弁護士法人ITJ法律事務所

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         主    文
     本件控訴を棄却する。
     当審における訴訟費用は、全部被告人の負担とする。
         理    由
 本件控訴の趣意は、弁護人大谷恭子、同鈴木淳二、同栗山れい子、同新美隆が連
名で提出した控訴趣意書に、これに対する答弁は、検察官板山隆重が提出した答弁
書に、それぞれ記載されたとおりであるから、これらを引用する。
 控訴趣意第二事実誤認、法令適用の誤の主張について
 一、 所論は、要するに、昭和五一年四月東京都立A養護学校に入学したBの両
親は、昭和五二年八月、Bの足立区立C小学校への転校希望をA校及びD委員会に
申し出で、同年一〇月文書で同旨の申入れをしたが、D委は、同月電話により、ま
た昭和五三年一月二六日文書により、それぞれ右申入れを拒絶したので、さらに昭
和五四年三月と同年四月一日A校に退学届を提出したところ、昭和五四年四月二六
日同校校長は、右届をBの親に返却した。しかし、右昭和五二年八月の転校要求
は、改正前の学校教育法施行令一〇条による退学であるから、東京都教育委員会
は、右退学をD委に通知し、D委は、改正前の同施行令六条、五条により、速やか
にC小に就学措置をし、入学期日を通知しなければならなかつたのに放置していた
のであつて、Bは、本来C小の児童であるにも拘らず、同校に学籍が与えられず、
養護学校に就学が強制されていたものである。かかる別学の強制は、普通教育の平
等保障、国家による教育の支配の排除に反し、これにより人間関係性、社会性を一
方的に断たしめるという人間の生存にかかわり、ひいて生存権保障にも反するので
あるから、憲法一四条、二五条条、二六条、教育基本法一〇条一項に違反するもの
である。したがつて、右違憲、違法状態の不利益を回避するため、Bの両親は、自
らの教育権を行使して特殊教育を拒否する権利を有し、Bは、その学習権に基づ
き、地域の学校であるC小に対する施設利用権、校庭立入権を有するものであるか
ら、これらの権限に基づく緊急、応急的学習権保障の一形態である自主登校は正当
なものであり、B及びその介助者を排除したC小のE校長の措置は、管理権の濫用
であるのに、一年以上の自主登校にかかるトラブルを一方的にB又はF、支援者ら
に帰せしめた原判決は、D委の学習権侵害事実及びBの権利に対する配慮を欠い
て、自主登校を一方的に断罪したものであるというのであり、原判示第一ないし第
三の事実に関し、以下のように主張する。
 原判示第一の点につき、C小の北側玄関先でトイレの借用を申し入れた被告人が
何をいつているのか判らなかつた旨供述した原審証人Gの供述は不自然で信用性が
ない。また昭和五四年五月二六日正午ころ、右権限に基づきトイレ借用方を門外で
声を掛けたが、聞えないと思い、トイレ借用の目的で、Hと相談することなく、同
校の門を越えて立ち入つた被告人の行為態様は、トイレを借りるにふさわしい範囲
内の自然な行為であるのみならず、Bを介助していた被告人として当然の行為であ
るから、正当行為というべきである。仮に正当行為とはいえないとしても、本件前
一年以上にわたつてトイレを使用することができたところ、その使用禁止の契機
は、E校長がBを車椅子ごと転倒させたことにあり、被告人は、右禁止を理解納得
することができず、同人が同校長の不当な管理権行使に従わなければならないわけ
ではなく、地域の学齢児童がトイレを借りるため平穏に立ち入つたのであつて、本
件の法益侵害の軽微性、行為の正当性、緊急不可欠で他に取り得べき手段がなかつ
たという意味での補充の原則により、可罰的違法性がないのであるから、Hと共謀
してC小北門から同門側玄関先まで不法に侵入したとの点について、被告人を無罪
とすべきであるのに有罪とした原判示第一は、事実を誤認し、法令の適用を誤つた
ものである。
 原判示第二の点につき、原審証人Iの供述中、Eを追跡した被告人を更に追いか
けたIが給食室を曲る際に振り向いたとき、HがBを抱えて走り出していた旨の供
述は、Iの立場、当時の心理状況及び目撃態様と行為の時間的推移を考えると信用
できず、原審証人Eの供述中、カメラのやり取りの中で隣にいたHがEを足蹴にし
た旨の供述は、各人の行為についての前後の脈絡がなく、被告人らの行為をカメラ
を奪われようとした点に殊更関連付けてなされたもので信用できず、被告人及びH
