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平成28年4月20日判決言渡
平成25年(行ウ)第744号江戸川スーパー堤防事業仮換地処分取消請求事件
主文
1原告Aの訴えを却下する。
2その余の原告らの請求をいずれも棄却する。
3訴訟費用は原告らの負担とする。
事実及び理由
第1請求
1原告B,原告C及び原告A
処分行政庁が原告B及び原告Cに対し平成25年7月16日付けでした,別
紙1-1「物件目録」記載1の土地について仮換地を指定する処分を取り消す。
2原告D
処分行政庁が原告Dに対し平成25年7月16日付けでした,別紙1-1「物
件目録」記載2の土地について仮換地を指定する処分を取り消す。
3原告E
処分行政庁が原告Eに対し平成25年7月16日付けでした,別紙1-1「物
件目録」記載3及び4の各土地について仮換地を指定する処分を取り消す。
第2事案の概要
1本件は,東京都市計画事業α東部土地区画整理事業(以下「本件区画整理事
業」という。)に関し,施行者である処分行政庁において,土地区画整理法9
8条1項に基づき,施行地区内の宅地について仮換地を指定する処分をしたと
ころ,同宅地又はその上に存する建物の所有者であった原告らが,上記処分は,
国による高規格堤防の整備(盛土工事)の実現を目的とするものであって,従
前とその目的を異にするに至ったのに事業計画の変更手続を経ないでされ,又
は同法が定めた目的以外の目的若しくは不当な動機でされた違法なものである
などと主張して,上記処分のうち自己を相手方とするもの(原告Aを除く原告
ら)又は上記建物の敷地を従前地とするもの(原告A)の取消しを求めている
抗告訴訟(処分の取消しの訴え)である。
2関係法令の定め
関係する法令の定めは,別紙2「関係法令の定め」のとおりである。以下で
は,法令及び用語の表記及び略称は,同別紙の定めに従う。なお,特別区は,
法令により都が処理することとされているものを除き,市が処理することとさ
れているものを処理する(地方自治法281条2項参照)。
3前提事実
以下に掲げる事実は,当事者間に争いのない事実,顕著な事実又は証拠等に
より容易に認めることのできる事実である。なお,認定に用いた証拠等は,そ
の旨又はその番号(特に断らない限り枝番を含む。)を各事実の末尾に括弧を
付して掲げる。
(1)当事者
ア原告B及び原告Cは,別紙1-1「物件目録」記載1の土地(以下「本
件土地1」という。)の共有者(持分各2分の1)である。(争いのない
事実,甲14の1,乙12,13)
イ原告Dは,別紙1-1「物件目録」記載2の土地(以下「本件土地2」
という。)の所有者である。(争いのない事実,甲14の2,乙14)
ウ原告Eは,別紙1-1「物件目録」記載3の土地(以下「本件土地3」
という。)及び同記載4の土地(以下「本件土地4」という。)の所有者
である。(争いのない事実,甲13)
エ原告Aは,平成25年7月30日当時,別紙1-1「物件目録」記載5
の建物(以下「本件建物」という。)の所有者であった。(甲16の2,
甲17の5)
オ被告兼処分行政庁(江戸川区。以下単に「被告」という。)は,本件区
画整理事業(東京都市計画事業α東部土地区画整理事業)の施行者である。
(争いのない事実)
(2)本件区画整理事業の施行地区
ア本件区画整理事業の施行地区(以下「本件施行地区」という。)は,東
京都江戸川区α及び同区βの各一部であり,江戸川区の北部に位置する。
(甲8の3)
イ本件施行地区は,都市計画道路放射○号線,補助○号線,F○線,江戸
川により囲まれた面積約1.4haの地区(別紙1-2「区域図」の施行地
区界内)である。平成23年3月30日当時の本件施行地区内の現況は,
別紙1-3「現況図(イ)」のとおりであった。(甲8の3)
ウ本件土地1から4までは本件施行地区内に存する。すなわち,本件土地
1は別紙1-2「区域図」の「×-6」の土地,本件土地2は同図面の「×
-1」の土地,本件土地3は同図面の「×-9」の土地,本件土地4は同
図面の「×-11」の土地である。(争いのない事実,甲8の3)
エ平成25年7月16日当時,本件建物は本件土地1上に存した。(甲8
の3,甲16の2,甲17の5)
(3)高規格堤防の概要
高規格堤防(河川法6条2項)は,「スーパー堤防」と通称され,一般的
には,幅が広く(幅が高さの約30倍),緩やかな台地のような形状で盛土
がされている堤防のことをいう。そのため,一般的には,高規格堤防が設置
されている場合には,計画高水流量を上回る超過洪水が生じたときであって
も,越流が斜面を緩やかに流れ,破堤による甚大な被害の発生を免れること
ができるといわれている。
高規格堤防は,一般の堤防とは異なり,堤防の裏法部が平坦な土地である。
そのため,高規格堤防の敷地である土地の区域内の大部分は,住宅,道路又
は公園の敷地等として,通常の利用に供されることが予定されている。(争
いのない事実,甲1,2,34,36,37)
(4)国と被告における高規格堤防及び市街地の整備に向けた検討等の状況
ア江戸川の概要
江戸川は,利根川から分かれ東京湾に注ぐ,延長約60㎞,流域面積約
200㎢の河川である。江戸川は,利根川水系に属する一級河川であり,
国土交通大臣(以下「国交大臣」という。)が河川管理者である。この国
交大臣の権限のうち,河川管理施設の設置に関するものは,河川法98条,
河川令53条に基づき,関東地方整備局長(以下では同局を「整備局」と
いい,同局長を「整備局長」という。)に委任されている。(甲2,弁論
の全趣旨)
イ工事実施基本計画の改定
建設省河川局は,昭和63年3月,利根川水系工事実施基本計画を改定
し,江戸川につき高規格堤防の整備を図ることとし,さらに,平成4年4
月,同計画を改定し,江戸川について高規格堤防を整備する区間等を定め
た。(乙28,30)
ウ江戸川区街づくり基本プランの策定
江戸川区は,平成11年2月,江戸川区街づくり基本プラン(都市マス
タープラン)を策定し,○線沿線等の早くから発展した地域では,狭あい
な道路基盤の上に木造密集住宅地が連坦し,防災上の危険性や土地利用の
非効率性等の都市問題が顕在化していることから,既成市街地のうち木造
密集度の高い地区を「木造住宅密集地域等」に指定し,とりわけ密集度の
高い地区から区民と区の協働により整備に取り組むなどとした上で,本件
施行地区を木造住宅密集地域等に指定した。(乙25)
エ江戸川沿川整備基本構想の策定
国土交通省(以下「国交省」という。)整備局,東京都及び被告等の設
置した「江戸川沿川整備基本構想策定委員会」は,平成13年3月,江戸
川沿川整備基本構想を策定した。同基本構想は,江戸川(利根川から分流
する地点から河口部等)における高規格堤防及び市街地の整備の指針とし
て,市街地整備等の機会を捉えて高規格堤防の整備を推進する,高規格堤
防の整備に当たっては土地利用の状況や自然環境の保全等を考慮するなど
の基本的考え方を示した上,整備を推進する地区として10地区,整備の
計画づくりを進める地区として3地区,調査・検討を進める地区として3
0地区を選定した。(乙31)
オ江戸川区長期計画の策定
被告は,平成14年7月,江戸川区長期計画を策定した。同長期計画は,
木造住宅密集地区では,区民と区の協働によるまちづくりを推進し,防災
性及び居住環境の向上を図るため,密集住宅市街地整備促進事業(道路や
公園等の公共施設等の整備や老朽木造住宅の建替え等を促進する事業)等
により細街路の整備を進めるとともに,○線沿線の早くから市街地を形成
した地域や木造密集市街地等においては,地域の安全性や快適な住環境づ
くりをするため,建築物の建替え等の機会を捉え細街路の拡幅整備を図る
などとしたものであり,一層の防災性と水辺環境の向上を図るため,市街
地整備に併せ,江戸川等の高規格堤防の整備促進に努める,国や東京都に
対し高規格堤防の整備等を要請することとした。(乙26)
カ利根川水系河川整備基本方針の策定等
国交省河川局は,平成18年2月14日,利根川水系河川整備基本方針
を策定し,人口資産が稠密な首都圏を氾濫域に抱えており,氾濫した場合
の壊滅的な被害が予想される区間について高規格堤防を整備する,首都圏
の壊滅的な被害を防止するため江戸川等において高規格堤防を整備するこ
ととした。(乙32)
他方,被告は,同年12月20日,「江戸川区スーパー堤防整備方針」
を策定し,水害対策として,江戸川,荒川及び中川等の沿川に高規格堤防
を整備する必要があるとした。(争いのない事実,甲2)。
キ住民に対する説明等
被告(土木部沿川まちづくり課推進第一係)は,平成18年6月頃から,
本件施行地区を含めたγ地区の住民らに対し,高規格堤防の整備及びまち
づくりの必要性又は具体的内容等を記載した「まちづくりニュース」と題
する書面を配布するとともに,上記住民らの意見聴取を目的とする意見交
換会及び個別懇談会,既に完成した他の地区の高規格堤防及び土地区画整
理事業の現場を見学する「スーパー堤防とまちづくり見学会」を実施する
などした。(甲38~54,58)
(5)本件区画整理事業に係る都市計画の決定
ア被告は,平成21年7月5日,都市計画法16条1項に基づき,本件区
画整理事業の都市計画(以下「本件都市計画」という。)の案につき,都
市計画素案説明会を実施した。(争いのない事実)
イ被告は,平成21年7月31日,都市計画法19条3項に基づき,本件
都市計画につき,東京都知事に協議した。東京都知事は,同年8月19日,
これに同意した。(争いのない事実)
ウ被告は,都市計画法17条1項に基づき,平成21年9月1日,本件都
市計画を決定しようとする旨を公告した上,同日から同月15日までの間,
本件都市計画の案を公衆の縦覧に供した。(争いのない事実,甲3の4)
エ被告は,平成21年10月21日,都市計画法19条1項に基づき,江
戸川区都市計画審議会に本件都市計画の案を諮問した。同案には,「事業
の実施については,国土交通省の高規格堤防事業と共同で行う予定である」
と記載されていた。(争いのない事実,甲3の5)
オ江戸川区都市計画審議会は,平成21年11月12日,上記エの案を了
承した。(争いのない事実)
カ被告は,平成21年11月24日,都市計画法19条1項に基づき,要
旨,別紙3-1「本件都市計画の概要」のとおり,本件都市計画を決定し
た(以下「本件都市計画決定」という。)。本件都市計画決定には,「密
集市街地を改善し,生活環境が向上した安全な市街地を形成するため,上
記のとおり土地区画整理事業を決定する。なお,事業の実施については,
国土交通省の高規格堤防事業と共同で行う予定である」と記載されていた
(別紙3-1の6参照)。(争いのない事実,甲3の1,2)
キ被告は,平成21年11月24日,都市計画法20条1項に基づき,本
件都市計画決定をした旨を告示した(平成21年江戸川区告示第435号)。
江戸川区長は,同条2項及び都市計画法施行規則12条に基づき,同日か
ら本件都市計画の図書を公衆の縦覧に供した。(争いのない事実,甲3の
1)
(6)高規格堤防事業の見直し
ア内閣府の行政刷新会議ワーキンググループは,平成22年10月28日,
社会資本整備事業特別会計に関する事業仕分けを行い,高規格堤防を整備
する事業(以下「高規格堤防事業」という。)をいったん廃止するとの意
見を取りまとめた。(争いのない事実,甲5,乙29)
イ国交省河川局は,平成22年12月,上記アの事業仕分けを受け,平成
23年度においては,中止した場合に住民等の社会経済活動に重大な支障
を及ぼすものを除き,高規格堤防事業に予算措置を講じないことを決定し
た。(争いのない事実,甲6,7)。
ウ被告(土木部沿川まちづくり課推進第一係)は,平成22年11月1日
付け「α東部地区まちづくりニュース」(№76)において,次のとおり
記載した。(甲39の20)
「10月28日に国が行った「事業仕分け」において,「スーパー堤防
事業が一旦廃止」と決まったことについて,…様々なご不安の声をいただ
きました。今まで皆さまにお話ししてきたとおり,この地区は道路が狭く,
階段道路や行き止まり道路が存在するなど緊急車両のアクセスも困難なこ
と,車両の出入りは市川橋を渡り千葉県から戻ってこなければ地区内に入
れないこと,更には昭和56年以前の耐震基準で建てられた住宅(地震時
に倒壊する危険性が高い住宅)が密集しているなど多くの課題をかかえて
います。これらの課題を解消するためにまちづくりを進めてきました。本
区は,今後も今までと変わらず地区の皆さまと一緒に…土地区画整理事業
を進めてまいります」
エ江戸川区長は,平成23年2月17日,江戸川区議会第1回定例会(第
2日)において,上記アの事業仕分けに関し次のような答弁をした。(甲
52)
「かねがね申しておりますように,国土交通省と組んで,とにかく一方
では私たちが通常行っている区画整理を事業として進め,そこにこのスー
パー堤防事業をかぶせてやっていきましょうと,こういうことで進めてき
たわけでございます」,「国土交通省に,これまで進めてきた延長線上で,
とにかく一緒になってやってくれということをいっております」,「スー
パー堤防については,私は今まで自らやるということを一回も言ったこと
はありません。しかも私たちは国のお話を信用していろいろ進めてきたわ
けでありますから,国がやめると言ったら国の義務違反になると。こうい
うことでありますから,別に私どもの負うべき責任ではない。つまり国が
考え方をきちっと踏襲してもらわなければ困るということを再々強く要請
しているわけで,そのことについてもうやめたよということは向こうも言
っておりませんから,私たちは粘り強くそれを要求していくと,こういう
ことになるわけであります」
オ国交省の設置した「高規格堤防の見直しに関する検討会」は,平成23
年8月11日,高規格堤防事業について,人命を守るということを最重要
視し,「人口が集中した区域で,堤防が決壊すると甚大な人的被害が発生
する可能性が高い区間」(例えば,海面下地帯や密集した市街地で浸水深
の大きい地域を防護する区間)に大幅に絞り込んで整備することなどを提
案した。(乙27)
カ国交省水管理・国土保全局(以下「水管理局」という。)は,平成23
年12月,平成24年度においては,「人口が集中した区域で,堤防が決
壊すると甚大な人的被害が発生する可能性が高い区間」(約120㎞)の
