弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を大阪地方裁判所に差戻す。
         理    由
 上告理由第一、ないし第三点について、
 論旨第一点は、上告人の営業休日に、何らの権限を持たない従業員Aが本件係争
物件を被上告人に引渡したのを適法とした原判決に法令適用の誤まりがあるとし、
同第二、三点は右物件の引渡は、製作代金の支払と引換になすべきで、これによつ
て始めてその所有権が注文主Bに移転するものと解すべきであるのに、単なる憶測
をもとにして、Aが被上告人に引渡したときに所有権が移転したと断定したのは慣
習法違反、審理不尽であるという。
 ところで、原審において、上告人の主張した請求原因は、上告人が訴外Bの注文
によりバイパス配管一〇組を製作して所有していたところ、被上告人がこれを無断
持ち出して他に処分し、上告人の所有権を侵害したから、当時の時価相当額と弁護
士費用を不法行為による損害として賠償請求をするというのである。しかしなが
ら、原判決の認定と原審口頭弁論の全趣旨によると、被上告人は右Bに対し乾燥炉
一式の製作を請負わせたところ、同訴外人がその部品である本件物件の製作を上告
人に依頼し、その材料はすべて被上告人の提供したものがBを通じて上告人に交付
されたのであり、上告人がこれを完成してBに引取り方を電話連絡したところ、同
人は被上告人がその完成を急いでいたため、これに知らせた結果、被上告人が直接
引取りに赴いたが、偶々その日が盆の休日で上告人は営業を休んでおり、現場に居
合わせた上告人の使用人が製作代金未払の事実を知らずに引渡し、一方Bは倒産
し、右代金は未回収に終つたとの事案である。してみると、製作材料を全く提供し
ていない上告人が製作完了によりその所有権を取得するということは法律上あり得
ないことであるから、上告人が本訴請求原因として主張した法律構成は明らかに法
律の誤解に基づくものであつて、上告人が本訴において主張するところを合理的に
解釈するならば、上告人が真に判断を求めているのは、係争物件の所有権の帰属で
はなく、Bの倒産した現在、被上告人から右製作代金相当額を回収することができ
るか否かの点にあるものと見なければならない。しかも被上告人は上告人に対し何
ら直接の契約関係に立たない関係上、Bに代つて右の引渡請求をしたものと見られ
る一方、上告人は当然これに対して留置権を以て対抗できるのであるから、被上告
人は事情を知らないAから右引渡を受けたことにより、本来上告人に右代金を支払
わなければその引渡を受けられないに拘わらず、その支払を免れた点において、不
当利得を生じた場合に該当するか否かを公平の理想に照して検討を要するわけであ
り、ひいでは、被上告人が右製作代金の未済の事実を知つていたか否かを審理する
必要も起るであろう。
 <要旨>このように考えると、本件のごとく当事者の主張に明白な誤解のある場合
には、裁判所としでは、単に当事者の主張するところがそのまま真の争点で
あると軽信すべきではなく、後見的機能に基づいて、右の誤解を指摘して、主張の
再検討を命じた上で、更に当事者双方の主張立証を尽さしめるのでなければ、事案
の核心に触れた審理判断をしたものとはいえない。したがつて、原審がこの点を看
過して当事者の誤つた主張をそのまま排斥したことは極めて顕著な審理の粗雑のた
め裁判所のなすべき釈明権の不行使の違法があり、ひいでは、審理不尽の違法があ
るといわなければならない。また以上のとおり考えてみると、原判決がAを上告人
の履行補助者と見たことの根拠も不十分といわなければならない。してみると上告
論旨の内所有権の移転に関する部分は誤まりであるが、その余はいずれも理由があ
るといわなければならない。
 よつて、民訴法四〇七条により原判決を破棄して本件を大阪地方裁判所に差戻す
こととし、主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 沢井種雄 裁判官 野田宏 裁判官 中田耕三)

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