の取下げがなされ
ても、工場抵当法第七条第一項の規定により機械器具についての競売開始決定の効
力は依然として存続し、また抗告人の有する抵当権の効力は同法第二条第一項の規
定により当然に右機械器具に及んでいるものであるから、機械器具を本件建物と一
括して競売すべきであると主張するように解され<要旨>る。しかしながら、競売申
立人の抵当権以外の抵当権については、その登記につき第三条目録の提出がなさ
ていないことは前記のとおりであるから、それらの抵当権者は自己の抵当
権の効力が機械器具に及ぶこと、したがつて本件競売開始決定の効力がなお機械器
具に及ぶことを第三者に対抗することができないというべきである。そうすると、
競売申立人が機械器具について担保解除をなして競売申立の一部を取下げた本件競
売手続において、抗告人がその抵当権の効力が機械器具に及んでいることを根拠と
して、これを建物と一体のものとして競売すべきことを主張することはできないと
いわなければならない。
 よつて、原裁判所が機械器具を除外して本件競売手続を進めたことには違法はな
く、抗告人の本件抗告は理由がないのでこれを棄却することとし、主文のとおり決
定する。
 (裁長裁判官 鰍澤健三 裁判官 枇杷田泰助 裁判官 佐藤邦夫)
(別 紙)
<記載内容は末尾1添付>

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