がEに暴行を加えたとの証人Eの供述、被告人がEに暴行を加えたのを目撃した旨
の原審証人J及び証人Iの各供述は、相互に矛盾しており、証人Eの供述には前後
混同した点、記憶の欠落した点、誇張、歪曲した点があり、証人Jは、たたきの上
にいる状態でドアが閉められたと客観的にあり得ない矛盾する事実及び直接被害を
受けたEすら述べていない同人のベルトを被告人が二度引つ張つた旨を供述してい
るので、客観的事実に反し不自然であり、証人Iの供述は、被告人の行為の場所に
ついての内容が変転し、記憶があいまい、不自然であるから、右各証人の供述は信
用できないものである。また、Hは、前記の玄関から原判示第二の現場に至る過程
では、被告人がEの写真撮影に抗議してなした具体的行為について現認も予見認識
もできなかつたから、被告人がHとEに対する暴行を共謀したとはいえず、Hが被
告人の暴行を認識してこれを利用した事実も認められないから、Hを承継的共同正
犯として問責することもできないものであり、被告人がEの右胸を左手で小突いた
こと、及びHがEの右脚部に足をかけて右大腿部を蹴つたことはなく、被告人がE
のベルトの右脇腹付近を左手で引つ張つた行為は、直接相手方に対し何らかの苦痛
を与えるような性質のものではない。また、Eのべルトの止金の差込み輪側が外れ
ているが、脇腹から引つ張つても右差込み輪側が抜けることはあり得ないと考えら
れるのであつて、たまたま止具開閉部分に何らかの衝撃が加わつたためにその構造
上生じたものか、Eによつて何らかの作為が加えられたということも否定しがた
く、刑法二〇八条により処罰するに足りる実質的違法性を具備する可罰的行為とは
いえないから、同条にいう暴行に該当しない。仮に被告人らの行為が暴行に該当す
るとしても、被告人らは、Bの要求に基づき学校関係者に承諾を求めつつ校舎に入
つたのに、校外退去を求め、物影から写真を撮影したEに抗議し、教育者としてあ
るべき姿を求め、話合いの説得をしたに止まるのであつて、本件の動機目的は有意
義、真摯で、身体障害者に対する差別を除去しようとする正しい主張に基づくもの
であり、E校長の写真撮影は違法であり、仮に違法でないとしても、被告人らの行
為の態様及び結果の軽微性、本件が地域の児童であるBのトイレ使用を発端として
生起した小学校内での事件であるという特殊性等を全体的に観察判断すると、暴力
行為等処罰に関する法律をもつて処罰すべき違法性があるものとは認められない。
さらに、本件有形力の行使は、被告人が前記写真撮影が違法な行為であると誤信
し、被告人の権利を侵害し、または侵害する現在急迫の危険があり、これを排除し
て自己の権利を防衛するため抗議し、あるいはフイルム引渡を求める行為に出るの
はやむを得ないと信じてしたものであるから、誤想防衛に該当し、暴行の故意を欠
くというべきであるから、被告人を無罪とすべきであるのに、有罪とした原判示第
二は事実を誤認し、法令の適用を誤つたものである。
 原判示第三の点につき、原審証人Jの供述中、被告人がJのネクタイを掴んだ旨
の供述は、証人Eの供述以外にこれを裏付けるものはなく、Eのこの点に関する供
述は、Jが右暴行を加えたころに、Eは校舎内に入つていたのであるから信用でき
ず、証人IはJがネクタイを掴まれている時、止めに入つたことを否定しているの
で、結局証人Jの供述は信用することはできない。また、被告人の本件暴行による
法益の侵害程度が軽微であること、行為の目的、手段、行為者の意思等諸般の事情
に照らし、社会通念上許容される相当性があること等にかんがみれば、刑法二〇八
条の構成要件に該当せず、該当するとしても刑事制裁を科する程の実質的違法性を
具有する可罰的行為とは解しえないから、被告人を無罪とすべきであるのに、有罪
とした原判示第三は、事実を誤認し、法令の適用を誤つたものである。
 以上のように主張している。
 二、 そこで調査するに、所論は、結局において、原判決が罪となるべき事実と
して認定判示した第一ないし第三の事実につき、被告人の行為の存否を争い、仮り
に存在するとしても、その行為は、第一につき建造物侵入、第二につき暴力行為等
処罰に関する法律違反、第三につき暴行の各罪の構成要件を充足せず、仮りに充足
するとしても、いずれも実質的違法性がなく、また、第二については誤想防衛とし
て故意の成立を欠くから、いずれにせよ犯罪は成立しないのにかかわらず、原判決