高規格堤防事業について,予算措置を講じることを決定した。(乙35)
(7)本件区画整理事業に係る事業計画の決定
ア江戸川区長は,平成22年5月10日,区整法55条1項に基づき,同
日から同月24日までの間,本件区画整理事業の事業計画(以下「本件事
業計画」という。)を公衆の縦覧に供した。東京都知事は,上記期間中,
同条2項に基づく意見書884通の提出を受けた。なお,本件事業計画の
設計の概要には,本件区画整理事業の目的が以下のとおり記載されており,
高規格堤防の整備に関する直接の言及はなかった。(争いのない事実,甲
8の4~6)
「本地区は江戸川沿いの密集市街地であり,道路の幅員は狭小で,かつ
行き止まり道路も多く,緊急時の消防車等の進入路や災害時の避難経路を
確保する上で課題を抱えているため,生活環境や安全性の面から市街地整
備の改善が急がれる地区である。
また,江戸川区街づくり基本プランにおいても,δ地域の将来像は「魅
力ある商店と閑静な住宅街が織り成すふれあいの街」とされており,その
中で本地区は密集市街地の改善を図り,必要な基盤施設を整備し,一般住
宅地を形成するエリアに位置付けられている。
これらの背景のもと,本事業は,都市基盤と住環境の改善を図り,安全・
安心で快適なまちづくりを行うことを目的とする」
イ江戸川区長は,平成22年11月16日,東京都(都市整備局市街地整
備部長)に対し,上記アの意見書について,施行者の見解を示した。同区
長は,この中で,「本地区は,三方を盛土により囲まれた地形条件がまち
の課題の要因となっていることから,高規格堤防事業の有無に関わらず,
土地区画整理事業の施行にあたっては盛土造成を行い,隣接地との高低差
を解消することが必要である」との見解を示した。(甲8の6,乙34,
弁論の全趣旨)
ウ東京都は,平成22年12月15日,16日及び19日,区整法55条
5項,行政不服審査法25条に基づき,52名について,口頭での意見陳
述を実施した。(争いのない事実,弁論の全趣旨)
エ江戸川区長は,平成23年1月11日,東京都(都市整備局市街地整備
部長)に対し,上記ウの口頭での意見陳述について,施行者の見解を示し
た。(弁論の全趣旨)
オ東京都は,平成23年2月21日,区整法55条5項,行政不服審査法
27条に基づき,参考人の陳述を実施した。(争いのない事実)
カ東京都知事は,平成23年3月14日,区整法55条3項に基づき,上
記アの意見書を東京都都市計画審議会に付議した。同審議会は,同日,上
記アの意見書を全て不採択とした。(争いのない事実)
キ東京都知事は,平成23年3月30日,区整法52条1項に基づき,本
件事業計画において定める設計の概要を認可した。(争いのない事実,甲
8の7)
ク被告は,平成23年5月17日,区整法52条1項に基づき,要旨,別
紙4-1「本件事業計画の概要」のとおり,本件事業計画を決定した(以
下「本件事業計画決定」という。)。(争いのない事実,甲8の1,3)
ケ被告は,平成23年5月17日,区整法55条9項に基づき,本件事業
計画に関する所定の事項を公告する(平成23年江戸川区告示第177号)
とともに,同条10項に基づき,本件事業計画の施行地区(本件施行地区)
及び設計の概要を表示する図書を公衆の縦覧に供した(同第178号)。
(争いのない事実,甲8の1~3)
コ本件事業計画決定の取消しの訴え
原告ら外3名は,平成23年11月11日,東京地方裁判所に,本件事
業計画決定の取消しを求める訴えを提起した(平成23年(行ウ)第65
5号江戸川区スーパー堤防事業取消請求事件)。(乙18,顕著な事実)
同裁判所は,平成25年12月12日,この請求をいずれも棄却する旨
の判決を言い渡し,原告ら(原告Dを除く。)は,東京高等裁判所に控訴
を提起した(平成26年(行コ)第5号江戸川区スーパー堤防事業取消請
求控訴事件)が,同裁判所は,平成26年10月2日,この控訴をいずれ
も棄却する旨の判決を言い渡した。原告ら(原告Dを除く。)は,最高裁
判所に上告の提起及び上告受理の申立てをした(平成27年(行ツ)第1
2号,同年(行ヒ)第13号)が,同裁判所は,平成27年11月18日,
この上告を棄却するとともに,上記事件を上告審として受理しない旨の決
定をした。(乙18~20,顕著な事実,弁論の全趣旨)
(8)高規格堤防事業の見直し後の整備区間の選定
ア水管理局治水課長は,平成24年9月3日付けで,関東地方整備局・近
畿地方整備局河川部長あて「高規格堤防の整備区間について」(平成24
年国水治第71号通知)を発出した。同通知は,「人命を守る」というこ
とを最重視し,そのために必要な区間として,「人口が集中した区域で,
堤防が決壊すると甚大な人的被害が発生する可能性が高い区間」とするこ
とにし,その他の区間については高規格堤防の整備は実施せず,必要な堤
防強化対策を積極的に実施するものとした。本件施行地区は,上記区間に
含まれるものであった。(乙36)
イ整備局は,平成25年1月29日,利根川水系利根川・江戸川河川整備
計画(原案)を公表した上,合計4回の有識者会議を開催し,当該原案に
ついて意見を聴いた。また,上記原案について住民から意見募集を行い,
157通の意見書の提出を受けた。そして,同年2月,4会場において前
記原案に対する公聴会を開催し,32名から意見を聴いた。その後,同年
4月,利根川水系利根川・江戸川河川整備計画(案)を公表し,関係都知
事の意見を聴く手続を実施した。(乙4~9,18)
ウ整備局は,平成25年5月15日,利根川水系利根川・江戸川河川整備
計画を策定し,江戸川下流部については,堤防が決壊すると甚大な人的被
害が発生する可能性が高い区間について,まちづくり構想や都市計画との
調整を図りつつ,高規格堤防の整備を行うこととした。本件施行地区は,
上記区間に含まれるものであった。(乙3,18,38)
(9)被告と国による協定の締結
ア整備局長と江戸川区長は,平成25年5月30日付けで,「α地区高規
格堤防整備事業及びα東部土地区画整理事業に関する基本協定書」(以下
「本件基本協定書」という。)を作成し,前者が施行するα地区高規格堤
防整備事業(以下「本件堤防事業」という。)と後者が施行する本件区画
整理事業及び緑地広場整備事業(以下「本件区画整理事業等」という。)
との一体整備(以下「本件共同事業」という。)に関する基本的事項につ
いて,協定を締結した(以下「本件基本協定」という。)。本件基本協定
書の要旨は,①協定の範囲は本件施行地区に河川区域を加えた区域とす
ること(3条),②協定の範囲のうち盛土に係る施行を国が行い(4条),
共同事業に係わる費用負担のうち盛土に要する費用は国がその全額を負担
すること(6条),③国は,盛土完了後速やかに河川法6条2項の規定
に基づく高規格堤防特別区域の指定を行い,河川区域及び高規格堤防特別
区域に係わる登記の嘱託を行うこと(11条),④換地処分を行うとき
は,本件協定上の財産区分及び管理区分に基づく権利義務の承継を行うこ
と(12条)などである。(争いのない事実,甲10)。
イ整備局長と江戸川区長は,平成25年8月8日付けで,「α地区高規格
堤防整備事業及びα東部土地区画整理事業との建物等の移転補償等の費用
負担に関する細目協定書」を作成し,本件基本協定書6条に規定する補償
に関する費用負担について,細目を定める協定を締結した。(乙40)
ウ整備局長と江戸川区長は,平成25年12月6日付けで,「α地区高規
格堤防整備事業及びα東部土地区画整理事業に関する施工協定書」を作成
し,本件基本協定書4条,6条に規定する本件共同事業に係わる施行区分,
費用負担及び工程等について,基本的な事項を定める協定を締結した。同
協定4条は,共同事業に関する費用(概算総額13億1535万7000
円)のうち,整備局長は10億0539万7000円,江戸川区長は3億
0996万円を負担すると定めた。(乙41)
(10)本件区画整理事業に係る仮換地の指定等
ア被告は,平成25年7月16日,区整法98条1項に基づき,本件施行
地区内の宅地のうち,別紙5「仮換地指定(整理前)」の「仮換地につい
て使用又は収益を開始することができる日別に定めて通知する」土地と
されているもの(薄い緑色部分。以下「対象地」という。)について,仮
換地を指定した。本件土地1から4までは,対象地に含まれていた(以下
では,上記仮換地の指定のうち,本件土地1から4までに係るものを「本
件仮換地指定」という。)。(争いのない事実,甲13,乙12~14,
18,22)
イ被告は,平成25年7月16日,区整法98条5項,99条2項に基づ
き,対象地の所有者ら(原告B,原告C,原告D及び原告Eがこれに含ま
れる。)に対し,①仮換地の位置及び地積,②従前の宅地について使
用し又は収益することができなくなる日(平成25年12月16日である
こと),③仮換地について使用又は収益を開始することができる日(別
に定めて通知すること)を通知した。(争いのない事実,甲13,乙12
~14,18,22)
ウ被告は,平成25年7月23日から同年8月27日までの間,区整法7
7条2項に基づき,本件施行地区内の建築物等の所有者に対し,所定の期
限の後にこれらを除却する旨を通知するとともに,同期限までに自ら除却
する意思があるか否かを照会した。被告は,本件建物の所有者である原告
Aに対しては,平成25年7月30日に,同年12月16日までにこれら
を除却する旨を通知するとともに,同日までに自ら除却する意思があるか
否かを照会した。(争いのない事実,甲16,乙18,弁論の全趣旨)
エ本件仮換地指定の取消しの訴え
原告らは,平成25年11月26日,当裁判所に,本件仮換地指定の取
消しを求める本件訴えを提起した。(顕著な事実)
オ被告は,区整法90条に基づき,本件施行地区内の宅地のうち,別紙5
「仮換地指定(整理前)」の「使用し,収益を停止する」土地とされてい
るもの(水色部分)について,換地を定めないこととした。そして,被告
は,平成26年12月10日までに,区整法100条1項に基づき,上記
宅地の所有者に対し,当該宅地について使用し又は収益することを停止さ
せた。(乙18,22,弁論の全趣旨)
カ被告は,平成26年12月10日までに,区整法77条7項に基づき,
本件施行地区内の全ての建築物等(本件建物を含む。)の除却を完了した。
(争いのない事実,乙10,11,17,18,弁論の全趣旨)
(11)本件区画整理事業に係る事業計画の変更
ア被告は,平成26年1月24日,区整法55条13項,1項に基づき,
同日から同年2月7日までの間,別紙4-3「本件事業計画の変更の概要」
のとおり変更した本件事業計画(以下「本件変更後事業計画」という。)
を公衆の縦覧に供した。東京都知事は,上記期間中,同条13項,2項に
基づく意見書23通の提出を受けた。なお,上記の変更の理由として,「国
土交通省の高規格堤防整備事業と共同事業に関する基本協定を締結した。
よって本事業の実施にあたっては,高規格堤防整備事業との共同事業とし
て行うため,設計の方針及び資金計画の変更を行う」ことなどが挙げられ,
「造成計画」の欄に,上記整備事業と共同実施となったことなどの記載が
追加された。(争いのない事実,乙15,18)
イ東京都知事は,平成27年2月16日,区整法55条13項,3項に基
づき,上記アの意見書を東京都都市計画審議会に付議した。同審議会は,
同日,上記アの意見書を全て不採択とした。(争いのない事実,乙18)
ウ東京都知事は,平成27年2月24日,区整法55条12項に基づき,
本件変更後事業計画において定める設計の概要を認可した。(乙15,1
8,弁論の全趣旨)
エ被告は,平成27年2月27日,区整法55条12項に基づき,本件変
更後事業計画を決定した(以下「本件計画変更決定」という。)。(乙1
8,弁論の全趣旨)
オ被告は,平成27年2月27日,区整法55条13項,9項に基づき,
本件変更後事業計画に関する所定の事項を公告するとともに,同条13項,
10項に基づき,本件変更後事業計画の施行地区(本件施行地区)及び設
計の概要を表示する図書を公衆の縦覧に供した(平成27年江戸川区告示
第74号)。(弁論の全趣旨)
(12)盛土工事の実施等
ア整備局(江戸川河川事務所)は,平成26年12月頃,本件施行地区に
おいて,盛土をする工事(以下「本件盛土工事」という。)を開始した。
(乙17,18,弁論の全趣旨)
イ原告らは,平成26年11月12日,東京地方裁判所に,国及び江戸川
区を被告として,人格権又は所有権に基づく本件堤防事業に係る工事の差
止め,及び国家賠償法1条1項に基づく損害賠償等を求める訴えを提起し
た(平成26年(ワ)第29852号江戸川区スーパー堤防差止等請求事
件。以下「別件民事訴訟」という。)。(乙18,21,顕著な事実,弁
論の全趣旨)
4主たる争点
(1)本案前の争点(請求1関係)
原告Aは,本件仮換地指定のうち本件土地1に係る部分(以下「本件仮換
地指定1」という。)の取消しを求めるにつき「法律上の利益」(行政事件
訴訟法9条1項)を有しているか否か。(争点1)
(2)本案の争点(全請求関係)
ア本件仮換地指定は,事業計画の変更の手続を経ずにされたことを理由に,
違法なものとなるか否か。(争点2)
イ本件仮換地指定は,区整法が定めた目的以外の目的又は不当な動機でさ
れたという行政権の濫用を理由に,違法なものとなるか否か。(争点3)
第3主たる争点についての当事者の主張の要旨
1争点1(原告Aの「法律上の利益」の有無)について
(1)被告の主張
原告Aは,そもそも,本件仮換地指定1の相手方(名宛人)ではなく,本
件土地1上に存する建築物(本件建物)の所有者にすぎないから,同指定の
直接的な効力を受ける者ではない。また,仮に原告Aが本件仮換地指定1よ
り本件建物の除却を受忍すべき地位に置かれるとしても,同除却は既に完了
している。
したがって,原告Aは,本件仮換地指定1の取消しを求めるにつき「法律
上の利益」を有していない。
(2)原告Aの主張
原告Aは,本件土地1上に存する本件建物を所有していたところ,本件仮
換地指定1により本件建物の除却を受忍すべき地位に置かれる(区整法77
条参照)から,その取消しを求めるにつき「法律上の利益」を有する。
2争点2(事業計画の変更手続を欠くという違法の有無)について
(1)原告らの主張
本件仮換地指定は,本件事業計画の変更の手続を経ずにされており,違法
