弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を取消す。
     控訴人等は被控訴人に対し別紙目録記載の不動産につき所有権移転登記
手続をしなければならない。
     訴訟費用は第一、二審共控訴人等の負担とする。
         事    実
 控訴代理人は、原判決を取消す被控訴人の請求を棄却する訴訟費用は第一、二審
共被控訴人の負担とする、との判決を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求め
た。
 被控訴代理人の事実上の陳述は、補充として(一)被控訴人外五十一名は控訴人
等より昭和二十三年五月十九日控訴人等所有の本件土地を含む合計九千五百二十一
坪の土地を一坪につき金七十八円七十七銭の割合を以て算出した合計金七十五万円
の代金を以て買受ける約束を結び代金は所有権移転登記後支払うことを約した。
(二)然るところ控訴人等は右所有権移転登記手続に協力しないので被控訴人外四
十九名は控訴人等に対し昭和二十四年中旭川地方裁判所にこれが所有権移転登記手
続請求の訴を提起し同庁昭和二十四年(ワ)第七十一号事件として係属したのであ
るが被控訴人はこれが訴を提起するに当り、調査の手落から本件土地が訴状の記載
から脱漏していることに気付かずして昭和二十四年七月十九日の口頭弁論において
所有権移転登記をすることの和解をしこれが和解に基き昭和二十四年十月末日まで
に代金を完済し且登記手続を完了したがその後に至つて本件の土地が右訴訟から脱
漏していることに気付いたのでその所有権移転登記を求めたが控訴人等はこれに応
じない、控訴人等の仮定抗弁事実は否認すると述べた外原判決事実摘示と同一であ
るから、これを引用する。
 控訴代理人は、控訴人等が本件訴状送達を受けたのは昭和二十六年一月八日で口
頭弁論期日は同月十一日である、遠隔であるから僅か二日程度の期間では出頭する
にも代理人を選択するにもまた答弁書を作成するにも不可能である電信で取敢えず
延期を求めるより如何ともなすを得ない事情にあつた右の事情を無視して控訴人等
をして充分な攻撃防禦の方法を尽す余地を与えることなく、弁論を終結し判決した
ことは訴訟手続の違背であり該違背は憲法第三十二条にいわゆる裁判を受ける権利
を奪つたものであるから原判決は取消さるべきである。二、被控訴人の請求の原因
中その主張事実全部を否認する、被控訴人の主張事実の補充第一項の事実中九千五
百二十一坪中には本件土地が含んでいるとの事実に否認するその余の事実は認める
同第二項の事実中訴提起に当り本件土地が訴状の記載から脱漏したとの点を除きそ
の余は認める、仮に被控訴人主張のような契約が他の場合と同時に為されたとする
も、それは妹背牛村農地委員会及び被控訴人が民法第九十六条の強迫よりもつと強
度の強迫を控訴人に加えて控訴人の意思決定の自由を抑制して意思表示をさせたも
のであるから該意思表示は無効であると答弁した。
 立証として、被控訴代理人は甲第一号証の一、二、同第二号証、同第三号証の
一、二、同第四、五号証、同第六号証の一二を提出し乙第一、二号証の成立を認め
た。同じく控訴代理人は乙第一、二号証を提出し当審控訴人本人訊問の結果を援用
し、甲号各証の成立を認めた。
         理    由
 <要旨第一>まず原判決が訴訟手続に違背してされたものであるとの控訴人の主張
について判断するに、原裁判所は本件最初の口頭弁論期日を昭和二十六
年一月十一日と定めたが函館市に居住する控訴人等に右期日呼出状及び訴状が送達
されたのは同月八日であつて右期日との間にはわずかに三日しかなく、かようの短
期間に控訴人等が防禦の準備を整えた上原裁判所に出頭することは至難であること
が明らかであり、従つて右期日の呼出は不適法<要旨第二>である。従つて原裁判所
が右期日に控訴人等不出頭のまま口頭弁論を開始し控訴人等が最初になすべき口頭
論の期日に出頭しないものとして被控訴代理人に弁論を命じたのは民
事訴訟法第百三十八条に違背したものであるといわなければならない。同条は出頭
しない当事者が適法に呼出された場合にのみ適用すべき規定であるからである。
 よつて民事訴訟法第三百八十七条により原判決を取消すものであるが、本件につ
いては当審第一回の口頭弁論期日において当事者双方その主張及び立証を尽し判決
をするに熟しているので、当裁判所において直ちに判決をすることとした。
 被控訴人外五十一名が昭和二十三年五月十九日控訴人等からその所有にかかる雨
竜郡a村字b所在九千五百二十一坪の土地を一坪について金七十八円七十七銭の割
合で算出した合計代金七十五万円を以て買受ける約束を結び代金は所有権移転登記
後支払うことを約した事実は当事者間に争がない。そして成立に争のない甲第一各
証を綜合なると、右売買にかかる土地のうちには別紙目録記載の土地を包含する事
実を認めるに足りる。そうして右売買が控訴人等の主張するような強度の強迫によ
る意思表示であるとの事実は成立に争のない乙号各証及び控訴人A本人訊問の結果
によるもこれを認めることができないから、右売買が無効であるとの控訴人等の抗
弁は採用しない。なお成立に争のない甲第六号証の一、二によると、被控訴人が右
代金の支払をした事実を認めることができる、ゆえに被控訴人から控訴人等に対し
右土地の所有権移転登記を求める被控訴人の本訴請求は正当である。
 よつて、民事訴訟法第八十九条、第九十五条を適用し主文の通り判決する。
 (裁判長裁判官 浅野英明 裁判官 藤田和夫 裁判官 臼居直道)
 (別紙目録省略)

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