がこれらの犯罪の成立を認めたのは、事実を誤認し、法令の適用を誤つたものであ
ると主張するに帰する。そして、原判決が認定した右第一ないし第三の事実は、す
べて昭和五四年五月二六日の正午ころから同日午後零時二〇分ころまでの間に、C
小の構内において生起した一連の事実であり、証拠も共通するものであるから、以
下に原則としてこれらを一括し、判断を示すこととする。
 三、 まず、所論は、原審証人G、同E、同J、同Iの各供述の信用性を争うけ
れども、右各証人らの供述内容は、大筋において符合し、かつ、客観的事実にも沿
うものであり、それぞれ供述した当時において、記憶に基づき、具体的かつ詳細に
供述しており、記憶がないか、見聞しないか、判然としない点はそのとおりに、ま
た誤つた記憶による供述は、記憶を喚起して訂正すべきは訂正しているのである。
殊に各証人の原判示第二、第三に関する各供述は、被告人がEを追跡してから、J
に対する暴行の終息するまでの比較的短い時間内の各人の激しい動きの中における
自己又は他人の言動に関するものであるから、事態を第三者として逐一観察してい
た場合とは異り、被告人らからの直接の暴行を受けた証人と、被告人の暴行を制止
し、同人をEらから引き離すことに専念した証人との間には、体験した記憶の印象
の強弱、持続性、正確性に差が生ずるのは当然である。証人Eの供述中、被告人が
Jのネクタイや着衣の袖を引つ張つたのを見たというのは、Jらが被告人のEに対
する暴行を止めに入つたときのことをいうのであるから、Eが校舎内に入つた後
に、被告人からべルトやネクタイを掴まれた旨の証人Jの供述と矛盾するとは断じ
がたい。また、若干の記憶違いや、感違い、ないしは見聞、感得し得るのにしなか
つた点のあることはやむを得ないのであつて、一部の記憶違いや証人相互間の些少
な供述のくいちがいがあることをもつて右各証人の供述に信用性がないとすること
はできない。その他所論にかんがみ、記録を精査しても、右各証人の供述の信用性
を疑うべき証跡は認められない。
 原判決は、これらの各証人の供述に原審証人Hの供述及び被告人の供述、並びに
司法警察員作成の実況見分調書及び捜査報告書、押収してある黒革製べルト一本を
綜合して、罪となるべき事実を認定しているが、右の各証拠を子細に検討すれば、
原判決の認定は相当であつて、原判決の認定過程になんら不合理な点は発見できな
い。そして、原判決の認定した右の第一ないし第三の各事実は、行為の態様は必ず
しも軽微なものとはいいがたく、それぞれ建造物侵入、暴力行為等処罰に関する法
律違反、暴行の構成要件を充足することが明らかであるとしなければならない。
 四、 つぎに、所論は、被告人の行為が犯罪の構成要件を充足するとしても、実
質的違法性がないので、犯罪は成立しないと主張するのでこの点について検討す
る。所論が被告人の行為につき、実質的違法性がないとする根拠は、要するに、障
害児の教育は、健常児との綜合的な普通学校における教育が保障されなければなら
ず、障害児を健常児から分離し、特殊教育を強制する教育行政は、教育基本法一〇
条一項、憲法二六条、二五条、一四条に違反するものであるから、この分離教育に
反対し、綜合教育を求める運動としての自主登校の過程においてなされた被告人の
本件行為は、目的において正当であり、手段においても相当の程度を超えるもので
はないから、実質的違法性がないとするものと解される。
 (1) そこで、まず、被告人の本件行為のなされた昭和五四年五月二六日当時
施行されていた障害児教育の制度についてみるに、学校教育法七一条の二は肢体不
自由者の故障の程度は政令で定めることとし、これを受けて学校教育法施行令二二
条の二は、肢体不自由者の故障の程度を具体的に指定し、その肢体不自由者(以下
障害児という。)が学齢に達したときは、保護者は同法二二条により養護学校の小
学部に就学させる義務を負うとともに、同法七四条は、都道府県に養護学校を設置
することを義務づけている。すなわち、障害児については、健常児と分離し、養護
学校の小学部において、普通小学校に準ずる教育を施し、あわせてその欠陥を補う
ために必要な知識技能を授ける特殊教育をするのが現在の制度である。
 このように、障害児を健常児から分離し、特殊教育を実施する制度は、都道府県
単位に養護学校の設置が義務づけられ、人的物的な設備が整備された昭和五四年四
月一日以降のことであり(昭和四八年政令第三三九号)、それ以前にあつては、学