である。
ア本件事業計画の変更の必要性があること
(ア)本件堤防事業が本件区画整理事業の目的となることが明らかになっ
たこと
土地区画整理事業の事業計画においては,設計の概要を定め(設計説
明書を作成し),その中に当該事業の目的を記載しなければならない(区
整法6条1項,区整規則6条1項,2項1号)。
本件区画整理事業は,そもそも事業計画を策定する当初から,高規格
堤防の整備と市街地整備とを一体的に推進すべく,本件堤防事業と共同
して実施することを前提としていたところ,国において高規格堤防事業
を廃止するとの判断がいったんは下されたが,再度実施することとされ,
本件基本協定の締結により,実質的にも形式的にもこの点が明確となっ
た(同(9)参照)。
本件区画整理事業は,上記のとおり,国における高規格堤防事業の廃
止から再度の実施決定まで進行せず,本件基本協定において国が本件施
行地区における盛土費用の全額を負担するとされていることからも明ら
かなように,本件堤防事業との共同実施に基づく国の負担がなければ実
施することができないものである。さらに,本件事業計画において施行
者の負担とされている費用も,最終的には,全て国又は都の補助金又は
交付金により賄われ,被告が独自に負担する部分がない。
本件区画整理事業の「都市基盤と住環境の完全を図り,安全で快適な
活力あるまちづくり」という目的(別紙4-1第3の1(1)参照)と,本
件堤防事業の治水目的との間に関連性はなく,両事業を共同して実施す
ることが本件区画整理事業の目的を達成する手段ではあり得ない。本件
区画整理事業を実施するために盛土が必要であるならば,被告が自ら行
うべきであって,国において全面的に行う必要はない。したがって,本
件堤防事業の実施は,本件区画整理事業の主要な目的の一つとなったと
いうべきである。
以上によれば,本件事業計画の設計の概要には,本件区画整理事業の
目的として,本件堤防事業と共同で実施されることが明記されなければ
ならないが,本件仮換地指定の当時,その旨が記載されていなかった。
(イ)本件堤防事業により地権者らの土地に重大な権利利益の制約が発生
すること
本件区画整理事業と本件堤防事業が共同で実施される場合には,本件
施行地区内の宅地は,河川区域となる(河川法6条1項2号参照)上,
高規格堤防特別区域に指定される(同条2項参照)。この場合には,原
則として,工作物の新築等及び土地の掘削等につき河川管理者の許可を
得なければならなくなる(同法26条,27条等参照)など,当該宅地
に重大な制約が発生する。しかも,この許可は河川管理者においてどの
ように運用することもでき,当該宅地に対するマイナスイメージになる
から,その実勢価格が下落する。
したがって,両事業が共同で実施されるか否かは,当該宅地の所有者
らにとって重大な関心事項であり,このことは,事業計画の中に明記さ
れなければならない。
なお,高規格堤防事業と共同実施とされた他の土地区画整理事業(例
えばε地区北部土地区画整理事業)においては,いずれも,事業の目的
として,共同実施である旨が明記されている。
(ウ)盛土の実施主体が変更されたこと
本件区画整理事業は,被告が単独で,本件施行地区の全域にわたって
盛土を行うというものであった(別紙4-1第3の1(3)エ参照)。しか
し,本件基本協定の締結により,同事業は本件堤防事業と共同して実施
され,本件施行地区内における盛土は,第三者である国が行うこととな
った。
この点,盛土は,①人工地盤であるため,固い地盤にするのが難し
く,②材料として残土が使われることが多いため,品質の確保が難し
く,③元々存在していた地盤との間に大きな性格の違いがある。これ
らのことから,盛土がされた土地では,地盤の不連続に起因して,不同
沈下(構造物の基礎地盤が荷重によって沈下する際に場所により沈下量
が異なる現象),斜面崩壊,液状化(地下水位の高い砂地盤が振動によ
り液体状になる現象)等の様々な災害が発生するおそれがある。しかも,
本件施行地区内においては,砂質土による盛土をした場合,その基礎地
盤の特質(もっとも,本件区画整理事業において十分に調査が実施され
ていない。)と相まって,地震が発生したときに盛土層が液状化するリ
スクがある。加えて,高規格堤防は,排水機能を十分に有していない上,
豪雨の際に堤防下に局地的な水害をもたらすなどの問題点がある。
上記のとおり,本件施行地区内における盛土を行う主体が第三者に変
更され,これにより同地区内の住民の生命及び身体に被害が生じるおそ
れがある以上,権利保障及び手続保障の観点から,上記住民は,本件事
業計画の変更手続を通じ,上記盛土の安全性を検討し議論する機会を与
えられるべきであった。
イ本件事業計画の変更が仮換地の指定までにされるべきこと
(ア)仮換地の性質が大きく変わり,不利益が甚大であること
本件区画整理事業が,本件堤防事業と共同して実施されるものに変更
されれば,盛土造成部分は国の管理する堤防となり,その敷地は河川区
域に該当し,また,高規格堤防特別区域に指定されることにより,純粋
な民有地から権利の性質を変え,前述のとおり,従前地にはなかった河
川法等により様々な制約が課された土地に変わることとなる。被告によ
る単独事業を前提にされた本件仮換地指定は,原告らに従前地と同様の
完全な民有地としての所有権を保障するものであるが,本件堤防事業と
の共同実施への変更が認可されれば,そのような仮換地の指定は実行不
可能となる。
このように,事業計画決定の段階で想定されていない事業の設計の概
要に変更が生じた場合には,区整法の規定する変更手続を経た上で,変
更後の事業計画に基づき改めて換地計画を立て直してから,仮換地を指
定することが必要である。土地区画整理事業の施行地区内の住民にとっ
て,換地処分により従前の宅地に代えてどのような換地が与えられるか
は,その財産権及び居住権を保障する観点から,本質的に重要な問題で
ある。
また,仮換地の指定は,仮換地の使用又は収益を可能にする代わりに,
従前の宅地の使用又は収益を禁止する(区整法99条1項参照)ととも
に,施行者に対し,同宅地上に存する建築物の移転又は除却をする権限
を与える(同法77条1項参照)という重大な法的効果を有するもので
あって,地権者らに生じる不利益は甚大であり,また原状を回復するこ
とは困難になる。
以上のとおりであるから,仮換地が指定される前に事業計画の内容に
変更が生じ,本件のようにその変更の有無により住民らの権利に重大な
影響を与える場合には,事業計画の変更の手続を経なければ,仮換地を
指定することは許されないというべきである。
(イ)住民参加手続が欠如していること
法は,土地区画整理事業が施行地区内の住民の生活及び財産に根本的
な変化をもたらすことから,住民の意見を事業計画に反映させるため,
事業計画の決定に至る過程において,計画案を事前に縦覧に供し,住民
又は利害関係人に意見書の提出の機会を付与し,これを都市計画審議会
で審議するという手厚い住民参加の手続を設けており,事業計画を変更
する場合においても,同様の手続を行う旨を定めている(都市計画法1
7条以下,区整法55条,85条参照)。このような法の趣旨からすれ
ば,事業計画の決定の後,その内容につき,施行地区内の住民の生活又
は財産に根本的な変化をもたらし得る変更があった場合には,改めて住
民参加の手続を行うため,区整法55条13項に基づき,事業計画の変
更を行う必要がある。
しかるに,本件においては,仮換地処分という地権者の権利利益に重
大な変更を及ぼす行為の前に,事業計画の変更の場合にとられるべき,
上記のような住民参加手続を経ていないという違法がある。
なお,たとえ本件堤防事業に係る河川法上の手続において住民参加の
機会が設けられていたとしても,事業計画に反映される手続的な保障は
全くなく,土地区画整理法上の各手続等に代替できるものとはいえない。
(ウ)事業計画の変更が事後的にされても瑕疵が治癒されないこと
本件区画整理事業においては,本件仮換地指定がされた後,本件計画
変更決定がされている。しかし,上記のとおり,仮換地の指定には建築
物の除却又は移転等という重大な法的効果が認められており,それに基
づき事業を進めるならば,施行地区内の住民の多くが転居を余儀なくさ
れ,その後に事業計画の変更の手続を経たとしても,住民が意見を表明
することは困難で,法の定めた住民参加の手続は形骸化する。しかも,
違法な仮換地の指定を前提に当該事業が進捗してしまうと,住民の権利
救済は著しく制限される。
したがって,本件仮換地指定の上記瑕疵は,本件計画変更決定がされ
たことによっても,治癒されない。
(エ)小括
以上のとおり,本件区画整理事業においては,遅くとも本件基本協定
が締結された時点では,本件事業計画に含まれていなかった内容の変更
が生じたから,その変更手続を経なければ,仮換地を指定することは許
されない。しかるに,本件仮換地指定は,本件事業計画の変更の手続を
経ていないものであるから,違法なものである。
(2)被告の主張
ア本件事業計画の変更の必要性について
(ア)本件区画整理事業の目的について
本件区画整理事業が本件堤防事業を実現するために計画されてきた事
実はなく,本件基本協定によって高規格堤防事業が本件区画整理事業の
「主要な目的」になった事実はない。本件区画整理事業の目的は,「都
市基盤と住環境の改善を図り,安全・安心で快適なまちづくりを行うこ
と」であり,本件基本協定の締結の前後を通じて何ら変わっていない。
被告が,本件区画整理事業の実施に当たり,高規格堤防事業との共同
実施を目指してきたことについては,争うものではない。共同実施を目
指してきたのは,本件施行地区には街づくりの課題があることを前提と
して,高規格堤防事業と共同して実施すれば,江戸川区にとっての経済
的効率性が増す(単独で実施する場合に比べて負担すべき費用が軽減す
る。)とともに,同区全体の防災力の向上にもつながると考えられたた
めである。
そして,本件施行地区は,生活環境及び安全性の面で課題を抱えた密
集市街地であることから,土地区画整理事業を行う必要のある地区であ
り,また,三方を盛土に囲まれ,地区外からの車両の進入に支障がある
ことなどから,被告は,土地区画整理事業において盛土が必要であると
判断したのであり,上記事業(盛土を含む。)の必要性それ自体は,高
規格堤防事業と共同して実施するか否かによって左右されるものではな
い。
また,確かに,本件仮換地指定がされた後,国が本件施行地区におい
て本件盛土工事を行っているが,それは,上記のとおり本件区画整理事
業の実現には盛土が必要不可欠であることから,被告は,その盛土を国
において行うことに合意した結果にすぎない。したがって,本件仮換地
指定は,国が当該地で盛土工事を行うことを目的としてなされたのでは
なく,本件区画整理事業の施行を目的とするものであることに変わりは
ない。
なお,他の土地区画整理事業の事業計画の記載は,本件事業計画の変
更の要否の問題と関係ない。この点,ε地区北部土地区画整理事業は,
「都市基盤と住環境の改善を図り,安全で快適な活力ある街づくり」を
目的とするものであり,その効果を高める手段の一つとして,高規格堤
防の整備と同時に実施するとしているにすぎず,高規格堤防事業と共同
して実施することそれ自体を目的とはしていない。
(イ)権利利益の制約について
本件施行地区内の宅地は,本件堤防事業の実施により,河川区域(河
川法6条1項)になるとともに,高規格堤防特別区域(同条2項)に指
定されることが想定される。
しかし,高規格堤防特別区域においては,他の河川区域とは異なり,
宅地として利用する上で支障となるような制限は生じない(河川法26
条1項,3項,27条2項,河川令15条の2,15条の3,15条の
5等参照)上,同区域に指定されることにより,同区域内の宅地の価格
が下落するともいえない。なお,国は,これまで,江戸川沿川の高規格
堤防特別区域について,河川法26条1項に基づく申請を不許可とした
ことはない。
仮に本件施行地区が高規格堤防特別区域に指定されることによって同
地区内の宅地につき権利の制約が生じたとしても,その制約は,あくま
で本件堤防事業によって生じるものである。そして,そもそも,同事業
の実施主体は国であるから,本件事業計画に本件堤防事業と共同して実
施する旨を付加する変更の手続をしたとしても,本件堤防事業の是非を
問う実質的な意見表明の機会とはなり得ない。
(ウ)盛土の実施主体について
原告らは,土の実施主体が変更することに伴って,盛土の安全性に
ついて改めて住民参加による検討議論が必要であると主張するが,そも
そも,区整法は,事業計画において,施行地区内において行う盛土の具
体的な工法等を定めなければならないとはしていない。
また,本件基本協定の締結により,本件施行地区内における盛土(本
件盛土工事)は,本件区画整理事業とは別個の本件堤防事業として行わ
れることになったが,被告は,国の担当者から,本件盛土工事に関し,
宅地を造成するにつき必要な安全性が確保されると説明を受けていたこ
とから,これを踏まえて,本件基本協定を締結し,本件計画変更決定を
したのである。
イ事業計画の変更と仮換地の指定との関係について
(ア)区整法55条13項は,事業計画の変更は仮換地の指定の前にしな
ければならないとは定めておらず,他にその旨を定めた規定もないから,
仮換地の指定より前に事業計画の変更がされなかったからといって,仮
換地の指定が違法になることはない。
(イ)仮換地の性質の変更について
本件区画整理事業における盛土の内容は,本件基本協定の締結前は,
被告が単独で周囲との高低差を解消するというものであり(別紙4-1
第3の1(3)エ参照),同締結後は,国が高規格堤防を整備するための盛
土をした後,被告がその上を宅地として造成するというものであって,
その前後で盛土の形状は全く変わらず,仮換地の位置及び地積にも影響
はない。
したがって,本件基本協定が締結され,本件区画整理事業と本件堤防
事業を共同して実施するとされたことは,本件仮換地指定に何らの影響
を及ぼすものではない。
(ウ)住民参加の機会について
本件施行地区が高規格堤防事業の対象地区となることについては,同
事業に係る河川法上の手続において,住民参加の手続が設けられていた。
すなわち,本件施行地区に高規格堤防を整備する旨の利根川水系利根
川・江戸川河川整備計画の策定に当たっては,河川法16条の2の規定
に基づき,有識者会議,関係都道府県会議,住民意見の募集,公聴会の
開催を経たものであり,住民等から意見を述べる機会が与えられていた。
ウ小括
以上のとおり,本件仮換地指定は,本件事業計画の変更の手続を経ずに
されたものであるとしても,適法なものである。
3争点3(行政権の濫用による取消しの可否)について
(1)原告らの主張
本件仮換地指定は,区整法が定めた目的以外の目的又は不当な動機により,
行政権を濫用してされた違法なものである。
ア法律が定めた目的以外の目的ないし不当な動機で行われた処分は違法
であること
法治主義(法律による行政の原理)の帰結として,行政権は,これを授
権する法律の趣旨,目的に沿って行使されなければならない。したがって,
行政処分が,法律が定めた目的以外の目的又は不当な動機でされた場合に
は,たとえ客観的に要件を満たしていたとしても,行政権を濫用したもの
として違法であり,取り消されるべきである(最高裁昭和53年5月26
日第二小法廷判決,最高裁昭和53年6月16日第二小法廷判決等参照)。
そして,上記の目的又は動機は,行政過程全体を通じて観察される実質
的なものでなければならず,単に処分時に理由とされた事情のみを考慮す
れば足りるものではない。
イ高規格堤防事業について
(ア)高規格堤防事業には地権者の同意が必要であること
高規格堤防事業は,その完成により,対象区域内の宅地の所有者らの
権利利益に重大な制限を加えることとなるが,河川法その他の法令上,
このような制限を正当化する権限又は行政処分が設けられておらず,上
記所有者らに対する補償を定めた規定もない。
また,高規格堤防事業は,河川工事(河川法8条)に当たるため,河
川管理者がこれを実施するためには,対象区域の土地の使用権原を取得
する必要があり,河川法は,当該土地の所有者らの同意を得ることなく,
上記事業を施行することができるとは定めていない。
したがって,高規格堤防事業は,あくまで,対象区域内の宅地の所有
者らの同意がある場合にのみ,実施することができるというべきである。
実際にも,これまでに実施された高規格堤防事業は,いずれも,対象区
域内の宅地の所有者の同意を得ている。
(イ)国が本件堤防事業のための工事をする権原がないこと
被告は,国による本件盛土工事は,区整法100条の2に基づく被告
の管理権限に基づき,国との間で行うことを合意した結果であると主張
する。
しかし,区整法100条の2は,仮換地の指定によって使用又は収益
をすることができる者のなくなった従前の宅地については,施行者がこ
れを「管理」すると定めているところ,「管理」とは,一般に「変更」
「処分」と対比される概念であり,その性質を変更しないで利用又は改
良する行為を指すにとどまる上,法律の構造からしても,区整法80条
が従前の宅地(区整法100条の2と同一の対象)の「工事」に関する
権限を定めていることからすれば,区整法100条の2にいう「管理」
には,「工事」に相当する行為は含まれないと解するべきである。この
ことは,区整法100条の2が,従前は管理権の所在が明確でなかった
公共施設予定地(将来公共施設の用に供される予定の土地)又は保留地
予定地(換地処分後に保留地として処分される予定の土地)等の仮換地
が指定されない土地について,施行者がその管理を行う(具体的には,
事業の目的に沿って維持管理し,又は事業施行のために第三者に使用収
益させる)旨を明確化するために設けられ,区整法80条が,専ら土地
区画整理事業の工事の施行に関する規定に改められたという立法経緯
(昭和34年3月24日衆議院建設委員会第21号)からも裏付けられ
る。
そうすると,そもそも,区整法100条の2にいう「管理」には,「工
事」に相当する行為,すなわち,従前の宅地の形質の変更を伴う行為は
含まれないのであって,施行者は,同条に基づき,そのような行為を第
三者に行わせることはできない。
しかるところ,本件盛土工事は,本件施行地区内において最大7mの
大規模な盛土を行い,宅地の形質を大幅に変更する行為であるから,上
記「管理」に当たらず,国は,同条に基づく管理権を根拠に,同工事を
実施することはできない。
ウ本件仮換地指定が違法であること
(ア)高規格堤防事業との共同実施事業においては任意の同意なくして仮
換地指定を行うことができないこと
土地区画整理事業が,単体として行われるのではなく,高規格堤防事
業と共同して実施される場合,土地区画整理事業に基づく仮換地の指定
は,区画整理のための手段であると同時に,高規格堤防整備のための工
事実現のために必要な住民立退きのための手段としての実質を有するこ
とになる。しかるに,高規格堤防事業は,地権者の同意に基づき任意に
実施されなければならないことは上記のとおりである。
また,区整法上,仮換地の指定は,あくまで土地区画整理事業を実現
するための手段として位置付けられている。仮換地の指定とこれに基づ
く建物の除却が行われたとしても,これによって生じた空地上において
地権者らの同意なく工事が可能なのは,施行者による土地区画整理事業
の工事にすぎず(区整法80条),高規格堤防事業のための工事を河川
管理者が行うことはできない。
したがって,土地区画整理事業が高規格堤防事業と共同で実施される
場合においては,地権者らが高規格堤防事業の実施について同意してい
ない限り,土地区画整理事業の施行者は仮換地を指定してはならない。
同意なく行われた仮換地の指定は,法令の目的に反する不法な動機によ
る処分であり,違法なものとして取消しを免れない。
(イ)仮換地処分は重大な権利利益の侵害を伴うこと
仮換地の指定は,地権者による従前地の使用及び収益を停止し(区整
法99条1項),施行者に対して従前の宅地上に存する建築物等を除却
する権限を付与する強制力を持った処分である(区整法77条1項)。
しかも,本件仮換地指定は,居住又は営業等の場所が従前の宅地から仮
換地へ直接移転するという原則的な形態(直接移転型)ではなく,特別
の事情があることを理由に,仮換地の使用又は収益の開始日を別に定め
るとして,従前の宅地と仮換地の両方を使用できない期間(中断期間)
を作出し,同期間に建築物等を除却し,仮換地を使用できるようになっ
た時点で建築物等を再築するという例外的な形態(中断移転型)のもの
である(区整法99条2項)。その結果,本件施行地区内の宅地の所有
者らは,長く住み慣れた住宅を取り壊した上,当面の間,地区外への移
転を強いられるという著しい不利益を被る。このような重大な権利利益
の制約を伴う本件仮換地指定については,処分が法律の趣旨,目的に適
合して行われたか否かを慎重に判断すべきである。
(ウ)被告の認識
上記の問題点については,国交省と関連の深い公益財団法人が研究論
文において指摘しており,被告が本件区画整理事業を本件堤防事業とは
あえて別の事業としていることなどからすれば,被告も認識していたと
いうべきである。
被告は,国による高規格堤防整備のための盛土工事を実現するために,
仮換地の指定を活用するという,区整法が定めた目的以外の目的又は不
当な動機に基づいて,本件仮換地指定をしたのであり,国による違法行
為に加担したといえる。
エ小括
以上のとおり,本件仮換地指定は,区整法が定めた目的以外の目的又は
不当な動機により,行政権を濫用してされた著しく違法なものであって,
取り消されるべきである。
(2)被告の主張
ア高規格堤防事業について
(ア)地権者の同意について
上記の点に関する国の見解は,おおむね以下のとおりである。
河川管理施設は,河川管理者の認定等の行為を必要とせず,河川法3
条2項により当然に定まり,河川管理者が「堤防…その他河川の流水によ
って生ずる公利を増進し,又は公害を除却し,若しくは軽減する効用を有
する施設」を設置すれば,当該施設は,特段の認定行為を介さず,当然に
河川管理施設に該当する。また,その敷地は,特段の指定行為を介さず,
当然に河川区域に該当し(6条1項2号参照),権利の制約を受ける(2
6条,27条等参照)。そして,河川管理施設及び河川区域に該当するた
めの要件として,その敷地となる土地の所有者等の同意を得ることは求め
られていない。
したがって,河川管理者は,高規格堤防を整備するに当たっては,盛土
を行う土地を使用する権原を取得すれば足り,当該土地の所有権を取得す
ること又は高規格堤防を設置することそれ自体について,当該土地の所有
者の同意を得る必要はない。
(イ)国が高規格堤防整備のための工事をすることができること
被告は,本件施行地区内の宅地について,区整法100条の2に基づ
く広範な管理権を有するから,本件区画整理事業の施行のために必要な
範囲内において,第三者に使用収益させることができる。
区整法100条の2は,使用収益することができる者がなくなった従
前の宅地を管理権の対象としているが,その範囲を限定していないから,
仮換地の使用収益の開始日を別に定めた従前の宅地(区整法99条2項参
照)についても,その対象となる。
区整法100条の2にいう「管理」は,区整法独自の概念であり,土
地区画整理事業の目的に沿ってその施行に必要な範囲内において行うと
いう広い意味を持つから,土地の維持運営にとどまらず,その形状を変
更する行為も含むと解される。そして,区整法80条は,土地区画整理
事業に含まれない工事を行う権限に言及していないから,施行者は,そ
のような工事をおよそ行えないとはいえない。そうすると,施行者は,
土地区画整理事業それ自体には含まれない工事であっても,それが土地
区画整理事業の目的に沿ってその施行に必要な範囲内において行われる
ものである限り,区整法100条の2所定の管理権に基づき,これを自
ら行い又は第三者に行わせることができる。
しかるところ,本件区画整理事業の目的及び内容が,一貫して,周囲
との高低差を解消するため,本件施行地区の形状を変更して傾斜地とす
ることにあるから,本件施行地区に盛土をする本件盛土工事は,同事業
の内容を実現するために必要不可欠なものである上,その目的に沿った合
理的なものということができる。そうすると,被告は,区整法100条の
2所定の管理権に基づき,本件盛土工事を第三者である国に行わせるこ
とができる。
したがって,国は,本件堤防事業(本件盛土工事)を実施するに当た
り,本件施行地区内の宅地につき,区整法100条の2所定の管理権を
有する被告との本件基本協定(前提事実(9)ア参照)に基づき,これを使
用する権原を有する。
イ本件仮換地指定が適法であること
(ア)そもそも,土地区画整理事業の施行者は,同事業と高規格堤防事業
が共同して実施される場合において,施行地区内の宅地の所有者の同意
を得なければ仮換地の指定をすることができないと解すべき法令上の根
拠はない。
しかも,本件仮換地指定は,高規格堤防の整備を目的とするものでは
なく,本件区画整理事業の実現を目的とするものである。また,上記の
とおり,国は,本件堤防事業の対象区域である本件施行地区内の土地を
使用する権原を取得しており,本件盛土工事を適法に実施している。
したがって,本件仮換地指定は,国による違法な本件堤防事業(本件
盛土工事)を可能ならしめるという目的又は動機によりされたものでは
ない。
(イ)被告は,都市計画法13条1項柱書に基づき,河川に関する国の計
画(具体的には,利根川水系工事実施基本計画,利根川水系河川整備基
本方針)に適合するよう本件都市計画決定をし,これに基づいて本件事
業計画決定及び本件仮換地指定をした。
しかも,被告は,本件堤防事業が適法に実施されているという前提で,
これと本件区画整理事業とを共同して実施することが同項の趣旨に沿う
と判断したことから,本件基本協定を締結した上,本件仮換地指定をし
た。
したがって,本件仮換地指定は,国の違法行為に加担する目的又は動
機でされたものでないのみならず,本件堤防事業の実現に寄与するとこ
ろがあるとしても,違法又は不当な目的又は動機でされたと評価するこ
ともできない。
(ウ)以上のとおり,本件仮換地指定は,区整法の目的以外の目的又は不
法な動機によりされたものではない。
第4当裁判所の判断
1争点1(原告Aの「法律上の利益」の有無)について
前提事実(10)イのとおり,原告Aは,本件仮換地指定1の相手方(名宛人)
とはされていない。
もっとも,前提事実(1)エのとおり,原告Aは,本件仮換地指定1がされた平
成25年7月16日当時,本件土地1(従前の宅地)上に存する本件建物(建
築物等)の所有者であったことが認められる。そして,本件仮換地指定1は,
本件区画整理事業の施行者である被告に対し,必要がある場合において,本件
建物を移転し又は除却する権限を付与するという法的効果を有する(区整法7
7条1項参照)。したがって,原告Aは,本件仮換地指定1がされた当時にお
いては,これにより自己の所有権を必然的に侵害されるおそれのある者として,
その取消しを求めるにつき「法律上の利益」(行政事件訴訟法9条1項参照)
を有していたということができる。
しかし,前提事実(10)オのとおり,本件建物は,遅くとも平成26年12月
10日までに除却され,その所有権が不可逆的に消滅したものと認められる。
そうすると,原告Aは,現時点では,本件仮換地指定1を取り消しても,最早,
本件建物の所有権を保全し又は回復することができない。
したがって,原告Aは,現時点では,本件仮換地指定1の取消しを求めるに
つき「法律上の利益」を失っているというほかはない。
2争点2(事業計画の変更手続を欠くという違法の有無)について
(1)原告らは,土地区画整理事業において,仮換地が指定される前に事業計画
の内容に変更が生じた場合には,事業計画の変更の手続を経なければ,仮換
地を指定することは許されない旨を主張する。
(2)事業計画(設計の概要)の変更の必要性について
ア区整法等の定め
施行者(市町村である場合。以下同じ。)は,土地区画整理事業を施行
しようとする場合においては,施行規程及び事業計画を定め,その事業計
画において定める設計の概要について都道府県知事の認可を受けなければ
ならない(区整法52条1項)。この設計の概要は,当該事業の目的,施
行地区内の宅地の減歩率(当該事業の施行後における宅地(保留地を除く。)
の地積の合計の施行前における宅地の地積の合計に対する割合)等を記載
した設計説明書及び設計図(縮尺1200分の1以上)を作成して定めな