校教育法は、障害児に対する特殊教育の規定を設けていなかつたため、法律上は、
障害児は健常児と区別されることなく、保護者は障害児を小学校に就学させる義務
を負い、市町村はその区域内にある学齢児童を就学させるに必要な小学校を設置し
なければならず、市町村教育委員会はそのように措置することを義務づけられてい
たのである。しかし、法律の形式においては障害児に対する特殊教育の規定はおか
れていなかつたものの、普通小学校には、障害児のための物的設備が設けられてお
らず、また、養護教諭をおくなどの人的機構の整備もなされていなかつた関係上、
実際の運用としては、程度の重い障害児については、就学猶予の規定の適用、ある
いは既設の養護学校への通学を説得指導する方法により、現行の制度と同じく、障
害児に対しては分離特殊教育が行なわれていたのが実情であつた。
 (2) ところで、障害児の教育については、現在の制度がそうであるように、
健常児と分離し特殊学校において特殊教育を施すのを正当とすべきか、あるいは所
論のごとく、健常児と綜合し、普通学校において普通教育を施すのを正当と考える
べきであろうか。教育の理念は、各人によつて多様であり、時代によつて進展がみ
られるものである。また、これに伴なつて、教育の理念を達成するための手段につ
いての考え方も、各人によつて多様であり、時代によつて変遷がみられるものであ
る。教育の理念がいかなるものであるか、その手段としてどのような方法が相当で
あるかについて判断するためには、教育の歴史を考え、その資料を十分に収集し分
析検討することが必要である。しかし、裁判所は、公訴の提起された被告人の行為
につき、刑事責任を問うべきか否かを審理するのがその職責であるから、その審理
のため必要な範囲を超えて証拠調をすることは制度として許されず、また、なすべ
きことでもないのである。裁判所としては、被告人の刑事責任の存否を判断するに
必要な範囲において、さらに本件についていえば、被告人の行為の実質的違法性の
有無の判断に必要な範囲内において、これを審理し判断すれば足り、それ以上にわ
たることは、むしろ許されないものといわなければならない。
 (3) 以上の点をふまえて、障害児教育の理念について考えるに、障害児もや
がて成長し、教育をおえて社会生活を営まなければならない。障害の程度が重く全
く生活能力のない障害者についてはともかく、障害者は、可能なかぎりその残され
た能力を開発して自ら生活の道を樹てなければならないのである。もとよりそのた
めの健常者の協力が必要であることはいうまでもないけれども、それはいうまでも
なく協力であつて、単なる同情にとどまるものであつてはならない。このようにし
てこそ、障害者は健常者とともに社会生活を営み、人間としての尊敬を得ることが
できるのである。このような障害者と健常者の協力関係は、可能なかぎり早い機会
に確立されることが望ましい。すなわち教育をおえて社会教育を営むにいたつた段
階では遅きに失するのであり、教育の過程において、すでにその協力関係が確立し
ていることが期待されるのである。このように考えれば、障害児教育は、健常児と
綜合し、普通教育を施すとともに、その障害の程度に応じて残された能力を開発す
る特殊教育を行なうことが、障害児教育の理想とみるべきものであろう。このよう
な綜合教育こそ、健常者の障害者に対する理解を深め、その協力関係を確立するに
有用であると思われる。身体障害者雇用促進法は、民間企業及び国、地方公共団体
等に対して、一定の率以上の障害者を雇用することを義務づけているが、近年にお
いて、後者についてはほぼ充足する傾向にあるものの、前者については、その達成
になお相当の距離のあることは公知のところであり、その原因として民間企業の事
業者の障害者に対する理解の不足によることも多いと考えられるのである。したが
つて、障害児、健常児の綜合教育による相互理解は、将来において障害者の雇用を
促進し、良好な社会生活に寄与するところが多いと思われるのである。以上の考察
によつて、障害児教育の理念はおのずから明らかというべきであろう。
 (4) もつとも、前述のように、教育の理念は、各人によつて多様であり、時
代によつて進展があるのである。その達成のための手段については、さらに各人に
よつて多様に考えられ、時代による変遷があることも留意を必要とするであろう。
まず、障害児といい健常児といつても、その限界は必ずしも明白ではない。もつと
も、現行法のもとにおいては、学校教育法施行令二二条の二によつて、障害児の故