ければならない(区整法54条,6条1項,区整規則6条)。
また,施行者は,事業計画において定めた設計の概要を変更しようとす
る場合(政令で定める軽微な変更をしようとする場合を除く。)において
は,その変更について,都道府県知事の認可を受けなければならない(区
整法55条12項)。区整令4条の2は,上記の軽微な変更として,区整
令4条1項各号(設計の概要には含まれない4号及び9号に係る事項を除
く。)に掲げるものとしている。
そして,施行者が事業計画を定め又はこれを変更しようとする場合にお
いては,市町村長は,あらかじめ事業計画(変更に係るものを含む。以下
同じ。)を都道府県知事に送付した上,その事業計画を2週間公衆の縦覧
に付しなければならない(区整法55条1項,13項。ただし,政令で定
める軽微な変更をしようとする場合を除くとされ,区整令4条1項は,事
業施行期間や資金計画の変更が軽微な変更に当たるものとしている。)。
他方,利害関係者は,その事業計画に意見がある場合においては,所定
の期間内に都道府県知事に意見書を提出することができ(区整法55条2
項,13項),都道府県知事は,意見書の提出があった場合においては,
これを都道府県都市計画審議会に付議しなければならない(同条3項,1
3項)。
イ河川法等の定め
河川管理施設である堤防の敷地である土地の区域は,河川区域に当たる
(河川法3条2項,6条1項2号)が,河川管理者は,高規格堤防の敷地
である土地の区域のうち通常の利用に供することができる土地の区域を高
規格堤防特別区域として指定するものとされている(同条2項)。
河川区域内の土地については,これを占用しようとする者は,河川管理
者の許可を受けなければならず(河川法24条),また,河川区域内の土
地において,土石を採取し,工作物を新築し,改築し,若しくは除却し,
又は土地の掘削,盛土若しくは切土その他土地の形状を変更する行為若し
くは竹木の植栽若しくは伐採をしようとする者は,原則として,河川管理
者の許可を受けなければならない(河川法25条,26条1項,27条1
項)。
これに対し,(ア)高規格堤防特別区域内の土地は,通常の利用に供さ
れることとされており(河川法6条2項),河川管理者以外の者がその権
原に基づいて管理する土地に当たるから,これを占用しようとする者は,
河川管理者の許可を受けることを要しない(河川法24条かっこ書)。
そして,(イ)高規格堤防特別区域内の土地においては,①基礎ぐい,
電柱その他棒状の工作物で地下に設けられることとなる部分以外の土地の
掘削を伴わずに鉛直方向に設置されるものであって,高規格堤防の水の浸
透に対する機能を減殺するおそれのないものの新築又は改築,②上記①
の工作物並びに用排水路その他の通水施設及び池その他の貯水施設で漏水
のおそれのあるもの以外の工作物の地上又は地表から1m以内の地下にお
ける新築又は改築,③工作物の地上における除却又は工作物の地表から
1m以内の地下における除却で当該工作物が設けられていた土地を直ちに
埋め戻すものについては,河川管理者の許可を受けることを要しない(河
川法26条2項,河川令15条の2,15条の3)。さらに,河川管理者
は,高規格堤防特別区域内の土地における工作物の新築,改築又は除却(上
記①から③まで以外のもの)について許可の申請があった場合においては,
その申請に係る工作物の新築,改築又は除却が高規格堤防としての効用を
確保する上で支障を及ぼすおそれのあるものでない限り,これを許可しな
ければならない(河川法26条3項)。
また,(ウ)高規格堤防特別区域内の土地においては,①上記(イ)
①の行為のためにする土地の掘削又は地表から1.5m以内の土地の掘削
で当該掘削をした土地を直ちに埋め戻すもの,②盛土,③土地の掘削,
盛土及び切土以外の土地の形状を変更する行為,④竹木の栽植又は伐採
については,河川管理者の許可を受けることを要しない(河川法27条2
項,15条の5)。
ウ検討
上記アのような事業計画(設計の概要)の変更に関する区整法等の定め
は,変更を予定している事業計画の内容が,事業の完成に伴い,従前の宅
地に係る所有権者等の権利に軽微とはいえない影響を与えることになる場
合には,事業計画を新たに定める場合と同様の縦覧等の手続を経るととも
に,設計の概要については,再度,都道府県知事の認可を経ることとして,
その保護を図る趣旨で設けられたものと解される。このような趣旨に照ら
せば,施行者は,予定している設計の概要の変更が,事業の完成に伴い,
従前の宅地に係る所有権者等の権利に軽微とはいえない影響を与えること
になる場合においては,事業計画において定めた設計の概要を変更し,上
記の手続を経る必要があるものと解される。
これを本件についてみると,平成23年3月30日に認可された本件事
業計画における設計の概要においては,本件区画整理事業における盛土造
成が高規格堤防事業と共同して実施されるものである旨の記載は存在して
いなかったが,平成25年5月30日付けで締結された本件基本協定によ
り,本件区画整理事業と高規格堤防事業との一体整備(共同事業)が行わ
れることが明らかにされ(前提事実(7)ア,(9)ア),これに伴い,本件区
画整理事業の完成に伴い,高規格堤防が完成した場合には,換地処分後の
換地が河川区域となり,河川法上の高規格堤防特別区域の指定がされるこ
とが現実的に予定される状況となった。しかるところ,上記イによれば,
高規格堤防が完成し,その敷地が高規格堤防特別区域に指定されると,当
該敷地においては,河川法により,その使用及び収益等(工作物の新築等,
土地の掘削等)につき一定の制約を受けるが,その制約は,河川区域内の
土地一般に生じる制約に比べれば重大であるとまではいえないが,一概に
軽微なものともいえないと解される。
そうすると,本件区画整理事業に関して本件基本協定が締結されたとい
う点は,事業の完成に伴い,従前の宅地の所有者等の権利に軽微とはいえ
ない影響を与えることとなるから,被告は,上記の点について,本件事業
計画における設計の概要を変更する必要があるというべきである。
しかるに,被告は,所定の縦覧,認可等の手続を経て,平成27年2月
27日,本件事業計画の変更を決定したところ(前提事実(11)),本件変
更後事業計画の内容は,「土地区画整理事業の目的」欄には変更がないも
のの,「造成計画」欄において,本件堤防事業との共同実施となった旨の
変更記載がある。これは,土地区画整理事業として公共施設(河川)たる
堤防の築造を行うことまではせず,本件区画整理事業と本件堤防事業とは
別個の事業であることを前提として,これらの事業を共同して実施し,一
体整備を行うという趣旨のものと解されるところ,本件区画整理事業に関
する上記のような変更の必要性を踏まえたものということができる(なお,
ε北部土地区画整理事業の事業計画(甲12)においては,「土地区画整
理事業の目的」欄に高規格堤防整備事業に関する言及がされているが,土
地区画整理事業と同時に実施するとの記載があることからすると,本件変
更後事業計画と同様,別個の事業であることを前提としつつ,共同して実
施する趣旨であると解される。)。
原告らの主張のうち,以上と異なる部分は,採用することができない。
(3)事業計画(設計の概要)の変更と仮換地指定処分との関係について
ア区整法の定め等
施行者は,換地処分を行う前において,土地区画整理事業に係る工事の
ため必要がある場合又は換地計画に基づき換地処分を行うため必要がある
場合において,施行地区内の宅地について仮換地を指定することができる
(区整法98条1項)。そして,仮換地が指定された場合においては,従
前の宅地について権原に基づき使用し又は収益することができる者は,仮
換地の指定の効力発生の日(仮換地の使用又は収益を開始することができ
る日(以下「使用収益開始日」という。)を別に定めた場合においては,
その日)から換地処分の公告がある日まで,仮換地について,従前の宅地
について有する権利の内容である使用又は収益と同じ使用又は収益をする
ことができ,従前の宅地については,使用し又は収益することができない
(区整法99条,103条4項)。この場合において,施行者又はその命
じた者若しくは委任した者は,使用し又は収益することができる者のなく
なった従前の宅地について,その宅地の所有者及び占有者の同意を得るこ
となく,土地区画整理事業の工事を行うことができる(区整法80条)。
なお,仮換地の指定のうち土地区画整理事業に係る工事のため必要があ
るとしてされるもの(以下「工事目的の仮換地指定」という。)には,純
粋に工事のための必要に基づくもので当該仮換地を将来換地とすることを
予定しないで指定するものと,当該仮換地を換地の予定地として指定する
ものとがあるが,後者は,換地処分で予定された法的効果を仮に実現する
という性格を有するということができる(最高裁昭和59年(行ツ)第7
0号同61年2月24日第二小法廷判決・民集40巻1号69頁参照)。
もっとも,工事目的の仮換地指定は,換地予定地的なものであっても,換
地計画に基づくことを要しないと解される(最高裁昭和57年(行ツ)第
128号同60年12月17日第三小法廷判決・民集39巻8号1821
頁参照)。
イ検討
上記のとおり,仮換地の指定は,土地区画整理事業に係る工事のため必
要がある場合(工事目的の仮換地指定)又は換地計画に基づき換地処分を
行うため必要がある場合に当たることを要件として行われ,また,その直
接の効果は,権原に基づいて従前の宅地を使用し又は収益することができ
る者に対し,従前の宅地の使用又は収益を禁止するとともに,換地処分の
公告がある日までの間,一時的に,仮換地を使用し又は収益することを許
容するというもの(使用収益開始日を別に定めるものについては,その日
までの間,仮換地の使用を禁止するというもの)であるところ,事業計画
(設計の概要)の変更に伴い,上記の要件の充足性を欠くことになる場合
や,当該変更と整合するように仮換地の具体的内容を変更することが必要
となる場合には,従前の仮換地の指定をそのまま維持することはできず,
事業計画と整合的に変更する必要があると解される。
これを本件についてみると,前提事実(10)によれば,本件仮換地指定は,
換地計画に基づかずにされたものであり,使用収益開始日を別に定めて本
件施行地区内の全ての建築物を除却したことなどに照らすと,工事目的の
仮換地指定であると認められる。そして,本件基本協定の締結により,本
件区画整理事業における盛土造成が高規格堤防事業と共同して実施される
ことに変更されたとしても,本件区画整理事業における盛土造成工事のた
め必要があるという工事目的の仮換地指定の要件に欠けることにはならな
いし,上記の変更と整合するように本件仮換地指定における仮換地の具体
的内容(位置や地積)を変更することが必要となるとも認められない。
そうすると,上記(2)のとおり,本件基本協定の締結により,本件事業計
画(設計の概要)を変更する必要が生じていたとしても,その変更を経な
い段階でされた本件仮換地指定が違法であるということはできない。これ
と異なる原告らの主張は採用することができない。
(4)小括
以上のとおりであるから,本件仮換地指定は,本件事業計画の変更の手続
を経ずにされたことを理由に,違法であるということはできない。
3争点3(行政権の濫用による取消しの可否)について
(1)原告らは,①国は本件施行地区において高規格堤防整備のための工事を
する権原がなく,従前の宅地の所有者らの同意が必要であると主張した上で,
②本件仮換地指定は,①の点で違法な本件堤防事業(本件盛土工事)を実
施しようとする国に加担し,これを可能ならしめるための手段であり,区整
法の目的以外の目的又は不法な動機により,行政権を濫用してされた違法な
ものであって,取り消されるべきである旨を主張する。
これに対し,被告は,河川管理者は高規格堤防の整備に当たり敷地となる
土地の使用権原を取得すれば足りるところ,江戸川の河川管理者である国は
上記宅地につき管理権(区整法100条の2)を有する被告との本件基本協
定に基づき,本件堤防事業を実施するに当たり上記宅地を使用する権原を有
する旨を主張する。
(2)国の本件堤防事業に係る土地使用権原の存否について
ア区整法の定めと改正の経緯等
区整法100条の2は,「第98条第1項の規定により仮換地…を指定
した場合…において,それらの処分に因り使用し,又は収益することがで
きる者のなくなった従前の宅地…については,当該処分に因り当該宅地…
を使用し,又は収益することができる者のなくなった時から第103条第
4項の公告がある日までは,施行者がこれを管理するものとする」と定め
る。
区整法100条の2は,昭和34年法律第90号により追加された規定
である。すなわち,同法律による改正前の区整法80条は,「第98条第
1項の規定により仮換地…を指定した場合…において,それらの処分に因
り使用し,又は収益することができる者のなくなった従前の宅地…につい
ては,…施行者又はその命じた者若しくは委任した者は,その宅地の所有
者及び占有者の同意を得ることなく,土地区画整理事業の施行に必要な範
囲内において,…その土地区画整理事業の施行のためにこれを使用するこ
とができる」と定めていたが,将来公共施設となる予定の土地又は換地処
分後に保留地として処分される土地等について,施行者がこれを管理する
権限を有することが法文上は不明確であった。そのため,施行者がこれら
の土地等を事業の目的に沿って維持管理し,又は事業施行のために第三者
に使用収益させることができる旨を明確にする目的で,区整法100条の
2が追加された(甲57参照)。
イ検討
原告らは,上記の改正経緯に照らし,区整法100条の2にいう「管理」
には,「工事」(区整法80条参照)に相当する行為,すなわち,土地の
形質の変更を伴う行為は含まれないと主張する。
しかし,上記の改正経緯からしても,区整法100条の2にいう「管理」
には,上記改正前の区整法80条の「使用」を超える意味を与えられたこ
とは明らかであるものの,それ以上に,区整法100条の2にいう「管理」
の内容に「工事」に相当する行為が含まれないこととされたことが明らか
であるとまではいえない。
かえって,①区整法106条は,区整法100条の2の「管理」が終
了した後における公共施設の管理について定めているところ,区整法10
6条3項が,公共施設に関する「工事」が完了した場合において,施行者
から当該公共施設を管理すべき者に「管理」が引き継がれる旨を定めてい
ることに鑑みると,区整法100条の2に基づいて施行者が行う「管理」
は,上記「工事」に相当する行為を含むことを当然の前提としていること
がうかがわれる。しかも,②上記「公共施設」には道路,公園,河川等
が含まれる(区整法2条5項)ところ,道路の「管理」には道路の新築,
改築及び修繕に関する工事が含まれると解され(道路法第三章「道路の管
理」の下に置かれた12条,13条1項,20条1項参照),公園のうち
都市公園の「管理」には都市公園施設に関する工事が含まれると解され(都
市公園法第二章「都市公園の設置及び管理」の下に置かれた2条の3,5
条の2第1項参照),河川の「管理」には河川工事が含まれると解される
(河川法第二章「河川の管理」の下に置かれた16条参照)。これらの区
整法及びそれに関連する規定を全体として整合的に解釈しようとするなら
ば,区整法100条の2にいう「管理」は,「工事」に相当する行為を含
む概念であると解すべきである。
そして,上記のように解することは,最高裁昭和58年(オ)第583
号同年10月28日第二小法廷判決・裁判集民事140号249頁が,区
整法100条の2の規定により施行者が管理する土地については,施行者
は,所有権に準ずる一種の物権的支配権を取得し,土地区画整理事業の目
的に沿って維持管理し,又は事業施行のために必要な範囲内において第三
者に使用収益をさせることができる旨判示していることとも整合するとい
うことができる。
以上と異なる原告らの主張は,採用することができない。
なお,区整法100条の2に基づく「管理」の範囲は,無制限なもので
はなく,土地区画整理事業の施行者が行うものである以上は,区整法に基
づいて適法に決定された事業計画において施行が予定されている事業に係
る工事であることを要すると解されるところ,前提事実(11)のとおり,本
件計画変更決定により,本件区画整理事業と本件堤防事業(高規格堤防事
業)とが共同して実施されることとなったのであるから,本件区画整理事
業の施行者である被告において,同事業と本件堤防事業の性格を併有する
本件盛土工事を行うことは,上記「管理」として許容される範囲内のもの
であるということができる。
ウ小括
以上によれば,本件区画整理事業の施行者である被告は,本件変更後事
業計画の下において,区整法100条の2に基づく管理として,本件堤防
事業としての性格をも併有する本件盛土工事を行わせることができるから,
国は,施行者である被告との関係において,本件盛土工事を行う権原を有
すると解することができる。
(3)本件仮換地指定に関する行政権の濫用の有無
アもっとも,上記2(3)イのとおり,仮換地の指定は,一時的に施行者が
従前の宅地を使用し又は収益し,また,管理を行うことを許容するものに
すぎないのであって,仮に,施行者の管理に伴う行為が,後に換地処分を
受けることになる従前の宅地の所有者等に対し,土地区画整理事業自体が
もたらす本来的な権利の変動を超える権利の制約をもたらすような場合,
そのことを可能にする仮換地の指定が,従前の宅地の所有者等との関係に
おいて,行政権の濫用に当たらないかどうかについては,さらに検討を要
する問題である。
イこの点,本件において,国が,河川管理者としての立場で,本件区画整
理事業と共同して実施される本件堤防事業として本件盛土工事を行い,高
規格堤防を設置するものであると解するとすれば,当該施設は,河川管理
者が他の者(本件区画整理事業の施行者)と共同して設置した河川管理施
設であるということになって,差し当たり,「権原に基づき当該施設を管
理する者の同意」(河川法3条2項ただし書)を得る必要はないことには
なる。
もっとも,その後,本件基本協定に基づく本件共同事業が終了し,河川
管理施設として高規格堤防が完成し,その敷地である本件施行地区内の宅
地が高規格堤防特別区域に指定されると,河川法上,上記宅地における工
作物の新築等については許可が必要となる点で所有権等の制約が生じると
ころ(上記2(2)イ参照),本件区画整理事業の換地処分によって土地の使
用収益権能を回復した従前の宅地の所有者等において負担することになる
上記のような権利の制約は,本件区画整理事業自体がもたらすものとはい
えないから,上記の問題を生じる。
ウそこで検討するに,行政庁の処分は,その根拠法令の定める要件を満た
すものであったとしても,当該処分が当該法令の趣旨,目的とはいえない
他の行為を実現することを主たる動機,目的として行われ,国民の権利利
益に重大な不利益を与えるなどの事情があり,実質的にみて当該法令の趣
旨,目的に反する不法な動機に基づくものであると認められる場合には,
行政権の濫用に相当する違法性があり,これにより不利益を受ける者との
関係で,効力を有しないと解することができる(最高裁昭和50年(あ)
第24号同53年6月16日第二小法廷判決・刑集32巻4号605頁参
照)。そして,当該処分自体が上記の不利益を受ける者に対して直接的な
法的効果を及ぼすものであるときは,これを取り消し得ると解する余地が
ある。
エこれを本件についてみると,土地区画整理事業は,健全な市街地の造成
を図り,もって公共の福祉の増進に資することを目的とするものであり(区
整法1条),土地区画整理事業とは,都市計画区域内の土地について,公
共施設の整備改善及び宅地の利用の増進を図るため,同法の定めるところ
に従って行われる土地の区画形質の変更又は公共施設の新設又は変更に関
する事業をいうとされ(同法2条1項),同法における「公共施設」とは,
道路,公園,広場,河川その他政令で定める公共の用に供する施設をいう
とされている(同条5項)。このように,土地区画整理事業は,一般に,
施行地区内の宅地の利用の増進のみならず公共施設の整備等をも目的とし
て行うことができるものであり,公共施設(河川)である堤防の整備を土
地区画整理事業として行うことも不可能ではないことに照らすと,本件区
画整理事業における仮換地の指定(本件仮換地指定)が,堤防の整備のた
めの工事を行うための手段としてされるとしても,必ずしも区整法の趣旨,
目的外のものとまではいえない。また,本件仮換地指定の前提となる本件
区画整理事業は,河川に関する国の計画である利根川水系利根川・江戸川
河川整備計画(前提事実(8)ウ参照)に適合するように行われるべきもので
あり(都市計画法13条1項柱書参照),本来,同計画における堤防の整
備と無関係なものではない。加えて,本件施行地区については,市街地と
しての改善の必要性が認められ,本件仮換地指定の前提となる本件区画整
理事業の事業計画自体には瑕疵がない(前提事実(7)ア,コ参照)。そして,
上記2(2)イで判示したとおり,本件施行地区内の宅地が高規格堤防特別区
域に指定された場合に生じる河川法上の制約は,軽微なものとはいえない
が,必ずしも重大なものとまではいえない。
以上の点に鑑みると,本件仮換地指定が区整法の趣旨,目的に反する不
法な動機により,行政権を濫用してされた違法なものであるとの評価は,
当を得ないというべきであり,原告らとの関係において本件仮換地指定の
取消事由を構成するような違法があるとはいえないと解することが相当で
ある。
(4)小括
以上のとおりであるから,本件仮換地指定は,行政権を濫用した違法なも
のということはできない。
4結論
以上によれば,原告Aの請求は,不適法であるからこれを却下し,その余の
原告らの請求は,いずれも理由がないからこれを棄却することとし,訴訟費用
の負担につき,行政事件訴訟法7条,民訴法61条,65条1項本文を適用の
上,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第38部
裁判長裁判官谷口豊
裁判官工藤哲郎
裁判官和久一彦
裁判官和久一彦は転補のため署名押印することができない。
裁判長裁判官谷口豊
(別紙2)
関係法令等の定め
第1土地区画整理事業に関する法令
1都市計画法
(定義)
4条
7項この法律において「市街地開発事業」とは,第12条第1項各号に掲
げる事業をいう。
(市街地開発事業)
12条
1項都市計画区域については,都市計画に,次に掲げる事業を定めること
ができる。
一土地区画整理法(昭和29年法律第119号)による土地区画整理
事業
2項市街地開発事業については,都市計画に,市街地開発事業の種類,名
称及び施行区域を定めるものとするとともに,施行区域の面積その他の
政令で定める事項を定めるよう努めるものとする。
(都市計画基準)
13条
1項都市計画区域について定められる都市計画…は,国土形成計画,首都
圏整備計画…その他の国土計画又は地方計画に関する法律に基づく計画
…及び道路,河川…等の施設に関する国の計画に適合するとともに,当
該都市の特質を考慮して,次に掲げるところに従って,土地利用,都市
施設の整備及び市街地開発事業に関する事項で当該都市の健全な発展と
秩序ある整備を図るため必要なものを,一体的かつ総合的に定めなけれ
ばならない。(以下略)
2土地区画整理法(以下「区整法」という。)
(この法律の目的)
1条この法律は,土地区画整理事業に関し,その施行者,施行方法,費用の
負担等必要な事項を規定することにより,健全な市街地の造成を図り,も
って公共の福祉の増進に資することを目的とする。
(定義)
2条
1項この法律において「土地区画整理事業」とは,都市計画区域内の土地
について,公共施設の整備改善及び宅地の利用の増進を図るため,この
法律で定めるところに従って行われる土地の区画形質の変更及び公共施
設の新設又は変更に関する事業をいう。
2項前項の事業の施行のため若しくはその事業の施行に係る土地の利用の
促進のため必要な工作物その他の物件の設置,管理及び処分に関する事
業…が前項の事業にあわせて行われる場合においては,これらの事業は,
土地区画整理事業に含まれるものとする。
4項この法律において「施行地区」とは,土地区画整理事業を施行する土
地の区域をいう。
5項この法律において「公共施設」とは,道路,公園,広場,河川その他
政令で定める公共の用に供する施設をいう。
6項この法律において「宅地」とは,公共施設の用に供されている国又は
地方公共団体の所有する土地以外の土地をいう。
8項この法律において「施行区域」とは,都市計画法(昭和43年法律第
100号)第12条第2項の規定により土地区画整理事業について都市
計画に定められた施行区域をいう。
(土地区画整理事業の施行)
3条
4項…市町村は,施行区域の土地について土地区画整理事業を施行するこ
とができる。
5項国土交通大臣は,施行区域の土地について,国の利害に重大な関係が
ある土地区画整理事業で災害の発生その他特別の事情により急施を要す
ると認められるもののうち,国土交通大臣が施行する公共施設に関する
工事と併せて施行することが必要であると認められるもの又は…市町村
が施行することが著しく困難若しくは不適当であると認められるものに
ついては自ら施行し,その他のものについては…市町村に施行すべきこ
とを指示することができる。
(都市計画事業として施行する土地区画整理事業)
3条の4
1項施行区域の土地についての土地区画整理事業は,都市計画事業として
施行する。
(事業計画)
6条
1項第4条第1項の事業計画においては,国土交通省令で定めるところに
より,施行地区…,設計の概要,事業施行期間及び資金計画を定めなけ
ればならない。
10項事業計画は,公共施設その他の施設又は土地区画整理事業に関する
都市計画が定められている場合においては,その都市計画に適合して定
めなければならない。
(施行規程及び事業計画の決定)
52条
1項…市町村は,第3条第4項の規定により土地区画整理事業を施行しよ
うとする場合においては,施行規程及び事業計画を定めなければならな
い。この場合において,その事業計画において定める設計の概要につい
て,国土交通省令で定めるところにより,…市町村にあっては都道府県
知事の認可を受けなければならない。
(事業計画)
54条第6条の規定は,第52条第1項の事業計画について準用する。
(事業計画の決定及び変更)
55条
1項…市町村が第52条第1項の事業計画を定めようとする場合において
は,…市町村長は,政令で定めるところにより,事業計画を2週間公衆
の縦覧に供しなければならない。この場合においては,市町村長は,あ
らかじめ,その事業計画を都道府県知事に送付しなければならない。
2項利害関係者(注)は,前項の規定により縦覧に供された事業計画につ
いて意見がある場合においては,縦覧期間満了の日の翌日から起算して
2週間を経過する日までに,都道府県知事に意見書を提出することがで
きる。ただし,都市計画において定められた事項については,この限り
でない。
(注)「利害関係者」とは,当該土地区画整理事業に関係のある土地若
しくはその土地に定着する物件について権利を有する者をいう(2
0条2項参照)。
3項都道府県知事は,前項の規定により意見書の提出があった場合におい
ては,これを都道府県都市計画審議会に付議しなければならない。
4項都道府県知事は,都道府県都市計画審議会が前項の意見書の内容を審
査し,その意見書に係る意見を採択すべきであると議決した場合におい
ては,都道府県が定めようとする事業計画については自ら必要な修正を
加え,市町村が定めようとする事業計画についてはその市町村に対し必
要な修正を加えるべきことを求め,都道府県都市計画審議会がその意見
書に係る意見を採択すべきでないと議決した場合においては,その旨を
意見書を提出した者に通知しなければならない。
5項前項の規定による意見書の内容の審査については,行政不服審査法中
処分についての異議申立ての審理に関する規定を準用する。
9項…市町村が第52条第1項の事業計画を定めた場合においては,…市
町村長は,遅滞なく,国土交通省令で定めるところにより,施行者の名
称,事業施行期間,施行地区その他国土交通省令で定める事項を公告し
なければならない。
12項…市町村は,第52条第1項の事業計画において定めた設計の概要
の変更をしようとする場合(政令で定める軽微な変更をしようとする場
合を除く。)においては,その変更について,…市町村にあっては都道