障の程度が規定されているので、普通小学校、養護学校小学部に就学すべき児童は
一応明らかにされているけれども、この区別は、現在実際に設けられている教育機
関の人的、物的な設備との関係を切りはなして考察することはできないのであつ
て、右の教育機関の整備にともない、その区別も変更されるべきものであろう。こ
の意味において、故障の程度についての基準を、学校教育法七一条の二が政令に委
任し、同法施行令二二条の二がこれを規定しているのは合理的なものということが
できる。ところで、障害児教育の理念については先に触れたが、この点に関しても
見解は多様であり、ましてその実現の手段については、さらに多くの見解の存する
ことは、ことの性質上けだしやむを得ないところであろう。また、障害児、健常児
の綜合教育が理想であるといつても、現在の教育機関の人的、物的設備は、その必
要をみたすにははるかに及ばないものである。人的、物的に設備を整えるために
は、当然のことながら巨額の費用を伴なうものであつて、一朝一夕にこれを実現す
ることは困難であり、段階的にその実現をはかることもやむを得ないと思われる。
現にその設備の整備については、養護学校の都道府県単位の設立すら、昭和五四年
四月一日以降において実現したにすぎないのであつて、現在の普通小学校のすべて
に、障害児のための物的設備を新たに設置することは、望ましいとしても直ちに実
現できるとは、到底考え<要旨第一>られないのである。やはり、それは順序を追つ
て整備すべきことであつて、このように考えると、現在実施されている
ように、障害児は養護学校小学部に、健常児は小学校に就学すべき制度も、現在の
教育制度の発達の段階においてみるときは、けだしやむを得ないところであつて、
本件Bの障害の程度に則して具体的に考察するときは、かかる分離による特殊教育
が、直ちに憲法一四条、二五条、二六条に違反し、教育基本法一〇条に牴触すると
いうことはできない。
 (5) 障害児教育につき、障害児を健常児と分離して特殊教育を行なう現在の
制度が、現在の社会的諸条件のもとにおいてはやむを得ないものであることは以上
のとおりである。しかし、さらに具体的に、本件のB個人の教育という観点からこ
れを考えてみるに、Bの人生は一回かぎりのものであり、教育を受ける機会も繰り
返えすことはできないのである。Bの成長は、荏苒と制度の発達をまつことはでき
ず、教育は行なうべき年代において行なわれなければ、そのおおかたの意義を失う
ものである。また、同児を残して先に世を去ることが確実な両親が、教育制度の現
状にあきたらず、教育理念、教育手段の進展を待ち得ないとする焦躁感をいだくこ
とはけだし当然のことと思われる。制度は常に社会の進展におくれて改革されるも
のであるから、この過程において、個人の行為が仮りに形式的に成文法に牴触する
ことがあつても、実質的に違法の評価ができない場合があるのである。原審証人K
が、障害児教育に関する形式的違法は教育者の良心によつて昇華されると供述して
いるのは、この場合にもあてはまるであろう。そこで具体的な場合について考察を
進める。
 (6) 証拠によれば、以下の経緯が認められる。すなわち、Bは、L、同Fと
の間に出生したが、生後四か月で脳性麻痺と診察されたため、A養護学校幼稚部を
経て、昭和五一年四月に同校小学部に入学した。しかし、同児が近隣の友人ととも
に近くの小学校に通学したい旨の希望をもち、また、両親も障害児の分離教育に疑
問をいだき、昭和五二年八月末ころ、Dセンターに口頭で転校希望を伝え、同年九
月A校の当時のM校長に口頭で同旨の希望を伝えた。しかし、Bの入学当時の状態
が、ある程度の学習能力はあるが、四肢は不自由で、移動は坐つたままか、寝返り
によらねばならず、起立が不安定であり、排便等はほぼ全面介助を要し、相手の問
いかけは理解するが、言語による意思表明が大変困難であり、右転校希望当時にお
いても右状態の好転が認められなかつたため、同校長は時期尚早と答え、また、B
の当時の担任教諭八名のうち、二名は、普通小学校で教育を受けるべきだとはいえ
ないが、可能な限り協力はすべきである旨、その余の六名の教諭は、Bのためには
養護学校で教育を受ける方がよい旨、それぞれFに対して見解を述べ、D委当局
は、同年一〇月ころ電話でA校が適当である旨回答したため、両親は、さらに同年
一一月一四日付をもつてD委に対し、BをC小へ転校させるように、取計いにつき
検討されたい旨の要望書と題する書面を提出した。しかし、D委は、A校が適当で
ある旨を電話で、さらに昭和五三年一月二六日付「就学相談の結果について(通
知)」と題するD委事務局学務課作成名義のLあての文書をもつて、すでに口頭で
説明のとおり、現状の教育措置が適当と考えられる旨の回答をした。そこでFは、
A校を所管する都教委身障課等を訪ねて折衝したが、D委の見解に同調する意向が
示され、その間両親がC小の当時のN教頭らに同旨の希望を述べたが、D委に意向
を伝えるとの返辞を受けたものの、事態の進展はなかつた。しかしFは、養護学校
から小学校への転学については教育行政機関にはさほど左右されるものではなく、
受入れ校の教師の理解が得られれば実施されるものと考え、C小への転校を希望し
ていることを示すべく、連日同校へBを通わせることにし、昭和五三年三月三一日
付の同校校長の人事異動を新聞で知ると、昭和五三年四月五日ころ同校を訪れ、着
任していたE校長にこれまでの経緯を説明し、Bを同校児童と一緒に教育してほし
い旨及び机、椅子が必要であれば自己において用意する旨を話した。しかし、前任
校長から右異動発令前に、Bの転校希望の出されていること及び同人の心身発達状
況並びにその就学に関する権限が教育委員会にあることの引継を受け、更に、同月
二、三日ころ教育委員会当局からBの転校希望のあつたことや就学指導委員会にお
いてBの知能検査、行動観察等をした結果、A校において教育を受けるのが同人の
ため適切である旨の判定がなされた旨を聞いていたE校長は、教育行政機関である
教育委員会で相応の通知、指導をしていたものと理解していたのみならず、当時B
のC小への転校を決定する措置はとられていなかつたこともあつて、教育委員会か
ら転校についての指示を受けていないことを理由に、同人の登校を拒絶した。さら
に、同月六日の入学式、始業式にはBの転校要求を支援する者らが多数来集するこ
とが予想されたため、右事項を所管するD委に対し、関係職員において現場で指導
説得してくれるよう要請し、当日約一〇名の右職員の応援を得たが、右支援者らと
同校への入構をめぐつて小ぜり合いがなされた。その後、Bは、昭和五三年四月六
日以後A校へ登校せず、これを支援する者らに伴われて、自主登校と称して平日に
はC小北門前に赴き、右の支援者らがBの学習指導等をしていたため、A校は、昭
和五三年四月六日から昭和五四年三月二八日までの間、二十回余にわたり、電話
で、若しくはL方を訪問して、又は文書によりBの登校を促し、D委にも連絡し
た。また、昭和五四年四月二日にA校校長として着任したOは、同月七日、P教頭
を交えてBの両親と面談し、同児に適応した教育を受けるべきである旨説得した
が、両親は、退学届を置いて辞去したため、同月二一日Fと同児に登校を勧め、同
月二六日L方でP教頭と共にFに退学届を返却して登校を勧めたほか、本件の前日
である同年五月二五日にもP教頭のほかに二名の担当教諭を伴い、このようなベテ
ランの先生を信頼してA校の教育を受けて貰いたいと説得し、このように、A校当
局は、昭和五四年四月二日から同年五月二六日の間にも、前後一〇回にわたり、事
理を説いてA校への登校を促したが、これに応じなかつた。
 (7) 以上の経緯で明らかなように、Bの教育については、当時、足立D委、
C小、A養護学校のいずれの担当者も、その多くが同児の障害の程度にかんがみ、
養護学校における教育が相当であるとの見解であり、Bの両親も、これらの機関と
の折衝の過程において、これらのことは十分に理解していたと認められるのであ
る。したがつて、前述のように障害児の親として、現在の制度に対する不満があ
り、それが焦躁感にまでたかめられていたとしても、Bが現におかれている客観的
条件にかんがみ、また、同児が学習においても、機能回復訓練においても、猶予を
許さない最重要な教育を必要とする成長期にあることを考慮し、最善とはいえなく
とも次善の道を選択する冷静な判断が期待されていることを看過することはできな
い。そして、これらの状況を綜合して考えるときは、本件において、障害児に対す
る教育制度の改善を求めるための運動は、運動それ自体は正当であるとしても、平
和的な行動にとどめることが必要であつたといわなければならない。したがつて、
昭和五三年四月六日以降支援者らがBの自主登校として、C小の校舎に立入り、こ
れを制止する同校E校長及びその職員との小ぜり合いが頻発したため、E校長が、