府県知事の認可を受けなければならない。
13項第1項から第7項までの規定は,第52条第1項の事業計画を変更
しようとする場合(政令で定める軽微な変更をしようとする場合を除
く。)について…準用する。(以下略)
(建築物等の移転及び除却)
77条
1項施行者は,第98条第1項の規定により仮換地…を指定した場合,第
100条第1項の規定により従前の宅地…について使用し,若しくは収
益することを停止させた場合又は公共施設の変更若しくは廃止に関する
工事を施行する場合において,従前の宅地又は公共施設の用に供する土
地に存する建築物その他の工作物又は竹木土石等(以下これらをこの条
及び次条において「建築物等」と総称する。)を移転し,又は除却する
ことが必要となったときは,これらの建築物等を移転し,又は除却する
ことができる。
2項施行者は,前項の規定により建築物等を移転し,又は除却しようとす
る場合においては,相当の期限を定め,その期限後においてはこれを移
転し,又は除却する旨をその建築物等の所有者及び占有者に対し通知す
るとともに,その期限までに自ら移転し,又は除却する意思の有無をそ
の所有者に対し照会しなければならない。
7項施行者は,第2項の規定により建築物等の所有者に通知した期限後…
においては,いつでも自ら建築物等を移転し,若しくは除却し,又はそ
の命じた者若しくは委任した者に建築物等を移転させ,若しくは除却さ
せることができる。(以下略)
(土地の使用等)
80条第98条第1項の規定により仮換地…を指定した場合又は第100条
第1項の規定により従前の宅地…について使用し,若しくは収益するこ
とを停止させた場合において,それらの処分に因り使用し,又は収益す
ることができる者のなくなった従前の宅地…については,施行者又はそ
の命じた者若しくは委任した者は,その宅地の所有者及び占有者の同意
を得ることなく,土地区画整理事業の工事を行うことができる。
(仮換地の指定)
98条
1項施行者は,換地処分を行う前において,土地の区画形質の変更若しく
は公共施設の新設若しくは変更に係る工事のため必要がある場合又は換
地計画に基づき換地処分を行うため必要がある場合においては,施行地
区内の宅地について仮換地を指定することができる。(以下略)
5項第1項の規定による仮換地の指定は,その仮換地となるべき土地の所
有者及び従前の宅地の所有者に対し,仮換地の位置及び地積並びに仮換
地の指定の効力発生の日を通知してするものとする。
(仮換地の指定の効果)
99条
1項前条第1項の規定により仮換地が指定された場合においては,従前の
宅地について権原に基づき使用し,又は収益することができる者は,仮
換地の指定の効力発生の日から第103条第4項の公告がある日まで,
仮換地…について,従前の宅地について有する権利の内容である使用又
は収益と同じ使用又は収益をすることができるものとし,従前の宅地に
ついては,使用し,又は収益することができないものとする。
2項施行者は,前条第1項の規定により仮換地を指定した場合において,
その仮換地に使用又は収益の障害となる物件が存するときその他特別の
事情があるときは,その仮換地について使用又は収益を開始することが
できる日を同条第5項に規定する日と別に定めることができる。この場
合においては,同項及び同条第6項の規定による通知に併せてその旨を
通知しなければならない。
3項前2項の場合においては,仮換地について権原に基づき使用し,又は
収益することができる者は,前条第5項に規定する日(前項前段の規定
によりその仮換地について使用又は収益を開始することができる日を別
に定めた場合においては,その日)から第103条第4項の公告がある
日まで,当該仮換地を使用し,又は収益することができない。
(使用収益の停止)
100条
1項施行者は,換地処分を行う前において,土地の区画形質の変更若しく
は公共施設の新設若しくは変更に係る工事のため必要がある場合又は換
地計画に基き換地処分を行うため必要がある場合においては,換地計画
において換地を定めないこととされる宅地の所有者…に対して,期日を
定めて,その期日からその宅地…について使用し,又は収益することを
停止させることができる。この場合においては,その期日の相当期間前
に,その旨をこれらの者に通知しなければならない。
2項前項の規定により宅地…について使用し,又は収益することが停止さ
れた場合においては,当該宅地…について権原に基き使用し,又は収益
することができる者は,同項の期日から第103条第4項の公告がある
日まで,当該宅地…について使用し,又は収益することができない。
(仮換地に指定されない土地の管理)
100条の2第98条第1項の規定により仮換地…を指定した場合…におい
て,それらの処分に因り使用し,又は収益することができる者のなくな
った従前の宅地…については,当該処分に因り当該宅地…を使用し,又
は収益することができる者のなくなった時から第103条第4項の公告
がある日までは,施行者がこれを管理するものとする。
(土地区画整理事業の施行により設置された公共施設の管理)
106条
1項土地区画整理事業の施行により公共施設が設置された場合においては,
その公共施設は,第103条第4項の公告があつた日の翌日において,
その公共施設の所在する市町村の管理に属するものとする。ただし,管
理すべき者について,他の法律又は規準,規約,定款若しくは施行規程
に別段の定めがある場合においては,この限りでない。
2項施行者は,第103条第4項の公告がある日以前においても,公共施
設に関する工事が完了した場合においては,前項の規定にかかわらず,
その公共施設を管理する者となるべき者にその管理を引き継ぐことがで
きる。
3項施行者は,第103条第4項の公告があつた日の翌日において,公共
施設に関する工事を完了していない場合においては,第1項の規定にか
かわらず,その工事が完了したときにおいて,その公共施設を管理すべ
き者にその管理を引き継ぐことができる。但し,当該公共施設のうち工
事を完了した部分についてその管理を引き継ぐことができると認められ
る場合においては,この限りでない。
3土地区画整理法施行令(昭和30年政令第47号。以下「区整令」という。)
(縦覧手続等を省略することができる事業計画又は規準若しくは施行規程の修正
又は変更)
4条
1項事業計画の修正又は変更のうち法…第55条第13項…に規定する政令
で定める軽微な修正又は変更は,次に掲げるものとする。
一都市計画において定められた都市施設その他の事項で当該都市計画の
変更に伴うもの
二都市計画において定められた都市施設に関する都市計画事業の認可若
しくは承認又はその変更に伴うもの
三施行地区の変更に伴う設計の概要の変更で,施行地区から除外される
区域についての設計を廃止したにとどまると認められるもの
四事業施行期間の修正又は変更
五幅員4メートル以下の道路の廃止又は当該道路に代わるべき道路で幅
員4メートル以下のものの新設
六道路又は水路の起点又は終点の修正又は変更を伴わない位置の修正又
は変更で,修正又は変更後の道路又は水路の中心線の当初事業計画にお
いて定めようとし,又は定めた中心線からの振れが当該道路又は水路の
幅員以下のもの
七道路の幅員の縮小で,縮小後の道路の幅員が4メートル未満とならず,
かつ,当初事業計画において定めようとし,又は定めた幅員から2メー
トル以下を減ずることとなるもの
八公園,広場又は緑地の区域の縮小で,縮小された区域の面積の合計が
当該施設の当初事業計画において定めようとし,又は定めた面積からそ
の10分の1を減ずることとならないもの
九資金計画の修正又は変更
(国土交通大臣又は都道府県知事の認可を要しない設計の概要の変更)
4条の2法第55条第12項に規定する政令で定める軽微な設計の概要の変
更は,前条第1項各号(第4号及び第9号を除く。)に掲げるものとする。
4土地区画整理法施行規則(昭和30年建設省令第5号。以下「区整規則」と
いう。)
(地方公共団体施行及び国土交通大臣施行に関する公告事項)
4条
1項法第55条第9項…に規定する国土交通省令で定める事項は,次の各
号に掲げるものとする。
一土地区画整理事業の名称
二事務所の所在地
三事業計画の決定の年月日
2項法第55条第13項において準用する同条第9項…に規定する国土交
通省令で定める事項は,次の各号に掲げるものとする。
一土地区画整理事業の名称及び事務所の所在地…並びに事業計画の決
定の年月日
二前項各号(第三号を除く。)に掲げる事項に関して変更がなされた
場合においては,その変更の内容
三変更の年月日
(設計の概要に関する図書)
6条
1項法第6条第1項(注)に規定する設計の概要…は,設計説明書及び設
計図を作成して定めなければならない。
(注)法第54条において準用する場合も含む(区整規則5条1項参照)。
2項前項の設計説明書には,次に掲げる事項を記載しなければならない。
一当該土地区画整理事業の目的
二施行地区内の土地の現況
三土地区画整理事業の施行後における施行地区内の宅地の地積(保留地
の予定地積を除く。)の合計の土地区画整理事業の施行前における施行
地区内の宅地の地積の合計に対する割合
四保留地の予定地積
五公共施設の整備改善の方針
六法第2条第2項に規定する工作物その他の物件の設置,管理及び処分
に関する事業又は埋立て若しくは干拓に関する事業が行われる場合にお
いては,その事業の概要
3項第1項の設計図は,縮尺1200分の1以上とし,土地区画整理事業
の施行後における施行地区内の公共施設並びに鉄道,軌道,官公署,学
校及び墓地の用に供する宅地の位置及び形状を,土地区画整理事業の施
行により新設し,又は変更される部分と既設のもので変更されない部分
とに区別して表示したものでなければならない。
第2河川に関する法令
1河川法
(目的)
1条この法律は,河川について,洪水,津波,高潮等による災害の発生が防
止され,河川が適正に利用され,流水の正常な機能が維持され,及び河川
環境の整備と保全がされるようにこれを総合的に管理することにより,国
土の保全と開発に寄与し,もって公共の安全を保持し,かつ,公共の福祉
を増進することを目的とする。
(河川及び河川管理施設)
3条
1項この法律において「河川」とは,一級河川及び二級河川をいい,これ
らの河川に係る河川管理施設を含むものとする。
2項この法律において「河川管理施設」とは,ダム,堰,水門,堤防,護
岸,床止め,樹林帯…その他河川の流水によって生ずる公利を増進し,
又は公害を除却し,若しくは軽減する効用を有する施設をいう。ただし,
河川管理者以外の者が設置した施設については,当該施設を河川管理施
設とすることについて河川管理者が権原に基づき当該施設を管理する者
の同意を得たものに限る。
(一級河川)
4条
1項この法律において「一級河川」とは,国土保全上又は国民経済上特に
重要な水系で政令で指定したものに係る河川(公共の水流及び水面をい
う。以下同じ。)で国土交通大臣が指定したものをいう。
(河川区域)
6条
1項この法律において「河川区域」とは,次の各号に掲げる区域をいう。
一河川の流水が継続して存する土地及び地形,草木の生茂の状況その
他その状況が河川の流水に継続して存する土地に類する状況を呈して
いる土地…の区域
二河川管理施設の敷地である土地の区域
三堤外の土地…の区域のうち,第1号に掲げる区域と一体して管理を
行う必要があるものとして河川管理者が指定した区域
2項河川管理者は,その管理する河川管理施設である堤防のうち,その敷
地である土地の区域内の大部分の土地が通常の利用に供されても計画高
水流量を超える流量の洪水の作用に対して耐えることができる規格構造
を有する堤防(以下「高規格堤防」という。)については,その敷地で
ある土地の区域のうち通常の利用に供することができる土地の区域を高
規格堤防特別区域として指定するものとする。
4項河川管理者は,第1項第3号の区域,高規格堤防特別区域…を指定す
るときは,国土交通省令で定めるところにより,その旨を公示しなけれ
ばならない。(以下略)
(河川管理者)
7条この法律において「河川管理者」とは,第9条第1項又は第10条第1
項若しくは第2項の規定により河川を管理する者をいう。
(河川工事)
8条この法律において「河川工事」とは,河川の流水によって生ずる公利を
増進し,又は公害を除却し,若しくは軽減するために河川について行なう
工事をいう。
(一級河川の管理)
9条
1項一級河川の管理は,国土交通大臣が行なう。
(河川整備基本方針)
16条
1項河川管理者は,その管理する河川について,計画高水流量その他当該
河川の河川工事及び河川の維持(次条において「河川の整備」という。)
についての基本となるべき方針に関する事項(以下「河川整備基本方針」
という。)を定めておかなければならない。
2項河川整備基本方針は,水害発生の状況,水資源の利用の現況及び開発
並びに河川環境の状況を考慮し,かつ,国土形成計画及び環境基本計画
との調整を図って,政令で定めるところにより,水系ごとに,その水系
に係る河川の総合的管理が確保できるように定められなければならない。
3項国土交通大臣は,河川整備基本方針を定めようとするときは,あらか
じめ,社会資本整備審議会の意見を聴かなければならない。
4項都道府県知事は,河川整備基本方針を定めようとする場合において,
当該都道府県知事が統括する都道府県に都道府県河川審議会が置かれて
いるときは,あらかじめ,当該都道府県河川審議会の意見を聴かなけれ
ばならない。
5項河川管理者は,河川整備基本方針を定めたときは,遅滞なく,これを
公表しなければならない。
6項前3項の規定は,河川整備基本方針の変更について準用する。
(河川整備計画)
16条の2
1項河川管理者は,河川整備基本方針に沿って計画的に河川の整備を実施
すべき区間について,当該河川の整備に関する計画(以下「河川整備計
画」という。)を定めておかなければならない。
2項河川整備計画は,河川整備基本方針に即し,かつ,公害防止計画が定
められている地域に存する河川にあっては当該公害防止計画との調整を
図って,政令で定めるところにより,当該河川の総合的な管理が確保で
きるように定められなければならない。この場合において,河川管理者
は,降雨量,地形,地質その他の事情によりしばしば洪水による災害が