B及びその支援者の校内への立入りを禁止した措置は、その管理権に基く正当なも
のというべく、管理権の濫用ということはできない。
 (8) ところで、被告人の本件行為は原判示第一ないし第三のとおり、立入り
を禁止されたC小の門扉を乗りこえて校内に侵入し、同校校長Eに共同して暴行を
加え、同校教諭Jに暴行を加えたという事案である。それは被告人が支援するBの
自主登校の過程において派生的に生じたものであるが、そもそもBの普通小学校へ
の転校は、現行の法制度のもとにおいては原則として認められないところであり、
実現するとしても例外的なテスト・ケースとして許される場合があるにすぎない状
況にあつたのである。
 したがつて、現行の分離、特殊教育の非を訴え、普通小学校における綜合的な教
育の実現をはかるとしても、そのための運動は平和的な行動にとどまるべきであつ
たことは、前述のとおりである。まして、被告人は右の運動を支援する者であり、
B自身あるいはその両親とは立場を異にする第三者であるのである。障害児の綜合
教育の推進に共鳴し、熱意をいだく支援者とはいつても、やはり当事者とは異なる
のであるから、一歩離れて冷静に客観的に判断して運動をすすめるべきであり、殊
に被告人は足立区役所の職員として公務に従事していた者であるから、勤務時間外
の私的な立場における支援活動とはいえ、このように行きすぎの行動は許<要旨第
二>されるものではない。すなわち、被告人の本件行為は、障害児の綜合教育の実現
のための運動という目的においては正当なものであるが、その手段とし
ては相当なものとは到底認めがたく、結局被告人の本件行為に実質的違法性がない
とする弁護人の主張を排斥した原判断は、結論において正当であり、所論は採用し
がたい。
 五、 つぎに所論は、原判示第二の事実につき、誤想防衛として故意の成立を欠
くと主張するので、この点について検討する。所論が被告人の行為につき誤想防衛
として故意の成立を欠くとする根拠は、要するに校内にいた被告人らを写真撮影し
たE校長の所為は、被告人の権利を侵害するものであり、被告人はこれに抗議する
ため本件行為に及んだものであり、仮りに撮影が違法でないとしても、被告人はこ
れが違法であると誤信し、自己の権利を防衛するためやむを得ないと信じてしたも
のであるから誤想防衛に該当するとするものである。
 しかしながら、既に説明したように、被告人のC小の校内への立入りは、建造物
侵入罪として違法なものであつたのであり、管理者であるE校長の退去要求に被告
人が応じなかつたため、E校長がその証拠の保全のため写真撮影をしたものであつ
て、このことは一般に許容されるものとして違法とはいいがたく、また本件にあら
われた一切の証拠を検討しても、被告人がE校長の写真撮影を違法であると誤信
し、自らの権利を防衛するためやむを得ずになした行為であると推測すべき資料は
存しないから、所論誤想防衛の主張は採用しがたい。所論引用の東京高裁昭和四五
年一〇月九日判決(判例時報六一九号二八頁)は、事案を異にし、本件に適切では
ない。
 控訴趣意第三量刑不当の主張について
 所論は、要するに、被告人を懲役六月、執行猶予二年に処した原判決の量刑が不
当に重い、というのである。
 そこで調査するに、被告人の本件犯行は、原判示第一ないし第三のとおりであ
り、原判決が利益、不利益な量刑の事情として説示するところも正当として首肯す
ることができる。障害児教育の理念及びその実現のための手段について、見解のわ
かれるところはすでに述べたとおりであり、現行の制度を批判し改革をせまる運動
は、運動それ自体としてはいうまでもなく正当であるけれども、その実現を急ぐあ
まり、本件のごとき行為に及ぶことが許されないこともすでに述べたとおりであ
る。原判決後の昭和五六年五月二二日から同年六月二〇日まで、C小において、B
の試験的学習参加が試行され、昭和五七年一月にいたり右試行が再開される機運に
あることを、被告人のため有利に斟酌し、また、被告人が地方公務員の地位にある
ことを考慮に容れても、原判決が被告人を懲役六月、執行猶予二年に処した量刑
は、けだしやむを得ないものであつて、これを不当として破棄すべきものとは認め
られない。
 論旨は理由がない。
 控訴趣意第四訴訟手続の法令違反の主張について
 所論は、要するに、弁護人が取調請求をした証人Bは、C小への転校要求当事者
であり、同要求の正当性及び本件当時の目撃者として本件実行行為の存否について