発生している区域につき,災害の発生を防止し,又は災害を軽減するた
めに必要な措置を講ずるように特に配慮しなければならない。
3項河川管理者は,河川整備計画の案を作成しようとする場合において必
要があると認めるときは,河川に関し学識経験を有する者の意見を聴か
なければならない。
4項河川管理者は,前項に規定する場合において必要があると認めるとき
は,公聴会の開催等関係住民の意見を反映させるために必要な措置を講
じなければならない。
5項河川管理者は,河川整備計画を定めようとするときは,あらかじめ,
政令で定めるところにより,関係都道府県知事又は関係市町村長の意見
を聴かなければならない。
6項河川管理者は,河川整備計画を定めたときは,遅滞なく,これを公表
しなければならない。
7項第3項から前項までの規定は,河川整備計画の変更について準用する。
(土地の占用の許可)
24条河川区域内の土地(河川管理者以外の者がその権原に基づき管理する
土地を除く。以下次条において同じ。)を占用しようとする者は,国土
交通省令で定めるところにより,河川管理者の許可を受けなければなら
ない。
(土石等の採取の許可)
25条河川区域内の土地において土石(砂を含む。以下同じ。)を採取しよ
うとする者は,国土交通省令で定めるところにより,河川管理者の許可
を受けなければならない。(以下略)
(工作物の新築等の許可)
26条
1項河川区域内の土地において工作物を新築し,改築し,又は除却しよう
とする者は,国土交通省令で定めるところにより,河川管理者の許可を
受けなければならない。(以下略)
2項高規格堤防特別区域内の土地においては,前項の規定にかかわらず,
次に掲げる行為については,同項の許可を受けることを要しない。
一基礎ぐいその他の高規格堤防の水の浸透に対する機能を減殺するお
それのないものとして政令で定める工作物の新築又は改築
二前号の工作物並びに用排水路その他の通水施設及び池その他の貯水
施設で漏水のおそれのあるもの以外の工作物の地上又は地表から政令
で定める深さ以内の地下における新築又は改築
三工作物の地上における除却又は工作物の地表から前号の政令で定め
る深さ以内の地下における除却で当該工作物が設けられていた土地を
直ちに埋め戻すもの
3項河川管理者は,高規格堤防特別区域内の土地における工作物の新築,
改築又は除却について第1項の許可の申請又は第37条の2,第58条
の12,第95条若しくは第99条第2項の規定による協議があった場
合において,その申請又は協議に係る工作物の新築,改築又は除却が高
規格堤防としての効用を確保する上で支障を及ぼすおそれのあるもので
ない限り,これを許可し,又はその協議を成立させなければならない。
(土地の掘削等の許可)
27条
1項河川区域内の土地において土地の掘削,盛土若しくは切土その他土地
の形状を変更する行為(前条第1項の許可に係る行為のためにするもの
を除く。)又は竹木の栽植若しくは伐採をしようとする者は,国土交通
省令で定めるところにより,河川管理者の許可を受けなければならない。
ただし,政令で定める軽易な行為については,この限りでない。
2項高規格堤防特別区域内の土地においては,前項の規定にかかわらず,
次に掲げる行為については,同項の許可を受けることを要しない。
一前条第2項第1号の行為のためにする土地の掘削又は地表から政令
で定める深さ以内の土地の掘削で当該掘削した土地を直ちに埋め戻す
もの
二盛土
三土地の掘削,盛土及び切土以外の土地の形状を変更する行為
四竹木の栽植又は伐採
(権限の委任)
98条この法律に規定する国土交通大臣の権限は,政令で定めるところによ
り,その一部を地方整備局長…に委任することができる。
2河川法施行令(昭和40年政令第14号。以下「河川令」という。)
(河川整備計画に定める事項)
10条の3河川整備計画には,次に掲げる事項を定めなければならない。
一河川整備計画の目標に関する事項
二河川の整備の実施に関する事項
イ河川工事の目的,種類及び施行の場所並びに当該河川工事の施行
により設置される河川管理施設の機能の概要
ロ河川の維持の目的,種類及び施行の場所
(関係都道府県知事等の意見の聴取等)
10条の4
1項河川管理者は,河川整備計画を定め,又は変更しようとするときは,
あらかじめ,国土交通大臣である場合にあっては関係都道府県知事の意
見を…聴かなければならない。
2項前項の場合において,関係都道府県知事が意見を述べようとするとき
は,あらかじめ,関係市町村長の意見を聴かなければならない。
3項河川管理者は,河川整備計画に高規格堤防の設置に係る河川工事の施
行の場所を定めたときは,速やかに,その場所を関係都道府県知事に通
知するものとする。
(高規格堤防特別区域における新築等について許可を要しない工作物)
15条の2法第26条第2項第1号の政令で定める工作物は,基礎ぐい,電
柱その他棒状の工作物で地下に設けられることとなる部分以外の土地の
掘削を伴わずに鉛直方向に設置されるものとする。
(高規格堤防特別区域における工作物の地下における新築等について許可を要し
ない場合の深さ)
15条の3法第26条第2項第2号の政令で定める深さは,1メートルとす
る。
(高規格堤防特別区域における土地の掘削について許可を要しない場合の深さ)
15条の5法第27条第2項第1号の政令で定める深さは,1・5メートル
とする。
(権限の委任)
53条
1項法及びこの政令に規定する河川管理者である国土交通大臣の権限のう
ち,次に掲げるもの以外のものは,地方整備局長…に委任する。(以下
略)
3河川法第4条第1項の水系を指定する政令(昭和40年政令第43号)
河川法第4条第1項の水系は,次の各号に掲げるものとする。
二十八利根川水系
4河川管理施設等構造令(昭和51年政令第199号)
(構造の原則)
18条
1項堤防は,護岸,水制その他これらに類する施設と一体として,計画高
水位(高潮区間にあっては,計画高潮位)以下の水位の流水の通常の作
用に対して安全な構造とするものとする。
2項高規格堤防にあっては,前項の規定によるほか,高規格堤防特別区域
内の土地が通常の利用に供されても,高規格堤防及びその地盤が,護岸,
水制その他これらに類する施設と一体として,高規格堤防設計水位以下
の水位の流水の作用に対して耐えることができるものとするものとする。
3項高規格堤防は,予想される荷重によって洗掘破壊,滑り破壊又は浸透
破壊が生じない構造とするものとし,かつ,その地盤は,予想される荷
重によって滑り破壊,浸透破壊又は液状化破壊が生じないものとするも
のとする。
(材質及び構造)
19条堤防は,盛土により築造するものとする。(以下略)
(別紙3-1)
本件都市計画の概要
1名称
α東部土地区画整理事業
2面積
約1.4ha
3公共施設の配置
(1)道路
種別名称幅員延長
幹線街路放射第○号線5m約150m
補助線街路第○号線8m約90m
区画道路については,土地利用を考慮し,幅員4ないし6mで適宜配置する。
(2)公園及び緑地
地区に隣接して公園・広場としての機能を持つ施設を配置する計画であるた
め,施行区域内に公園及び緑地の新設は行わない。
4宅地の整備
土地利用計画,街区の規模等については,住宅地としての土地利用を考慮の上,
これに適応して定めるものとする。
5施行区域
別紙3-2「計画図」のとおり
6理由
密集市街地を改善し,生活環境が向上した安全な市街地を形成するため,上記
のとおり土地区画整理事業を決定する。なお,事業の実施については,国土交通
省の高規格堤防事業と共同で行う予定である。
(別紙4-1)
本件事業計画の概要
第1土地区画整理事業の名称等
1土地区画整理事業の名称
東京都市計画事業α東部土地区画整理事業
2施行者の名称
東京都江戸川区
第2施行地区
1施行地区の位置
本地区は,東京都区部東端の江戸川区の北部に位置し,F○線G駅より東へ
約1.5km,H○線I駅より南へ300mの地域で,都市計画道路放射○号
線,補助○号線,F○線,一級河川江戸川により囲まれた面積約1.4ha(東
西約140m,南北約100m)の地区である。
2施行地区の区域
本地区に含まれる土地の名称は次のとおりである。
江戸川区α,βの各一部
3施行地区の区域図
別紙1-2「区域図」のとおり
第3設計の概要
1設計説明書
(1)土地区画整理事業の目的
本地区は江戸川沿いの密集市街地であり,道路の幅員は狭小で,かつ行き
止まり道路も多く,緊急時の消防車等の進入路や災害時の避難経路を確保す
る上で課題を抱えているため,生活環境や安全性の面から市街地整備の改善
が急がれる地区である。
また,江戸川区街づくり基本プランにおいても,δ地域の将来像は「魅力
ある商店と閑静な住宅街が織り成すふれあいの街」とされており,その中で
本地区は密集市街地の改善を図り,必要な基盤施設を整備し,一般住宅地を
形成するエリアに位置付けられている。
これらの背景のもと,本事業は,都市基盤と住環境の改善を図り,安全・
安心で快適なまちづくりを行うことを目的とする。
(2)施行地区内の土地の現況
ア地区の性格及び発展状況
本地区は,三方(都市計画道路放射○号線,一級河川江戸川の右岸堤防,
F○線)を盛土に囲まれた窪地状の地形であり,小規模な建物が密集した
地域である。未接道宅地や小宅地が多くあり,かつ地区内道路が狭小で行
き止まりや階段状の段差があるため,緊急時における車両の通行が困難で
あり,避難経路が寸断される恐れがある。
このように生活環境や安全性の面から市街地整備上の課題を多く内包す
る状況であるため,早急な改善が求められている。
なお,本地区は国の治水事業である高規格堤防事業の対象河川の江戸川
沿川に位置し,本地区のほとんどが高規格堤防の施行範囲内に位置する。
イ地区内の人口及びその密度
現在,本地区には約255人が居住しており,その密度は182人/h
aとなっている。
ウ道路及び宅地の状況
①道路
地区北側に幅員27~34.5mの都市計画道路放射○号線が東西に
走り,西側には幅員12mの都市計画道路補助○号線が走る。補助○号
線においては,幅員16mへの拡幅が都市計画決定されている。
本地区の区画道路は,ほとんどが幅員4m未満の狭隘道路であり,一
部では私道も見られる。さらに,地区内の区画道路に車両で入ることが
できるのは地区北側からだけであり,かつ左折での出入りしかできない
ため,緊急車両の通行にも支障をきたしている。
②宅地
本地区は都市計画道路放射○号線及び補助○号線の沿道に位置するが,
店舗,工業施設等は少なく,概ね全域が住宅地である。地区の中央より
西側には比較的大きな建物等も見られるが,地区東側には50㎡前後の
小宅地群が存在しており建物が密集している。
また,平均の築年数が約30年と建物の老朽化が進んでおり,また,
地区内の建物の約8割が木造住宅であるため,火災時における延焼や,
地震時における倒壊等が危惧される。
エ地勢
本地区の住宅地は,標高約3.0m~1.7mで緩やかに北から南へ傾
斜している。また,三方(都市計画道路放射○号線,一級河川江戸川の右
岸堤防,F○線)を盛土に囲まれた窪地状の地形であり,地区外との接続
部の多くが階段や急勾配な斜路となる要因となっている。
オ地価
平成20年4月の時点での平均地価は288,000円/㎡である。
(3)設計の方針
ア土地利用計画
現在の用途地域を基本とし,戸建住宅を中心とした良好な住環境を確保
する。
イ人口計画
東京都により取りまとめている東京都区市町村別の将来人口予測に基づ
き,計画人口約260人,平均人口密度186人/haとする。
ウ公共施設計画
幹線道路は,都市計画道路放射○号線(幅員27~34.5m)につい
ては歩道の整備を行い,補助○号線(幅員16m)については現況道路の
中心から地区内側8mを拡幅整備する。
区画道路は幅員4~6m,特殊道路(自転車・歩行者専用道路)は幅員
4~5mで適宜配置する。
エ造成計画
本地区周辺部との高低差を解消し,防災機能の向上や宅地の利用増進を
図るため,盛土整備を行う。
2設計図
別紙4-2「設計図」のとおり。
第4事業施行期間
自平成23年5月17日
至平成28年3月31日
第5資金計画書
1収入
区分金額適要
国庫補助2億3800万円社会資本整備総合交付金補助率1/2
都補助金4億9700万円社会資本整備総合交付金負担1億1900万円
都市計画道路放射○号線及び補助○号線
3億7800万円
区費35億9300万円社会資本整備総合交付金負担1億1900万円
区単独費34億7400万円
合計43億2800万円
2支出
事項金額
公共施設整備費計30億7500万円
法2条2項該当事業費計1億3300万円
整地費3億4600万円
工事雑費1億0700万円
調査設計費3億0000万円
損失補償費300万円
減価補償費2億6300万円
事務費1億0100万円
合計43億2800万円
(別紙4-3)
本件事業計画の変更の概要
本件事業計画(別紙4-1)を,要旨,以下のように変更する(下線部が変更後
の事業計画である。)。
第1造成計画(別紙4-1第3の1(3)エ参照)
本地区周辺部との高低差を解消し,防災機能の向上や宅地の利用増進を図れ
るよう,盛土整備を行う。
なお,国土交通省が施行する高規格堤防整備事業との共同実施となったこと
を受け,高規格堤防整備事業の施行範囲については,同事業により造成した高
規格堤防上に本事業による造成を行う。
第2事業施行期間(別紙4-1第4参照)
自平成23年5月17日
至平成29年3月31日
第3資金計画書(別紙4-1第5参照)
1収入
区分金額適要
国庫補助2億3800万円都市再生区画整理事業補助率1/2
都補助金3億5600万円都市再生区画整理事業負担1億1900万円
都市計画道路放射○号線及び補助○号線
2億3700万円
区費15億4900万円都市再生区画整理事業負担1億1900万円
区単独費14億3000万円
国土交通省
負担金
19億6200万円α地区高規格堤防整備事業
合計41億0500万円
2支出
事項金額
公共施設整備費計30億6000万円
法2条2項該当事業費計1億3300万円
整地費1億0000万円
工事雑費1億4500万円
調査設計費3億0000万円
損失補償費300万円
減価補償費2億6300万円
事務費1億0100万円
合計41億0500万円

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