は貴重な存在であり、検察官も右請求につき然るべくの意見を述べたにもかかわら
ず、原審は、合理的理由もなく右請求を却下した。また、弁護人が原審第六回公判
において、E、J、Iの証言の信用性判断のため、同人ら及びQの各警察官、検察
官に対する供述調書及び綾瀬警察署警察官が昭和五六年五月二六日午後零時三〇分
ころから同一時三〇分ころまでの間に、C小付近で撮影した写真全部の証拠開示を
申し立てたのに対し、原審は職権を発動しなかつたが、原審の右各訴訟手続には、
判決に影響を及ぼすことの明らかな訴訟手続の法令違反がある、というのである。
 しかしながら、Bの転校の希望意思については、すでに原審証人Fの供述により
明らかにされており、本件各犯行の目撃状況に関しては、原審は被害者であるE、
同じくJを取調べたほか、目撃者としてG、Iを検察官側の証人として、Hを弁護
人側の証人として取調べており、原審の右の証拠調は、必要かつ充分なものであつ
たというべきであつて、弁護人の請求した証人Bは、これらの点について必ずしも
不可欠の証人であつたとは認められないから、原審がその裁量により右証人申請を
却下したのは相当であり、その訴訟手続に法令違反はないといわなければならな
い。つぎに、裁判所は、証拠調の段階に入つた後、弁護人から、具体的必要性を示
して、一定の証拠を弁護人に閲覧させるよう検察官に命ぜられたい旨の申出がなさ
れた場合、事案の性質、審理の状況、閲覧を求める証拠の種類及び内容、閲覧の時
期、程度及び方法その他諸般の事情を勘案し、その閲覧が被告人の防禦のため特に
重要であり、かつこれにより罪証隠滅、証人威迫等の弊害を招来する虞がなく、相
当と認める時は、その訴訟指揮権に基づき、検察官に対し、その所持する証拠を弁
護人に閲覧させるよう命ずることができることは判例の示すとおりである。これを
本件についてみるに、記録によれば、弁護人は、原審第六回公判において、所論指
摘の証拠の開示を、Eの捜査官に対する供述調書及び写真については即時、J、
I、Qの各捜査官に対する供述調書については、J、I各証人に対する主尋問終了
後直ちに、として申し立てたのである。ところで、証人Eに対しては、第三回公判
で検察官の主尋問が行なわれたのであるが、その尋問において、同人の捜査段階に
おける供述と牴触することを窺わせる供述はなく、また、弁護人の反対尋問は、第
四、第五回公判にわたり、極めて詳細になされ、その間においても捜査段階におけ
る供述との矛盾を窺わせる供述は全くなく同人に対する尋問は完了したのであるか
ら、反対尋問のための右供述調書の閲覧の具体的必要性は認められず、同証人の証
言に対する反証のための閲覧の必要性も認めがたいのであつて、それらの閲覧が被
告人の防禦のため特に重要であるということはできない。また、昭和五四年一二月
一七日の第六回公判において、検察官は、証人J、同Iに対する主尋問を終了した
が、同証人らの尋問において、捜査段階における供述と牴触することを窺せる供述
はなく、反対尋問のために、右各供述調書を閲覧する具体的必要性があつたとは認
められない。のみならず、証人Eの右第三ないし第五回公判における証言の一部を
掲載してこれを糺弾するビラが頒布されたこと及び右第六回公判における証人J、
同Iの証言の一部を指摘して批判を加えた被告人作成名義の「ともに」と題する七
九年一二月二二日付第三号のビラが頒布されたことが認められるのであつて、右各
証人に対する証人威迫の虞がないとは断じがたい状況にあつたというべきである。
また、検察官は、第六回公判において証人Qの取調請求を撤回しているのであり、
所論指摘の写真は、その存否すら明らかではなく、また、それらの閲覧が被告人の
防禦のため特に重要であつたと認めるべき資料もない。したがつて、第七回公判に
おいて、本件事案の性質、審理の方法、進行状況、証拠開示による弊害の発生の虞
等を総合考慮し、弁護人から申出のあつた証拠について、いずれも職権を発動しな
いとした原審の訴訟手続には、法令の違反はないといわなければならない。
 論旨は理由がない。
 そこで、刑訴法三九六条により本件控訴を棄却し、刑訴法一八一条一項本文によ
り当審における訴訟費用の全部を被告人に負担させることとして、主文のとおり判
決する。
 (裁判長裁判官 船田三雄 裁判官 櫛淵理 裁判官 門馬良夫)

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